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第7部 才能と現実の壁
1-5目の前の壁が気が遠くなるほど高過ぎる……
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午後、二時半ごろ。つい先ほど、お客様の観光案内が、終わったところだ。ただ、時間が中途半端で、新規のお客様を見つけるのは、無理そうなので、海を見にやって来た。時間が余った時は、ホームの〈東地区〉を、飛び回っていることが多い。
ここは〈エメラルド・ビーチ〉から少し離れており、人の姿は、全く見えなかった。遊泳禁止区域だし、周囲は住宅ばかりで、お店も、ほとんどないからだ。でも、地元民しか知らない穴場なので、のんびりするには、ちょうどいい。
海岸沿いを、景色を眺めながら飛んでいると、はるか先のほうに、小さな人影が見えた。目を凝らして見ると、それは見知った顔だった。
近づいて行くと、ゆっくり高度を落とし、砂浜に静かに着陸した。その人物は、ちょうど走り終えて、息を整えている最中だった。トレーニング・ウェア姿で、腰に手を当て、海を見ながら立っている。
私は、彼女に向かって、大きな声で呼びかけた。
「おーい、キラリンちゃーん! 久しぶりー!」
彼女は、振り返った瞬間、こちらを睨みつけ、
「キ・ラ・リ・スだっ! いい加減、その呼び方、やめろっ」
同じく、大きな声で返して来る。
「えー、いいじゃん、カワイイから」
「私は、カッコイイのが、好きなんだよっ! それに、もう、見習いじゃないんだから。少しは、周りの目を考えろよ。エア・マスターとしての、自覚をだな」
彼女は、真顔で答える。私は、その言葉を聴いて、一瞬、固まった。
「……」
「って、なんだよ、その不思議そうな顔は?」
「いや、だって。そんな、常識的な言葉が、出て来るなんて――」
「私は、いつだって常識的だっ!」
彼女は、必死に反論する。
最近は、変なポーズをとったりは、しなくなった。あと、謎の言動も、減った気がする。まともと言えば、まともなんだけど。昔の彼女を知ってるだけに、何か物足りない気もする。そうとう、癖の強い性格だったもんね。
「今日も、トレーニングに来てたの?」
「観光案内が、早めに終わったからな。時間がちょっと余ってたし、軽く走っとこうかと思って」
「へぇぇー。相変わらず、練習熱心だね。格闘技は、上手く行ってるの?」
「あぁ、ランキングも、だいぶ上がったぞ。今、世界ランキング12位で、もう直ぐ、一桁だ」
彼女は構えると、シュッシュッと、素早くパンチを繰り出した。かなり、様になってるし、拳もかなり速い。
「おぉー、凄いパンチだね。まるで、プロみたい」
「おいっ、れっきとした、プロだよっ! MMAの『オフェンシブ・スタイル』は、プロリーグだぞ」
彼女の性格のせいか、口を開くと、全然、凄そうに見えない。声もカワイイし、ノリが軽いからだろうか? 体もほっそりしてるし、威厳や威圧感が、全くないんだよね。まぁ、そのほうが話しやすくて、いいんだけど。
「そう言えば、ミラージュさん、八連覇を達成したんでしょ? 凄いよね」
「凄いというか、もう、人外レベルだよ。誰も勝てないだろ、あんなの」
以前ニュースで、ミラージュさんの、連勝記録更新の内容を見たことがある。八連覇も凄いけど、八年やっていて、いまだに不敗というところが、大変な話題になっていた。
また、スピで、彼女のことを調べると『常勝の戦乙女』『不敗神話』『生きた伝説』『武神降臨』など、凄い言葉が大量に出てくる。あらゆる記録を次々と塗り替え、今も戦うたびに、記録を更新し続けていた。まさに、人外レベルと言える。
彼女は、物凄い数のファンがいるが、とても濃い支持者も大勢いる。単なるファンではなく『戦の女神』として、信仰している人までいるらしい。
さらに、彼女は『魔法御三家』の、ハイゼル家の一員だ。そのため『大地の魔女』レイアード・ハイゼルの、生まれ変わりとも言われている。
