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第9部 夢の先にあるもの
5-1憧れと現実では責任と重圧がまるで違う……
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私は〈東地区〉の町の上空を、エア・ゴンドラに乗って、ゆっくり飛んでいた。つい先ほどまで〈エメラルド・ビーチ〉の付近を、観光案内で散策し〈ホワイト・ウイング〉に戻る途中だった。
今回のお客様は、新婚ほやほやの、二十代の仲良し夫婦。新婚旅行のために、大陸からこの町にやって来た。ただ、先日の大地震があったため、旅行先を変えるかどうか、かなり悩んだらしい。
でも、私の活躍をMV見て〈グリュンノア〉を、新婚旅行先にすることに、決めたそうだ。どうしても、私に会ってみたかったんだって。
一生に一度の、とても大事な旅行なのに。そんな理由で、わざわざ来てくれるなんて、本当に、シルフィード冥利に尽きる。
ちなみに、今日は、新婚旅行なので、長く思い出に残るように、定番の人気スポットを選んだ。あと『海が好き』と言っていたので、東西南北にある『守護女神像』を回りながら、それぞれの地区の海を、案内して行った。
現在、急ピッチで復旧作業が進んでおり、観光には、特に支障がない。とはいえ、まだ、町のあちこちには、震災の傷跡が残っている。
おめでたい旅行なので、なるべく、目に付かない場所を選んだ。だが、二人は『震災のあとも見てみたい』との希望だったので、何ヵ所か、がれきが残っている、被害の大きかった地域も回って行った。
また、被災者の慰霊碑にも訪れ、二人は花を添えると、手を組んで、真剣にお祈りしていた。二人とも、医療関係の仕事をしているので、今回の震災には、深く心を痛めたそうだ。
せっかくの楽しい新婚旅行で、あえて被災地を選んだのは、これから先も、医療に携わる者としての、覚悟を決める為でもあるらしい。
しばらく飛んでいると、見慣れた、大きな白い羽の看板が見えて来た。大地震の際に、屋根から落ちて、壊れてしまったので、新しく作り直したものだ。新調したばかりなので、まだ、ピカピカだった。
私は、慎重に操縦し、会社の前の用水路に、静かに着水した。すぐに、エア・ゴンドラから降りると、ビットにロープを結ぶ。機体が固定されたのを確認すると、お客様が降りる、エスコートをする。
「長時間、大変お疲れ様でした。足元に、お気を付けください」
私は、そっと手を差し出した。二人は、とても楽しそうな笑顔で、機体から降りて来る。
「本日の観光は、いかがでしたか?」
「とても、素晴らしかったです。やっぱり、この町に来て正解でした」
「本当に、素敵な観光で、最高の思い出になりました」
二人とも、嬉しそうな笑顔で答えた。震災後の新婚旅行の案内は、初めてだったので、少し不安だったけど。満足してくれたようで、本当によかった。
「でも、あなたに会えたのが、一番の幸せです」
「確かに、あなたに会えただけで、胸が一杯です」
「え……?」
「私も、あなたのように、多くの人を救える、立派な医者になりたいです」
「あなたは、医療に携わる者にとって、大英雄ですから」
二人は、目を輝かせながら、熱く語る。
「私は、別に、大したことは――」
「そんなことは、ありません。あなたは、我々の誇りですから」
「これからも、頑張ってください。心から応援しています」
私は、二人に握手を求められ、力強く手を握り返した。
会社の入り口まで行くと、私は、笑顔で手を振りながら、去っていく彼らを、姿が見えなくなるまで、じっと見送った。
震災以降、私は、英雄として扱われている。どこに行っても、次々と称賛の声を掛けられていた。上位階級になってから、周りの対応が、とても丁寧になったが。今回の件で、それ以上の扱いになった。
みんなが、私を知ってくれているのは、素直に嬉しい。でも、変に尊敬されるのは、あまり、好きではなかった。私は、誰とでも対等に、仲良く付き合いたいからだ。
