私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~

春風一

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第3部 笑顔の裏に隠された真実

3-3体力だけでシルフィードやってる人間がここにいます

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 夜、静寂に包まれた、屋根裏の狭い部屋。ただでさえ静かなのに、今日はより一層、静けさを感じる。なぜなら、外は雨だからだ。しかも、朝から降ったりやんだりを繰り返し、なんとも落ち着かない空模様だった。

 私は、こういう中途半端な天気が、物凄く苦手だ。だって『晴れるかな?』『ダメかな?』って、悶々としなきゃならないから。

 今日も一日中、天気を確認しては、すきあらば飛びに行こうとしていた。結局、晴れ間が見えず、精神力だけを、無駄に消耗してしまった。

 リリーシャさんは、そんな落ち着かない私を見ながら、くすくす笑ってたけど。やっぱり、じっとしていられるほど、雨の日には慣れていない。

 一日中、大人しくしながら、なおかつ楽しむのは、今後の大きな課題だよね。これからも、雨の日は必ず来るのだから。

 私は、学習ファイルを開いて、ずっと勉強していたが、大きなため息をつく。机に頭を横向きに乗せ、体の力を抜いた。会社でも帰って来てからも、じっとしっぱなしなので、体力があり余っている。

 この力を、一体どこにぶつければ、よいのだろうか? 元気が満ちあふれているのに、何もできない時の、辛さと言ったら……。

 しばし、ふて寝していたが、マギコンの着信音が鳴った瞬間、ガバッと跳ね起きた。表示を確認すると、ユメちゃんからだ。私は大急ぎで『ELエル』を開いて、返信を打ち込む。

『風ちゃん、こんばんは。起きてる?』
『こんばんは、ユメちゃん。先程まで超死んでたけど、今はバッチリ起きてるよ』
 元気があり余ってるので、指がサクサク動く。

『えっ?! 何があったの一体?』
『今日は、一日中、雨だったから、会社でも家でも籠もりっきりで。フラストレーション、たまりまくりなの』

 今日だけじゃなくて、ここのところ、雨が多すぎる。

『あー、いつもの、空が飛べなくて死んじゃう病?』
『そうっ、それ!』
 流石はユメちゃん、実に的を得た表現だ。

『ここのところ、物凄く雨が多いもんね』
『そう、いくらなんでも、降り過ぎだよー。新人シルフィードにとって、雨は一番の大敵なんだよね』

『ちょっとでも、雨が降ったら、飛べないんだっけ?』
『うん。パラパラ程度の、小雨でもアウト』

 朝からずっと、空とにらめっこしているのは、このせいだ。いっそ、土砂降りになってくれれば、諦めがつくんだけど。止みそうな雨って、精神衛生上よろしくない。

『雨が降ってる時は、何をしているの?』
『社内の清掃だね。といっても、うちの会社は小さいし。毎日やってるから、割とすぐ終わっちゃうけど』

 毎日やってるうえに、社員二人だけだから、汚れないんだよね。リリーシャさんも、几帳面で綺麗好きだし。

『事務系の仕事はないの?』
『経理とかデータ整理は、全部リリーシャさんが、やってるから。掃除とお茶の用意なんかの、雑用しかないんだよね』

 デスクワーク系も、お手伝いしたいと、前に言ったことがある。でも『量が少ないから大丈夫』と、やんわり断られた。

 リリーシャさんがやっているのは、経理とお客様のデータを書いた日誌だ。経理は、お金が絡む重要な仕事だし、日誌も接客をしなければ、書くことはできない。結局、私にやれるのは、雑用しかないんだよね。

『じゃあ、雨の日は、会社内で何か仕事を、見つけてやる感じ?』
『掃除や雑用は、どんなに念入りにやっても、午前中に終わっちゃうから。その後は、ずっと勉強だね』

『私は、一日中外に出ずに、ずっと勉強していられるなら、そのほうが嬉しいけどなぁ。体を動かさずに済むし』

 いかにも、文学少女のユメちゃんらしい意見だ。普段から、部屋に籠もってることが、多いらしいし。一日中、本を読んでいても、全然、平気みたい。

『私には、それ絶対にムリー! 体動かさないと、本当に死んじゃうから――』
『あははっ、風ちゃんらしいね』
『シルフィードの仕事を、選んだ理由の一つは、外で働けるからなんだ』