実力も血筋も、超一流。スポーツマン・シップを重んじ、威風堂々とした立ち振る舞い。厳格ながらも、サッパリとした性格。神格化されるだけの理由が、十分にあるのだ。
「でも、直接、指導を受けているんでしょ? なら、凄く有利じゃない?」
「まぁ……な。ただ、力の差を目の当たりにすると、ちょっと、自信をなくすんだよ。本当に、越えられる日が、来るんだろうかって――」
あぁ、その気持ち、凄くよく分かる。私も、リリーシャさんを、日々近くで見ていると、本当に、あのレベルになれるのか、不安になることが多い。大きな憧れであると共に、とてつもなく、高すぎる壁なのだ。
「私も同じだよ。リリーシャさんを見るたびに、そんな気持ちになるもん。憧れの相手って、最高の師匠であり、最強のライバルでもあるんだよね」
「かもなぁ……」
「でも、そこを越えないと、上には行けないから。私は、絶対に諦めないけどね」
「私だって、同じだよ。諦めの悪さだけは、自信あるからな」
キラリスちゃんは、話すと軽い感じがするけど、努力家だし、かなり根性のある性格だ。考え方も、私に近いと思う。いわゆる、スポ根タイプだ。
「本業のほうはどう? 昇級してから、お客様、増えた?」
彼女も、しっかり、エア・マスターに昇級している。でも、私と同じで、あまり勉強は得意ではなかった。ただ、試験に落ちると、先輩に滅茶苦茶、怒られるので、渋々だけど、勉強はしているらしい。
「んー、ぼちぼちだな。数人だけど、ファンも付いたし」
「へぇーー、凄いね! 私なんか、まだ、全然で。お客様は、ほとんどが、先輩からの紹介だし」
「ま、私も、似たようなもんだけどな。ついてるファンも、シルフィードじゃなくて、格闘技のファンだから」
「あー、そっかぁ。そっちのほうも、ファンがいるんだよね」
彼女は、シルフィードと格闘技選手を、兼業でやっている。私は、あまり、詳しくないんだけど。格闘技のほうでは、割と名が知られているみたいだ。
「ミラ先輩の人気とは、全く比べ物にならないけどな。それに、純粋なシルフィードのファンは、まだ、いないからなぁ」
「ファンを作るって、難しいよね。昇級しても、そんなに変わらないし」
「結局、一般人から見たら、エア・マスター以下の階級は、どれも、同じシルフィードにしか、見えないんじゃないか?」
「確かに、そうだよねぇ。想像以上に、人数が多いし。二つ名のないシルフィードなんて、いちいち、覚えたりしないよね」
私自身も、上位階級と、数名の友人のシルフィード意外は、全く知らなかった。一般人なら、なおのこと、興味がないと思う。結局は、その他大勢の扱いなのだ。
「早く、二つ名が欲しいよな。すげーカッコイイやつ」
「かっこいいと言えば『守護騎士』とか『疾風の剣』みたいな?」
「そう、それな。どっちも、強そうだし、クールでいいよなぁ」
実際、エクステリアさんも、ノーラさんも、二つ名がピッタリの、かっこいい人だ。上位階級の人たちって、全員、名前負けしてないのが、凄いんだよね。
「でも、私は、キレイな感じの二つ名がいいかなぁ。『白き翼』とか『天使の羽』とか、いかにもシルフィードっぽくて、素敵じゃない?」
「悪くはないけど、私は、カッコイイほうがいいんだよ」
キラリスちゃんの、かっこいい物好きは、相変わらずのようだ。
元々シルフィードは、上品さや美しさの象徴だった。でも、時代が変わるにつれ、色んな、個性的な上位階級の人が、増えてきた。今は、様々な需要があるもんね。
「いずれにしても、協会から指名が来ないと、どうにもならないよね。どうすれば、上位階級になれるんだろうね――?」
「それが分かれば、苦労ないだろ。いつ、誰に指名が行くか、全く分からないし。だからこそ、みんな、必死に頑張るんじゃないか?」
「……キラリンちゃんが、凄くまともなこと言ってる。意外」
「だから、私は、まともだってのっ!」
ノリは昔のままだけど、彼女も、中身は成長したのかもしれない。