それに、けっして、私一人が、頑張った訳ではない。町中の人たちが、必死に力を合わせて、ここまで復興してきたのだ。それなのに、私だけが、頑張ったかのような評価は、非常に心苦しい。
でも、私も、分かっている。こんな時だからこそ、誰もが、英雄を求めているのだと。だから、私は、可能な限り、皆が望む姿を演じていた。
ただ、正直、物凄く疲れる。元々私は、自分を飾れるような、器用な性格じゃないし。人に尊敬されるような、大そうな人間でもない。人の上に立つとは、本当に、気苦労が絶えないものだ。
「よし、もうひと頑張りしよ! まずは、日報を書いて、そのあと、事務所の掃除をして。備品の補充もしておかないと……」
私は、大きく深呼吸すると、軽く頬を叩いて、事務所に向かった。
中に入ると、奥の席には、リリーシャさんの姿が見えた。彼女の姿を見た瞬間、ホッとした気持ちになる。まるで、ここだけ、空気が違うようだ。
「リリーシャさん、ただいま戻りました」
「お帰りなさい、風歌ちゃん」
リリーシャさんは、柔らかな笑顔で迎えてくれる。
「やっぱり、新婚旅行とかの特別な観光だと、緊張しますね」
「そうね、一生に一度の、思い出だから。観光は、どうだったの?」
「お客様は、とても、喜んでくださいました。ただ、町のことよりも、私のことばかり褒めてくれて。ちょっと、気恥ずかしいというか、何というか――」
「風歌ちゃんは、世界中で注目されている、英雄ですものね」
「うっ……リリーシャさんまで。もう、英雄扱いは、お腹いっぱいです」
「ウフフッ、そのうち慣れると思わよ」
リリーシャさんは、ニコニコしながら答える。
「そういえば、風歌ちゃん宛てに、特別郵便が届いているの。私が代わりに、受け取っておいたわ」
「あぁ、すいません」
特別郵便って、誰だろ? 実家だろうか? たまに、お父さんが、手紙を送ってくることがある。
だが、リリーシャさんから差し出された封書を見て、体が緊張が走った。なぜなら、それには、見覚えがあったからだ。金色の枠が付いた、妙に豪華な封筒だった。
えっ?! ちょっと待って――。これって、以前、リリーシャさんに、送られてきたのと、同じ物じゃないの? えっ……えぇぇーー?! 何で、私に――?
私が固まっていると、リリーシャさんは、真剣な表情で、小さくうなずいた。私は、少し震える手で、その封筒を受け取った。封筒の裏を見ると『シルフィード協会』のマークが、印刷されていた。
私は、少しおぼつかない足で、自分の席に戻ると、ドキドキしながら、ペーパーナイフを手に取る。でも、手が震えていて、なかなか上手く開けない。
落ち着け……落ち着くんだ、私。いや、まさかね――。そう、たぶん、何かのイベントのお知らせだよ……。
高鳴る鼓動を抑えながら、そっと手紙を取り出した。上から、ゆっくりと、目を通して行く。形式的な挨拶が続き、途中の部分で目がとまった。と同時に、心臓も止まりそうになる――。
『理事会での度重なる協議の結果
天使の翼を、グランド・エンプレスとして
擁立することが決定しました。
推薦者:リリーシャ・シーリング(現シルフィード・クイーン)
ノーラ・ベイル(元シルフィード・クイーン)
後見人:ジークハルト・アッシュフィールド
ジェームズ・リッチモンド
二名の上位階級者の推薦と
二名の後見人により
全ての条件を満たしており、一次審査を通過。
よって、二次審査に移行する運びとなりました』
以前の『スカイ・プリンセス』昇進の通知と、おおむね内容は同じだ。でも、今度は『後見人』の項目が増えている。
だが、問題は、そこではない。何で私なんかに、エンプレスの指名が……? だって、私はまだ、クイーンにすら、なっていないし。能力的には、今の上位階級の中で、最も低いと思う。
いくらリリーシャさんが、辞退したとはいえ。他のクイーンたちも、全員、ずば抜けて優秀で、素晴らしい実績を持っている。どう考えたって、その人たちが選ばれるのが、妥当なはずなのに。まったくもって、訳が分からない――。
くらくらと、めまいがする。急に胃が重くなって、吐き気がして来た。何だろう、この異常な重圧感は? 気分が悪くなって、まるで頭が働かない。
