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第85話 蘇る悪意
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静岡県 久能山東照宮――
徳川家康を埋葬したとして知られるこの地を訪れている人影があった。
長いストレートの黒髪、上下黒のパンタロンスーツ・・・
不動院晶である。
(大阪城の一件、何か起きると思ったが・・・)
大阪城でアキ達の事件から不穏な何かを感じた晶は主だった旧跡を巡り何かを感じ取ろうとしていた。
(ここは、徳川家康埋葬の地・・・。何かあるとすれば・・・。っ!?)
歩を進めよう山門を通ろうとする晶の足が止まった。
(邪霊どもか?)
大きく息を吸い精神を集中して足元を見直す晶。
(な・・・っ! 何だとっ!)
晶の目に映ったものは、地面から無数に伸び出る人の手であった。
(籠手・・・? それに、繰締の緒だとっ? こ奴ら、戦国の世の者達か?)
無数の手は晶が進む事を拒もうとしていた。
(ちぃっ! やはり、何かあるな)
「ノウマク サンマンダ バザラダン カンッ!」
晶は精神を統一し、小咒(しょうしゅ)を唱える。
晶以外には聞こえない武者達の断末魔の叫び声が境内に響き、地面から伸びていた手が吸い込まれるように消えて行く。
(ただ事ではないっ! 何が起きているんだっ!?)
晶は山門から一気に駆け上がる。
楼門を抜け神楽殿を横目に走り抜ける晶。
廟門を過ぎ、廟所参道へと入ると急に雨が降り出した。
見る見るうちに上空には暗雲が立ち込め稲光が走り出す。
御神廟の前に立った晶はその光景を見て愕然とした。
「ま・・・っ? まさかっ!?」
そこには・・・
「伊予札黒糸威胴丸具足・・・」
関ケ原の合戦以来、徳川家康が好んで使っていたとされる鎧兜を纏った、白髪・白髭の老人が立っている。
ニヤリ、その老人が地獄の淵を思わせる笑みを浮かべた瞬間・・・
空を真っ二つに引き裂いたかのような轟音と共に稲妻が走った。
「くっ!」
一瞬、目を伏せた晶が視線を戻すとそこにはもう誰も居ない・・・
「これは・・・、一体・・・」
晶でさえも何が起きたのか分からずその場に立ち尽くすしかなかった。
同じ頃――
西京大学では、不動院神酒が教鞭を取っていた。
激しく降り出した雨が教室の窓を叩き、黒雲の中に稲光が走る。
「えーっ、マジかよ」
「今日、晴れるって言ってたよね」
突然の悪天候に教室が騒めく。
(くだらん・・・)
学生達の騒めきに講義の手を止める神酒。
「うわっ! 静岡から東京までの広範囲で集中的ゲリラ豪雨だってよ」
「電車、止まるんじゃね」
スマホで天候情報を見た学生が騒ぐ。
「でも、急にこんな広い範囲なんて・・・。まるで何かの呪いとか」
誰かが言ったその一言に神酒が反応した。
「静粛にっ! 講義中ですよっ!」
普段、声を荒げる事のない神酒の大声で教室は瞬時に静まり返る。
「いいですか、皆さん・・・」
神酒は、フーっと大きく息を突きながら話しを続けた。
「雷は大気中の微細氷結が帯電し、静電気が一定量を超えた時に放電する自然現象にすぎません。また、ゲリラ豪雨も積乱雲が水平方向に巨大化した『スーパーセル』が引き起こしている気象現象に過ぎません。何よりも、呪い等という非科学的な現象は全くナンセンスですっ!」
教室は水を打ったように静まり返る。
「さぁ、続きを始めますよ」
そう言って神酒は講義を再開した。
(晶が居たら、食って掛かって来ただろうな・・・)
そう思いながら・・・
さて、テルマエ学園の学園長室にはミネルヴァ・ゆかり・弾が如月の到着を待っていた。
コンコンコン
「如月だ」
ゆかりが立ち上がってドアを開け招き入れる。
「集まって貰ったのは、他でもない。お前達に話がある」
「すまねえが、手短にして貰いてぇ。俺はやる事があってな」
「萬度への復讐か?」
一瞬にしてその場が凍り付く。
「止める気は無いが、こっちも急を要するのだよ。夏生」
「・・・っ!?」