 観光案内って、完全にアウトドアな仕事だからね。ずっと外にいられるなんて、最高じゃん、って思ったわけで。

『一日中、外を飛び回っているイメージ、あるもんね』
『うんうん。リリーシャさんも、朝と夕方ぐらいしか、会社にいないし。基本は、ずっと外勤なんだよね』

 私は、昔から体を動かすのと、外の空気が大好きだ。だから、将来は外で働ける仕事を考えていた。逆に、一日中デスクワークの仕事とかは、絶対に無理だと思う。

『シルフィードの他にも、仕事の候補ってあったの?』
『色々あったよー。ツアーガイド・体育教師・農業系・建築や工事系』

『ツアーガイドは、分かるとして。後半のは、完全に肉体労働系だよね。シルフィードとは、完全にかけ離れた仕事じゃない?』
『いやー、体が動かせれば、何でもいいかなぁー、なんて思って』

 実に単純な考えだった。シルフィードの存在を知るまでは、ガチな肉体労働系でも、いいと思ってたし。

『本当に、動くの好きなんだね。なら、雨の多いこの時期は、大変そう』
『もうね、動けないことが、辛くて辛くて。体中の筋肉が、ギシギシと悲鳴を上げてるんだ』

『あははっ、風ちゃんって、マッチョなの?』
『んー、マッチョではないけど、体は引き締まってると思うよ』

 元々食べても太らない体質だったけど、こっちに来て、さらにスリムになった。食事の量が、少ないのもあるけど。向こうの世界にいた時よりも、はるかに運動量が多いからだ。

 テレビや雑誌を見ながら、ゴロゴロすることもなくなったし。起きてから寝るまで、ずっと気を張りっぱなしだ。気を張るだけでも、結構エネルギーを、消費するんだよね。

『私とは対照的だね。物凄く非力で、体力も運動神経もないし。いつも、お腹周りの肉が、気になるんだよね……』
『ウエスト細くしたいなら、腹筋を鍛えるといいよ』

『私、腹筋できないんだよね。腕立てもダメで、体が全然もち上がらないの』
『うーむ――。それは、流石にマズイね。シルフィードになる為もあるけど、体鍛えておかないと、病気とかになっちゃうかもよ』

 腕立てや腹筋は、学生時代は部活で、毎日やっていた。今も寝れない時とかは、ベッドの上で、せっせとやっている。

『だよねー。鍛えようとは、思っているんだけど。ついつい、本読んじゃうから』

 文学少女なのは、ずっと前から知ってるけど。話を聴いていると、かなり不健康な生活を、している気がする。

 しょっちゅう、徹夜で本を読んでるみたいだし。休日も、家にこもってることが、多いらしい。でも、どうしたら、外に出たくなるんだろう? 私はそんなの、考えたこともなかったから。

『とりあえず、外に出ることから始めたほうが、いいんじゃないかな。外歩くだけでも、運動になるし』

『外に出なきゃ、とは思うんだけど。特に行きたい所がないから「また今度でいいや」で、終わっちゃうんだよね』

 お茶したり、カラオケとか行かないのかな? 運動嫌いでも、お店ぐらいは、遊びに行くと思うけど。

『学校の友だちと、遊びに行ったりしないの?』
『学校帰りに、軽く寄り道するぐらいかな。あとは、ELのやり取りで、済ませちゃってる。校内でも、ELのやり取りが多いし』

 最近の若者たちは、ELのやり取りだけで、友人関係を成立させてる子が多い。そのため、リアルの付き合いが、希薄になって来ているって、ニュースでやってた。

 すぐそばにいても、会話するのが面倒で、ELでやり取りする子も多いらしい。コミュニケーション障害の一種で、社会問題にもなっていた。

 私もELは好きだけど、ちゃんとリアルの会話や付き合いを、優先している。リアルで付き合ったうえで、その補助で使うだけ。ELのやり取りは楽しいけど、こればっかりに、のめり込んでるようじゃ、ユメちゃんマズイ気がする……。

『ユメちゃんは、この町で好きな場所はないの?』
『特に好きな場所は、ないかなぁ。どちらかというと、本の中の世界のほうが好き』

 いかにも、文学少女らしい答だ。でも、それじゃあ、引きこもっちゃうよね。

『ユメちゃんらしいね。でも、本気でシルフィードになりたいなら、この町の好きな場所を、見つけないと』
『好きな場所ないと、ダメかな?』

『ダメではないけど。この町が大好きだから、他所から来た人に、紹介してあげたくてやるのが、シルフィードなんじゃないかな?』

 シルフィードに大事なのは、どれだけこの町が好きか、なんじゃないかって。最近、少しずつ分かって来た。

 リリーシャさんや、一流のシルフィードの先輩たちも、この町が凄く好きなんだなぁーって、見てて思う。技術も必要だけど、好きじゃないと、素敵な観光案内はできないもんね。