私は、顔を上げ、リリーシャさんに視線を向けた。何か言わなければならないのに、息苦しくて、言葉が出てこない……。
「風歌ちゃん、大丈夫? まずは深呼吸して、落ち着いて」
「あ――あの……そうですね――」
リリーシャさんの言葉に従い、まずは、深呼吸する。まだ、心臓は激しく高鳴っているけど、少し落ち着いてきた。
「えーと……これ」
私は、リリーシャさんに、そっと手紙を差し出した。
「見ても、いいの?」
「はい――。言葉では、上手く説明できなくて……」
ただでさえ、ボキャブラリーが少ないのに、頭が混乱して、ちゃんと説明できそうにない。リリーシャさんは、しばらく手紙に目を通したあと、静かに視線をこちらに向けて来た。
「おめでとう、風歌ちゃん」
小さく穏やかな声だが、とても素敵な笑顔だった。
「いや、あの――まったく、訳が分からないんですけど……」
「何が?」
「だって、私まだ、プリンセスですよ。何で、たくさんのクイーンたちを通り越して、私に指名が来るんですか――?」
一番の疑問は、そこだった。現在、クイーンは八名いる。その内の四名は、私が見習いの時代から、ずっとクイーンをやっている、ベテランたちだ。ぽっと出の私とは、上位階級の年季が違う。
それに、皆、世界に誇れるほどの、物凄い実績と人気を持っている。『世界のトップモデル』『世界最強の格闘家』『世界的な歌手』『世界一速いプロレーサー』など。普通のシルフィードとは、まるで次元の違う、実績と知名度を持っている。
それに比べると、私は、経験や能力だけでなく、知名度も実績も、大したことはない。なのに、何でそんな大物を通り越して、私に指名が来たのか、全くの謎だった。
「エンプレスの選考基準は、クイーンでなければならない、という規定はないはずよ。今までは、たまたま、クイーンから選ばれていただけで。だから、上位階級の風歌ちゃんに、指名が来てもおかしくないわ」
「つまり、優秀な上位階級であれば、誰にでも、チャンスはあるということ。それに、今の風歌ちゃんは『グリュンノアの救世主』と言われている、英雄ですもの。十分に納得のいく、正しい選出だと思うわ」
リリーシャさんは、静かに説明する。今回の件に関しては、特に、驚いた様子がないし、普通に納得しているみたいだ。
大震災以降、私は『英雄』だの『聖女』だのと、言われるようになった。最近では『グリュンノアの救世主』なんて、言われ方までしている。
でも、あれは、人として、当然のことをしたまでで。特別な実績ではないと思う。誰だって、目の前に助けを求める人がいれば、助けるはずだ。たまたま、私の救助活動が、話題になっただけで。明らかに、過大評価な気がする。
「あの……推薦人に名前があるということは、今回もまた、リリーシャさんたちが、推薦してくれたんですか?」
「いいえ。今回は、事後承諾よ。風歌ちゃんの選出が決まったあと、私のところに連絡が来たの。『今回もまた、推薦人になってもらえないか』と。おそらく、ノーラさんも、同じだと思うわ」
なるほど、じゃあ、今回は、理事会だけで決めたんだ――。でも、それだと、ますます、分からない。前回の、プリンセスの昇進の時ですら、私が異世界人だという理由で、批判的な理事がいたのだから。
伝統的なこの業界で、最も重要な地位を決めるのに、その問題が、出てこないはずがない。特に、私に厳しい視線を送っていた、ゴドウィン理事は、絶対に反対するはずだ。
「この『後見人』というのは、何ですか……?」
「それは、個人につく、スポンサーね。活動に対する、様々な支援を行ってくれるの。資金援助はもちろん、何か問題があった時も、代わりに責任をとったり。通常は、会社につくものだから、個人につくのは、物凄く珍しいのよ」
なるほど、まさしく『後見人』だ。ユメちゃんのお父さんは、常々『何でも力になる』と、言ってくれていたし。何度も会って、結構、親しく話をしていたので、こちらは納得がいく。
でも、ジェームズさんは、なんで、後見人になってくれたんだろう? 会ったのは、二回だけ。見習いの時、徒歩で道案内したのと。先日の、クラシック・カートでの、観光案内だけだ。とても気難しい人だし、特別、仲がよい訳でもない。