ミネルヴァが初めて夏生と呼んだ事に驚く面々。
「別に驚く事はなかろう? 弾? ゆかり?」
「がっ、学園長っ!?」
珍しくゆかりも狼狽する。
「弾と夏生の義兄弟の名乗りは終わっているのだろう」
「なっ、なぜ?」
慌ててゆかりを見る弾。
「弾、お前の姉だぞ。夏生には妹になるか・・・」
面白そうにミネルヴァが笑った。
「姉・・・?」
「妹・・・だと、それじゃ?」
「ふう・・・。仕方ないわね」
ゆかりが諦めたように口を開いた。
「私も知ったのは、ついこの前・・・。貴方達と料亭で話した時は知らなかった・・・」
弾と如月の視線がミネルヴァへと向けられる。
「さて、お前達にはもう一つの役割がある・・・。ゆかり・・・」
ミネルヴァの視線を受け、ゆかりが立ち上がった。
「私は、徳川四天王 酒井忠次の子孫・・・」
「それが何だってんだ!」
「如月、貴方は榊原康政の子孫よ・・・。正しくは、お母様・・・乙十葉さんがね」
「じゃあ・・・?」
「そうよ、弾。貴方のお母様、松永雪乃さんは本多忠勝の子孫。そして・・・」
ゆかりはミネルヴァへと視線を向ける。
「ミネルヴァ学園長は・・・、徳川家康の末裔。いえ・・・、転生された御姿」
「なんだとっ!」
「何だってっ?」
驚きを隠せない、弾と如月。
「私達は・・・。学園長・・・、いえ、お父様の壮大な計画の為に生まれたの」
「俺は・・・、認めねぇっ!」
「分からない・・・、何がどうなっているんだ・・・」
「ホッホッホッ。ご苦労だった、ゆかり」
ミネルヴァが満足そうに微笑んだ。
「お前達に儂の目的を教えておかねばならん」
「興味ねぇっ、勝手にやりなっ!」
「夏生・・・。剣崎哲也はなぜ死んだ?」
「そっ・・・、それは・・・。萬度の奴らが・・・」
「ふむ、永井洸児が重傷を負ったのは?」
なぜ、洸児が撃たれれた事をミネルヴァが知っているのかと考える如月。
「そ・・・、それも・・・」
「萬度だろう?」
「・・・」
押し黙る如月。
満足気に微笑み、ミネルヴァは弾へと視線を向ける。
「弾、なぜ松永流は衰退したのだ?」
「そ・・・、それは京舞踊が時代に飲み込まれて・・・」
「違うっ! 外国資本が日本国内を食い荒らしたからだ」
ビクッと反応する弾。
「全国の温泉地にしても同じ事・・・。名湯草津でさえ経営難は避けて通れなくなっておる」
ゆかりも思わず視線を落とす。
「なぜ、こうなった? そうだ。国が、政府が弱いからこうなったのだ。全ての元凶は明治政府、そしてこれまでの政権にある」
如月も弾もゆかりも一言も発せずにいる。
「徳川政権のまま日本が続けば、第二次大戦も敗戦する事なく、オイルショック、リーマンショックも全て対岸の火事で終わったのだ」
「哲也が死ななくても済んだ・・・、のか・・・?」
「松永流も・・・」
満足気にミネルヴァが笑う。
「儂の・・・。一族の悲願達成の為に働けっ!」
「一体・・・?」
「何を・・・?」
「悲願・・・?」
「良いか、お前達。儂の目的は徳川幕府の再興だっ!この腐りきった世を立て直すのだっ!」
「徳川・・・」
「幕府の・・・、再興・・・。そうしたら、二度と哲也の悲劇を起こさないで済む・・・のか・・・」
ミネルヴァの目的、それは過去の歴史を清算しこの国を作り直すというものだった。
果たして、この徳川幕府再興計画は本当に進められてしまうのだろうか。
かつて渋温泉の隧道でミネルヴァが徳川の埋蔵金を発見した時から、この未来は決められていた事なのであろうか・・・
外の雨は更に強く暴風を伴って吹き荒れる。
雷鳴が轟き、稲光が学園長室に居る4人の背後に、それぞれ鎧を纏った戦国武将の姿を映し出していた。
徳川家康を埋葬したとして知られるこの地を訪れている人影があった。
長いストレートの黒髪、上下黒のパンタロンスーツ・・・
不動院晶である。
(大阪城の一件、何か起きると思ったが・・・)
大阪城でアキ達の事件から不穏な何かを感じた晶は主だった旧跡を巡り何かを感じ取ろうとしていた。
(ここは、徳川家康埋葬の地・・・。何かあるとすれば・・・。っ!?)
