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第51話 日本VSロシア
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セルゲイと五郎が対峙している。
五郎とて決して小柄ではないのだが、セルゲイの巨躯は圧倒的に感じられる。
(体重差で30KGってところか・・・)
格闘技において体重差は大きな決め手となる。
ボクシングでも柔道でも体重別にされているのは勝敗の決め手と成りうる為に他ならない。
例えば、ボクシングを例に取ると最も軽い階級はミニマム級であり、体重は47.62 KG以下と規定されている。
反対に最も重い階級は、ヘビー級の90.72KG以上である。
もし、この両者が同じリングで戦ったと仮定しよう。
体重差は、43.1KGとなり正に大人と子供のケンカと言っても差し支えない。
当然、パンチ力にも耐久力にも大きな差が出るので戦う前から勝敗は決している。
事実、穂波・渡・ハンの攻撃はセルゲイに全く通じていないのだ。
格闘技の経験者は互いの力量を図る事に長けている。
故に、五郎はセルゲイの恐ろしさを既に感じ取っていたのだった。
五郎は大きく息を吸い込むと、得意とする左自然体の構えを取る。
「ジュードー? ソレナラッ!」
セルゲイは着ている服の両襟を掴むと、力の限り引きちぎった。
ビリッ、ビリリリリィッ!
派手な音を立てて、服が引き裂かれセルゲイは上半身裸となる。
(こいつ、ガタイだけじゃ無い・・・)
セルゲイのとった行動は五郎に恐怖を感じさせるに十分だった。
自分の着ている服をそのまま破くという膂力もさる事ながら、これで圧倒的に五郎が不利となったからである。
「ヤバい・・・」
「あれじゃ・・・」
渡と穂波もこの意味に気付いていた。
柔道は対戦相手の襟や袖などを掴み、引き寄せ投げる事が主たる攻撃の方法である。
寝技等は例外といえるが、寝技となると体重差の大きい方が更に有利となる。
つまり、体重差のあるセルゲイが上半身裸となった事は、五郎にとっての敗北が濃厚となった事を意味しているのだ。
(だが、相手も攻めにくい筈・・・)
渡や穂波との闘いを見た限り、セルゲイも力技でなぎ伏せる戦法を得意としている事を五郎は見抜いていた。
「行クゾッ!」
セルゲイが先に仕掛けた。
「おうっ!」
五郎もそれに呼応する。
互いの両腕を大きく開き、がっしりと「手四つの力比べ」の体制になる。
「うがぁぁぁっ!」
五郎は満身の力を込めてセルゲイの掌を握りつぶそうとする。
だが・・・
「コノ程度カ?」
セルゲイが軽く笑った。
「力トハ、コウシテ入レルノダッ!」
「ぐっぐがあぁぁぁっ!」
セルゲイが指に力を入れると、五郎の指が万力で挟まれたかのような痛みが走る。
更に、上から圧し掛かるようにしてセルゲイは五郎の手首を砕こうとする。
(まずいっ、このままではっ!)
ここで押し切られるとそのままセルゲイに捕まり、蹂躙されるだろう。
(イチかバチか・・・)
五郎は体制を移し、右足をセルゲイへと向ける。
「大外刈りっ!」
並の相手であれば、これで全てが決するのだが・・・
「フン・・・!」
セルゲイはびくともしない。
だが、何とか力比べの体勢からは脱する事が出来た。
(やはり、着衣していない相手はやりにくい・・・)
「ソロソロ、決メテヤルゾッ!」
セルゲイの目が怪しく光ったように見えた。
(何をするつもりだっ?)
五郎がそう思った瞬間、セルゲイは腰を低く落とすとすり足で前進したのだ。
(こ、これは・・・! 相撲っ!?)
五郎が感づいた事を肌で感じたセルゲイがニヤリと笑った。
そして・・・
「yapeoenuiya(ヤポーニヤ・日本の意) スモウ、ハリ手ダッ!」
セルゲイの両手が残像を見せながら高速で繰り出される。
体重差で押されていた五郎のガードがセルゲイの張り手で跳ね上げられ無防備になった胸板に渾身の力を込めた右の張り手が入った。
「げっふうぅぅぅっ!」
呼吸器官を押しつぶされたような息苦しさを感じ、五郎の体が宙に舞った。
ガッシャーン! ガラガラッ!
