【完結】ハロウィンパーティーで出会った狼獣人にとろとろに愛されてしまいました!

伊達桜花(青葉さくら)

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ジェフリーという男

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「ねえあなた、ジェフリーと知り合い?」

オードブルを完食し、次はローストビーフを……と考えていたつかさの前にぴょんっと飛び出してきたのは、バニーガール姿の女性だった。
大きなルビー色の瞳がぱちぱちと忙しくまばたきをしている。
庇護欲をそそる可愛らしい顔をしているなぁとつかさは思った。
ふんわりとカールされた栗色の髪。
出るところは出て、締まるところは引き締まった身体に黒のバニーガール衣装が艶かしく、顔とのギャップが大きい。
慎ましい自分の胸元につい目が行ってしまうのも無理はないだろう。
ちなみに身長はつかさと同じくらいなので、この差は何だろう……と密かに悩むつかさである。

「さっき、外でぶつかって……彼の落とし物を拾っただけです」
「それって今日初めて会ったってこと?!」

大きな瞳をさらに大きく見開いて、バニーちゃんはさらに前のめりになった。

「そうですが……何か?」
「あのクールビューティーのジェフリーが!どれだけ美人が言い寄っても冷たくあしらってきたジェフリーが!女の子に食事をサーブするとか!初めて見た!!」

グイグイと距離を詰めるバニーちゃんに、つかさは思わず後ずさってしまう。
しかも周りに丸聞こえになる程の大声で喋ってくるから「え?!何それ詳しく!!」「マジで?!あのジェフリーがついに落ちたの?!」「ちょっと!私、一万も賭けてるのにー?!」などとわらわらと人が集まってくるので、つかさはこの場から逃げ出したくて仕方がない。
だが、バニーちゃんが左腕をがっちりホールドしてるため、身動きが取れずにいる。最悪だ。

みんなの話を総合すると、ジェフリーは誰に対しても冷淡で表情筋が全く機能しないとのこと。
言葉使いがやや乱暴なのも通常運転なのだとか。
色仕掛けをしても全く態度が変わらないので、ジェフリーに彼女が出来るかどうかの賭けがスタッフと常連客の間で現在進行形で行われているらしい。

「ちなみに私はできないに賭けてるの」
 
などとバニーちゃんは要らない情報まで口にしてきた。
 
(彼女、いないのか…….)

なぜがホッとする自分がいることを、つかさは見ないふりをする。
だってまだ会って数時間しか経ってないのに、こんなに気になるとか、普段のつかさではあり得なかった。
ちなみに彼女が出来るに賭けているのは、オーナーのルイスの他に数人だけらしい。
そんなジェフリーがつかさに食事をサーブしたと聞けば、そりゃどんな人だ?!となる訳で。

「ねえねえ名前は?」
「今日ここは初めて?」
「ひとりで来たの?誰かと一緒?」
「肌すっごい綺麗ねー!化粧品何使ってるの?」
「きゃー!リアルほむほむよー!めっちゃ可愛くね?!」

取り囲んでいる女性達から矢継ぎ早に質問が飛んでくるが、どこから返事をすればいいのか分からずに戸惑ってしまう。
ついでに言うと会場中がつかさの存在に注目しているのだが、本人は気づいていない。

「あたしね、ミミルって言うの!ミミって呼んで!」

バニーちゃんはつかさの腕を離すことなく、自己紹介をしてきたので、やっと「御影つかさです」とひとつ答えることができた。

「可愛い名前ねー!つかさはジェフリーのこと、どう思ってるの?!」
「え……それは……」

ミミルのどストレートな質問に、つかさは言葉を失った。

今日初めて会ったばかりだけど、なぜか気になる。
名前を聞くだけで胸が熱くなり、お腹がじゅん、と疼く。
バクバクと鼓動が早くなる。
次々と自分の身体が自分のものでないような反応が出てくる。
 
これは何?
私は一体どうしてしまったのだろう?

 
その答えは――――――――


「お客様の中に御影つかさ様はいらっしゃいますでしょうか?」

つかさの思考を遮断させ、会場の空気をぶった斬る呼びかけに、その場にいる人は一斉に声のする方に注目した。
 
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