235 / 363
第6部 飛び立つ勇気
4-4無茶振りはこの業界の伝統みたい……
しおりを挟む
私は〈南地区〉にある、カフェ〈アウローラ〉に来ていた。お茶をしに来たんだけど、今日は、ナギサちゃんとフィニーちゃんに加え、リリーシャさんとツバサさんも一緒だった。何やら『大事な話』があるからと、呼び出されたのだ。
今日は、水曜日で仕事がお休みなので、皆リラックスして、穏やかな雰囲気だった。ただ一人、ナギサちゃんを除いては。
ナギサちゃんは、いつも通りビシッとしていて、一分の隙もない。表情も、物凄く真剣だった。対して、フィニーちゃんは、緊張感の欠片もなく、大先輩の前でも、平気であくびをしている。
まぁ、リリーシャさんもツバサさんも、細かいことは気にしない性格だから、平気だけど。厳しい先輩だったら、こうはいかないよねぇ。
それにしても、大事な話って、いったい何だろうか? しかも、この三人が、一緒に呼ばれるなんて。ナギサちゃんたちも、全く心当たりがないらしい。
注文したお茶が届き、しばらくは、和やかな世間話が続く。でも、途中でツバサさんが、急に話題を変えた。
「ところで、今度のシルフィード・フェスタなんだけど。僕とリリーで、クルーザーを一台、借りることにしたんだ」
「それって、お二人で『クルージングを仕切る』ということですか?」
ナギサちゃんは、ツバサさんに訊き返す。
「まぁ、そうなるね。上位階級のシルフィードは、クルージング・イベントの参加は、必須なんだ。単独でやってもいいし、誰かと組んでもOK。リリーとは、以前も組んでやったことが有るから、慣れてるんだよね」
「ツバサちゃんとは、子供のころからの、長い付き合いだし。細かく言わなくても通じるから、やりやすいのよね」
隣にいたリリーシャさんが答えると、ツバサさんは笑顔で頷く。
「確かに、二人とも、息がピッタリですし。どんなクルージングになるか、とても楽しみですね。きっと、お客様たちも、大喜びですよ」
二人はいつも仲良しだし、割と少ない言葉で、しっかり通じ合っている。しかも、お互いに、気遣いの出来る人だから、驚くほどに息が合っていた。
それに『深紅の紅玉』と『天使の羽』のコラボ。新進気鋭の、人気シルフィード二人のおもてなしが、同時に受けられるなんて。普段なら、絶対にあり得ない、贅沢な組み合わせだ。
「今日、私たちを呼んだのは、それを伝える為だったのですか? 普通に、言ってくだされば、よかったのに。いつも、顔を合わせているのですから」
「いやー、久々に、ナギサちゃんたちと、デートしたくてさ」
爽やかな笑顔で答えるツバサさんに対し、ナギサちゃんは、不機嫌そうな表情を浮かべる。相変わらず、ナギサちゃんには、冗談が通じない。
「というのも有るんだけど、実は、みんなに、お願いしたいことが有ってね」
「お手伝いできることがあれば、何でも言ってください!」
私は、待ってましたとばかりに、声をあげる。元々クルージングには、凄く興味があったし。一人前になったあとも、割りと暇しているからだ。
「いやー、流石は風歌ちゃん。話が早くて助かるよ。じゃあ、遠慮なく、お願いしようかな」
「雑用なら、お任せ下さい。力仕事でも何でも、喜んでやりますので」
雑用歴、一年。来る日も来る日も、雑用で鍛えた経験は、伊達ではない。もはや、雑用のプロともいえる……。
「でも、今回お願いしたいのは、雑用じゃないんだ。クルージングの仕切りを、任せようと思ってね」
「ん――えーっと、仕切り? それって、ツバサさんとリリーシャさんが、やるのでは?」
通常は、上位階級のシルフィードが、ホストになって、仕切りをする。他のシルフィードは、サポートで入るだけだ。
「まぁ、何事も経験だから。今回は、三人に、全て任せようと思ってね」
ツバサさんは、ニコニコしながら、軽やかに語る。
「って、ちょっと、待ってください! 定員は、何人なんですか? そもそも、私たちのような新人がやっても、お客様は集まりませんよ」
黙って聴いていたナギサちゃんが、急に驚いた声をあげた。
「定員は八十人。それに、僕たちも同乗するから、大丈夫。名目上は、僕とリリーの仕切りになってるから、お客様は、普通に来ると思うよ。三人は、企画立案・準備・進行をやるだけだから、簡単でしょ?」
