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第112話 それぞれの思い
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(アキちゃん達もそろそろか・・・。頑張ってくれっ!)
武蔵からの連絡を待ち、突入の指揮を取る竜馬。
一瞬、頭に浮かんだ【ムーラン・ルージュ】の事を振り払う。
「総員っ、突入用意っ!」
竜馬の声が夜の中華街に響いた。
「何か気になるのか?」
隼人が隣に居る范に問いかける。
「いえ・・・。何も・・・」
「大丈夫だ」
「えっ!?」
「きっと、【ムーラン・ルージュ】が勝つ・・・」
「陣内警部補・・・」
「竜馬が作った曲をあの娘達が歌って、負ける訳が無い」
「はいっ!」
范の笑顔を見て隼人が言った。
「俺達も負ける訳にはいかないっ!」
隼人の優しさと強さに改めて、孫逮捕の意志を強く固める范であった。
「アキ・・・。お前ならやれるっ!」
二月会本部から如月の乗った車が出発した。
萬度の包囲網の一角を担い、歴史上過去に類を見ない『FoolsFesta』
如月達日本のヤクザの真価が問われているのだ。
愛娘の勝利を信じて、如月が出発した。
(モウ、始マッタ頃カナ・・・)
漆黒の闇の中、フランスへと向かう旅客機の中で目を閉じるケリアン。
(【ムーラン・ルージュ】の皆・・・、頑張ッテ。カトリーナ・・・)
「ねぇねぇ、ケリアン君はどれにするぅ?」
図々しく隣の席から話しかけて来たのはヤミである。
「何ノ話ダ?」
「機内食だよぉ。しばらく日本には来ないだろうから、和食にしとこうかなぁ。あっ! 未羽ちゃんも一緒で良いよねぇ?」
「勝手にしろ・・・」
「はーい。それじゃあ、ここは和食3つねぇ」
ヤミの笑い声が機内に響いていた・・・
その目的地であるフランスでも・・・
「コレが【ムーラン・ルージュ】か。ケリアンの事もあるガ・・・。」
執務室で衛星中継を観ているのは、マシュラングループの総帥 カロロス・ゴールである。
「何よりモ、孫とは馬が合ワン・・・」
そう言うと、リモコンを手にして・・・
「確かに・・・。3つ星レベルだナ」
そう呟いたのであった。
アメリカ合衆国・イリノイ州グレート・レイクス海軍基地――
「Hey!Malia! what looking ? (万莉亜? 何見てるの? の意)」
「These girls(この娘達の意)」
万莉亜の同僚達が集まってきて、衛星中継を覗き込む。
「Wow! Japanese girls?(日本の娘達? の意)」
「Very cute!(とても可愛いの意)」
「They are my sister's best friends (彼女達は私の妹の最高の友達 の意)」
「Well then・・・(それじゃぁ の意)」
「We'll support !(応援してあげなきゃ の意)」
振り返った万莉亜の目には、リモコンを手にした何人かの隊員が映っていた。
ラスベガスーー
「Mr. President(大統領閣下の意)」
電話しているのは、ジェームズ・アデルソンである。
「I don't have time now(今は手が離せません の意)」
そう言って一方的に電話を切る。
そして・・・
衛星中継の画面をじっと見る。
「Do your best!(頑張れ の意)」
審査員の抽選には落ちても、気持ちだけは届くと信じているのだろうか。
多くの人々の期待を受けて、決勝戦はいよいよクライマックスを迎えようとしていタ。
大成金飯店近くの路上に停車した車の中で、竜馬のスマホが着信音を鳴らした。
「俺だっ!」
満を持して待っていた竜馬が画面をスワイプする。
「竜馬っ、拿捕した密輸船から『エス』を押収っ! 孫を押さえろっ!」
待ち続けていた一報である。
「良しっ! 行くぞっ!」
待機していた車から、竜馬達が走り出て駆の居る部屋へと駆け上がる。
大人数に足音が廊下に響き、駆の居る部屋の扉が大きな音を立てて開けられた。
「何ダッ、オ前達ハッ!」
ボディガード達が孫を守るように取り囲む。
「厚生労働省麻薬取締部だっ! 動くなっ! 孫王文っ!」
「麻取ダトッ!」
「ボスッ、コッチへッ!」
リーダー格のボディガードが孫を裏へと誘導し逃げ出し、他のボディガード達が竜馬達の侵入を阻む。
「早瀬ッ! ヤッテクレタナッ!」
捨て台詞を吐きながら孫が逃亡する。
「待てっ!」
追おうとする竜馬達だが、階下に降りた孫は待機させていた車に乗り込み走り去った。
その後ろをパトカーがサイレンを鳴らして追いかける。
「日本ッ! 許サナイッ!」
孫は逃走する車の中から、自分の息のかかった組織に電話を架け続ける。
「俺ダッ! 大暴レシテ、日本ヲ滅茶苦茶ニシロッ!」
「孫大人ノ命令ダッ!」
「日本人ヲヤッテシマエッ!」
東京だけでなく関東各地に点在する萬度の拠点から、武器を持った中国人達が街に走り出ようとする。
「何処に行こうってんだっ!」
飛び出そうとする中国人達の前に立ちはだかる男達が居た。
「ナンダァ?」
「二月会の如月だっ! てめえらここからは一歩も出させねぇっ!」
如月の言葉に合わせて、ビルの出口を封鎖している組員達が一斉に銃を抜き構える。
「マ・・・、待テ・・・」
戦意を失った中国人達が持っていた武器を手放し、次々と投降していく。
同じことが各地で起こっていた。
「バカナ・・・、警察ハ何ヲシテルッ! ヤクザ ダゾッ!」
