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第3部 笑顔の裏に隠された真実
3-7才能なんか無くたって出来ることを証明してみたい
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晴れ渡る空の下。私はせっせと、ダンボールに詰めた荷物を運んでいた。いつもの仕事と違い、引っ越しの作業をしている。
別に、運送業に転職したわけではない。今日は、リリーシャさんの知り合いの、シルフィード会社に、引っ越しの手伝いに来ているのだ。
〈シュガー・キャンディ〉という会社で『砂糖菓子』の意味らしい。おとぎ話に出て来そうな、すっごくカワイイ名前だよね。〈ホワイト・ウイング〉と同じで、小さな個人企業だ。
今は一人で運営しており、人手が足りないので、割と暇人の私が、手伝いにやって来た。雑用が終わると、特にやることがないんで……。
リリーシャさんも、手伝いに来たかったようだけど。相変わらずの大人気で、午前中から、予約のお客様で一杯だった。なので、仕事が終わりしだい、引越し先のほうで合流し、荷解きを手伝う約束になっている。
現社長の『カナリーゼ・シェイカー』さんは、母親から受け継いだ会社を、一人で経営していた。
また、母親同士が仲良しで、かなり昔から、付き合いがあったそうだ。個人企業を経営していることも含め、色んな点で、リリーシャさんと境遇が、似てるよね。
ちなみに、会社は〈北地区〉にある。ただ、普通は〈北地区〉に、シルフィード会社は作らない。なので、この地区にあるのは、ほんの数社だけ。
なぜなら、空港や港のある〈南地区〉から遠過ぎて、お客様が会社に足を運ぶのが、大変だからだ。空港から、送迎をしている会社もあるけど、人手のない会社は、そこまでは中々できない。
今回は、リリーシャさんに『知り合いの会社の、引っ越しを手伝ってほしい』と頼まれた。もちろん、私が、一発返事でOKしたのは、言うまでもない。
リリーシャさんの頼み事なら、何だって受けるし、他の会社をじっくり見る機会は、滅多にないからだ。しかも、同じ規模の会社なので、どう違うのか、興味津々だった。〈ウィンドミル〉は大きすぎて、参考にならなかったので――。
実際に来てみると、会社の大きさや、置いてある機体数は、うちとほぼ変わらない。ただ、建物は全く違い、かなりファンシーなデザインだった。
屋根には、大きな『カップケーキ』のオブジェが設置され、外観は『お菓子の家』みたいな感じだ。会社の看板は、名前通り、大きな『キャンディー』の形をしている。
事務所の中には、子供用の遊具や絵本なども置いてあった。まるで、保育園みたいな内装で、すごくアットホームな感じがした。先代の社長が、大の子供好きだったため、お客様たちも、子連れの人が多いんだって。
それにしても、会社によって、全く感じが違うんだね。メインの客層も、全然、違うし。こういう、ファミリー向けの会社もいいなぁ。
ただ、そうとう子供好きじゃないと、出来なさそう。うーむ、私に子供の相手が、できるのだろうか?