歩を進めよう山門を通ろうとする晶の足が止まった。
(邪霊どもか?)
大きく息を吸い精神を集中して足元を見直す晶。
(な・・・っ! 何だとっ!)
晶の目に映ったものは、地面から無数に伸び出る人の手であった。
(籠手・・・? それに、繰締の緒だとっ? こ奴ら、戦国の世の者達か?)
無数の手は晶が進む事を拒もうとしていた。
(ちぃっ! やはり、何かあるな)
「ノウマク サンマンダ バザラダン カンッ!」
晶は精神を統一し、小咒(しょうしゅ)を唱える。
晶以外には聞こえない武者達の断末魔の叫び声が境内に響き、地面から伸びていた手が吸い込まれるように消えて行く。
(ただ事ではないっ! 何が起きているんだっ!?)
晶は山門から一気に駆け上がる。
楼門を抜け神楽殿を横目に走り抜ける晶。
廟門を過ぎ、廟所参道へと入ると急に雨が降り出した。
見る見るうちに上空には暗雲が立ち込め稲光が走り出す。
御神廟の前に立った晶はその光景を見て愕然とした。
「ま・・・っ? まさかっ!?」
そこには・・・
「伊予札黒糸威胴丸具足・・・」
関ケ原の合戦以来、徳川家康が好んで使っていたとされる鎧兜を纏った、白髪・白髭の老人が立っている。
ニヤリ、その老人が地獄の淵を思わせる笑みを浮かべた瞬間・・・
空を真っ二つに引き裂いたかのような轟音と共に稲妻が走った。
「くっ!」
一瞬、目を伏せた晶が視線を戻すとそこにはもう誰も居ない・・・
「これは・・・、一体・・・」
晶でさえも何が起きたのか分からずその場に立ち尽くすしかなかった。
同じ頃――
西京大学では、不動院神酒が教鞭を取っていた。
激しく降り出した雨が教室の窓を叩き、黒雲の中に稲光が走る。
「えーっ、マジかよ」
「今日、晴れるって言ってたよね」
突然の悪天候に教室が騒めく。
(くだらん・・・)
学生達の騒めきに講義の手を止める神酒。
「うわっ! 静岡から東京までの広範囲で集中的ゲリラ豪雨だってよ」
「電車、止まるんじゃね」
スマホで天候情報を見た学生が騒ぐ。
「でも、急にこんな広い範囲なんて・・・。まるで何かの呪いとか」
誰かが言ったその一言に神酒が反応した。
「静粛にっ! 講義中ですよっ!」
普段、声を荒げる事のない神酒の大声で教室は瞬時に静まり返る。
「いいですか、皆さん・・・」
神酒は、フーっと大きく息を突きながら話しを続けた。
「雷は大気中の微細氷結が帯電し、静電気が一定量を超えた時に放電する自然現象にすぎません。また、ゲリラ豪雨も積乱雲が水平方向に巨大化した『スーパーセル』が引き起こしている気象現象に過ぎません。何よりも、呪い等という非科学的な現象は全くナンセンスですっ!」
教室は水を打ったように静まり返る。
「さぁ、続きを始めますよ」
そう言って神酒は講義を再開した。
(晶が居たら、食って掛かって来ただろうな・・・)
そう思いながら・・・
さて、テルマエ学園の学園長室にはミネルヴァ・ゆかり・弾が如月の到着を待っていた。
コンコンコン
「如月だ」
ゆかりが立ち上がってドアを開け招き入れる。
「集まって貰ったのは、他でもない。お前達に話がある」
「すまねえが、手短にして貰いてぇ。俺はやる事があってな」
「萬度への復讐か?」
一瞬にしてその場が凍り付く。
「止める気は無いが、こっちも急を要するのだよ。夏生」
「・・・っ!?」
ミネルヴァが初めて夏生と呼んだ事に驚く面々。
「別に驚く事はなかろう? 弾? ゆかり?」
「がっ、学園長っ!?」
珍しくゆかりも狼狽する。
「弾と夏生の義兄弟の名乗りは終わっているのだろう」