ツバサさんは、サラッと言い放つ。隣にいるリリーシャさんは、黙って笑顔を浮かべていた。
「八十人って、無理ですよ、そんなの! 私たち、まだ、何の経験もないんですよ。しかも、この二人とでは、なおのこと無理です!」
「ちょっ、ナギサちゃん……。『この二人とは』って、どういうこと?」
「決まってるでしょ。あなたたち二人に、こんな高度なことが、できる訳ないじゃない。考えなしの風歌と、やる気のないフィニーツァに、何ができるというのよ?」
「んがっ――。それは、さすがに言いすぎでは……」
いや、まぁ、完全に外れてる訳でもないけど。私たちはもう、れっきとした一人前だし。私は、少なからず、やる気だけは満々だよ。隣に座っているフィニーちゃんは、我関せずと、あくびをしているけど――。
「難しく考えないでいいのよ。シルフィード・フェスタは、お祭りなのだから。上手くやろうとしなくても、お客様が楽しんでくれれば、それでいいの」
「それは、そうですが……。万一、失敗したら、お二人の名前に傷が」
柔らかな笑顔で言うリリーシャさんに、ナギサちゃんは、物凄く不安げに答える。
「平気平気。やれば、どうにかなるから。失敗しても、僕たちがフォローするし」
「でも――」
「僕たちも昔、アリーシャさんに、同じことを言われたんだよね。いきなり、百二十人が乗れる、大型のクルーザーを用意されてさ」
「あの時は、ビックリしたわね。母はいつも、いきなりだから」
ツバサさんとリリーシャさんは、楽しそうに、昔話をしている。
「それって、アリーシャさんの仕切りで、お二人が、準備や進行をしたってことですか?」
「そうそう。グランド・エンプレスが仕切りの、超重要なクルージングを任されるなんて。かなり大雑把な僕でも、凄いプレシャーだったよ。その点、僕らの仕切りなんて、大したことないでしょ?」
ツバサさんは、両手を広げて、おどけながら答えた。
「なるほど――。それで、具体的には、何をやればいいんでしょうか?」
「好きにやっていいよ。まずは、どんなクルージングにするか、コンセプトを決めることだね」
うーむ、好きにやっていいと言われるのが、一番、難しいんだよね。なんせ、知識も経験も、全くないからなぁ。
私は、ナギサちゃんに、そっと視線を向ける。同時に、フィニーちゃんも、ナギサちゃんを見ていた。
「ちょっ、何で私を見るのよ?」
「ナギサちゃん、仕切るの上手でしょ? 色々知ってるし」
仕切りと言えば、ナギサちゃん。何をやる時でも、いつも陣頭に立つのは、彼女の役割だ。何だかんだで、いつも上手いこと、まとめてくれるんだよね。
「私だって、クルージングのことは、全く知らないわよ。参加したことも、勉強したことも、無いんだから」
「うーむ。それもそうか……」
クルージングは、誰でも参加できるイベントではない。ファンの数は、非常に多いうえに、定員には限りがある。なので、チケットの予約は、超高倍率の、抽選になるのが普通だ。
「とりあえず、どんどん、アイディアを出してみたらどうかしら? 私たちの時も、アイディア出しから始めたし」
「そうそう。思い付きで出していくと、意外といい案が、出たりするんだよね」
リリーシャさんとツバサさんが、笑顔でアドバイスしてくれる。
なるほど、思い付きか――。だったら、何かあるかも。あっ、そうだ……。
「メイドカフェ的なのは、どうかな? ほら、こないだ、やったばかりだし」
「ちょっと、何でクルージングで、あんなのを、やらなきゃならないのよ?」
「だって、お客様たち、凄く喜んでくれてたじゃん」
「あれは、客層が違うでしょ? 今回、来るのは、普通のお客様たちよ」
そうかなぁ? 誰でも、普通に喜んでくれそうだけど。
「それ、いいね! 面白そうじゃない」
「ちょっと、ツバサお姉様! 本気で、言ってますか?」
「本気、本気。そういう、意外性があるほうが、喜んでくれると思うよ」
「どこのクルージングも、無難にやる場合が、多いものね」
「そんな、リリーシャさんまで――」
ナギサちゃんは、なんか凄く嫌そうだ。メイドカフェでは、人気ナンバーワンだったのに。
「全員メイドだと、面白くないから。僕とリリーは、執事をやるのはどうかな?」
