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第二章
四十四話 人手が増やしたい
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「修二様、少しご相談があるのですが」
「ああ、ジェスタさん。どうしたんですか?」
朝の日課の訓練を終えたところで、ジェスタさんに声をかけられた。
僕やお義父さん、サミティアさん、フェルミアちゃんとミルティアちゃんは、毎日朝に訓練をしている。佐那は勿論、ヘティスちゃんもまだ小さいから不参加だ。
そこにハイド族のジェスタさん達が加わった。
その日も皆んなの訓練を指導し終え、そろそろ起き出しただろう佐那と遊ぼうと家に戻ろうとした時、ジェスタさんから相談事があると話しかけられたんだ。
ジェスタさんを家のリビングに招き、皐月がお茶を淹れてくれたところで話を聞く。
「それで相談とは?」
「はい。実は、ハイド族の同胞の事でご相談がありまして……」
ジェスタさんの相談とは、ハイド族の同胞に関してだった。
その諜報に特化した様な種族特性から、各国の諜報機関として働く事が多いハイド族だけど、決して良い扱いではないらしい。
「我等ハイド族は、最低限の安い賃金で危険な仕事をさせられています。それはハンザ王国だけではなく、他の国でも同じようなものです」
「ふむ、素破(すっぱ)や乱破(らっぱ)と同じような扱いか」
「素破、乱破ですか?」
お義父さんはお茶を手にソファーの隣に座って、ハイド族が戦国時代の日本で素破や乱破と呼ばれていた忍者と同じような扱いなんだろうと言う。
素破や乱破と呼ばれる人たちは、足軽や雑兵にも蔑まれていたらしい。
貧しさから僅かなお金で命をかけて仕事をしているにも関わらず、その地位は低かったのだとか。
なる程、ハイド族の現状と重なる部分が多いかもしれない。
お義父さんのハイド族への認識は正しいようで、ジェスタさんのように諜報組織から逃げ出す者も居るのだとか。
「諜報組織などに身を置く者を、為政者は便利使いするだけで、信を置く事はないのです」
「勝手な話ですね」
その種族特性が諜報に向くからと諜報組織に身を置き、その組織で働く人間を信頼しないなんて、勝手な話だと思う。
確かに、諜報組織は為政者からの指示で、汚れ仕事もするだろう。だけど、汚い裏の仕事を命じておきながら、人をモノ扱いするにも程がある。
「それでジェスタ殿は、同胞を此処に呼びたいと?」
「はい。栄三郎様方のお許しがあれば、この地へと誘いたいと……」
「ふむ、修二君はどう思う?」
「……そうですね。家には小さな佐那やヘティスちゃんが居ますから、最低限悪人は側に置きたくないのが本音です」
ジェスタさんたちを受け入れたものの、誰彼なしに受け入れるのは不安がある。
『主人、不埒な輩は私が誅しますからご安心ください』
「修二様の不安も分かります。我が同胞たちが皆さま方に牙を剥くような事があれば、この命をかけて責任を持って始末致します」
僕が不安を言うと、フーガが守ってくれると言ってくれた。ジェスタさんも同胞が不始末をすれば、自分が責任を持って始末するとまで言う。
「修二君、どちらにせよ、人手が足りないのは事実なんだ。ジェスタ殿が命をかけると言うのだ。フーガも居るし大丈夫だろう」
「……そうですね。ジェスタさんの同胞を助けたい気持ちも分かります。分かりました」
実は、人手が欲しかったのは僕もお義父さんと同じ気持ちだ。
この地の守護だけじゃなく、農作業や狩りに日用品などを作る職人も欲しい。
農作業から鍛冶から大工に猟師まで、僕一人がするのがおかしいんだから。
「そうと決まれば、ジェスタ殿たちを鍛える必要があるな」
「鍛える……ですか?」
ハイド族の受け入れが決まったなら、ジェスタさんたちを鍛える必要があるとお義父さんが言いだし、ジェスタさんが戸惑っている。
確かにパワーレベリングと並行して最低限身を守れる技を鍛える必要はあるだろう。
ジェスタさんも諜報組織に居ただけあり、戦えない事はないが、それは戦士や騎士、侍とは別の方向性の技だ。暗殺や不意打ちは種族特性上得意だろうが、それが通用するのは一部の者達だけだと思う。
「修二君は、ジェスタ殿たちの装備を頼む。隠密性に優れたのを頼むぞ。森の中を自力で抜けれるようでないとな」
「了解しました。最低限ハイド族の同胞を護りながら森を抜けれないとダメですもんね」
僕が自力で森を抜けれるようにと言うと、ジェスタさんの顔が青くなった気がするけど、そこは頑張ってもらわないとね。
僕やお義父さんの厳しい訓練と、森でのパワーレベリングを経て、僕が作った忍者のような隠密装備に身を包んだジェスタさん達が旅立つのに三ヶ月かかった。
ジェスタさん達には、同胞の探索とは別に、周辺国の情報収集と必要な物の買い出しをお願いしている。
森のパトロールは引き続き僕とお義父さんがフーガを連れてしているので、ジェスタさん達が戻って来ればすぐ分かるだろう。