『確かに、そうかも。町が好きじゃないと、楽しく紹介できないよね。好きな本を、他の人に紹介するのと、同じ感じかな?』

『そう、それそれ! 私は、この町に好きな場所が、一杯あるから。早く色んな人に、紹介してあげたくて、ウズウズしてるんだー』

 特に、初めて来た人には、いっぱい紹介してあげたい場所がある。ゆくゆくは、私と同じで、向こうの世界から来た人にも、この町のよさを教えてあげたい。

『やっぱり、風ちゃんは、シルフィードに向いてるね。天職じゃないかな』
『そうかな? 今のところ、好きな気持ち意外に、何もないんだけど』

 思えば、家を飛び出して来たのも、ギリギリの生活でも、元気にやっているのも。『好き』という気持ちの、支えがあるからだ。

『好きな気持ちが、最強だと思う。もし、風ちゃんが、好きという気持ちが誰よりも強ければ、最高のシルフィードになるんじゃないかな』
『だと、いいんだけどね。でも、好きって気持ちは、誰にも負けない自信あるよ』

 唯一、リリーシャさんたち、一流のシルフィードに、張り合える部分だった。

『そう考えると、私は全然だね。風ちゃんみたいになりたくて、ただ憧れで、シルフィードになりたいだけだから』

『いやー、私なんかに憧れるのはどうだろ――。でも、私も憧れだけで、この町に来たし。最初は、気持ちだけあれば十分だよ』

『そうなの?』
『うん、知識も何もないまま、この町に来たもん。仕事を始めてから覚えたことが、九割以上だし。仕事を始めてから、好きになったことも多いかな』

 シルフィードの仕事はもちろん、掃除やお茶の淹れ方なんかも、全部こっち来てから、覚えたものだからね。今では、掃除は好きだし、お茶の淹れ方も、超こだわってる。

 女子力ゼロだった、昔の私からは、考えられないことだ。やはり、リリーシャさんの影響が、とても大きい。

『最初から、計画的だった訳じゃないんだね』
『計画的どころか、超成り行き任せだったよ。行けばなんとかなるって、普通に思ってたから』

『風ちゃんらしい、凄い行動力だね。しかも、何とかなっちゃったし』
『いやいや、リリーシャさんに会わなかったら、どうなってたことやら……』

 本当に、リリーシャさんのおかげで、首の皮一枚つながった感じだ。ダメだった時のこと、何も考えてなかったもんね。実家に帰る退路まで、断っちゃってたし。

『でも、風ちゃんなら、それでも何とかしそうだよね。簡単に諦めて、帰ったりはしないでしょ?』

『まぁ、そうかもねぇ。バイトでもしながら、シルフィードになる方法を、探してたかも。諦めの悪い性格だから』

 あれだけ大口叩いて、家を飛び出したので、家に帰るわけにも行かないし。雨露しのげる場所と、パンが食べられるぐらいのお金があれば、なんとかなると思う――たぶん。

『やっぱ、風ちゃん凄いね。私も風ちゃんみたいに、たくましくなりたいな』
『私を参考にするのは、全くオススメできないけど。でも、まずは体鍛えたほうがいいと思うよ』

 その若さで、体力なさすぎるのは心配だ。知識が多くて、とても頭はいいけど。結構、面倒くさがりで、年寄りっぽい感じのところも有る。若いんだから、もっとアクティブに生きないとね。

『うん、頑張ってみる。体力ないと、シルフィードにもなれないもんね』
『体力あれば、何でも出来ると思うよ。実際、私なんて、体力だけでシルフィードやってるわけだし』

 体力だけは、一人前だと自負している。一日中、働いても、ピンピンしてるし。まぁ、それが将来、役立つかは謎だけど……。

『風ちゃんは、体力だけじゃないよ。明るくて、元気で、コミュ力高いし。絶対に凄いシルフィードに、なると思うもん』

『買いかぶりだよ。上手く行かなかった時ハズイから、あまり褒め過ぎないでー』
『あははっ』

 こうして、しとしと雨の降る夜中に、ユメちゃんとの、他愛もない会話が続く。話しているうちに、すっかり元気になってきた。

 ELが社会問題になっているとはいえ、こうして離れた場所の人と、いつでも繋がっていられるのって、凄く安心感があるんだよね。特に、夜中のELは最高に楽しい。

 よし、元気も出てきたことだし、雨に負けず頑張りまっしょい!


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次回――
『隠れ家的なお店って看板がないから気付かないんだよね』

 外に灯りが洩れたら、隠れ家にはならないだろ?
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