私は、周囲を観察しながら、荷物が詰め終わったダンボールを、外に停まっている『エア・コンテナ』に、慎重にのせて行く。割れ物なんかもあるので、要注意だ。
引越し業者に、頼む手もあるんだけど、シルフィードなら、各種、乗り物を運転できる。それに、個人企業なら、二、三人いれば十分だ。あと、内々の引っ越しって、なんか楽しいよね。
ダンボールを積み、再び事務所に戻ろうとすると、
「風歌ちゃん、お疲れ様。全く関係のない、新人のあなたにまで、手伝わせてしまって。本当に、ごめんなさいね」
カナリーゼさんは、冷えた缶ジュースを渡してくれた。
「いえ、私体を動かすのが、大好きですから。ジュース、ありがとうございます」
「今時の新人にしては、珍しいわね。みんな、力仕事とかは嫌がるのに」
「むしろ私は、力仕事や雑用は、いつも喜んでやってます。逆に、机の前でじっとしてるのは、凄く苦手なんですけど……」
実際、私は体を動かす仕事は、大好きだ。デスクワークより、百倍やる気が出る。
「あなた、いいわねぇ。よかったら、うちに入らない? お給料、奮発するわよ」
カナリーゼさんは、にっこりと笑顔を浮かべた。
「えっ?! あ、いや――お誘いは、ありがたいですが、ダメです。私、リリーシャさんに、一生ついて行くって、決めているんで。すいません!」
私は頭を下げ、丁重にお断りする。
「いやねぇ、冗談で言っただけだから。真に受けないでちょうだい」
「んがっ?! 冗談ですか……」
まぁ、普通は、無名の新人なんか、引き抜かないよね。
「それにしても、面白い子が入ったのね。しかも、一生ついて行くだなんて、とても愛されているわね、リリーは」
「リリーシャさんは、私の目指すべき、理想のシルフィードです。それに、言葉では言い表せないほど、色々お世話なっていますので」
本当に、私にとって、リリーシャさんの存在は、とてつもなく大きい。何より、行き場のなかった私を、拾ってくれた、命の恩人だからね。
「風歌ちゃんを見ていたら、うちも新人が、欲しくなっちゃったわ。でも〈ホワイト・ウイング〉って、募集を出していたのを、見たことがないけれど。どうやって入ったの?」
そういえば、以前ナギサちゃんにも、同じことを訊かれたよね。リリーシャさんの実力なら、一人でも回せるし。実際、一人でやっている個人企業も、結構あるみたいだから。
「実は、河原で落ち込んでいたら、リリーシャさんと、偶然、出会いまして。それで、拾ってもらったんです」
「えっ? ただの冗談よね?」
普通は、河原で見ず知らずの人間を、拾ったりしないから。そりゃー、冗談に聞こえるよね――。
「実は、本当のことなんですよ」
私は、リリーシャさんとの出会いや〈ホワイト・ウイング〉に入社した経緯を、細かく説明する。リリーシャさんとは、仲がいいみたいなので、親と喧嘩して、家を飛び出して来たことなんかも、包み隠さず話した。
「あはははっ、本当に面白いわね、あなた。いくらなんでも、無謀すぎでしょ?」
どうやら、ツボにはまったらしく、カナリーゼさんは、大笑いしている。
「んがっ……。まぁ、否定はしませんけど――」
今思い返すと、自分でも、超無謀だったと感じている。世の中の厳しさを知った、今の私なら、さすがに同じことは、やらないと思う。あのころは、色々と青かったよねぇ……。
「でも、いいじゃない、いいじゃない。私そうやって、後先考えずに何でもやっちゃう、面白い子は好きよ」
カナリーゼさんに、肩をポンポンと叩かれる。
「あの――私の評価って『面白い子』で、決定なんですか?」
「面白い子、最高じゃない。誰からも愛されるわよ。あははっ」
再び笑いながら、背中をバシバシと叩かれた。
むぅー……なんか微妙に、納得いかない。私が目指しているのは、面白い子じゃなくて。リリーシャさんみたいな、上品で美しい、シルフィードなのに――。
私は、ジュースを飲み終えると、荷運びの続きをするため、再び事務所の中に入って行った。まだ、荷物は半分ほど、残っている。
できれば、早く終わらせて、引っ越し先の荷ほどきも、リリーシャさんが合流する前に、あらかた終わらせてしまいたい。こういった雑用は、新人の私が頑張らないとね。