近くにあった様々な物を巻き込んで五郎の体が壁に叩きつけられる。
「くっ!」
口の中を切ったのだろう、口元から鮮血が流れ出していた。
(ここままじゃ・・・。勝てない・・・)
五郎の脳裏に敗北の二文字が浮かぶ・・・
(圭ちゃん・・・、ごめん・・・。大友先輩・・・、すいません・・・)
「トドメダッ!」
力なく立ち上がった五郎にセルゲイの張り手が突き出された。
その時である・・・
「五郎は体が大きいんだから、あたしを守って当然よねっ!」
幼い頃の圭の面影が浮かぶ。
(そうだ・・・。俺は・・・)
幼い頃の五郎、体は大きいものの気が弱くいつも虐められ泣いていた。
そんな五郎をいつも助けてくれたのが圭だったのである。
いつしか圭に恋心を抱いた五郎は圭を守る為に強くなりたいと思い柔道を習い始めたのだった。
「お前、良いセンスをしている。俺が稽古をつけてやるぞっ!」
(大友先輩・・・)
中学の柔道部で頭角を現した五郎をOBの武蔵が見出し、特訓を施し成長はさらに加速した。
「どうした、こんなものか?」
「まだ、まだぁ!」
厳しくも温かい武蔵の指導が五郎をここまで成長させてきたのだ。
「そうだ・・・。俺は・・・、負けられないっ!」
「ナッ・・・、ナニッ!」
満身の力を込めて繰り出したセルゲイの右張り手が五郎の胸板を通り抜けたように見えた。
いや、正しくは紙一重の所で五郎が体勢を入れ替えたのだ。
そして・・・
伸びきったセルゲイの右手首と右肘に五郎の右手と左手が添えられる。
「ナ・・・、何ダトッ! コノ俺ガッ!」
力では無い、ただ絶妙のタイミングだけでセルゲイの体がその右腕を支柱にするようにして持ちあげられていたのである。
(そうか・・・、これが・・・)
「ヤポーニヤ・アイキドーッ?」
「違うっ、これが・・・っ!大友武蔵直伝のっ!」
「ウォォォォォッ!」
「大雪山卸っ!」
轟音と共にセルゲイの巨体がコンクリートの床に叩きつけられた。
「グッ・・・、グフゥッ!」
セルゲイの口から大量の血が吐き出された。
「動かない方がいい・・・。あの状態で受け身を取れずに叩きつけられたんだ。肋骨の数本はひびが入った筈だ・・・」
(圭ちゃん・・・。大友先輩・・・。ありがとう・・・)
「ハァハァ、オ前・・・。 名ハ・・・」
呼吸をするのも苦し気にセルゲイが尋ねる。
「西郷、五郎・・・」
「ゴロー、カ・・・。久シブリ二、格闘技ノ世界二戻レタ気ガスル・・・。暗黒ジャナイ世界二・・・。esupeaesuibeo(スパシーバ・ありがとうの意)」
「これは、マズいねーっ!」
素っ頓狂な声を上げたのは、ヤミである。
「まさか、セルゲイが負けちゃうなんてぇ」
「そこを動くな」
五郎が身構えるより早く、ヤミが動いた。
「あはははっ! 今日の所、ボクは逃げるねぇ。後、宜しくぅ!」
「待てっ、逃がすかっ!」
逃走しようとしたヤミの行く手を渡と穂波が塞ぐ。
「ボクシングボーイと空手ガールかぁ・・・。どきなっ!」
ヤミの声色が変わった。
「くっ!」
渡の左ストレートと穂波の回し蹴り、左右からほぼ同時にヤミを襲う。
だが・・・
「まさか・・・!?」
「掠りもしないなんて・・・?」
「今日はココで帰ってあげるから、おとなしく寝てなッ!」
その時のヤミの動きは、穂波にも渡にもそして五郎の目にも見えなかった。
「がはっ!」
「ぐふっ!」
襲い掛かった筈の渡と穂波が倒れ込む。
「あ・・・、あれは・・・」
ヤミの動きをその目で捉えられたのは、立ち上がる事も出来ない、ハン一人だった。
「渡・・・、穂波・・・。ソイツはダメだ・・・」
「ふーん、よく気が付いたね~」
「長袖拳・・・。マサカ・・・、オ前・・・」
「正しくは、孫臏拳(そんぴんけん)だからね。覚えておいてよ。じゃあね~」
ヤミが高笑いを残しながら去ろうとしたその瞬間・・・
「待てっ、行かせる訳ないだろ・・・」
ハンが気力で立ち上がる。
「ほ~、師匠が師匠なら、弟子も弟子ってね」
「お前ッ! ヤミ・・・。ダナッ!」
「あ~、うっざいなぁ・・・。やっちゃっていいよ」
ヤミの合図で萬度の手下が、サブマシンガンを構えた。
(H&K MP5A3・・・! ハンっ!)
ダダダダッ! ダダダダッ! ダダダダッ!
連続した銃撃音が響く直前、ハンの足元にあった黒い影が立ちあがった。
「矢板・・・、サン???」
セミオートの弾倉が打ち尽くされ、カタカタと音を立ててもマンゴローブは立っていた。
ただ、ハンを守る為だけに・・・
「うぉぉぉぉっ!」
我に返った五郎が萬度の手下へと駆け寄り、豪快に投げつける。
萬度の手下は口から泡を吹いて失神する。
「マンゴローブさんっ!」
渡と穂波が駆け寄り、マンゴローブを両脇から支えようとするがするりと抜け落ちるように倒れる。
「うわぁぁぁっ、矢板サァァァァァンッ!」
崩れ落ちたマンゴローブをハンが抱き締める。
そして、キッとヤミの居た方向を睨みつけるハン・・・
だがそこにヤミの姿は既に無かった。
五郎とて決して小柄ではないのだが、セルゲイの巨躯は圧倒的に感じられる。
(体重差で30KGってところか・・・)
格闘技において体重差は大きな決め手となる。
ボクシングでも柔道でも体重別にされているのは勝敗の決め手と成りうる為に他ならない。
例えば、ボクシングを例に取ると最も軽い階級はミニマム級であり、体重は47.62 KG以下と規定されている。
反対に最も重い階級は、ヘビー級の90.72KG以上である。
もし、この両者が同じリングで戦ったと仮定しよう。
体重差は、43.1KGとなり正に大人と子供のケンカと言っても差し支えない。
当然、パンチ力にも耐久力にも大きな差が出るので戦う前から勝敗は決している。
事実、穂波・渡・ハンの攻撃はセルゲイに全く通じていないのだ。
格闘技の経験者は互いの力量を図る事に長けている。
故に、五郎はセルゲイの恐ろしさを既に感じ取っていたのだった。
五郎は大きく息を吸い込むと、得意とする左自然体の構えを取る。
「ジュードー? ソレナラッ!」
セルゲイは着ている服の両襟を掴むと、力の限り引きちぎった。
ビリッ、ビリリリリィッ!
派手な音を立てて、服が引き裂かれセルゲイは上半身裸となる。
(こいつ、ガタイだけじゃ無い・・・)
セルゲイのとった行動は五郎に恐怖を感じさせるに十分だった。
自分の着ている服をそのまま破くという膂力もさる事ながら、これで圧倒的に五郎が不利となったからである。
「ヤバい・・・」
「あれじゃ・・・」
渡と穂波もこの意味に気付いていた。
柔道は対戦相手の襟や袖などを掴み、引き寄せ投げる事が主たる攻撃の方法である。
寝技等は例外といえるが、寝技となると体重差の大きい方が更に有利となる。
つまり、体重差のあるセルゲイが上半身裸となった事は、五郎にとっての敗北が濃厚となった事を意味しているのだ。
(だが、相手も攻めにくい筈・・・)
渡や穂波との闘いを見た限り、セルゲイも力技でなぎ伏せる戦法を得意としている事を五郎は見抜いていた。
「行クゾッ!」
セルゲイが先に仕掛けた。
「おうっ!」
五郎もそれに呼応する。
互いの両腕を大きく開き、がっしりと「手四つの力比べ」の体制になる。
「うがぁぁぁっ!」
五郎は満身の力を込めてセルゲイの掌を握りつぶそうとする。
だが・・・
「コノ程度カ?」
セルゲイが軽く笑った。
「力トハ、コウシテ入レルノダッ!」
「ぐっぐがあぁぁぁっ!」
セルゲイが指に力を入れると、五郎の指が万力で挟まれたかのような痛みが走る。
更に、上から圧し掛かるようにしてセルゲイは五郎の手首を砕こうとする。
(まずいっ、このままではっ!)
ここで押し切られるとそのままセルゲイに捕まり、蹂躙されるだろう。
(イチかバチか・・・)
五郎は体制を移し、右足をセルゲイへと向ける。
「大外刈りっ!」
並の相手であれば、これで全てが決するのだが・・・
「フン・・・!」
セルゲイはびくともしない。
だが、何とか力比べの体勢からは脱する事が出来た。
(やはり、着衣していない相手はやりにくい・・・)
「ソロソロ、決メテヤルゾッ!」
セルゲイの目が怪しく光ったように見えた。
(何をするつもりだっ?)
五郎がそう思った瞬間、セルゲイは腰を低く落とすとすり足で前進したのだ。
(こ、これは・・・! 相撲っ!?)
五郎が感づいた事を肌で感じたセルゲイがニヤリと笑った。
そして・・・
「yapeoenuiya(ヤポーニヤ・日本の意) スモウ、ハリ手ダッ!」
セルゲイの両手が残像を見せながら高速で繰り出される。
体重差で押されていた五郎のガードがセルゲイの張り手で跳ね上げられ無防備になった胸板に渾身の力を込めた右の張り手が入った。
「げっふうぅぅぅっ!」
呼吸器官を押しつぶされたような息苦しさを感じ、五郎の体が宙に舞った。
ガッシャーン! ガラガラッ!
近くにあった様々な物を巻き込んで五郎の体が壁に叩きつけられる。
「くっ!」
口の中を切ったのだろう、口元から鮮血が流れ出していた。
(ここままじゃ・・・。勝てない・・・)
五郎の脳裏に敗北の二文字が浮かぶ・・・
(圭ちゃん・・・、ごめん・・・。大友先輩・・・、すいません・・・)
「トドメダッ!」
力なく立ち上がった五郎にセルゲイの張り手が突き出された。
その時である・・・
「五郎は体が大きいんだから、あたしを守って当然よねっ!」
幼い頃の圭の面影が浮かぶ。
(そうだ・・・。俺は・・・)
幼い頃の五郎、体は大きいものの気が弱くいつも虐められ泣いていた。
そんな五郎をいつも助けてくれたのが圭だったのである。
いつしか圭に恋心を抱いた五郎は圭を守る為に強くなりたいと思い柔道を習い始めたのだった。
「お前、良いセンスをしている。俺が稽古をつけてやるぞっ!」
(大友先輩・・・)
中学の柔道部で頭角を現した五郎をOBの武蔵が見出し、特訓を施し成長はさらに加速した。
「どうした、こんなものか?」
「まだ、まだぁ!」
厳しくも温かい武蔵の指導が五郎をここまで成長させてきたのだ。
「そうだ・・・。俺は・・・、負けられないっ!」
「ナッ・・・、ナニッ!」
満身の力を込めて繰り出したセルゲイの右張り手が五郎の胸板を通り抜けたように見えた。
いや、正しくは紙一重の所で五郎が体勢を入れ替えたのだ。
そして・・・
伸びきったセルゲイの右手首と右肘に五郎の右手と左手が添えられる。
「ナ・・・、何ダトッ! コノ俺ガッ!」
力では無い、ただ絶妙のタイミングだけでセルゲイの体がその右腕を支柱にするようにして持ちあげられていたのである。
(そうか・・・、これが・・・)
「ヤポーニヤ・アイキドーッ?」
「違うっ、これが・・・っ!大友武蔵直伝のっ!」
「ウォォォォォッ!」
「大雪山卸っ!」
轟音と共にセルゲイの巨体がコンクリートの床に叩きつけられた。
「グッ・・・、グフゥッ!」
セルゲイの口から大量の血が吐き出された。
「動かない方がいい・・・。あの状態で受け身を取れずに叩きつけられたんだ。肋骨の数本はひびが入った筈だ・・・」
(圭ちゃん・・・。大友先輩・・・。ありがとう・・・)
「ハァハァ、オ前・・・。 名ハ・・・」
呼吸をするのも苦し気にセルゲイが尋ねる。
「西郷、五郎・・・」
「ゴロー、カ・・・。久シブリ二、格闘技ノ世界二戻レタ気ガスル・・・。暗黒ジャナイ世界二・・・。esupeaesuibeo(スパシーバ・ありがとうの意)」
「これは、マズいねーっ!」
素っ頓狂な声を上げたのは、ヤミである。
「まさか、セルゲイが負けちゃうなんてぇ」
「そこを動くな」
五郎が身構えるより早く、ヤミが動いた。
「あはははっ! 今日の所、ボクは逃げるねぇ。後、宜しくぅ!」
「待てっ、逃がすかっ!」
逃走しようとしたヤミの行く手を渡と穂波が塞ぐ。
「ボクシングボーイと空手ガールかぁ・・・。どきなっ!」
ヤミの声色が変わった。
「くっ!」
渡の左ストレートと穂波の回し蹴り、左右からほぼ同時にヤミを襲う。
だが・・・
「まさか・・・!?」
「掠りもしないなんて・・・?」
「今日はココで帰ってあげるから、おとなしく寝てなッ!」
その時のヤミの動きは、穂波にも渡にもそして五郎の目にも見えなかった。
「がはっ!」
「ぐふっ!」
襲い掛かった筈の渡と穂波が倒れ込む。
「あ・・・、あれは・・・」
ヤミの動きをその目で捉えられたのは、立ち上がる事も出来ない、ハン一人だった。
「渡・・・、穂波・・・。ソイツはダメだ・・・」
「ふーん、よく気が付いたね~」
「長袖拳・・・。マサカ・・・、オ前・・・」
「正しくは、孫臏拳(そんぴんけん)だからね。覚えておいてよ。じゃあね~」
ヤミが高笑いを残しながら去ろうとしたその瞬間・・・
「待てっ、行かせる訳ないだろ・・・」
ハンが気力で立ち上がる。
「ほ~、師匠が師匠なら、弟子も弟子ってね」
「お前ッ! ヤミ・・・。ダナッ!」
「あ~、うっざいなぁ・・・。やっちゃっていいよ」
ヤミの合図で萬度の手下が、サブマシンガンを構えた。
(H&K MP5A3・・・! ハンっ!)
ダダダダッ! ダダダダッ! ダダダダッ!
連続した銃撃音が響く直前、ハンの足元にあった黒い影が立ちあがった。
「矢板・・・、サン???」
セミオートの弾倉が打ち尽くされ、カタカタと音を立ててもマンゴローブは立っていた。
ただ、ハンを守る為だけに・・・
「うぉぉぉぉっ!」
我に返った五郎が萬度の手下へと駆け寄り、豪快に投げつける。
萬度の手下は口から泡を吹いて失神する。
「マンゴローブさんっ!」
渡と穂波が駆け寄り、マンゴローブを両脇から支えようとするがするりと抜け落ちるように倒れる。
「うわぁぁぁっ、矢板サァァァァァンッ!」
崩れ落ちたマンゴローブをハンが抱き締める。
そして、キッとヤミの居た方向を睨みつけるハン・・・
だがそこにヤミの姿は既に無かった。
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