「おそらく、今回の指名は、後見人も、大きいと思うわ。アッシュフィールド財閥と、リッチモンド財閥が、後ろ盾になってくれたのだから。二人とも『世界四大財閥』の当主で、物凄い影響力がある人なのよ」
「えぇっ⁈ ジェームズさんって、そんな大物だったんですか――?」
身なりもいいし、どことなく、気品や風格が漂ってたから、上流階級の人だとは思ってた。でも、まさか、そこまで凄い人だったとは……。
「本当に、風歌ちゃんは、凄いわね。どんどん、力のある人たちと、仲良くなってしまうのだから」
「いや、本当に、全て偶然なんです。ユメちゃんのお父さんが、たまたま、凄い人だっただけだし。ジェームズさんだって、偶然、道に迷っているところに出会って、案内しただけですから。特に、努力した訳じゃないんです」
「もし、偶然だとしたら、ますます、凄いと思うわ。風歌ちゃんは、人と出会う才能の、人間運を持っているのだから」
確かに、人と出会う運は、昔から、割と持ってるほうだと思う。見習い時代から、色んな凄い人に、出会ってたし。ただ、私の最大の人間運は、リリーシャさんに、出会えたことだ。
「でも、そうなると、単に運がよくて、選ばれただけじゃないですか? 凄いのは、私じゃなくて、推薦人や後見人ですし」
「見習い時代から『グランド・エンプレス』には、強く憧れていましたけど。私にふさわしいとは、とうてい、思えないんですけど――」
昔は、ただの憧れだったから『グランド・エンプレスになる』なんて、気楽に言えたのだ。でも、上位階級になってから、重い責任を日々感じ、そんな簡単なものではないと、身をもって知った。
以前、リリーシャさんに指名が来た時、物凄く苦悩していた理由が、ようやく分かった気がする。そのプレッシャーの大きさは、半端ないのだ。リリーシャさんほど、完璧で能力のある人ですら、重圧を感じるぐらいなのだから……。
「私は、風歌ちゃんこそが、最も相応しいと思うわ」
「えっ!? 何でですか――?」
「だって、風歌ちゃんは、この仕事が大好きでしょ?」
「確かに『シルフィードが好き』という気持ちだけは、誰にも負けない、自信がありますけど」
色々大変なこともあったけど。この気持ちだけは、見習い時代から変わらない。
「私が、エンプレスを辞退したのは、その気持ちがなかったから。でも、風歌ちゃんは、上位階級の中で……いえ、全シルフィードの中で、最も『好き』という気持ちが、強いんじゃないかしら?」
「そうですね。私自身は『天職』だと思ってますし。そのために、家を飛び出して来たので」
「なら、大丈夫。上に立つ人間に必要なのは、好きという気持ちだけだから。大好きで頑張っている人の姿を見て、憧れる人たちがいる。象徴とは、そういうものだと思うわ。母が、そんな感じだったから」
「なるほど。そういうものですか――」
大好きで、活き活きとやっている人の姿を見ると。それに憧れて『自分もそうなりたい』『自分も頑張ろう』と思う気持ちは、よく分かる。そもそも、私がリリーシャさんに憧れたのも、それが理由だったのだから。
「でも、最後に決めるのは、風歌ちゃんの、気持ち一つだから。自分にとって、一番、幸せなのは、どの道なのか。よく考えてみてね」
「はい。そうします……」
『グランド・エンプレス』は、大きな憧れであり、見えてはいても、けっして手が届かない、夜空の星のような存在だった。でも、いざ、手が届くところまで来て、そのあまりの大きさに、圧倒されてしまっていた。
上位階級になってからは、行動に制限が多すぎるため、物凄く窮屈さを感じている。でも、エンプレスは、さらに、その上の存在だ。間違いなく、今まで以上に、不自由な生活を、強いられるだろう。
地位が上がれば、責任も大きくなる。最高の地位ともなれば、その責任の大きさは、計り知れない。権力と責任は、常に表裏一体なのだ。憧れなんかで、気楽にできるものではない。
私は、本当に、エンプレスに、ふさわしい人間なんだろうか――? 私にとって、本当に幸せなのは、どんな生き方なんだろうか……?