私は、運ぶ荷物を探していると、中身を詰めている最中の箱が、ふと目に入った。プチプチシートで梱包された荷物が、いくつか入っており、その一番上に、まだ梱包しかけの物がある。
よく見ると、それは写真立てだった。ちょっと気になったので、近づいて確認してみる。いつも写真データばかりで、紙の写真は、あまり見る機会がなかったので。
その写真には、一人の女性と、二人の小さな女の子が写っていた。背景には、この会社の正面が写っているので、庭で撮ったのだろう。壁の塗装などが真新しいので、かなり前のものだと思う。
しかし、この二人の少女は、間違いなく見覚えがあった。左側は、髪型が変わっているけど、カナリーゼさん。あどけない感じが、可愛らしい。右側にいるのは、見まごうことなく、リリーシャさんだった。
「うわぁ、超カワイイー!! なに、このカワイイ生き物は?!」
今のリリーシャさんを、そのまま、ミニサイズにした感じ。顔は子供特有の、丸みを帯びているけど、髪型は同じだ。それに、今と変わらず、清楚で上品な感じが漂っている。
何というか、天使のような、神々しい可愛さだ。やっぱり、将来、美人になる人って、子供のころから別格なんだねぇ。
二人の少女の笑顔も、可愛いんだけど。その後ろにいる女性の笑顔に、妙に目が惹きつけられた。なんか、とってもいい笑顔。
「すっごく素敵な笑顔。どうしたら、こんな魅力的に、笑えるんだろう?」
私も仕事柄、普段から笑顔の練習はしている。でも、ここまでいい笑顔って、中々できないんだよね。無理に笑おうとすると、笑顔が引きつるし。私のは、素の笑顔なので、プロの笑顔とは、全然ちがう。
でも、この写真の女性は、素の笑顔とプロの笑顔の、中間ぐらい? 上手く表現できないけど、そんな感じなのだ。
「なかなか、いい笑顔でしょ?」
「はい、最高に素敵な笑顔だと思います。って、すいません、勝手に見てしまって」
振り返ると、いつの間にか後ろに、カナリーゼさんが立っていた。
「いいの、いいの。私もついさっき、その写真を眺めていたから。写真とか思い出の品って、つい見入っちゃうから、なかなか片付かないのよね」
「それ、凄く分かります」
私も、昔の持ち物を見ると、ついつい思い出に、ふけっちゃうんだよね。だから、小さいころに買ったものとか、捨てられなくて。実家の押し入れに、一杯たまってた。
「真中に写っているのが、私の母なの」
「とても素敵な笑顔で、優しそうなお母様ですね」
「一応、昔は『砂糖の笑顔』と呼ばれた、シルフィード・クイーンだったのよ」
「えぇっ?! そんな、超凄い人だったんですか!」
どうりで、不思議な魅力で、目が惹きつけられる訳だ。ってか、シルフィード・クイーンって、数人しかいない、超レアな存在なのに。なんで私の周りには、こんなに一杯いるの……?
「別に、そんなに凄い人じゃないけど。娘の私から見ても、笑顔は最高に素敵だったわね。誰からも愛される笑顔、という感じかな」
「本当に、目が離せない笑顔ですね。でも、引退されてしまったんですよね? もしかして、何かあったのですか――?」
私は言葉を選びながら、慎重に尋ねる。『まさか、アリーシャさんと同じような、事故があったのでは?』と、不安がよぎったからだ。
「あぁ、そんなんじゃないの。今も元気一杯に、仕事してるわよ。昔から料理が大好きで、お客様なんかに、よく料理を教えてたの。で、料理教室を開いたら、これが大好評。今では、この町だけでなく、大陸にも、料理教室がたくさんあるのよ」
「なるほど。じゃあ、転職した感じですか?」
その話を聴いて、ちょっとホッとする。
「そう、料理好きが興じて、プロの料理研究家に、なっちゃってね。今では、MVで料理のレギュラー番組も持ってて。『奇跡の料理人』なんて言われているの。今は、シルフィードより、料理研究家のほうが有名ね」
「凄い! レギュラー番組を持ってるって、芸能人と同じじゃないですか」
シルフィード・クイーンになった人たちは、シルフィード業界に関係あるところに、再就職する人が多い。でも、大幅に転向する人もいるんだね。しかも、MVの有名人と言ったら、超大成功だ。
「実は私、会社を畳んで、シルフィードを引退しようと、思ってたのよね」
「えぇ?! 何でですか? その若さで、社長まで務めてるのに」
唐突な言葉に、私は凄く驚いた。こんなに明るく素敵な人が、何で……?