人が増えて、僕の仕事が少しでも減れば嬉しいんだけどな。
「ああ、ジェスタさん。どうしたんですか?」
朝の日課の訓練を終えたところで、ジェスタさんに声をかけられた。
僕やお義父さん、サミティアさん、フェルミアちゃんとミルティアちゃんは、毎日朝に訓練をしている。佐那は勿論、ヘティスちゃんもまだ小さいから不参加だ。
そこにハイド族のジェスタさん達が加わった。
その日も皆んなの訓練を指導し終え、そろそろ起き出しただろう佐那と遊ぼうと家に戻ろうとした時、ジェスタさんから相談事があると話しかけられたんだ。
ジェスタさんを家のリビングに招き、皐月がお茶を淹れてくれたところで話を聞く。
「それで相談とは?」
「はい。実は、ハイド族の同胞の事でご相談がありまして……」
ジェスタさんの相談とは、ハイド族の同胞に関してだった。
その諜報に特化した様な種族特性から、各国の諜報機関として働く事が多いハイド族だけど、決して良い扱いではないらしい。
「我等ハイド族は、最低限の安い賃金で危険な仕事をさせられています。それはハンザ王国だけではなく、他の国でも同じようなものです」
「ふむ、素破(すっぱ)や乱破(らっぱ)と同じような扱いか」
「素破、乱破ですか?」
お義父さんはお茶を手にソファーの隣に座って、ハイド族が戦国時代の日本で素破や乱破と呼ばれていた忍者と同じような扱いなんだろうと言う。
素破や乱破と呼ばれる人たちは、足軽や雑兵にも蔑まれていたらしい。
貧しさから僅かなお金で命をかけて仕事をしているにも関わらず、その地位は低かったのだとか。
なる程、ハイド族の現状と重なる部分が多いかもしれない。
お義父さんのハイド族への認識は正しいようで、ジェスタさんのように諜報組織から逃げ出す者も居るのだとか。
「諜報組織などに身を置く者を、為政者は便利使いするだけで、信を置く事はないのです」
「勝手な話ですね」
その種族特性が諜報に向くからと諜報組織に身を置き、その組織で働く人間を信頼しないなんて、勝手な話だと思う。
確かに、諜報組織は為政者からの指示で、汚れ仕事もするだろう。だけど、汚い裏の仕事を命じておきながら、人をモノ扱いするにも程がある。
「それでジェスタ殿は、同胞を此処に呼びたいと?」
「はい。栄三郎様方のお許しがあれば、この地へと誘いたいと……」
「ふむ、修二君はどう思う?」
「……そうですね。家には小さな佐那やヘティスちゃんが居ますから、最低限悪人は側に置きたくないのが本音です」
ジェスタさんたちを受け入れたものの、誰彼なしに受け入れるのは不安がある。
『主人、不埒な輩は私が誅しますからご安心ください』
「修二様の不安も分かります。我が同胞たちが皆さま方に牙を剥くような事があれば、この命をかけて責任を持って始末致します」
僕が不安を言うと、フーガが守ってくれると言ってくれた。ジェスタさんも同胞が不始末をすれば、自分が責任を持って始末するとまで言う。
「修二君、どちらにせよ、人手が足りないのは事実なんだ。ジェスタ殿が命をかけると言うのだ。フーガも居るし大丈夫だろう」
「……そうですね。ジェスタさんの同胞を助けたい気持ちも分かります。分かりました」
実は、人手が欲しかったのは僕もお義父さんと同じ気持ちだ。
この地の守護だけじゃなく、農作業や狩りに日用品などを作る職人も欲しい。
農作業から鍛冶から大工に猟師まで、僕一人がするのがおかしいんだから。
「そうと決まれば、ジェスタ殿たちを鍛える必要があるな」
「鍛える……ですか?」
ハイド族の受け入れが決まったなら、ジェスタさんたちを鍛える必要があるとお義父さんが言いだし、ジェスタさんが戸惑っている。
確かにパワーレベリングと並行して最低限身を守れる技を鍛える必要はあるだろう。
ジェスタさんも諜報組織に居ただけあり、戦えない事はないが、それは戦士や騎士、侍とは別の方向性の技だ。暗殺や不意打ちは種族特性上得意だろうが、それが通用するのは一部の者達だけだと思う。
「修二君は、ジェスタ殿たちの装備を頼む。隠密性に優れたのを頼むぞ。森の中を自力で抜けれるようでないとな」
「了解しました。最低限ハイド族の同胞を護りながら森を抜けれないとダメですもんね」
僕が自力で森を抜けれるようにと言うと、ジェスタさんの顔が青くなった気がするけど、そこは頑張ってもらわないとね。
僕やお義父さんの厳しい訓練と、森でのパワーレベリングを経て、僕が作った忍者のような隠密装備に身を包んだジェスタさん達が旅立つのに三ヶ月かかった。
ジェスタさん達には、同胞の探索とは別に、周辺国の情報収集と必要な物の買い出しをお願いしている。
森のパトロールは引き続き僕とお義父さんがフーガを連れてしているので、ジェスタさん達が戻って来ればすぐ分かるだろう。
人が増えて、僕の仕事が少しでも減れば嬉しいんだけどな。
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