好きなんて、ウソつき。

春茶

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関村ver2

真実

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そして次の日事件は起きた。

いつも通り未菜におはようって言ったのに無視された。
しかもあのキノコが話しかけてきたせいで未菜を追いかけられなかった。

「…なんで怒ってんだあいつ」

「なに、ケンカでもした?」

「なんかしたっけな…」

「なんもしてないんじゃない?」

「お前に言ってない」

「ずいぶんでかい独り言だね」

なにやら髪の毛をとかしながら興味津々で目を輝かせるキノコ。

「っるせーな。おっきくてもちっさくても俺が独り言だと思ったら独り言なんだよ」

「で?どうしたの」

「…無視されただけだ」

「えー?可哀想!慎也にそんなことする彼女いるんだね」

「…ちょっと未菜のとこ行ってくる」

このままじゃ、イライラしてまともに授業もうけれねぇし。

そのあと未菜のクラスに行き、なんやかんやといろいろ話し合った結果ヤキモチだったんだと。

本人から言われるとなんとも言えない嬉しさと愛しさが俺の体温を上げる。

やきもちかぁ。
可愛よなぁそういうところ。
時々理性がぶっ飛びそうになるけど学校では流石に保ってるつもり。
だめだな、彼女にこんな悲しい顔させちゃ。

もっと彼氏らしくしなきゃな。
そう思っていたのに、また事件が起きた。


「じゃじゃーん!お昼だよ慎也!起きて起きて」

寝ている俺の耳元で叫ぶキノコ。

「…ったく、なんだようるせーな」

…って、もう昼か。
やっとあいつの顔見れる。
うるさいキノコを無視して立ち上がりクラスから出ようとするとそれを遮るように目の前に立ち塞がるキノコ。

「あ、待って。はいっ!これ」

「…なにこれ」

渡されたのは女子って感じの可愛い弁当箱。

「慎也のために作ったんだぁ!」

「いや、なんで俺?」

「だっていっつも売店で買ってるんでしょ?そんなの体に悪いよ!」

彼氏でもない俺のことを心配してくるこの女の考えてることがよくわからない。

「俺なんかの心配しないでその彼氏につくってあげればいんじゃねーの?」

「っるさいなぁ。ほらっ、あたしは行くね!」

「おい待てっ…」

おれの言葉を待たずに風の如く消えていった。
手にはピンク色のお弁当袋。

…昼飯まだ買ってなかったから丁度よかったけど、こんなの受け取ってよかったんだろうか。
まぁ…弁当作るのも簡単じゃないしせっかく作ってくれたんなら食うか。

とりあえず未菜を迎えに行って、いつも通り屋上に行く。

「あれ?お母さん今日は作ってくれたんだ!珍しいね」

違うって、素直に言えばよかったのに

「…ん、まぁ」

とっさに嘘をついてしまった。

隣で無邪気に笑う未菜。
嘘をついてしまったという罪悪感のせいか胸が苦しくなり、結局お弁当に手をつけなかった。

別に隠すことじゃねぇだろ。
あー、なんで受け取っちまったんだ俺。
自分の押しの弱さを反省しながらも未菜の寝顔をみてすこしほっとした

…のは、つかのまで。

トイレから戻りドアを開けようとすると2人の話し声が聞こえたきた。

…この声、ナナ?

「だめだね。あなたがわかってることあたしがわかってないなんて」

…なんのことだ?
未菜だよな今の声。

「…ほんとだよね。私の方が関村のことわかってるかも?」

…まさか今のあいつが言ってんのか?

「…別れてよ。私のほうがお似合いだし関村のこと未菜ちゃんより想ってる。関村だって私に愚痴ってるぐらいだもん疲れてるんだよ」

耐えられなくてドアを開けた。
この状況が全く理解できない。
だけど、未菜が泣いている。
走り出す未菜の背中を追いかけようとするとナナに腕を掴まれた。

「ねぇなんでお弁当食べてくれなかったの?これ手もつけてないよね」

もう、限界だった。
力任せにナナを壁に押し付けて顔の横に拳を叩きつけた。

「きゃ…っ」

自分の怒りを必死に沈めようとした。
握りしめる拳がキリキリと音を立てる。

「てめぇなに考えてんだ?私の方がお似合いだ?笑わせんなよ。なんでそんなこと未菜に言えんのかなぁ?」

怒りで声が震える
せっかくまた元に戻れたと思ったのに。
また拗れた。
また泣かせた。

「俺がいつお前に未菜のこと愚痴った?未菜のことでてめぇに真剣に相談したことなんてあったか?お前になんかによぉ」

ナナの体が小刻みに震える。

「弁当もあいつが嫌な思いすんの知っててわざと渡したのか?」

「…ごめんなさい…。」

「…もうこれ以上、俺たちの邪魔してくんじゃねぇぞ。また余計なこと言って未菜のこと傷つけたら女でも許さねぇからな」

「怖い…」

うつむき泣き出すナナから離れた。

「ごめんなさい…ほんとはウソなの。彼氏いるなんて」

「…で?」

「好きって伝えたら友達でいられなくなるってわかってた…。それに彼氏でもいるって言わないと慎也仲良くしてくれないから」

女の涙は嫌いだ。
いままで幾度となく見てきたけど、泣く姿を見るたびに胸が痛くなる。
そのたび、苦しくなる。

「だからって、未菜を傷つけていい理由にはならないから」

「あたしだって…辛くて悩んだよ、たくさん。でも慎也に気持ち伝えられないのに誰に言えっていうのよ…っ」

…そうか、俺のせいか。
俺の言葉でこいつを余計辛くさせて、未菜にまで被害が及んだのか。
じゃあ未菜を傷つけたのは…俺のせいだ。

「あたし…このままじゃ慎也のこと諦められないっ。ちゃんとケジメつけてもらわないとまた未菜ちゃんに迷惑かけちゃうかもしれない」

「は?」

「そしたら慎也…流石に振られちゃうかもね」

こいつの考えてることが本当に分からない。
でも、もうこれ以上俺たちの邪魔はしてほしくない。
ほんとに、ただそれだけ。
俺は未菜と普通に笑って過ごしたいだけなんだ。

「…わかった」

「…え?」

「言いたいこと、今俺に言え。ちゃんと聞いてやる」

「なんでも…いいの?」

「あぁ」

「じゃあ…」















『あたしを抱いて』






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