「若くはないわよ。それに、会社だって、母親のあとを継いだだけだし」
「でも、二十一歳って、若いじゃないですか。それに、会社ついだのは、リリーシャさんも同じですし」
二十一って、まだ大学生の歳だもん。超若いじゃんね。それに、親から継いだとしても、会社を経営するって、凄いと思う。
「シルフィード業界で『若い』と言われるのは、十代までよ。それに、リリーと私では、素質も実績も、比べ物にならないから。全然、同じじゃないわ」
「リリーはすでに、スカイ・プリンセスで、シルフィード・クイーンも、時間の問題と言われているし。知名度だって、天と地ほどの差があるんだから」
カナリーゼさんは、急に真剣な表情に変わった。
「――そうなんですか?」
「この業界では、十代までに芽が出ないと、もうダメだと言われているの。上位階級の人たちは、みんな十代で、昇級しているから。だから、二十歳前後で、見切りをつけて辞める人って、凄く多いのよ」
そういえば、この業界は、引退の年齢が早いというのは、聞いたことがある。
「実は、だいぶ前から母に、一緒に料理の仕事をやらないかって、誘われててね。レギュラー番組の助手をやれば、有名人の娘として、自分も楽して有名になれるから。悪い話じゃないのよね」
「それに、自分には、母のようなシルフィードの素質がないのは、ずっと前から、分かってたことだし」
彼女は少し、寂しげな笑顔を浮かべて語った。
「そんなこと言ったら、私なんて、素質もコネもお金も、何一つないです。でも、素質がなくたって、頑張れば、絶対に上手く行くと信じて、日々全力でやっています」
「それは、まだ十五歳で、若いから言えることね。私も昔は、そう思ってた。でも、私のように、二十歳を超えて、全く芽が出なくても、同じことが言えるかしら?」
彼女の表情には、諦めの色が浮かんでいて、少し悲しそうに見えた。母親も知り合いも、成功していて、自分だけが、置いて行かれてしまった気持ち。私には、何となく分かる。
私も、昔から何の才能もなくて。周りの凄い人を、ただ眺めているだけの、凡人だったから……。
「言えますよ。私、二十になっても、三十になっても。たとえ才能がなくても、上手く行くまで、ずっと続けますから!」
私は思わず熱がこもり、声が大きくなってしまった。だって、なんか悔しくて。
確かに、子供のころから、恵まれた才能のある人は、いると思う。特に、容姿に関しては、どうしようもないし。だから、何も持ってない人間は、諦めずに、頑張り続けるしかないじゃない。
「って、すいません! 新人のくせに、生意気なこと言ってしまって」
私は、慌てて頭を下げる。
「あなた、相当に肝が座ってるわね。どうりで、無謀なことやってる訳だ」
「昔から、後先考えない性格ですので」
ダメなら、その時になって考える。その代わり、目の前のことは全力で。まぁ、私の場合、頭悪いから、考えても時間の無駄なので――。
「愚痴をこぼしちゃったけど、私だって、完全に諦めた訳じゃないのよ。引っ越すのは、一からやり直すためだし。この歳になってから、上を目指すのは、かなり無謀だけど。あなたの言葉を聴いて、やる気が出てきたわ」
「本当ですか? よかったです」
私は、大きく息を吐きだし、ホッとした。
もう、引退だのなんだのという話は、聴きたくない。つい先日、リリーシャさんの件が、あったばかりだから。
「というわけで、やっぱり、うちに来ない? あなたみたいな子、リリーには、もったいないもの。リリーは、もう成功してるんだから、一人でも大丈夫でしょ?」
「いえ、ですから、それは無理です」
私は、何があっても、リリーシャさん一筋なんだから。
「お給料、二倍出しても?」
「……」
「じゃあ、三倍は?」
「うぐっ」
私は、顔に手のひらを当て、苦悩する。
「あははっ、やっぱ、あなた面白い子ね。やーね、冗談よ冗談。友人が大事にしてる子を、引き抜いたりする訳ないじゃない」
彼女は勢いよく、私の背中をバシバシと叩く。
「って、ちょっと、からかわないでくださいよー!」
ぐぬぬっ、ほんのちょっとでも、心が動いてしまった自分が、恥ずかしい――。
私は、まだ始めたばかりだから、よく分からないけど。いずれは、才能の壁にぶつかる日が、来るのかもしれない。
リリーシャさんは、私とは比にならない、凄い才能を持っているのは、十分に理解しているし。本当に追いつけるかは、正直、自信がなかった。
果たして、自分の才能に限界を感じた時、私は心が折れずに、いられるだろうか?
でも、何もないことを理解したうえで、この町に乗り込んで来たんだから。才能も何もない人間でも、頑張れば出来るってことを、絶対に証明してみたい。
諦めの悪さこそが、私の強さなのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『秋と言えばスポーツと食欲とあと1つは……』
迷った時はいつでも食欲のコンパスに従って進めや!!
