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蛍月の池
しおりを挟む「......ここだ」
あの屋敷を出てからどれくらいだっただろう……
私の目の前に1本の大きな杉の木がそびえ立っていた。
『目印は一回り大きな杉の木...』
あの人の言ってたことは本当だったんだ。
正直、半信半疑のままここに来てしまったから目当ての木が見つかってホッとした。
「あ、そうだ」
私、ここまで裸足で走っていたのに全然痛くない…
まさかと思い足裏を見て見ると、やっぱり怪我どころか傷一つ付いていなかった。
「結局、私の身体に何が起きたか分からないままだったなぁ...」
持っていた地図を広げて、目印の杉の木から蛍月の池に向かう方角を確認した。
すぐ側にあるはずなんだけど、池らしき場所がどこにも見当たらない…このまま進んでも大丈夫なのか…そう悩んでいた時だった
「~~……」
「え?」
今、なにか聞こえた…?辺りを見渡したけれど誰もいない。気のせいかと思ったのもつかの間、またどこからかボソボソと何かが聞こえてきた。
「…~……」
「あっちから?」
音のした先が探していた蛍月の池がある方角と一緒だった。
「……」
あそこに行けば…何かが分かる。
意を決した私は、一歩前に踏み出した。
ガサガサッ
胸元まで伸びた雑草が行方を阻む。それを手でかき分けて真っ直ぐ進んだ。
「~~……」
「近くなった…?」
僅かにだけど、さっきより音が聞こえるようになった。あれは…声だろうか?ふと、あの人が言ってた事を思い出した。
『ちょっと変わった奴が住み着いてね。』
もしかしたらその人の声かもしれない。
どんな人なんだろう?
池に近づく度にドッドッドッと鼓動が早くなるのがわかった。
いくつもの木々の間を通り抜けて進んでいくと目の前に開けた場所が見えた。
「あれが…!」
気づくと私は走り出していた。
雑草に引っかかり転びそうになりながらも、目的の場所へと無我夢中で走り、そしてーーー
「ここが……」
やっと…たどり着いた。
久しぶりに走ったせいで呼吸が苦しくなった。
息を整えたあと、月で明るくなった夜の池を見渡す。
誰も来てないせいか、池の周りは無造作に生えた雑草だらけ。
池自体も想像していたよりも小さかった。
けれど池の水は想像以上にとても綺麗に澄んでいて
月が水面に反射している。
その反射された月に魅了され、私は近くの倒木に腰掛けて池を眺めた。
「……」
シンッと静かな周囲、月で照らされた夜にふと昔のことを思い出した。
虐められ続けた学校生活、
人として扱われなかった日々、
母からも見捨てられた日常、
父が私を置いて出ていったあの日…
あぁ…なんでこんなこと今更思い出すのだろう
何もかも捨てて、全て終わらせたと思ったのに。
忘れたくても忘れられない苦い記憶にキュッと胸が締め付けられた。
私ってなんで生きていたんだろう
どうしてこんなことになったんだろう
「私は…」
私って一体……いや、私は……
『イラナイコ』
「!!」
突然、私の背後から声が聞こえた。
慌てて振り向いたけれど辺りには誰もいない。
『ナニコレ、ドコ?ドコ?』
「え…?」
『コワイコワイコワイコワイコワイ』
「うそ…」
この声、私の思っていることを喋ってる…!
どういう訳か、私の考えていることや心の中で
思ったことを詠み取って、私に語り掛けていた。
『ワタシハ、イラナイコ』
「っ!!」
『ミンナ、ハナレテイク』
『ミンナ、キライ、ダイキライ』
まるで耳元で囁くように私の心の言葉を抜き取っていく。何度も辺りを見渡してもその声の主は見つからない。
『ヤメテ、イワナイデ』
「……っ」
『イヤダ、タタカナイデ』
『ゴメンナサイ』
「やめて!!!」
急いで耳を塞いで蹲る…それでも私の言葉は塞いだ耳をすり抜けて頭の中へ侵入してきた。
何でこんなことするの…この声一体なんなの?
