97 / 129
第96話 準決勝 決着!
しおりを挟む
僅かな停電から復旧したアイドル甲子園準決勝戦――
照明が復旧し、何事も無かったかのように三波の司会が始まった。
「急な停電でお騒がせしました。それではこれより投票となります。先に決勝戦進出を決めている神奈川代表の【ダイナマイト・ガールズ】に挑むのは果たしてどちらでしょうか!」
三波が、この準決勝からは投票方法が変更となった事を掻い摘んで説明する。
「・・・、このように会場の一般審査員200名で200点・特別審査員の10名100点に今回からは、テレビ中継をご覧の皆様、100名100点の総得点400点を競い合います!」
「それでは、会場の一般審査員の方の投票をお願いします」
三波の声とともに、集計ボードの数字が回り出す。
無論、神酒と晶も用意されたボタンを押す。
そして・・・
【ムーラン・ルージュ】106点・【Konamon18】94点と数字が表示された。
「おおっと、僅かに【ムーラン・ルージュ】がリードしているみたいです。では、特別審査員の皆さん、投票をお願いします」
集計ボードの数字が一度消え、改めて回り出す。
「50対50っ! イーブン、同点となりましたっ!」
三波もだんだんと興奮度合いが高くなって来たようだ。
「では、いよいよ今回からの新しく加わったお茶の間審査員の皆さんの得点が入ります。テレビの前の皆さん、リモコンのボタンを押してくださいっ!」
アキ達もひな達も互いに全てを出し切った清々しい顔をして成り行きを見守っている。
渋温泉で、奈美が・・・
新宿 ル・パルファンで結衣ママが・・・
湯郷温泉で、湊帆が・・・
草津温泉で、紗矢子が・・・
それぞれの思いを込めて、リモコンのボタンを押す。
「【ムーラン・ルージュ】59点・【Konamon18】41点・・・。【ムーラン・ルージュ】の勝利ですっ!」
集計ボードには、【ムーラン・ルージュ】215点・【Konamon18】185点が大きく表示された。
「東京VS大阪・・・、東軍に軍配が上がりましたっ! 決勝戦進出は、【ムーラン・ルージュ】に決定ですっ!」
大きな拍手と歓声が巻き起こる・・・
「それでは、リーダーの温水アキさんから一言お願いしますっ!」
三波からマイクを向けられ、急に実感が込み上げて来るアキ。
「【ムーラン・ルージュ】がここまで来れたのは・・・。応援して下さった・・・皆さんのお蔭です・・・。本当に・・・、あり・・・がとう・・・ござ・・・」
感極まったのだろう、アキの瞳から大粒の涙がポロポロと流れ落ちる。
そんなアキにツカツカと近寄るひな。
アキの隣に並ぶと、肩をそっと抱き締めた。
「なんや、次は決勝戦やで。あんたがそんなんでどうするんや」
七瀬・涼香・圭・優奈・穂波・汐音が瞳に涙を浮かべながらアキの残りの言葉を繋げている。
そんな【ムーラン・ルージュ】に近寄るめい・しずく・うらら・かえでの4人。
舞台中央で互いに固い握手を交わす姿に観客席から応援の声が飛び続ける。
「まったく・・・。あんなんされたら完敗やわ」
ひなが笑う。
「正直、負けるなんて思ってへんかったし・・・」
「まぁ、あれだけの歌と演出やったら仕方ないわ・・・」
めいとしずくである。
「絶対、優勝するんやでっ!」
「うちらも、応援してるさかいなっ!」
うららとかえでの言葉に涙を流しながら頷く【ムーラン・ルージュ】。
「よくやった・・・。本当によくやった・・・」
モニターの前では三橋も顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
たが、その足元には引き裂かれた御守りが転がっていた・・・
「やった・・・。やったよ、弥生さん・・・。アキ達が・・・」
「女将さん、良かったですねっ!」
「今度は決勝戦・・・。アキ達ならきっと・・・」
応接間のテレビの前で号泣するハルと弥生。
同じように渋温泉では、全ての旅館の女将達がこの中継を観て自然と拍手を送っていたのだった。
「【ダイナマイト・ガールズ】に負けたりしたら、承知せーへんでっ!」
自分達が負けた事よりも、【ムーラン・ルージュ】が勝利した事を喜んでいるかのような【Konamon18】のメンバー達。