母親と『頂点を獲る』と、約束したけど。私が望んでいたのは、不自由な生活ではない。自由にのびのび飛び回り、たくさんの人と友達になる。そんなシルフィードを、目指していたはずだ。
でも、エンプレスになるのは、その逆の道を、進むことではないだろうか――? あらゆる行動に、制限がつくだろうし。誰も私を、普通の人間とは、見てくれなくなってしまう。
私には、まだ、自分の進むべき道が、明確には見えていない。大きな目標を、果たせる喜びよりも、未来への不安のほうが、大きく沸き上がって来るのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『世界中の人々の希望を背負うのがエンプレスの仕事』
希望を背負うということは全ての絶望も背負うこと
今回のお客様は、新婚ほやほやの、二十代の仲良し夫婦。新婚旅行のために、大陸からこの町にやって来た。ただ、先日の大地震があったため、旅行先を変えるかどうか、かなり悩んだらしい。
でも、私の活躍をMV見て〈グリュンノア〉を、新婚旅行先にすることに、決めたそうだ。どうしても、私に会ってみたかったんだって。
一生に一度の、とても大事な旅行なのに。そんな理由で、わざわざ来てくれるなんて、本当に、シルフィード冥利に尽きる。
ちなみに、今日は、新婚旅行なので、長く思い出に残るように、定番の人気スポットを選んだ。あと『海が好き』と言っていたので、東西南北にある『守護女神像』を回りながら、それぞれの地区の海を、案内して行った。
現在、急ピッチで復旧作業が進んでおり、観光には、特に支障がない。とはいえ、まだ、町のあちこちには、震災の傷跡が残っている。
おめでたい旅行なので、なるべく、目に付かない場所を選んだ。だが、二人は『震災のあとも見てみたい』との希望だったので、何ヵ所か、がれきが残っている、被害の大きかった地域も回って行った。
また、被災者の慰霊碑にも訪れ、二人は花を添えると、手を組んで、真剣にお祈りしていた。二人とも、医療関係の仕事をしているので、今回の震災には、深く心を痛めたそうだ。
せっかくの楽しい新婚旅行で、あえて被災地を選んだのは、これから先も、医療に携わる者としての、覚悟を決める為でもあるらしい。
しばらく飛んでいると、見慣れた、大きな白い羽の看板が見えて来た。大地震の際に、屋根から落ちて、壊れてしまったので、新しく作り直したものだ。新調したばかりなので、まだ、ピカピカだった。
私は、慎重に操縦し、会社の前の用水路に、静かに着水した。すぐに、エア・ゴンドラから降りると、ビットにロープを結ぶ。機体が固定されたのを確認すると、お客様が降りる、エスコートをする。
「長時間、大変お疲れ様でした。足元に、お気を付けください」
私は、そっと手を差し出した。二人は、とても楽しそうな笑顔で、機体から降りて来る。
「本日の観光は、いかがでしたか?」
「とても、素晴らしかったです。やっぱり、この町に来て正解でした」
「本当に、素敵な観光で、最高の思い出になりました」
二人とも、嬉しそうな笑顔で答えた。震災後の新婚旅行の案内は、初めてだったので、少し不安だったけど。満足してくれたようで、本当によかった。
「でも、あなたに会えたのが、一番の幸せです」
「確かに、あなたに会えただけで、胸が一杯です」
「え……?」
「私も、あなたのように、多くの人を救える、立派な医者になりたいです」
「あなたは、医療に携わる者にとって、大英雄ですから」
二人は、目を輝かせながら、熱く語る。
「私は、別に、大したことは――」
「そんなことは、ありません。あなたは、我々の誇りですから」
「これからも、頑張ってください。心から応援しています」
私は、二人に握手を求められ、力強く手を握り返した。
会社の入り口まで行くと、私は、笑顔で手を振りながら、去っていく彼らを、姿が見えなくなるまで、じっと見送った。
震災以降、私は、英雄として扱われている。どこに行っても、次々と称賛の声を掛けられていた。上位階級になってから、周りの対応が、とても丁寧になったが。今回の件で、それ以上の扱いになった。
みんなが、私を知ってくれているのは、素直に嬉しい。でも、変に尊敬されるのは、あまり、好きではなかった。私は、誰とでも対等に、仲良く付き合いたいからだ。
それに、けっして、私一人が、頑張った訳ではない。町中の人たちが、必死に力を合わせて、ここまで復興してきたのだ。それなのに、私だけが、頑張ったかのような評価は、非常に心苦しい。