『アノトキ、シンデイレバ…』
「……」
『シニタカッタノニ、ジャマサレタ』
そうだ…
『カワッタヤツ』
『その池に30年くらい前からちょっと変わった奴が住み着いてね…』
ひょっとしたらこの声が…私の探していたーーー
「ねぇ、あなたがここの池の主?」
『……』
ドキドキしながら話しかけてみたけれど返事はない。
違うのかな…そう思いながらふと後ろに振り返った瞬間だった。
「ひゃっ!」
私の後ろに巨大な黒い化け物が現れたのだ。
驚きのあまり情けない声をあげて、その場に尻もちをついてしまった。
「オマエ、オレ、ワカル?」
「え…?」
「オレ、ココニ、イル、ズット」
巨大な化け物は3m位の大きさで、よく見てみると猿顔…いや、猿だ巨大な猿なんだ。でもこんな大きな猿が日本にいるの?そもそも、猿が人の言葉を喋っている…。
「オレ、オカシイ?」
「……っ」
「オレ、オカシイデモ、オマエモ、オカシイ」
「え?」
硬直して動けずにいる私に、猿は顔を近づけて
私の体の匂いを嗅ぎ始めた。
「っ!!」
「オマエ、フシギナニオイ、ニンゲン?」
「私は人よ?」
「ニンゲン…デモ、チガウニオイ、アル」
「匂い?」
双子ちゃん達の匂いでも付いていたのかな?
自分で匂いを嗅いでも何が違うのかよく分からないけれど、巨大な猿は不思議そうに私を見て指を指してきた。
「ニンゲン、ヨウカイ、イッショ」
「?」
「オマエ、マザッテル」
「混ざってる…?」
「フタツノチ、マザッテル、オマエ、ドッチ?」
意味は片言のせいでよく分からないけど、ひょっとしたら私の身体をおかしくした原因ってその混ざっている血ってこと?
「あの…その血を取り除くにはどうすればいいの!?」
「??」
「私、ある人達に変なの入れられちゃって…それで、元に戻したくて、えっと…なんて言えばいいのかな」
「イラナイ?ジャア、オレ、オマエ、タベル」
ゾクッ!
大きな猿の一言に一瞬、背筋が凍る。
さっきよりジワジワと近づき、
私をじーっと物欲しそうに見つめてきた。
「イイヨネ?ネ?」
「え…そ、そうだね」
そうだよ…躊躇うことなんてない
痛いのなんて一瞬なんだ。
食べられたって何もーーー
「シニタクナイ」
「…!」
「コワイ、シヌノコワイ、デモシニタイ、イヤダ」
これは…私の声?
そんなはずない…だって私は死ぬためにここに来て…
「カエリタイ」
「!!」
「シニタクナイ、カエリタイヨ」
「違うっ!そんなことない!!!」
「イヤダ、コワイ、ダレカ、シニタクナイ」
「うるさいうるさい!やめて!!!」
「おかあさん」「おとうさん」
ーーーーっ
プツンと頭の中で何かが切れたような音がした。
お母さん…お父さん…どうして助けに来てくれないの?
私、家出したんだよ?たくさん怪我したの、変なものも身体に入れられて、変な化け物に食べられそうなんだよ?
ねぇ、どうして…?
どうして来てくれないの?
力が抜けて、ガクンと肩を落とす。
見上げると空を隠すほどの大きな猿。
あぁ…何してるんだろう私…
「もういいよ…」
「タベテ、イイ」
「うん、もう疲れた」
その瞬間、大きな口でニヤリと笑う大きな猿。
そして大きな手で私をガシッと掴み、
ヨダレを垂らしながら美味しそうに見つめた。
「ヤッタ、ヤッタ、オレ、オマエタベテ、ツヨクナル」
「そう…よかったね」
もうどうでも良い。
せめて痛くないように食べてくれたらいいな。
「さようなら。」
これで終われる……
「華炎」
突然ゴオーッと突然私と猿の間に炎が現れた。
「ギャアアアアアア!!!」
炎に怯えた猿が、とっさに私を握る手を緩めた。
あ、落ちる…!そう思い、ぎゅっと目をつぶった。
「…遅れてすまない」
あれ…痛くない?ゆっくり目を開けると
銀色の長髪の男性が私を抱えていた。
色白な肌と切れ目、周囲に漂う炎のように
赤く少し黒が混じった瞳、細くも逞しい腕で
私をゆっくりと下ろした。
「えっと…」
「ん?…あぁそうか、この姿は初めてだよな。」
「あなたは…」
「俺だ。焔だよ…一華」
焔って…本当に?