「まぁ、今は、地道に日々の営業活動を、こなすしかないよね。私は、不器用だから、複数のことはできないし。シルフィード以外を、考えたこともないから」
「いいんじゃないか、それで。一つをやり続ける根気と、たゆまぬ努力が、成功の王道だからな」
「ねぇ、キラリンちゃん。何か、悪い物でも食べた――?」
「くってねーよ! 真面目な話をするたびに、突っ込むな!」
いやー、彼女は、おふざけキャラのイメージが強いので。あまり、まともなことを言われると、つい突っ込みたくなってしまう。
その時、私のお腹が、グーッと盛大な音を立てた。
「なんだ、腹減ってるのか?」
「そういえば、今日は、お昼ごはん、食べそこなったんだった……。観光案内が、ちょうど、十二時からだったから」
食後すぐだと、眠くなったら困るし。お昼からの観光案内の時は、食事はしない。リリーシャさんも、お昼ごはんは、食べないことが多いらしい。接客業って、色々難しいよね。
「じゃあ、何か食べに行くか?」
「うん。何にする?」
「フッ、もちろん、ラーメンだろ!」
彼女は、嬉々として即答する。
「でも、格闘家って、ラーメン食べてもいいの? 体に、良くなさそうだけど」
「ぐっ――。たまには、いいんだよ、たまには! ほら、行くぞっ」
キラリスちゃんは、さっと踵を返し、停めてあった、黒いエア・ドルフィンに向かう。私も、そのあとをついて行った。
何か、彼女と話していると、物凄く気が楽になになる。同じ体育会系思考なのもあるけど、彼女は、真っ直ぐ生きているからかもしれない。
大きな口を叩くわりに、実際には、物凄く地道に努力してるし。常に、目標に向けて、ひたすら進み続けている。虚勢を張るのは、高すぎる壁に、負けないためだと思う。彼女も私と同じで、常に見ているのは、はるか上だから。
ま、深く考えても、しょうがないよね。なるようにしか、ならないし。今はできることを、頑張って、一歩ずつ前に進むだけ。私も、どこまでも、真っ直ぐに生きて行こう……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『新人ってみんな初々しくていいよね』
誰にだって真っ白な時期があるんだよ
ここは〈エメラルド・ビーチ〉から少し離れており、人の姿は、全く見えなかった。遊泳禁止区域だし、周囲は住宅ばかりで、お店も、ほとんどないからだ。でも、地元民しか知らない穴場なので、のんびりするには、ちょうどいい。
海岸沿いを、景色を眺めながら飛んでいると、はるか先のほうに、小さな人影が見えた。目を凝らして見ると、それは見知った顔だった。
近づいて行くと、ゆっくり高度を落とし、砂浜に静かに着陸した。その人物は、ちょうど走り終えて、息を整えている最中だった。トレーニング・ウェア姿で、腰に手を当て、海を見ながら立っている。
私は、彼女に向かって、大きな声で呼びかけた。
「おーい、キラリンちゃーん! 久しぶりー!」
彼女は、振り返った瞬間、こちらを睨みつけ、
「キ・ラ・リ・スだっ! いい加減、その呼び方、やめろっ」
同じく、大きな声で返して来る。
「えー、いいじゃん、カワイイから」
「私は、カッコイイのが、好きなんだよっ! それに、もう、見習いじゃないんだから。少しは、周りの目を考えろよ。エア・マスターとしての、自覚をだな」
彼女は、真顔で答える。私は、その言葉を聴いて、一瞬、固まった。
「……」
「って、なんだよ、その不思議そうな顔は?」
「いや、だって。そんな、常識的な言葉が、出て来るなんて――」
「私は、いつだって常識的だっ!」
彼女は、必死に反論する。
最近は、変なポーズをとったりは、しなくなった。あと、謎の言動も、減った気がする。まともと言えば、まともなんだけど。昔の彼女を知ってるだけに、何か物足りない気もする。そうとう、癖の強い性格だったもんね。
「今日も、トレーニングに来てたの?」
「観光案内が、早めに終わったからな。時間がちょっと余ってたし、軽く走っとこうかと思って」
「へぇぇー。相変わらず、練習熱心だね。格闘技は、上手く行ってるの?」
「あぁ、ランキングも、だいぶ上がったぞ。今、世界ランキング12位で、もう直ぐ、一桁だ」
彼女は構えると、シュッシュッと、素早くパンチを繰り出した。かなり、様になってるし、拳もかなり速い。
「おぉー、凄いパンチだね。まるで、プロみたい」
「おいっ、れっきとした、プロだよっ! MMAの『オフェンシブ・スタイル』は、プロリーグだぞ」
彼女の性格のせいか、口を開くと、全然、凄そうに見えない。声もカワイイし、ノリが軽いからだろうか? 体もほっそりしてるし、威厳や威圧感が、全くないんだよね。まぁ、そのほうが話しやすくて、いいんだけど。
「そう言えば、ミラージュさん、八連覇を達成したんでしょ? 凄いよね」
「凄いというか、もう、人外レベルだよ。誰も勝てないだろ、あんなの」
以前ニュースで、ミラージュさんの、連勝記録更新の内容を見たことがある。八連覇も凄いけど、八年やっていて、いまだに不敗というところが、大変な話題になっていた。
また、スピで、彼女のことを調べると『常勝の戦乙女』『不敗神話』『生きた伝説』『武神降臨』など、凄い言葉が大量に出てくる。あらゆる記録を次々と塗り替え、今も戦うたびに、記録を更新し続けていた。まさに、人外レベルと言える。
彼女は、物凄い数のファンがいるが、とても濃い支持者も大勢いる。単なるファンではなく『戦の女神』として、信仰している人までいるらしい。
さらに、彼女は『魔法御三家』の、ハイゼル家の一員だ。そのため『大地の魔女』レイアード・ハイゼルの、生まれ変わりとも言われている。
実力も血筋も、超一流。スポーツマン・シップを重んじ、威風堂々とした立ち振る舞い。厳格ながらも、サッパリとした性格。神格化されるだけの理由が、十分にあるのだ。
「でも、直接、指導を受けているんでしょ? なら、凄く有利じゃない?」
「まぁ……な。ただ、力の差を目の当たりにすると、ちょっと、自信をなくすんだよ。本当に、越えられる日が、来るんだろうかって――」
あぁ、その気持ち、凄くよく分かる。私も、リリーシャさんを、日々近くで見ていると、本当に、あのレベルになれるのか、不安になることが多い。大きな憧れであると共に、とてつもなく、高すぎる壁なのだ。
「私も同じだよ。リリーシャさんを見るたびに、そんな気持ちになるもん。憧れの相手って、最高の師匠であり、最強のライバルでもあるんだよね」
「かもなぁ……」
「でも、そこを越えないと、上には行けないから。私は、絶対に諦めないけどね」
「私だって、同じだよ。諦めの悪さだけは、自信あるからな」
キラリスちゃんは、話すと軽い感じがするけど、努力家だし、かなり根性のある性格だ。考え方も、私に近いと思う。いわゆる、スポ根タイプだ。
「本業のほうはどう? 昇級してから、お客様、増えた?」
彼女も、しっかり、エア・マスターに昇級している。でも、私と同じで、あまり勉強は得意ではなかった。ただ、試験に落ちると、先輩に滅茶苦茶、怒られるので、渋々だけど、勉強はしているらしい。
「んー、ぼちぼちだな。数人だけど、ファンも付いたし」
「へぇーー、凄いね! 私なんか、まだ、全然で。お客様は、ほとんどが、先輩からの紹介だし」
「ま、私も、似たようなもんだけどな。ついてるファンも、シルフィードじゃなくて、格闘技のファンだから」
「あー、そっかぁ。そっちのほうも、ファンがいるんだよね」
彼女は、シルフィードと格闘技選手を、兼業でやっている。私は、あまり、詳しくないんだけど。格闘技のほうでは、割と名が知られているみたいだ。
「ミラ先輩の人気とは、全く比べ物にならないけどな。それに、純粋なシルフィードのファンは、まだ、いないからなぁ」
「ファンを作るって、難しいよね。昇級しても、そんなに変わらないし」
「結局、一般人から見たら、エア・マスター以下の階級は、どれも、同じシルフィードにしか、見えないんじゃないか?」