「なっ、なぜ?」
慌ててゆかりを見る弾。
「弾、お前の姉だぞ。夏生には妹になるか・・・」
面白そうにミネルヴァが笑った。
「姉・・・?」
「妹・・・だと、それじゃ?」
「ふう・・・。仕方ないわね」
ゆかりが諦めたように口を開いた。
「私も知ったのは、ついこの前・・・。貴方達と料亭で話した時は知らなかった・・・」
弾と如月の視線がミネルヴァへと向けられる。
「さて、お前達にはもう一つの役割がある・・・。ゆかり・・・」
ミネルヴァの視線を受け、ゆかりが立ち上がった。
「私は、徳川四天王 酒井忠次の子孫・・・」
「それが何だってんだ!」
「如月、貴方は榊原康政の子孫よ・・・。正しくは、お母様・・・乙十葉さんがね」
「じゃあ・・・?」
「そうよ、弾。貴方のお母様、松永雪乃さんは本多忠勝の子孫。そして・・・」
ゆかりはミネルヴァへと視線を向ける。
「ミネルヴァ学園長は・・・、徳川家康の末裔。いえ・・・、転生された御姿」
「なんだとっ!」
「何だってっ?」
驚きを隠せない、弾と如月。
「私達は・・・。学園長・・・、いえ、お父様の壮大な計画の為に生まれたの」
「俺は・・・、認めねぇっ!」
「分からない・・・、何がどうなっているんだ・・・」
「ホッホッホッ。ご苦労だった、ゆかり」
ミネルヴァが満足そうに微笑んだ。
「お前達に儂の目的を教えておかねばならん」
「興味ねぇっ、勝手にやりなっ!」
「夏生・・・。剣崎哲也はなぜ死んだ?」
「そっ・・・、それは・・・。萬度の奴らが・・・」
「ふむ、永井洸児が重傷を負ったのは?」
なぜ、洸児が撃たれれた事をミネルヴァが知っているのかと考える如月。
「そ・・・、それも・・・」
「萬度だろう?」
「・・・」
押し黙る如月。
満足気に微笑み、ミネルヴァは弾へと視線を向ける。
「弾、なぜ松永流は衰退したのだ?」
「そ・・・、それは京舞踊が時代に飲み込まれて・・・」
「違うっ! 外国資本が日本国内を食い荒らしたからだ」
ビクッと反応する弾。
「全国の温泉地にしても同じ事・・・。名湯草津でさえ経営難は避けて通れなくなっておる」
ゆかりも思わず視線を落とす。
「なぜ、こうなった? そうだ。国が、政府が弱いからこうなったのだ。全ての元凶は明治政府、そしてこれまでの政権にある」
如月も弾もゆかりも一言も発せずにいる。
「徳川政権のまま日本が続けば、第二次大戦も敗戦する事なく、オイルショック、リーマンショックも全て対岸の火事で終わったのだ」
「哲也が死ななくても済んだ・・・、のか・・・?」
「松永流も・・・」
満足気にミネルヴァが笑う。
「儂の・・・。一族の悲願達成の為に働けっ!」
「一体・・・?」
「何を・・・?」
「悲願・・・?」
「良いか、お前達。儂の目的は徳川幕府の再興だっ!この腐りきった世を立て直すのだっ!」
「徳川・・・」
「幕府の・・・、再興・・・。そうしたら、二度と哲也の悲劇を起こさないで済む・・・のか・・・」
ミネルヴァの目的、それは過去の歴史を清算しこの国を作り直すというものだった。
果たして、この徳川幕府再興計画は本当に進められてしまうのだろうか。
かつて渋温泉の隧道でミネルヴァが徳川の埋蔵金を発見した時から、この未来は決められていた事なのであろうか・・・
外の雨は更に強く暴風を伴って吹き荒れる。
雷鳴が轟き、稲光が学園長室に居る4人の背後に、それぞれ鎧を纏った戦国武将の姿を映し出していた。
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