でも、私も、分かっている。こんな時だからこそ、誰もが、英雄を求めているのだと。だから、私は、可能な限り、皆が望む姿を演じていた。
ただ、正直、物凄く疲れる。元々私は、自分を飾れるような、器用な性格じゃないし。人に尊敬されるような、大そうな人間でもない。人の上に立つとは、本当に、気苦労が絶えないものだ。
「よし、もうひと頑張りしよ! まずは、日報を書いて、そのあと、事務所の掃除をして。備品の補充もしておかないと……」
私は、大きく深呼吸すると、軽く頬を叩いて、事務所に向かった。
中に入ると、奥の席には、リリーシャさんの姿が見えた。彼女の姿を見た瞬間、ホッとした気持ちになる。まるで、ここだけ、空気が違うようだ。
「リリーシャさん、ただいま戻りました」
「お帰りなさい、風歌ちゃん」
リリーシャさんは、柔らかな笑顔で迎えてくれる。
「やっぱり、新婚旅行とかの特別な観光だと、緊張しますね」
「そうね、一生に一度の、思い出だから。観光は、どうだったの?」
「お客様は、とても、喜んでくださいました。ただ、町のことよりも、私のことばかり褒めてくれて。ちょっと、気恥ずかしいというか、何というか――」
「風歌ちゃんは、世界中で注目されている、英雄ですものね」
「うっ……リリーシャさんまで。もう、英雄扱いは、お腹いっぱいです」
「ウフフッ、そのうち慣れると思わよ」
リリーシャさんは、ニコニコしながら答える。
「そういえば、風歌ちゃん宛てに、特別郵便が届いているの。私が代わりに、受け取っておいたわ」
「あぁ、すいません」
特別郵便って、誰だろ? 実家だろうか? たまに、お父さんが、手紙を送ってくることがある。
だが、リリーシャさんから差し出された封書を見て、体が緊張が走った。なぜなら、それには、見覚えがあったからだ。金色の枠が付いた、妙に豪華な封筒だった。
えっ?! ちょっと待って――。これって、以前、リリーシャさんに、送られてきたのと、同じ物じゃないの? えっ……えぇぇーー?! 何で、私に――?
私が固まっていると、リリーシャさんは、真剣な表情で、小さくうなずいた。私は、少し震える手で、その封筒を受け取った。封筒の裏を見ると『シルフィード協会』のマークが、印刷されていた。
私は、少しおぼつかない足で、自分の席に戻ると、ドキドキしながら、ペーパーナイフを手に取る。でも、手が震えていて、なかなか上手く開けない。
落ち着け……落ち着くんだ、私。いや、まさかね――。そう、たぶん、何かのイベントのお知らせだよ……。
高鳴る鼓動を抑えながら、そっと手紙を取り出した。上から、ゆっくりと、目を通して行く。形式的な挨拶が続き、途中の部分で目がとまった。と同時に、心臓も止まりそうになる――。
『理事会での度重なる協議の結果
天使の翼を、グランド・エンプレスとして
擁立することが決定しました。
推薦者:リリーシャ・シーリング(現シルフィード・クイーン)
ノーラ・ベイル(元シルフィード・クイーン)
後見人:ジークハルト・アッシュフィールド
ジェームズ・リッチモンド
二名の上位階級者の推薦と
二名の後見人により
全ての条件を満たしており、一次審査を通過。
よって、二次審査に移行する運びとなりました』
以前の『スカイ・プリンセス』昇進の通知と、おおむね内容は同じだ。でも、今度は『後見人』の項目が増えている。
だが、問題は、そこではない。何で私なんかに、エンプレスの指名が……? だって、私はまだ、クイーンにすら、なっていないし。能力的には、今の上位階級の中で、最も低いと思う。
いくらリリーシャさんが、辞退したとはいえ。他のクイーンたちも、全員、ずば抜けて優秀で、素晴らしい実績を持っている。どう考えたって、その人たちが選ばれるのが、妥当なはずなのに。まったくもって、訳が分からない――。
くらくらと、めまいがする。急に胃が重くなって、吐き気がして来た。何だろう、この異常な重圧感は? 気分が悪くなって、まるで頭が働かない。
私は、顔を上げ、リリーシャさんに視線を向けた。何か言わなければならないのに、息苦しくて、言葉が出てこない……。
「風歌ちゃん、大丈夫? まずは深呼吸して、落ち着いて」
「あ――あの……そうですね――」
リリーシャさんの言葉に従い、まずは、深呼吸する。まだ、心臓は激しく高鳴っているけど、少し落ち着いてきた。