「それ、いいですね! 特に、リリーシャさんの執事姿は、意外性、抜群ですね」
「私に、タキシード姿が、似合うかしら?」
「絶対に似合いますよ! ねっ、ナギサちゃん」
「って、何で私に振るのよ……?」
適当な思い付きだったけど、だんだん話が盛り上がって来た。みんなから、次々と色んなアイディアが出て来る。
「ねぇ、フィニーちゃんも、それでいい?」
「――おいしい物、たべれる?」
「よし、終わったあとは、盛大に打ち上げをやろうか。打ち上げ会場、予約しておくから任せて」
「おぉっ、打ち上げ! なら、やる」
ツバサさんの言葉に、コロッと落ちるフィニーちゃん。流石は、ツバサさん。よく分かっていらっしゃる。
これで『全員一致でOK』ってこといいかな。ナギサちゃんだけは、複雑そうな表情をしているけど、いつも最初は、こんなもんだから大丈夫。どうせ、本番になれば、一番、張り切るんだし。
「じゃあ、頑張って、成功させましょう!」
「おぉー!」
「……おぉー」
私の掛け声に、ツバサさんは元気よく、フィニーちゃんは小さな声で。リリーシャさんは、無言のまま、ニコニコと。ナギちゃんは黙ったまま、微妙な表情を浮かべていた。
それぞれ、テンションが違うけど、これは、いつものことなので。どうせ始まれば、上手くまとまるはず。
よしっ、初めてのイベント運営、気合を入れて頑張りまっしょい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『パレードの参加で私もついにシルフィードデビュー』
デビューはゴールではなくスタートライン
今日は、水曜日で仕事がお休みなので、皆リラックスして、穏やかな雰囲気だった。ただ一人、ナギサちゃんを除いては。
ナギサちゃんは、いつも通りビシッとしていて、一分の隙もない。表情も、物凄く真剣だった。対して、フィニーちゃんは、緊張感の欠片もなく、大先輩の前でも、平気であくびをしている。
まぁ、リリーシャさんもツバサさんも、細かいことは気にしない性格だから、平気だけど。厳しい先輩だったら、こうはいかないよねぇ。
それにしても、大事な話って、いったい何だろうか? しかも、この三人が、一緒に呼ばれるなんて。ナギサちゃんたちも、全く心当たりがないらしい。
注文したお茶が届き、しばらくは、和やかな世間話が続く。でも、途中でツバサさんが、急に話題を変えた。
「ところで、今度のシルフィード・フェスタなんだけど。僕とリリーで、クルーザーを一台、借りることにしたんだ」
「それって、お二人で『クルージングを仕切る』ということですか?」
ナギサちゃんは、ツバサさんに訊き返す。
「まぁ、そうなるね。上位階級のシルフィードは、クルージング・イベントの参加は、必須なんだ。単独でやってもいいし、誰かと組んでもOK。リリーとは、以前も組んでやったことが有るから、慣れてるんだよね」
「ツバサちゃんとは、子供のころからの、長い付き合いだし。細かく言わなくても通じるから、やりやすいのよね」
隣にいたリリーシャさんが答えると、ツバサさんは笑顔で頷く。
「確かに、二人とも、息がピッタリですし。どんなクルージングになるか、とても楽しみですね。きっと、お客様たちも、大喜びですよ」
二人はいつも仲良しだし、割と少ない言葉で、しっかり通じ合っている。しかも、お互いに、気遣いの出来る人だから、驚くほどに息が合っていた。
それに『深紅の紅玉』と『天使の羽』のコラボ。新進気鋭の、人気シルフィード二人のおもてなしが、同時に受けられるなんて。普段なら、絶対にあり得ない、贅沢な組み合わせだ。
「今日、私たちを呼んだのは、それを伝える為だったのですか? 普通に、言ってくだされば、よかったのに。いつも、顔を合わせているのですから」
「いやー、久々に、ナギサちゃんたちと、デートしたくてさ」
爽やかな笑顔で答えるツバサさんに対し、ナギサちゃんは、不機嫌そうな表情を浮かべる。相変わらず、ナギサちゃんには、冗談が通じない。
「というのも有るんだけど、実は、みんなに、お願いしたいことが有ってね」
「お手伝いできることがあれば、何でも言ってください!」
私は、待ってましたとばかりに、声をあげる。元々クルージングには、凄く興味があったし。一人前になったあとも、割りと暇しているからだ。