そんな姿を見て、涙を流す二人の男・・・
「良かった・・・、良かったわぁ・・・」
「本当に良かったですね・・・。師匠・・・」
【ムーラン・ルージュ】と【Konamon18】の両方で正に、二股膏薬となっていた八郎と二郎である。
「ひなちゃん達、ええ娘やないかぁ・・・」
「アキちゃん達も勝った事ですし・・・」
「よっしゃ、今からは改めて【ムーラン・ルージュ】一筋に応援するでぇっ!」
「はいっ!師匠っ!」
まったく懲りない二人である。
先に決勝戦進出を決めていた【ダイナマイト・ガールズ】も控室のモニターでこの様子を見ていた。
「ふんっ! てっきり、【Konamon18】が決勝戦の相手だと思っていたネ。【ムーラン・ルージュ】、その場凌ぎでよくここまで残ったネ」
リーダーの李 苺琳(メイリン)が意外だと言う感じで口を開いた。
「でも、あの堀塚まで関わってたとなると・・・。油断、出来ないヨ」
一つ違いの妹、李 桃琳(トウリン)が眼光鋭く見つめている。
【ダイナマイト・ガールズ】はこの、苺琳と桃琳をメインユニットにして、上海雑芸団46人で構成されている。
無論、萬度の力が及んでいるグループである事は疑う余地も無い。
「苺琳・・・、ワタシ達・・・。勝てるカ?」
桃琳の顔が一瞬、曇った。
「桃琳、大丈夫ダヨ。その為に最後まで取っておいタ。そう・・・。【ダイナマイト・マジック】で優勝するネッ!」
【ダイナマイト・ガールズ】の他のメンバー46人が大きく頷いていた。。
照明が復旧し、何事も無かったかのように三波の司会が始まった。
「急な停電でお騒がせしました。それではこれより投票となります。先に決勝戦進出を決めている神奈川代表の【ダイナマイト・ガールズ】に挑むのは果たしてどちらでしょうか!」
三波が、この準決勝からは投票方法が変更となった事を掻い摘んで説明する。
「・・・、このように会場の一般審査員200名で200点・特別審査員の10名100点に今回からは、テレビ中継をご覧の皆様、100名100点の総得点400点を競い合います!」
「それでは、会場の一般審査員の方の投票をお願いします」
三波の声とともに、集計ボードの数字が回り出す。
無論、神酒と晶も用意されたボタンを押す。
そして・・・
【ムーラン・ルージュ】106点・【Konamon18】94点と数字が表示された。
「おおっと、僅かに【ムーラン・ルージュ】がリードしているみたいです。では、特別審査員の皆さん、投票をお願いします」
集計ボードの数字が一度消え、改めて回り出す。
「50対50っ! イーブン、同点となりましたっ!」
三波もだんだんと興奮度合いが高くなって来たようだ。
「では、いよいよ今回からの新しく加わったお茶の間審査員の皆さんの得点が入ります。テレビの前の皆さん、リモコンのボタンを押してくださいっ!」
アキ達もひな達も互いに全てを出し切った清々しい顔をして成り行きを見守っている。
渋温泉で、奈美が・・・
新宿 ル・パルファンで結衣ママが・・・
湯郷温泉で、湊帆が・・・
草津温泉で、紗矢子が・・・
それぞれの思いを込めて、リモコンのボタンを押す。
「【ムーラン・ルージュ】59点・【Konamon18】41点・・・。【ムーラン・ルージュ】の勝利ですっ!」
集計ボードには、【ムーラン・ルージュ】215点・【Konamon18】185点が大きく表示された。
「東京VS大阪・・・、東軍に軍配が上がりましたっ! 決勝戦進出は、【ムーラン・ルージュ】に決定ですっ!」
大きな拍手と歓声が巻き起こる・・・
「それでは、リーダーの温水アキさんから一言お願いしますっ!」
三波からマイクを向けられ、急に実感が込み上げて来るアキ。
「【ムーラン・ルージュ】がここまで来れたのは・・・。応援して下さった・・・皆さんのお蔭です・・・。本当に・・・、あり・・・がとう・・・ござ・・・」
感極まったのだろう、アキの瞳から大粒の涙がポロポロと流れ落ちる。
そんなアキにツカツカと近寄るひな。
アキの隣に並ぶと、肩をそっと抱き締めた。
「なんや、次は決勝戦やで。あんたがそんなんでどうするんや」