「えーと……これ」
私は、リリーシャさんに、そっと手紙を差し出した。
「見ても、いいの?」
「はい――。言葉では、上手く説明できなくて……」
ただでさえ、ボキャブラリーが少ないのに、頭が混乱して、ちゃんと説明できそうにない。リリーシャさんは、しばらく手紙に目を通したあと、静かに視線をこちらに向けて来た。
「おめでとう、風歌ちゃん」
小さく穏やかな声だが、とても素敵な笑顔だった。
「いや、あの――まったく、訳が分からないんですけど……」
「何が?」
「だって、私まだ、プリンセスですよ。何で、たくさんのクイーンたちを通り越して、私に指名が来るんですか――?」
一番の疑問は、そこだった。現在、クイーンは八名いる。その内の四名は、私が見習いの時代から、ずっとクイーンをやっている、ベテランたちだ。ぽっと出の私とは、上位階級の年季が違う。
それに、皆、世界に誇れるほどの、物凄い実績と人気を持っている。『世界のトップモデル』『世界最強の格闘家』『世界的な歌手』『世界一速いプロレーサー』など。普通のシルフィードとは、まるで次元の違う、実績と知名度を持っている。
それに比べると、私は、経験や能力だけでなく、知名度も実績も、大したことはない。なのに、何でそんな大物を通り越して、私に指名が来たのか、全くの謎だった。
「エンプレスの選考基準は、クイーンでなければならない、という規定はないはずよ。今までは、たまたま、クイーンから選ばれていただけで。だから、上位階級の風歌ちゃんに、指名が来てもおかしくないわ」
「つまり、優秀な上位階級であれば、誰にでも、チャンスはあるということ。それに、今の風歌ちゃんは『グリュンノアの救世主』と言われている、英雄ですもの。十分に納得のいく、正しい選出だと思うわ」
リリーシャさんは、静かに説明する。今回の件に関しては、特に、驚いた様子がないし、普通に納得しているみたいだ。
大震災以降、私は『英雄』だの『聖女』だのと、言われるようになった。最近では『グリュンノアの救世主』なんて、言われ方までしている。
でも、あれは、人として、当然のことをしたまでで。特別な実績ではないと思う。誰だって、目の前に助けを求める人がいれば、助けるはずだ。たまたま、私の救助活動が、話題になっただけで。明らかに、過大評価な気がする。
「あの……推薦人に名前があるということは、今回もまた、リリーシャさんたちが、推薦してくれたんですか?」
「いいえ。今回は、事後承諾よ。風歌ちゃんの選出が決まったあと、私のところに連絡が来たの。『今回もまた、推薦人になってもらえないか』と。おそらく、ノーラさんも、同じだと思うわ」
なるほど、じゃあ、今回は、理事会だけで決めたんだ――。でも、それだと、ますます、分からない。前回の、プリンセスの昇進の時ですら、私が異世界人だという理由で、批判的な理事がいたのだから。
伝統的なこの業界で、最も重要な地位を決めるのに、その問題が、出てこないはずがない。特に、私に厳しい視線を送っていた、ゴドウィン理事は、絶対に反対するはずだ。
「この『後見人』というのは、何ですか……?」
「それは、個人につく、スポンサーね。活動に対する、様々な支援を行ってくれるの。資金援助はもちろん、何か問題があった時も、代わりに責任をとったり。通常は、会社につくものだから、個人につくのは、物凄く珍しいのよ」
なるほど、まさしく『後見人』だ。ユメちゃんのお父さんは、常々『何でも力になる』と、言ってくれていたし。何度も会って、結構、親しく話をしていたので、こちらは納得がいく。
でも、ジェームズさんは、なんで、後見人になってくれたんだろう? 会ったのは、二回だけ。見習いの時、徒歩で道案内したのと。先日の、クラシック・カートでの、観光案内だけだ。とても気難しい人だし、特別、仲がよい訳でもない。
「おそらく、今回の指名は、後見人も、大きいと思うわ。アッシュフィールド財閥と、リッチモンド財閥が、後ろ盾になってくれたのだから。二人とも『世界四大財閥』の当主で、物凄い影響力がある人なのよ」
「えぇっ⁈ ジェームズさんって、そんな大物だったんですか――?」
身なりもいいし、どことなく、気品や風格が漂ってたから、上流階級の人だとは思ってた。でも、まさか、そこまで凄い人だったとは……。
「本当に、風歌ちゃんは、凄いわね。どんどん、力のある人たちと、仲良くなってしまうのだから」
