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プロローグ
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鬱蒼と生茂る木々の中を60過ぎの男が、黙々と歩いている。
「ふぅー、……完全に迷ったな」
男は汗を拭い一息つくと周りを見渡しながら、呟く。
「樹齢何年なんだ?それよりなんで森の中なんだ?」
見渡せば周りに生える木々の異常な程の大きさに加え、澄みきった空気は神々しささえ感じる。
立ち並ぶ木々すべてが、御神木だと言われても素直に納得できただろう。
そもそも今日は、鹿島神宮にお参りに来ていただけなのに如何してこうなった?此処は何処だ?
「確か鳥居をくぐったら、霧に包まれたんだよな」
男はその場にへたり込んだ、遠雷の音が聞こえる。
男の名は、塚原 優斗65歳。
年齢の割には、背筋が伸びて姿勢が良く若く見える。
子供の頃から続けている剣道のおかげか、足腰は歳の割にはしっかりしている。
2年前に妻を亡くして以来、しばらく無気力に過ごす日々を送っていたが、最近になって妻が生前趣味にしていた寺社巡りをする様になった、亡き妻を想いながら。
2歳年下の真梨とは、小学校からの幼馴染みで真梨はその頃から「優斗お兄ちゃんのお嫁さんになる」と言って何時も優斗の後について来た。
そんな2人が恋人に成るのは自然な事だった。
その頃から優斗の隣りには、何時も真梨が居た。
それは、2人が結婚しても変わらなかった。
子供には恵まれなかったが、2人は幸せだった。
真梨が病に倒れるその時まで。
「来世でも優斗お兄ちゃんのお嫁さんになりたい……」
「あぁ……きっと真梨を見つけて会いに行くよ」
そして眠る様に息をひきとった。
巨木にもたれながら亡き妻のことを想い、いまだ自分は立ち直れていない事に真梨に叱られそうだな、などと考えていると……。
ゴロゴロ……
「ん?雷かな?」
雷の音が聞こえた気がして、木の側は危ないか、と立ちあがろうとした。
次の瞬間目の前が真っ白に光り、優斗の意識はそこで途絶え彼の65年の人生は終りをつげた。
やがてその場に、優斗を囲むように4つの光りの柱が立ちあがり優斗の身体を光が包みその場から消えた。
「ふぅー、……完全に迷ったな」
男は汗を拭い一息つくと周りを見渡しながら、呟く。
「樹齢何年なんだ?それよりなんで森の中なんだ?」
見渡せば周りに生える木々の異常な程の大きさに加え、澄みきった空気は神々しささえ感じる。
立ち並ぶ木々すべてが、御神木だと言われても素直に納得できただろう。
そもそも今日は、鹿島神宮にお参りに来ていただけなのに如何してこうなった?此処は何処だ?
「確か鳥居をくぐったら、霧に包まれたんだよな」
男はその場にへたり込んだ、遠雷の音が聞こえる。
男の名は、塚原 優斗65歳。
年齢の割には、背筋が伸びて姿勢が良く若く見える。
子供の頃から続けている剣道のおかげか、足腰は歳の割にはしっかりしている。
2年前に妻を亡くして以来、しばらく無気力に過ごす日々を送っていたが、最近になって妻が生前趣味にしていた寺社巡りをする様になった、亡き妻を想いながら。
2歳年下の真梨とは、小学校からの幼馴染みで真梨はその頃から「優斗お兄ちゃんのお嫁さんになる」と言って何時も優斗の後について来た。
そんな2人が恋人に成るのは自然な事だった。
その頃から優斗の隣りには、何時も真梨が居た。
それは、2人が結婚しても変わらなかった。
子供には恵まれなかったが、2人は幸せだった。
真梨が病に倒れるその時まで。
「来世でも優斗お兄ちゃんのお嫁さんになりたい……」
「あぁ……きっと真梨を見つけて会いに行くよ」
そして眠る様に息をひきとった。
巨木にもたれながら亡き妻のことを想い、いまだ自分は立ち直れていない事に真梨に叱られそうだな、などと考えていると……。
ゴロゴロ……
「ん?雷かな?」
雷の音が聞こえた気がして、木の側は危ないか、と立ちあがろうとした。
次の瞬間目の前が真っ白に光り、優斗の意識はそこで途絶え彼の65年の人生は終りをつげた。
やがてその場に、優斗を囲むように4つの光りの柱が立ちあがり優斗の身体を光が包みその場から消えた。
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