上 下
7 / 72
異世界で新たな一歩目を!

第七話 『二日目開始!』

しおりを挟む
  はっきり言って、昨日は俺の人生の中で一番に濃かったと言っても過言ではない。
 異世界転移して、釜瀬に殺されて、「次元転移」で過去に戻って、ダンジョンを周回しようとしてミリエルさんに出会ったり、とにかく忙しい日だった。
 だが、悪いことばかりではない。
 幸せになろうと決意することが出来て、昨日がその一日目となった。
 そして、今日はその二日目だ。
 
「おし、今日もがんばれ、俺!」

 俺は、自分自身に活を入れるようにそう叫んだ。
 昨日は、まだ日が全然出ている時間内に寝たというのに、俺が起きたのは多分朝の六~八時くらいだと思う。
 昨日の疲労のせいか、日ごろの習慣のせいか、俺はなんだかんだ半日以上は寝ていると、体内時計が言ってくる。
 俺は、朝を思わせる鳥の声を聞きながらベットから起き上がると、顔を洗ってから誰か居ないかと部屋の外に出る。
 すると、

「おはようございます、清原様。」

 地球では秋葉とかの喫茶店によくいるようなものではなく、どこか気品を感じさせるたたずまいをしたメイド服の美女が立っていた。

「おはよう。」

 何で俺の部屋の前にいるんだ?
 俺が起きたのは経った今なのに。
 もしかしてこの人、俺が起きるまでずっとここで待機していたのではないだろうな。
 メイドの仕事がそこまで過酷ではないことを信じたい。

「清原様は、今日の予定を知らされておりますでしょうか?」
「いや、知らされてないんだが。」

 というか、今日はミリエルさんに作ってもらったあのダンジョンの深層に行ってみようと思っていたのだけど。

「では説明させていただきます。今日は午前中にこのギルティア王国の国王との面会をされた後、この国の騎士団の団長であるペテラウス様に面会してもらう予定です。午後は特に予定はありませんので、ご自由に行動されて構いません。」

 じゃあ、午後まで待つか。
 「次元転移」のおかげで、俺に訓練時間の長さはそこまで関係しない。
 それより今重要なのは、国王や騎士団長との面会だ。
 もっと言えば、彼らに面会するのはきっと俺一人ではない。
 今まで俺をいじめてきた釜瀬たちが冷静になった今、俺に会うということだ。
 まだ、何故釜瀬が俺を殺しに来たかは分かっていない。
 俺には情報が不足しているのだ。
 だからこそカモにされる。

「それでは、準備が出来次第ほかの勇者様方のところに案内いたしますので、準備が出来次第及び下さい。」

 そういえば、俺は今起きたばかりなので寝間着を着ている。
 ベットの上に、物凄く上物そうな衣服がたたまれた状態で置いてあることをドアの隙間から確認すると、俺はちょっと待っててください、と言いながら部屋に戻っていった。



...............................................


..........................


...........



 部屋に置かれていた服一式を着終えた俺は、メイドさんにクラスメイトのところまで案内してもらっていた。
 この王宮は凄い。
 俺が寝ていた棟の横には、余裕で少年野球が出来る程の訓練場があるし、その隣にはコロッセオ風の建物もある。
 この棟の内装だって、壁には各柱ごとにそれらしい絵画が張られているし、床には埃一つ無い。
 流石、一国の王宮だな。
 そんなことを考えている内に、俺はクラスメートの元に着いた。
 すると、彼らは驚いたようにこっちを見てきた。

「あ、あいつ清原じゃねえの?」
「いやいや、あいつ召喚された直後に死んだだろ。」
「魔法パワーで何とかなったんじゃねえの。」

 俺を見ると急にひそひそと彼らは話し出した。
 だが、釜瀬は俺を見た瞬間、

「おい、清原おまえ生きてたのかよ。」
「まあな。」

 そう言って、釜瀬は俺に貼り付けた笑みで話しかけてきた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...