「いやー、流石は風歌ちゃん。話が早くて助かるよ。じゃあ、遠慮なく、お願いしようかな」
「雑用なら、お任せ下さい。力仕事でも何でも、喜んでやりますので」
雑用歴、一年。来る日も来る日も、雑用で鍛えた経験は、伊達ではない。もはや、雑用のプロともいえる……。
「でも、今回お願いしたいのは、雑用じゃないんだ。クルージングの仕切りを、任せようと思ってね」
「ん――えーっと、仕切り? それって、ツバサさんとリリーシャさんが、やるのでは?」
通常は、上位階級のシルフィードが、ホストになって、仕切りをする。他のシルフィードは、サポートで入るだけだ。
「まぁ、何事も経験だから。今回は、三人に、全て任せようと思ってね」
ツバサさんは、ニコニコしながら、軽やかに語る。
「って、ちょっと、待ってください! 定員は、何人なんですか? そもそも、私たちのような新人がやっても、お客様は集まりませんよ」
黙って聴いていたナギサちゃんが、急に驚いた声をあげた。
「定員は八十人。それに、僕たちも同乗するから、大丈夫。名目上は、僕とリリーの仕切りになってるから、お客様は、普通に来ると思うよ。三人は、企画立案・準備・進行をやるだけだから、簡単でしょ?」
ツバサさんは、サラッと言い放つ。隣にいるリリーシャさんは、黙って笑顔を浮かべていた。
「八十人って、無理ですよ、そんなの! 私たち、まだ、何の経験もないんですよ。しかも、この二人とでは、なおのこと無理です!」
「ちょっ、ナギサちゃん……。『この二人とは』って、どういうこと?」
「決まってるでしょ。あなたたち二人に、こんな高度なことが、できる訳ないじゃない。考えなしの風歌と、やる気のないフィニーツァに、何ができるというのよ?」
「んがっ――。それは、さすがに言いすぎでは……」
いや、まぁ、完全に外れてる訳でもないけど。私たちはもう、れっきとした一人前だし。私は、少なからず、やる気だけは満々だよ。隣に座っているフィニーちゃんは、我関せずと、あくびをしているけど――。
「難しく考えないでいいのよ。シルフィード・フェスタは、お祭りなのだから。上手くやろうとしなくても、お客様が楽しんでくれれば、それでいいの」
「それは、そうですが……。万一、失敗したら、お二人の名前に傷が」
柔らかな笑顔で言うリリーシャさんに、ナギサちゃんは、物凄く不安げに答える。
「平気平気。やれば、どうにかなるから。失敗しても、僕たちがフォローするし」
「でも――」
「僕たちも昔、アリーシャさんに、同じことを言われたんだよね。いきなり、百二十人が乗れる、大型のクルーザーを用意されてさ」
「あの時は、ビックリしたわね。母はいつも、いきなりだから」
ツバサさんとリリーシャさんは、楽しそうに、昔話をしている。
「それって、アリーシャさんの仕切りで、お二人が、準備や進行をしたってことですか?」
「そうそう。グランド・エンプレスが仕切りの、超重要なクルージングを任されるなんて。かなり大雑把な僕でも、凄いプレシャーだったよ。その点、僕らの仕切りなんて、大したことないでしょ?」
ツバサさんは、両手を広げて、おどけながら答えた。
「なるほど――。それで、具体的には、何をやればいいんでしょうか?」
「好きにやっていいよ。まずは、どんなクルージングにするか、コンセプトを決めることだね」
うーむ、好きにやっていいと言われるのが、一番、難しいんだよね。なんせ、知識も経験も、全くないからなぁ。
私は、ナギサちゃんに、そっと視線を向ける。同時に、フィニーちゃんも、ナギサちゃんを見ていた。
「ちょっ、何で私を見るのよ?」
「ナギサちゃん、仕切るの上手でしょ? 色々知ってるし」
仕切りと言えば、ナギサちゃん。何をやる時でも、いつも陣頭に立つのは、彼女の役割だ。何だかんだで、いつも上手いこと、まとめてくれるんだよね。
「私だって、クルージングのことは、全く知らないわよ。参加したことも、勉強したことも、無いんだから」
「うーむ。それもそうか……」
クルージングは、誰でも参加できるイベントではない。ファンの数は、非常に多いうえに、定員には限りがある。なので、チケットの予約は、超高倍率の、抽選になるのが普通だ。