別に、運送業に転職したわけではない。今日は、リリーシャさんの知り合いの、シルフィード会社に、引っ越しの手伝いに来ているのだ。
〈シュガー・キャンディ〉という会社で『砂糖菓子』の意味らしい。おとぎ話に出て来そうな、すっごくカワイイ名前だよね。〈ホワイト・ウイング〉と同じで、小さな個人企業だ。
今は一人で運営しており、人手が足りないので、割と暇人の私が、手伝いにやって来た。雑用が終わると、特にやることがないんで……。
リリーシャさんも、手伝いに来たかったようだけど。相変わらずの大人気で、午前中から、予約のお客様で一杯だった。なので、仕事が終わりしだい、引越し先のほうで合流し、荷解きを手伝う約束になっている。
現社長の『カナリーゼ・シェイカー』さんは、母親から受け継いだ会社を、一人で経営していた。
また、母親同士が仲良しで、かなり昔から、付き合いがあったそうだ。個人企業を経営していることも含め、色んな点で、リリーシャさんと境遇が、似てるよね。
ちなみに、会社は〈北地区〉にある。ただ、普通は〈北地区〉に、シルフィード会社は作らない。なので、この地区にあるのは、ほんの数社だけ。
なぜなら、空港や港のある〈南地区〉から遠過ぎて、お客様が会社に足を運ぶのが、大変だからだ。空港から、送迎をしている会社もあるけど、人手のない会社は、そこまでは中々できない。
今回は、リリーシャさんに『知り合いの会社の、引っ越しを手伝ってほしい』と頼まれた。もちろん、私が、一発返事でOKしたのは、言うまでもない。
リリーシャさんの頼み事なら、何だって受けるし、他の会社をじっくり見る機会は、滅多にないからだ。しかも、同じ規模の会社なので、どう違うのか、興味津々だった。〈ウィンドミル〉は大きすぎて、参考にならなかったので――。
実際に来てみると、会社の大きさや、置いてある機体数は、うちとほぼ変わらない。ただ、建物は全く違い、かなりファンシーなデザインだった。
屋根には、大きな『カップケーキ』のオブジェが設置され、外観は『お菓子の家』みたいな感じだ。会社の看板は、名前通り、大きな『キャンディー』の形をしている。
事務所の中には、子供用の遊具や絵本なども置いてあった。まるで、保育園みたいな内装で、すごくアットホームな感じがした。先代の社長が、大の子供好きだったため、お客様たちも、子連れの人が多いんだって。
それにしても、会社によって、全く感じが違うんだね。メインの客層も、全然、違うし。こういう、ファミリー向けの会社もいいなぁ。
ただ、そうとう子供好きじゃないと、出来なさそう。うーむ、私に子供の相手が、できるのだろうか?
私は、周囲を観察しながら、荷物が詰め終わったダンボールを、外に停まっている『エア・コンテナ』に、慎重にのせて行く。割れ物なんかもあるので、要注意だ。
引越し業者に、頼む手もあるんだけど、シルフィードなら、各種、乗り物を運転できる。それに、個人企業なら、二、三人いれば十分だ。あと、内々の引っ越しって、なんか楽しいよね。
ダンボールを積み、再び事務所に戻ろうとすると、
「風歌ちゃん、お疲れ様。全く関係のない、新人のあなたにまで、手伝わせてしまって。本当に、ごめんなさいね」
カナリーゼさんは、冷えた缶ジュースを渡してくれた。
「いえ、私体を動かすのが、大好きですから。ジュース、ありがとうございます」
「今時の新人にしては、珍しいわね。みんな、力仕事とかは嫌がるのに」
「むしろ私は、力仕事や雑用は、いつも喜んでやってます。逆に、机の前でじっとしてるのは、凄く苦手なんですけど……」
実際、私は体を動かす仕事は、大好きだ。デスクワークより、百倍やる気が出る。
「あなた、いいわねぇ。よかったら、うちに入らない? お給料、奮発するわよ」
カナリーゼさんは、にっこりと笑顔を浮かべた。
「えっ?! あ、いや――お誘いは、ありがたいですが、ダメです。私、リリーシャさんに、一生ついて行くって、決めているんで。すいません!」
私は頭を下げ、丁重にお断りする。
「いやねぇ、冗談で言っただけだから。真に受けないでちょうだい」
「んがっ?! 冗談ですか……」
まぁ、普通は、無名の新人なんか、引き抜かないよね。
「それにしても、面白い子が入ったのね。しかも、一生ついて行くだなんて、とても愛されているわね、リリーは」
「リリーシャさんは、私の目指すべき、理想のシルフィードです。それに、言葉では言い表せないほど、色々お世話なっていますので」
本当に、私にとって、リリーシャさんの存在は、とてつもなく大きい。何より、行き場のなかった私を、拾ってくれた、命の恩人だからね。
「風歌ちゃんを見ていたら、うちも新人が、欲しくなっちゃったわ。でも〈ホワイト・ウイング〉って、募集を出していたのを、見たことがないけれど。どうやって入ったの?」
そういえば、以前ナギサちゃんにも、同じことを訊かれたよね。リリーシャさんの実力なら、一人でも回せるし。実際、一人でやっている個人企業も、結構あるみたいだから。
