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「さっきはすみませんでした。コノミには言ってきかせましたから」

「ううん、あたしが悪いから」

あの後、お会計を済ませたあたしの携帯にユウ君から着信があり今こうして夕方の公園のベンチに腰掛けている。

「ユウ君はさ、コノミちゃんのことどう思ってるの?」

「どうとは?」

「えっと…。なんでもない」

あたしがそんなこと聞いたところで、何も変わらないよな。

「そういえば俺に会いたいって言ってましたけど、何か用事ありましたか?」

「あっ、えっと…実は大した用事はないんだよね」

「そうですか」

「なんかごめん…」

「いえ。別にいいですけど」

するとユウ君はずっと手に持っていた紙袋を渡してきた。

「えっ、あたしに?」

「開けてみて下さい」

中には綺麗に包まれたプレゼント箱が入っていた。
言われるがままリボンを解いて蓋を開ける。

「わぁ…」

ピンク、黄色、水色。
小さな小瓶の中に詰められた色とりどりのお花達が夕焼けに照らされて綺麗に輝いている。

今までずっと、興味のない人からのプレゼントはブランド物に限るって思ってた。
一番もらって嬉しかったのはパパにもらった何百万もする時計…だったけど。

高価なプレゼント以外でこんなに嬉しくなるものがあるなんて、知らなかった。

こんな綺麗なもの初めてもらったから。

「僕のセンスなので、喜んでもらえるかわかんないですけど」

「ううんっちょー可愛い!ありがとう」

「…っ」

「あ…ごめんっ、つい嬉しくて」

ユウ君に満面の笑みを向けてしまい、我ながら恥ずかしくなった。

「…今日彼氏さんと来てたみたいだけど、俺からこんなプレゼント貰って怒られませんか?」

「え、気づいてたの?」

「はい。二人とも結構目立っていたので」

やっぱりあたしがくっついてたの見られてたんだ。
ここで彼氏じゃないって否定するのもなんか変だよね…。

「怒らない怒らない。彼氏からもこんなの貰ったことないよ~。ありがとうっ」

このタイプはお水あげなくていいやつだよね。お部屋に飾る前に部屋片付けないと。

「…ナナミさんは、花が似合います」

「え?」

ふと、彼と目が合う。
透き通った綺麗な瞳に吸い込まれる様に、あたしは動けなくなって。

な、何この雰囲気っ。
もしかして、キスの流れ?
このパターン、今までの経験上キスする流れじゃないの…?

すると彼の大きな手があたしの頬に触れた。

「ちょ…へ?」

「顔、真っ赤ですよ」

「はぁ!?ちょっと大人をからかう…な」

今までちゃんと、この子の笑った顔を見たことがなかった。
だからだと思う。

「綺麗です」

あたしに優しく微笑む彼の笑顔に目が離せなくて、あたしきっと、この子に恋してるんだって気づいてしまった。



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