「確かに、そうだよねぇ。想像以上に、人数が多いし。二つ名のないシルフィードなんて、いちいち、覚えたりしないよね」
私自身も、上位階級と、数名の友人のシルフィード意外は、全く知らなかった。一般人なら、なおのこと、興味がないと思う。結局は、その他大勢の扱いなのだ。
「早く、二つ名が欲しいよな。すげーカッコイイやつ」
「かっこいいと言えば『守護騎士』とか『疾風の剣』みたいな?」
「そう、それな。どっちも、強そうだし、クールでいいよなぁ」
実際、エクステリアさんも、ノーラさんも、二つ名がピッタリの、かっこいい人だ。上位階級の人たちって、全員、名前負けしてないのが、凄いんだよね。
「でも、私は、キレイな感じの二つ名がいいかなぁ。『白き翼』とか『天使の羽』とか、いかにもシルフィードっぽくて、素敵じゃない?」
「悪くはないけど、私は、カッコイイほうがいいんだよ」
キラリスちゃんの、かっこいい物好きは、相変わらずのようだ。
元々シルフィードは、上品さや美しさの象徴だった。でも、時代が変わるにつれ、色んな、個性的な上位階級の人が、増えてきた。今は、様々な需要があるもんね。
「いずれにしても、協会から指名が来ないと、どうにもならないよね。どうすれば、上位階級になれるんだろうね――?」
「それが分かれば、苦労ないだろ。いつ、誰に指名が行くか、全く分からないし。だからこそ、みんな、必死に頑張るんじゃないか?」
「……キラリンちゃんが、凄くまともなこと言ってる。意外」
「だから、私は、まともだってのっ!」
ノリは昔のままだけど、彼女も、中身は成長したのかもしれない。
「まぁ、今は、地道に日々の営業活動を、こなすしかないよね。私は、不器用だから、複数のことはできないし。シルフィード以外を、考えたこともないから」
「いいんじゃないか、それで。一つをやり続ける根気と、たゆまぬ努力が、成功の王道だからな」
「ねぇ、キラリンちゃん。何か、悪い物でも食べた――?」
「くってねーよ! 真面目な話をするたびに、突っ込むな!」
いやー、彼女は、おふざけキャラのイメージが強いので。あまり、まともなことを言われると、つい突っ込みたくなってしまう。
その時、私のお腹が、グーッと盛大な音を立てた。
「なんだ、腹減ってるのか?」
「そういえば、今日は、お昼ごはん、食べそこなったんだった……。観光案内が、ちょうど、十二時からだったから」
食後すぐだと、眠くなったら困るし。お昼からの観光案内の時は、食事はしない。リリーシャさんも、お昼ごはんは、食べないことが多いらしい。接客業って、色々難しいよね。
「じゃあ、何か食べに行くか?」
「うん。何にする?」
「フッ、もちろん、ラーメンだろ!」
彼女は、嬉々として即答する。
「でも、格闘家って、ラーメン食べてもいいの? 体に、良くなさそうだけど」
「ぐっ――。たまには、いいんだよ、たまには! ほら、行くぞっ」
キラリスちゃんは、さっと踵を返し、停めてあった、黒いエア・ドルフィンに向かう。私も、そのあとをついて行った。
何か、彼女と話していると、物凄く気が楽になになる。同じ体育会系思考なのもあるけど、彼女は、真っ直ぐ生きているからかもしれない。
大きな口を叩くわりに、実際には、物凄く地道に努力してるし。常に、目標に向けて、ひたすら進み続けている。虚勢を張るのは、高すぎる壁に、負けないためだと思う。彼女も私と同じで、常に見ているのは、はるか上だから。
ま、深く考えても、しょうがないよね。なるようにしか、ならないし。今はできることを、頑張って、一歩ずつ前に進むだけ。私も、どこまでも、真っ直ぐに生きて行こう……。
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『新人ってみんな初々しくていいよね』
誰にだって真っ白な時期があるんだよ
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