七瀬・涼香・圭・優奈・穂波・汐音が瞳に涙を浮かべながらアキの残りの言葉を繋げている。
そんな【ムーラン・ルージュ】に近寄るめい・しずく・うらら・かえでの4人。
舞台中央で互いに固い握手を交わす姿に観客席から応援の声が飛び続ける。
「まったく・・・。あんなんされたら完敗やわ」
ひなが笑う。
「正直、負けるなんて思ってへんかったし・・・」
「まぁ、あれだけの歌と演出やったら仕方ないわ・・・」
めいとしずくである。
「絶対、優勝するんやでっ!」
「うちらも、応援してるさかいなっ!」
うららとかえでの言葉に涙を流しながら頷く【ムーラン・ルージュ】。
「よくやった・・・。本当によくやった・・・」
モニターの前では三橋も顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
たが、その足元には引き裂かれた御守りが転がっていた・・・
「やった・・・。やったよ、弥生さん・・・。アキ達が・・・」
「女将さん、良かったですねっ!」
「今度は決勝戦・・・。アキ達ならきっと・・・」
応接間のテレビの前で号泣するハルと弥生。
同じように渋温泉では、全ての旅館の女将達がこの中継を観て自然と拍手を送っていたのだった。
「【ダイナマイト・ガールズ】に負けたりしたら、承知せーへんでっ!」
自分達が負けた事よりも、【ムーラン・ルージュ】が勝利した事を喜んでいるかのような【Konamon18】のメンバー達。
そんな姿を見て、涙を流す二人の男・・・
「良かった・・・、良かったわぁ・・・」
「本当に良かったですね・・・。師匠・・・」
【ムーラン・ルージュ】と【Konamon18】の両方で正に、二股膏薬となっていた八郎と二郎である。
「ひなちゃん達、ええ娘やないかぁ・・・」
「アキちゃん達も勝った事ですし・・・」
「よっしゃ、今からは改めて【ムーラン・ルージュ】一筋に応援するでぇっ!」
「はいっ!師匠っ!」
まったく懲りない二人である。
先に決勝戦進出を決めていた【ダイナマイト・ガールズ】も控室のモニターでこの様子を見ていた。
「ふんっ! てっきり、【Konamon18】が決勝戦の相手だと思っていたネ。【ムーラン・ルージュ】、その場凌ぎでよくここまで残ったネ」
リーダーの李 苺琳(メイリン)が意外だと言う感じで口を開いた。
「でも、あの堀塚まで関わってたとなると・・・。油断、出来ないヨ」
一つ違いの妹、李 桃琳(トウリン)が眼光鋭く見つめている。
【ダイナマイト・ガールズ】はこの、苺琳と桃琳をメインユニットにして、上海雑芸団46人で構成されている。
無論、萬度の力が及んでいるグループである事は疑う余地も無い。
「苺琳・・・、ワタシ達・・・。勝てるカ?」
桃琳の顔が一瞬、曇った。
「桃琳、大丈夫ダヨ。その為に最後まで取っておいタ。そう・・・。【ダイナマイト・マジック】で優勝するネッ!」
【ダイナマイト・ガールズ】の他のメンバー46人が大きく頷いていた。。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
不倫した挙句に離婚、借金抱えた嬢にまでなってしまった私、だけど人生あきらめません!
越路遼介
大衆娯楽
山形県米沢市で夫と娘、家族3人で仲良く暮らしていた乾彩希29歳。しかし同窓会で初恋の男性と再会し、不倫関係となってしまう。それが露見して離婚、愛する娘とも離れ離れに。かつ多額の慰謝料を背負うことになった彩希は東京渋谷でデリヘル嬢へと。2年経ち、31歳となった彼女を週に何度も指名してくるタワマンに住む男、水原。彼との出会いが彩希の運命を好転させていく。
★駅伝むすめバンビ
鉄紺忍者
大衆娯楽
人間の意思に反応する『フットギア』という特殊なシューズで走る新世代・駅伝SFストーリー!レース前、主人公・栗原楓は憧れの神宮寺エリカから突然声をかけられた。慌てふためく楓だったが、実は2人にはとある共通点があって……?
みなとみらいと八景島を結ぶ絶景のコースを、7人の女子大生ランナーが駆け抜ける!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる