東京テルマエ学園

案 只野温泉 / 作・小説 和泉はじめ

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第65話 再会! ミッシェル

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関西国際空港・到着ロビー ーー

「迎えが着ていると言う話だったが・・・」

この日ここに到着したのは、万莉亜・ブラッドレー。
アメリカ合衆国海軍の特殊部隊【ネイビー・シールズ】の一員である。
肩に掛かる黒髪と若鮎を思わせるプロポーションは日系2世ならではの美しさであろう。

「だいたい、わざわざ関西に呼ぶ意味が分からない・・・」
そう呟いた時である。

「ハァーィッ! マッ、リアァァァァァッ!」
「っ!? この素っ頓狂な声! まさかっ!?」
振り返った万莉亜の眼には周囲の奇異な視線も気に掛けずに全身でここに居るとアピールする金髪の少女の姿。

「・・・。ミ・・・、ミッシェル」
「久しぶりネッ!」
「迎えって・・・、まさか?」
「ソウ、万莉亜の妹分! ミッシェル・アデルソンでースっ!」
「勝手に妹分にならないでくれる!」
「アレっ、万莉亜・・・。もしかして怒ってル?」
「怒るとか、怒らないじゃなくて・・・? そう言えば、ミッシエル? 貴女、確か・・・?」
「来て貰ったのハ・・・。お仕事ネ」
急にミッシェルの顔つきが変わった。

(そうね・・・。今のミッシェルはFBIの捜査官。それなりの理由が・・・)


「あれっ!? ミッシェル?」
ザワザワとざわつきながら歩いてきた一団から声が上がった。

振り向くミッシェル。
「OHッ! アキッ!」
「えっ、ミッシェル?」
「ホントだっ!」
皆が再会を喜ぶ。

「でも、どうして急に日本に?」
「エーッと、パパの仕事デ・・・」
慌てふためくミッシェルを見て、万莉亜が軽く笑う。

「ミッシェル? こちらは?」
(Thanks! 万莉亜っ!)
万莉亜が意図して助け船を出した事に気付くミッシェル。

「ソウ、パパの仕事で一緒に日本に着いたばかりデ・・・。アキ達はナゼ?」


かくかくしかじかと大阪へ来た理由を話すアキ。

「偶然ネ・・・」
「OHッ! カトリーナッ! 貴女も来てたノ?」
以前と違いアキ達と一緒に行動するようになっているカトリーナを見て驚くミッシェル。

「ハン、ケリアンハ?」
「ケリアン、帰国シタヨ。ハン、色々アッテ・・・」
「ソウ・・・」
「ミッシェル、そろそろ・・・」
「そうネ・・・。皆、また会いまショウネ!」
「学園にも遊びに来いよ」
葵がミッシェルの肩を叩く。

皆が束の間の再会を喜んでいた。


「留学先の生徒達?」
ミッシェルは黙って頷く、目にはほんのりと涙が浮かんでいる。

「良い友達を持ったじゃない。こんな世界に入らなくても・・・」
「あの娘達の為にモ・・・」
「それほどの相手なの・・・」
「恐らク、ドルゴ14・・・」
「っ!?」
「・・・」
「やっと分かったわ・・・」
「何ガ?」
「大統領勅令なんて、そうそう出るものじゃない・・・。貴女のお父様・・・ね?」
ミッシェルは黙って頷く。

「そして、もう一つ・・・。なぜ、大阪だったのか・・・。私が直接東京に入ってたら・・・」
「敵に感ずかれタラ、アキ達ニモ・・・」
「まったく、相変わらず不器用なんだから」
「万莉亜・・・」
「安心なさい。貴女の仕事、ちゃんとやり遂げるから」
「Thanks、万莉亜。Dear My Sister・・・」


子供の頃から隣家同士で育った二人、ある意味では本物の姉妹よりも強い絆を持っていたのかも知れない。


「何やてぇっ! ミッシェルがぁっ!」
アキ達とは別行動で出発ロビーへと現れた八郎と二郎が地団駄を踏む。

だが、この二人は【Konamon18】の空港限定販売グッズを買い漁っていたことを知られてはマズイとそのまま口を噤んだのだった。


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