私が知っている焔とは全く別人だ。
焔はもっと無邪気な笑顔で笑う普通の青年だった。
でもこの人は…キツネみたいな耳を付けた年上の男性にしか見えない。それに後ろにはゆらゆらと揺れる尻尾がいくつも見えた。
あまりにも姿かたちが変わっている焔に
動揺していると森に響くほどの叫び声が聞こえた。
「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
慌てて振り向くと炎に驚いていた猿が
怒り狂った様子で私たちの前に現れた。
「オマエ、ヨクモッ!」
「……っ」
「一華、大丈夫だ」
「……」
それだけ言うと私を庇うように前に出る。
今にでも襲ってきそうな猿に焔は静かに睨みつけた。
「お前、覚だな」
「!?」
「ここら辺の弱い妖怪を食って力をつけていたか。先程一華に何をするつもりだった。」
「オマエニハ、カンケイナイ!ソイツタベテ、オレ、ツヨクナル!!」
「言うことはそれだけか?」
「ヒッ!?」
突然焔の尻尾がブワッと逆立ち、
右手を前に出すと手のひらから炎が現れた。
「覚悟は出来てるだろうな…?」
「!?」
焔の鋭い視線と気迫に一瞬たじろぐ覚。背後にいる私でさえ、焔の静かな怒りにゾクッとした。
これが本当に焔なの…?正直未だに信じ難い。
けれど、さっき私に言ったあの言葉…
「大丈夫だ。」
あの言葉は何故か少し…安心した。
覚が警戒しながら身構えている中、焔は右の人差し指を覚に向けると何か術を唱えた。
「火縄」
術を唱えた瞬間、指先から長くしなやかに動く炎が出現して覚の周囲を囲んでいった。
「ナンダ!?コレハ!!」
覚が動揺しているのもつかの間、焔は人差し指を一気に引っ張ると囲っていた炎は覚を捕えて、身動きが出来ない状態になり、さらには炎の勢いが強くなったことであっという間に火だるまとなった。
「ギャァァァァ!アツイッアツイィイイ!!」
「どうした?もう降参か?」
「……っ!!」
炎の熱さに苦しみながら覚は焔の挑発に腹が立ったのか火だるまのままこちらへ走ってきた。
「ひっ!」
「問題ない」
驚く私に対し、動じなかった焔は私の腰を持ってスッとただ避けるように横に移動させた。本当にいいのか?とオロオロしていると、火だるまの覚がどんどん近付いてきていた。怖くなった私はぎゅっと目をつぶった。
「……あれ?」
恐る恐る目を開けると先程まですぐ目の前まで迫ってきていた覚の姿がない。するとバシャバシャと後ろから水の音が聞こえ、振り返るとそこには覚が池の中に入っていたのだ。
彼はあの時こちらに向かってきていたのではなく、私たちの後ろにある池に向かって走っていたのだと分かった。
この炎を何とか消そうと池の中へ飛び込み、水面には泡がブクブクとたくさん出ていた。
しかし…
「ナゼダ…!ナゼキエナイ!?」
ザバーッと池の中から出てきた覚。それは先程と全く変わらない炎に包まれた姿だった。動揺する覚に対して、焔は冷たい視線で眺めていた。
「そりゃそうだろ。だってそれ狐火だからな」
「ナニッ!?」
「きつねび…?」
「あぁ俺ら九尾にしか出せない火だ。そう簡単には消えない。」
九尾…昔話に出てくる妖怪…だよね?
嘘のような、でも実際に私は目の当たりしている。
次々と現れる狐火、そして9本の尻尾と鋭くピンと立つ耳。口を開く度に鋭い牙が見え隠れしていた。
「クソクソクソクソ!!!キエロ!!キエロォオオ!!」
「おいおい、さっきまでの勢いはどうした?一華を食べると言っただろ?あ?」
「ウゥ…アツイ…アツ、ィ」
段々と声が弱まっていく覚、呆然と立ち尽くす私を置いて焔は、苦しむ覚のすぐ側に立った。
「これで終わりだ」
手のひらを覚に向けると小さかった狐火がどんどん大きくなっていく。
これで終わるんだ…でも、なんだろうこの気持ち…
「俺に歯向かったことをあの世で後悔するんだな」
「ヒィィィィ!!!」
手のひらいっぱいに大きくなった狐火を放とうとしたーーー
「待って!!!!!!」
咄嗟に出た言葉、そして勝手に動いた身体が焔の右腕に咄嗟にしがみついていた。突然の事で焔も動揺したせいで、大きくなっていた狐火が分散された。
「なっ…一華!?」
「……!」
「あ、あの…もういいというか、この人も十分反省しているから、その……」
勝手に動いた身体は焔の腕にしがみついていた。
あぁ…どうしよう上手く言えない…でも、この腕は絶対に離してはいけない気がする。
ぎゅっと目をつぶり、しがみつく力が無意識に強くなっていた。
「………っ」
「…分かった」
「え?」
ポカンと見上げると、優しい眼差しで強く掴んでいた私の手をそっと離し、覚の方へと進んでいく焔。反撃する余力も無くなっていた覚を見て、手をかざし、狐火を解除したのだ。
「ナ、ゼダ」
「勘違いするな。一華が止めたから狐火を消したまでだ。もしまたなにかしてくるようなら容赦しない。」
「シシシシナイ!!」
「なら、さっさと行け。二度と俺たちの前に現れるな」
「ヒ、ヒィイ!!」
焔の気迫に怖気づき、悲鳴をあげながら森の奥へと消えていったーーー
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