「とりあえず、どんどん、アイディアを出してみたらどうかしら? 私たちの時も、アイディア出しから始めたし」
「そうそう。思い付きで出していくと、意外といい案が、出たりするんだよね」
リリーシャさんとツバサさんが、笑顔でアドバイスしてくれる。
なるほど、思い付きか――。だったら、何かあるかも。あっ、そうだ……。
「メイドカフェ的なのは、どうかな? ほら、こないだ、やったばかりだし」
「ちょっと、何でクルージングで、あんなのを、やらなきゃならないのよ?」
「だって、お客様たち、凄く喜んでくれてたじゃん」
「あれは、客層が違うでしょ? 今回、来るのは、普通のお客様たちよ」
そうかなぁ? 誰でも、普通に喜んでくれそうだけど。
「それ、いいね! 面白そうじゃない」
「ちょっと、ツバサお姉様! 本気で、言ってますか?」
「本気、本気。そういう、意外性があるほうが、喜んでくれると思うよ」
「どこのクルージングも、無難にやる場合が、多いものね」
「そんな、リリーシャさんまで――」
ナギサちゃんは、なんか凄く嫌そうだ。メイドカフェでは、人気ナンバーワンだったのに。
「全員メイドだと、面白くないから。僕とリリーは、執事をやるのはどうかな?」
「それ、いいですね! 特に、リリーシャさんの執事姿は、意外性、抜群ですね」
「私に、タキシード姿が、似合うかしら?」
「絶対に似合いますよ! ねっ、ナギサちゃん」
「って、何で私に振るのよ……?」
適当な思い付きだったけど、だんだん話が盛り上がって来た。みんなから、次々と色んなアイディアが出て来る。
「ねぇ、フィニーちゃんも、それでいい?」
「――おいしい物、たべれる?」
「よし、終わったあとは、盛大に打ち上げをやろうか。打ち上げ会場、予約しておくから任せて」
「おぉっ、打ち上げ! なら、やる」
ツバサさんの言葉に、コロッと落ちるフィニーちゃん。流石は、ツバサさん。よく分かっていらっしゃる。
これで『全員一致でOK』ってこといいかな。ナギサちゃんだけは、複雑そうな表情をしているけど、いつも最初は、こんなもんだから大丈夫。どうせ、本番になれば、一番、張り切るんだし。
「じゃあ、頑張って、成功させましょう!」
「おぉー!」
「……おぉー」
私の掛け声に、ツバサさんは元気よく、フィニーちゃんは小さな声で。リリーシャさんは、無言のまま、ニコニコと。ナギちゃんは黙ったまま、微妙な表情を浮かべていた。
それぞれ、テンションが違うけど、これは、いつものことなので。どうせ始まれば、上手くまとまるはず。
よしっ、初めてのイベント運営、気合を入れて頑張りまっしょい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『パレードの参加で私もついにシルフィードデビュー』
デビューはゴールではなくスタートライン
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
妹にお兄ちゃんって言わせたい!
Seraphim
ファンタジー
「あのっ……!私のこと、ここにおいてくれませんかっ……?!」
数ヶ月前に唯一の肉親である母親を亡くし、一人暮らしを始めた主人公『霜方 風真(しもかた ふうま)』。
彼のところに、碧眼の白髪猫耳少女『凪(ナギ)』が現れる。
普段なら間違いなくドアにチェーンをかけて拒絶しているところだが、人肌恋しさから彼女を居候として受け入れ周囲には義理の妹として取り繕うことにした。時間が経つにつれて、社交的でパワフルな凪とそれを支える風真のコンビは周囲から『風凪兄妹』として親しまれる存在に。凪も自らを『風真の妹』と名乗るようになり、自他ともに認める本当の兄妹のような関係性になったと思っていた。
しかし、凪はそのような関係性にも関わらず風真のことを名前で呼び続ける。まるで本当は『兄妹』であることを認めていないかのように。風真の中にくすぶるその疑問は、その後の二人の関係性を徐々に変化させていく。互いの真意に気づかぬまま、正反対な二人の奇妙な日常は思わぬ方向に進んでいく……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる