比翼連理の異世界旅

小狐丸

文字の大きさ
上 下
5 / 29
転生そして…

これからの事

しおりを挟む
『グゥー!!』

「あ~、お腹へった。」ユートが照れながら言う。
すでに日が暮れていた。
イカンイカン時間が経つのも忘れて夢中で何度も求めてしまった。
これって、お互い初めて同士になるのかな?
まぁ、マリアは初めての印があったからそうなんだろうけど。でも後半は、体力的に危なかったもんなステータスの圧倒的な差があるからか途中からギリギリの闘いだったし…早くレベル上げないと。


「直ぐに何か作るわね。」


そう言ってベッドから抜け出し服を着ながら食事の準備を始めるマリア。その背中を眺めながら久しぶりに新婚の頃を思い出し、愛する妻に再びめぐり逢えた奇跡に女神へ感謝するユートだった。




簡単でゴメンなさいね。と言いながらテーブルに並んだ料理を二人で食べる。「「いただきます。」」

「うん、おいしい。」

フフッ、ありがとう。「食べながらでいいから話しの続きをしましょう。」マリアがそう言って久しぶりに二人で食事を楽しむ。



「僕から先に聞いていい?ちょっと気になったんだけどマリアは、ここに一人きりで暮らしているの?」

そう、こんな人里離れた森の中に美しいエルフの女性が一人で住んでいる事に違和感を感じてた。

「そうネ、先ずは私の事から聞いてもらおうかしら。」

それから、マリアがこちらの世界へ転生してからの話しを聞いた。マリアは、エルフの集落でハイエルフの両親の間に生まれた。前世の記憶を思い出したのは5歳位の頃らしい。
その時に女神の神託で僕とこの世界でめぐり逢えることを知ったらしい。あれっ?!喧嘩のトバッチリで死んだんじゃなかったのか?…まぁいいか、マリアに逢えたんだし。
前世の記憶を思い出した後、時々女神の神託があったらしい。その時にいずれ僕が訪れた時にサポートしてあげて欲しいと依頼されたらしい。

「ユートがこっちに来た時に護ってあげれるようにレベルやスキルを鍛えたわ。」

ハイエルフの寿命からすれば120年は、永くない時間だがマリアにとって僕と逢えるまでの120年は、とても待ち遠しく永い時間だったと言う。何だか、嬉しいやら申し訳ないやら複雑な気分だ。

「私がここに一人で住むようになったのは最近のことなの。三年前なんだけど、違う集落の長から私を嫁に欲しいと言う話がきたのね。やっと後三年でユートに逢えるのに。当然、私はその話断ったんだけどしつこく言い寄って来るから。だから置手紙残して家を出たってわけ。私はユートのものなんだもの。
今世も前世も。
それで、いつ・どこにユートが転生してくるか神託で解ってたから、ここに小屋を建ててあの場所で待ってたの。光の中からユートが現れた時、容姿が変わってても直ぐにあなただって解ってわ。」

それで、こんなところで一人で住んでるんだ。
「それで、これからどうしたらいいと思う?」

「そうネ、先ずはユートのレベルアップとスキルのレベルアップ。あと取得しておいた方がいいスキルも色々あるから、そういったスキルの取得も目指すわよ。大丈夫よ、魔法に関しては私に任せて!なんてたってハイエルフですからね。武術全般に関しては、ユートの方が加護があるから直ぐに上達するでしょうけど、私も一緒に頑張るわ。この周りの森である程度レベルアップしたら一度ダンジョンに潜るのもいいわね。レベルあげのついでに、レアな素材のドロップや宝箱見つけてレアアイテムをゲット出来るかもしれないし。」

「それと、ユートの使う武器や防具等の装備は取り敢えず私が用意した間に合わせになっちゃうけど、これも少しづつ揃えていきましょう。」

「そうだね。せっかく鍛冶スキルがあるんだから、そのうち鍛冶もやってみたいしね。」

「ユートの服や下着なんかも用意してあるから、修行がひと段落ついたら街へ行って買い足しましょう。」

何だか、聞いてるだけで疲れてきた。
でもたしかに自力をつけるのは、急務だよなぁ~。
この世界は日本に比べて命がずっと軽い。
未だ見てないけど魔物や盗賊なんかも普通に出没するらしい。死がとてもみじかに有る世界、だからこそ強くならなくちゃいけない。大切なものを護る為に。

特にマリアは、エルフだ。
エルフは、その優れた容姿のせいで盗賊や奴隷狩りの的になることが多いとらしい。
マリアだけは、命に懸けても護らなきゃ!

「あと…、ユートには他者の命を奪う覚悟しておいて欲しいの。例えば、盗賊に襲わた時に躊躇っていると護りたいものも護れずユート自身の危険にも繋がるわ。多分、そういった訓練も考えてるわ。」

盗賊狩りなんか、良いかもね。なんてサラッと言う。
あぁ、ここは、そういう世界なんだよなぁ。
出来る事は、全部やって後悔しない人生を送らなきゃな。

「大丈夫だよ。マリアを護れない方が怖いから。」

「ありがとう。100年以上待ったんだもの、もう離れたくないもの。」

「あぁ、天にあっては比翼のように。地にあっては連理の枝のように、だもんな。」

「そうネ。これから二人で支え合って頑張りましょう。当面の目標は、私も含めてユートを鍛えて力をつける。その後、二人で世界を旅して周るなんてどう。」

「いいと思うよ、前世じゃ新婚旅行にも連れて行ってあげれなかったしね。」


「今日はもう身体を拭いてから寝ましょう。」

マリアが部屋の隅から出して来たタライに魔法で水を溜めていく。初めて見る魔法に感動しつつ。

「僕が拭いてあげるよ」

「じゃあ、ユートは私が拭いてあげるわね。」

マリアが顔を赤く染めながら持っていた布をユートに渡して着ていた服を脱いでいく。ユートも素早く服を脱ぐと受け取った布を使いマリアの身体を優しく拭いていく。

ユートとマリアが眠りに就いたのは、空が明るくなり始めた頃だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

転生先は水神様の眷属様!?

お花見茶
ファンタジー
高校二年生の夏、私――弥生は子供をかばってトラックにはねられる。気がつくと、目の前には超絶イケメンが!!面食いの私にはたまりません!!その超絶イケメンは私がこれから行く世界の水の神様らしい。 ……眷属?貴方の?そんなのYESに決まってるでしょう!!え?この子達育てるの?私が?私にしか頼めない?もう、そんなに褒めたって何も出てきませんよぉ〜♪もちろんです、きちんと育ててみせましょう!!チョロいとか言うなや。 ……ところでこの子達誰ですか?え、子供!?私の!? °·✽·°·✽·°·✽·°·✽·°·✽·° ◈不定期投稿です ◈感想送ってくれると嬉しいです ◈誤字脱字あったら教えてください

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...