「いや、本当に、全て偶然なんです。ユメちゃんのお父さんが、たまたま、凄い人だっただけだし。ジェームズさんだって、偶然、道に迷っているところに出会って、案内しただけですから。特に、努力した訳じゃないんです」
「もし、偶然だとしたら、ますます、凄いと思うわ。風歌ちゃんは、人と出会う才能の、人間運を持っているのだから」
確かに、人と出会う運は、昔から、割と持ってるほうだと思う。見習い時代から、色んな凄い人に、出会ってたし。ただ、私の最大の人間運は、リリーシャさんに、出会えたことだ。
「でも、そうなると、単に運がよくて、選ばれただけじゃないですか? 凄いのは、私じゃなくて、推薦人や後見人ですし」
「見習い時代から『グランド・エンプレス』には、強く憧れていましたけど。私にふさわしいとは、とうてい、思えないんですけど――」
昔は、ただの憧れだったから『グランド・エンプレスになる』なんて、気楽に言えたのだ。でも、上位階級になってから、重い責任を日々感じ、そんな簡単なものではないと、身をもって知った。
以前、リリーシャさんに指名が来た時、物凄く苦悩していた理由が、ようやく分かった気がする。そのプレッシャーの大きさは、半端ないのだ。リリーシャさんほど、完璧で能力のある人ですら、重圧を感じるぐらいなのだから……。
「私は、風歌ちゃんこそが、最も相応しいと思うわ」
「えっ!? 何でですか――?」
「だって、風歌ちゃんは、この仕事が大好きでしょ?」
「確かに『シルフィードが好き』という気持ちだけは、誰にも負けない、自信がありますけど」
色々大変なこともあったけど。この気持ちだけは、見習い時代から変わらない。
「私が、エンプレスを辞退したのは、その気持ちがなかったから。でも、風歌ちゃんは、上位階級の中で……いえ、全シルフィードの中で、最も『好き』という気持ちが、強いんじゃないかしら?」
「そうですね。私自身は『天職』だと思ってますし。そのために、家を飛び出して来たので」
「なら、大丈夫。上に立つ人間に必要なのは、好きという気持ちだけだから。大好きで頑張っている人の姿を見て、憧れる人たちがいる。象徴とは、そういうものだと思うわ。母が、そんな感じだったから」
「なるほど。そういうものですか――」
大好きで、活き活きとやっている人の姿を見ると。それに憧れて『自分もそうなりたい』『自分も頑張ろう』と思う気持ちは、よく分かる。そもそも、私がリリーシャさんに憧れたのも、それが理由だったのだから。
「でも、最後に決めるのは、風歌ちゃんの、気持ち一つだから。自分にとって、一番、幸せなのは、どの道なのか。よく考えてみてね」
「はい。そうします……」
『グランド・エンプレス』は、大きな憧れであり、見えてはいても、けっして手が届かない、夜空の星のような存在だった。でも、いざ、手が届くところまで来て、そのあまりの大きさに、圧倒されてしまっていた。
上位階級になってからは、行動に制限が多すぎるため、物凄く窮屈さを感じている。でも、エンプレスは、さらに、その上の存在だ。間違いなく、今まで以上に、不自由な生活を、強いられるだろう。
地位が上がれば、責任も大きくなる。最高の地位ともなれば、その責任の大きさは、計り知れない。権力と責任は、常に表裏一体なのだ。憧れなんかで、気楽にできるものではない。
私は、本当に、エンプレスに、ふさわしい人間なんだろうか――? 私にとって、本当に幸せなのは、どんな生き方なんだろうか……?
母親と『頂点を獲る』と、約束したけど。私が望んでいたのは、不自由な生活ではない。自由にのびのび飛び回り、たくさんの人と友達になる。そんなシルフィードを、目指していたはずだ。
でも、エンプレスになるのは、その逆の道を、進むことではないだろうか――? あらゆる行動に、制限がつくだろうし。誰も私を、普通の人間とは、見てくれなくなってしまう。
私には、まだ、自分の進むべき道が、明確には見えていない。大きな目標を、果たせる喜びよりも、未来への不安のほうが、大きく沸き上がって来るのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『世界中の人々の希望を背負うのがエンプレスの仕事』
希望を背負うということは全ての絶望も背負うこと
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