孫でなくとも、日本の警察機構とヤクザが手を組む事など誰も考え付かないだろう。
武蔵からの連絡を待ち、突入の指揮を取る竜馬。
一瞬、頭に浮かんだ【ムーラン・ルージュ】の事を振り払う。
「総員っ、突入用意っ!」
竜馬の声が夜の中華街に響いた。
「何か気になるのか?」
隼人が隣に居る范に問いかける。
「いえ・・・。何も・・・」
「大丈夫だ」
「えっ!?」
「きっと、【ムーラン・ルージュ】が勝つ・・・」
「陣内警部補・・・」
「竜馬が作った曲をあの娘達が歌って、負ける訳が無い」
「はいっ!」
范の笑顔を見て隼人が言った。
「俺達も負ける訳にはいかないっ!」
隼人の優しさと強さに改めて、孫逮捕の意志を強く固める范であった。
「アキ・・・。お前ならやれるっ!」
二月会本部から如月の乗った車が出発した。
萬度の包囲網の一角を担い、歴史上過去に類を見ない『FoolsFesta』
如月達日本のヤクザの真価が問われているのだ。
愛娘の勝利を信じて、如月が出発した。
(モウ、始マッタ頃カナ・・・)
漆黒の闇の中、フランスへと向かう旅客機の中で目を閉じるケリアン。
(【ムーラン・ルージュ】の皆・・・、頑張ッテ。カトリーナ・・・)
「ねぇねぇ、ケリアン君はどれにするぅ?」
図々しく隣の席から話しかけて来たのはヤミである。
「何ノ話ダ?」
「機内食だよぉ。しばらく日本には来ないだろうから、和食にしとこうかなぁ。あっ! 未羽ちゃんも一緒で良いよねぇ?」
「勝手にしろ・・・」
「はーい。それじゃあ、ここは和食3つねぇ」
ヤミの笑い声が機内に響いていた・・・
その目的地であるフランスでも・・・
「コレが【ムーラン・ルージュ】か。ケリアンの事もあるガ・・・。」
執務室で衛星中継を観ているのは、マシュラングループの総帥 カロロス・ゴールである。
「何よりモ、孫とは馬が合ワン・・・」
そう言うと、リモコンを手にして・・・
「確かに・・・。3つ星レベルだナ」
そう呟いたのであった。
アメリカ合衆国・イリノイ州グレート・レイクス海軍基地――
「Hey!Malia! what looking ? (万莉亜? 何見てるの? の意)」
「These girls(この娘達の意)」
万莉亜の同僚達が集まってきて、衛星中継を覗き込む。
「Wow! Japanese girls?(日本の娘達? の意)」
「Very cute!(とても可愛いの意)」
「They are my sister's best friends (彼女達は私の妹の最高の友達 の意)」
「Well then・・・(それじゃぁ の意)」
「We'll support !(応援してあげなきゃ の意)」
振り返った万莉亜の目には、リモコンを手にした何人かの隊員が映っていた。
ラスベガスーー
「Mr. President(大統領閣下の意)」
電話しているのは、ジェームズ・アデルソンである。
「I don't have time now(今は手が離せません の意)」
そう言って一方的に電話を切る。
そして・・・
衛星中継の画面をじっと見る。
「Do your best!(頑張れ の意)」
審査員の抽選には落ちても、気持ちだけは届くと信じているのだろうか。
多くの人々の期待を受けて、決勝戦はいよいよクライマックスを迎えようとしていタ。
大成金飯店近くの路上に停車した車の中で、竜馬のスマホが着信音を鳴らした。
「俺だっ!」
満を持して待っていた竜馬が画面をスワイプする。
「竜馬っ、拿捕した密輸船から『エス』を押収っ! 孫を押さえろっ!」
待ち続けていた一報である。
「良しっ! 行くぞっ!」
待機していた車から、竜馬達が走り出て駆の居る部屋へと駆け上がる。
大人数に足音が廊下に響き、駆の居る部屋の扉が大きな音を立てて開けられた。
「何ダッ、オ前達ハッ!」
ボディガード達が孫を守るように取り囲む。
「厚生労働省麻薬取締部だっ! 動くなっ! 孫王文っ!」
「麻取ダトッ!」
「ボスッ、コッチへッ!」
リーダー格のボディガードが孫を裏へと誘導し逃げ出し、他のボディガード達が竜馬達の侵入を阻む。
「早瀬ッ! ヤッテクレタナッ!」
捨て台詞を吐きながら孫が逃亡する。
「待てっ!」
追おうとする竜馬達だが、階下に降りた孫は待機させていた車に乗り込み走り去った。
その後ろをパトカーがサイレンを鳴らして追いかける。
「日本ッ! 許サナイッ!」
孫は逃走する車の中から、自分の息のかかった組織に電話を架け続ける。
「俺ダッ! 大暴レシテ、日本ヲ滅茶苦茶ニシロッ!」
「孫大人ノ命令ダッ!」
「日本人ヲヤッテシマエッ!」
東京だけでなく関東各地に点在する萬度の拠点から、武器を持った中国人達が街に走り出ようとする。
「何処に行こうってんだっ!」
飛び出そうとする中国人達の前に立ちはだかる男達が居た。
「ナンダァ?」
「二月会の如月だっ! てめえらここからは一歩も出させねぇっ!」
如月の言葉に合わせて、ビルの出口を封鎖している組員達が一斉に銃を抜き構える。
「マ・・・、待テ・・・」
戦意を失った中国人達が持っていた武器を手放し、次々と投降していく。
同じことが各地で起こっていた。
「バカナ・・・、警察ハ何ヲシテルッ! ヤクザ ダゾッ!」
孫でなくとも、日本の警察機構とヤクザが手を組む事など誰も考え付かないだろう。
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