「実は、河原で落ち込んでいたら、リリーシャさんと、偶然、出会いまして。それで、拾ってもらったんです」
「えっ? ただの冗談よね?」
普通は、河原で見ず知らずの人間を、拾ったりしないから。そりゃー、冗談に聞こえるよね――。
「実は、本当のことなんですよ」
私は、リリーシャさんとの出会いや〈ホワイト・ウイング〉に入社した経緯を、細かく説明する。リリーシャさんとは、仲がいいみたいなので、親と喧嘩して、家を飛び出して来たことなんかも、包み隠さず話した。
「あはははっ、本当に面白いわね、あなた。いくらなんでも、無謀すぎでしょ?」
どうやら、ツボにはまったらしく、カナリーゼさんは、大笑いしている。
「んがっ……。まぁ、否定はしませんけど――」
今思い返すと、自分でも、超無謀だったと感じている。世の中の厳しさを知った、今の私なら、さすがに同じことは、やらないと思う。あのころは、色々と青かったよねぇ……。
「でも、いいじゃない、いいじゃない。私そうやって、後先考えずに何でもやっちゃう、面白い子は好きよ」
カナリーゼさんに、肩をポンポンと叩かれる。
「あの――私の評価って『面白い子』で、決定なんですか?」
「面白い子、最高じゃない。誰からも愛されるわよ。あははっ」
再び笑いながら、背中をバシバシと叩かれた。
むぅー……なんか微妙に、納得いかない。私が目指しているのは、面白い子じゃなくて。リリーシャさんみたいな、上品で美しい、シルフィードなのに――。
私は、ジュースを飲み終えると、荷運びの続きをするため、再び事務所の中に入って行った。まだ、荷物は半分ほど、残っている。
できれば、早く終わらせて、引っ越し先の荷ほどきも、リリーシャさんが合流する前に、あらかた終わらせてしまいたい。こういった雑用は、新人の私が頑張らないとね。
私は、運ぶ荷物を探していると、中身を詰めている最中の箱が、ふと目に入った。プチプチシートで梱包された荷物が、いくつか入っており、その一番上に、まだ梱包しかけの物がある。
よく見ると、それは写真立てだった。ちょっと気になったので、近づいて確認してみる。いつも写真データばかりで、紙の写真は、あまり見る機会がなかったので。
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「とても素敵な笑顔で、優しそうなお母様ですね」
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「えぇっ?! そんな、超凄い人だったんですか!」
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「別に、そんなに凄い人じゃないけど。娘の私から見ても、笑顔は最高に素敵だったわね。誰からも愛される笑顔、という感じかな」
「本当に、目が離せない笑顔ですね。でも、引退されてしまったんですよね? もしかして、何かあったのですか――?」
私は言葉を選びながら、慎重に尋ねる。『まさか、アリーシャさんと同じような、事故があったのでは?』と、不安がよぎったからだ。
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「なるほど。じゃあ、転職した感じですか?」
その話を聴いて、ちょっとホッとする。
「そう、料理好きが興じて、プロの料理研究家に、なっちゃってね。今では、MVで料理のレギュラー番組も持ってて。『奇跡の料理人』なんて言われているの。今は、シルフィードより、料理研究家のほうが有名ね」
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「――そうなんですか?」
「この業界では、十代までに芽が出ないと、もうダメだと言われているの。上位階級の人たちは、みんな十代で、昇級しているから。だから、二十歳前後で、見切りをつけて辞める人って、凄く多いのよ」
そういえば、この業界は、引退の年齢が早いというのは、聞いたことがある。
「実は、だいぶ前から母に、一緒に料理の仕事をやらないかって、誘われててね。レギュラー番組の助手をやれば、有名人の娘として、自分も楽して有名になれるから。悪い話じゃないのよね」
「それに、自分には、母のようなシルフィードの素質がないのは、ずっと前から、分かってたことだし」
彼女は少し、寂しげな笑顔を浮かべて語った。
「そんなこと言ったら、私なんて、素質もコネもお金も、何一つないです。でも、素質がなくたって、頑張れば、絶対に上手く行くと信じて、日々全力でやっています」
「それは、まだ十五歳で、若いから言えることね。私も昔は、そう思ってた。でも、私のように、二十歳を超えて、全く芽が出なくても、同じことが言えるかしら?」
彼女の表情には、諦めの色が浮かんでいて、少し悲しそうに見えた。母親も知り合いも、成功していて、自分だけが、置いて行かれてしまった気持ち。私には、何となく分かる。
私も、昔から何の才能もなくて。周りの凄い人を、ただ眺めているだけの、凡人だったから……。
「言えますよ。私、二十になっても、三十になっても。たとえ才能がなくても、上手く行くまで、ずっと続けますから!」
私は思わず熱がこもり、声が大きくなってしまった。だって、なんか悔しくて。
確かに、子供のころから、恵まれた才能のある人は、いると思う。特に、容姿に関しては、どうしようもないし。だから、何も持ってない人間は、諦めずに、頑張り続けるしかないじゃない。
「って、すいません! 新人のくせに、生意気なこと言ってしまって」
私は、慌てて頭を下げる。
「あなた、相当に肝が座ってるわね。どうりで、無謀なことやってる訳だ」
「昔から、後先考えない性格ですので」
ダメなら、その時になって考える。その代わり、目の前のことは全力で。まぁ、私の場合、頭悪いから、考えても時間の無駄なので――。
「愚痴をこぼしちゃったけど、私だって、完全に諦めた訳じゃないのよ。引っ越すのは、一からやり直すためだし。この歳になってから、上を目指すのは、かなり無謀だけど。あなたの言葉を聴いて、やる気が出てきたわ」
「本当ですか? よかったです」
私は、大きく息を吐きだし、ホッとした。
もう、引退だのなんだのという話は、聴きたくない。つい先日、リリーシャさんの件が、あったばかりだから。
「というわけで、やっぱり、うちに来ない? あなたみたいな子、リリーには、もったいないもの。リリーは、もう成功してるんだから、一人でも大丈夫でしょ?」
「いえ、ですから、それは無理です」
私は、何があっても、リリーシャさん一筋なんだから。
「お給料、二倍出しても?」
「……」
「じゃあ、三倍は?」
「うぐっ」
私は、顔に手のひらを当て、苦悩する。
「あははっ、やっぱ、あなた面白い子ね。やーね、冗談よ冗談。友人が大事にしてる子を、引き抜いたりする訳ないじゃない」
彼女は勢いよく、私の背中をバシバシと叩く。
「って、ちょっと、からかわないでくださいよー!」
ぐぬぬっ、ほんのちょっとでも、心が動いてしまった自分が、恥ずかしい――。
私は、まだ始めたばかりだから、よく分からないけど。いずれは、才能の壁にぶつかる日が、来るのかもしれない。
リリーシャさんは、私とは比にならない、凄い才能を持っているのは、十分に理解しているし。本当に追いつけるかは、正直、自信がなかった。
果たして、自分の才能に限界を感じた時、私は心が折れずに、いられるだろうか?
でも、何もないことを理解したうえで、この町に乗り込んで来たんだから。才能も何もない人間でも、頑張れば出来るってことを、絶対に証明してみたい。
諦めの悪さこそが、私の強さなのだから……。
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次回――
『秋と言えばスポーツと食欲とあと1つは……』
迷った時はいつでも食欲のコンパスに従って進めや!!
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あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
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鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
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気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
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第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
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第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
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この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
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うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
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カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
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