東京テルマエ学園

案 只野温泉 / 作・小説 和泉はじめ

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第48話 ペンダントの秘密

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「あれっ!? ハンだ・・・」
繁華街でデートを楽しんでいる圭が走って来るハンを見つけた。

「おーい、ハーンっ!」
「圭ちゃん、あの娘・・・、確か?」
「そう、うちの留学生だけど・・・。えっ!?」
手を振る圭が眼中に無いようにハンが圭と五郎とすれ違い走り抜けた。

(何・・・、この感じ? 憎悪・・・、嫌な感じ・・・)
一瞬のすれ違い様ではあったが、圭の感覚は的確にハンの異常を捉えていた。

「圭ちゃん・・・。あれは・・・」
五郎が走り去るハンに心配そうな視線を向ける。

「五郎も・・・、感じた?」
五郎も黙って頷く。
「しばらく、学園にも来てなかったし・・・」
「あっ!? 圭ちゃんっ、あれっ!?」
「えっ!? 何?、八郎!?」
ハンの後を追いかけるかのように、今度は八郎が走って来る。

ただ、ハンと違ってヨタヨタとしているが・・・

「八郎っ!」
「あっ、圭ちゃん・・・。ハンちゃん見いひんかったかぁ?」
足がもつれて転びそうになりながらも八郎が圭と五郎の前にたどり着く。

「さっき凄い勢いで走って行ったけど、何かあったの?」
「いや、それが・・・。ハンちゃんに会いに【ベティのケチャップ】に行ったんや、そしたら・・・」


八郎は【ベティのケチャップ】に血まみれになった男達が倒れていた事やハンがいきなり飛び出して走り去った事を話す。


「・・・、圭ちゃん。これは・・・」
「分かってる・・・、嫌な予感しかしない・・・。ところで八郎?」
「な・・・、何や?」
「ずっと学園にも来てなかったハンがどうして【ベティのケチャップ】に居るって知ってた?」
「えっ!? あっ・・・その・・・。偶然っちゅうか・・・」

(こいつ、何か隠してる)
圭は八郎が何かを隠そうとしている事を感じ取っていた。

「五郎!」
「気が進まないけど・・・。大塩君、ごめんね」
「うわっ! なっ、何やっ! いっ痛ったたたっ!」
五郎の小手返しが決まる。

「正直に言いなさいっ、八郎っ!」
「分かったっ! 分かったから放してぇなぁっ!」
観念した八郎が話し出す。

「実は・・・、その・・・。ハンちゃんの居場所が分かるようにしてて・・・」

何か良からぬ企みがあるのは想定していた事だが・・・

「その・・・、皆に配ったペンダントにGPSが・・・」
「えっ!あの時のっ!」
八郎が皆への謝罪の気持ちという事でペンダントを配っていた事を思い出す圭。

「あんた、やっばりっ!」
「ひぇえぇぇぇっ、堪忍やぁ」
「圭ちゃん、それより!」
五郎の一言で我に返る圭。

「じゃあ、ハンがそれをやったの?」
「分かれへんけど、そうや無いかと・・・」
「でも、なぜハンさんは?」
「とにかく、ハンを追うわ! 五郎っ!」
「急いだ方が良さそうだ!」
「八郎、ハンのペンダントで位置が分かるんでしょ。だったらそこを教えなさいっ!」
「いや・・・、その学園の置いてある受信機やないと・・・」
「だったら、すぐに学園に戻ってハンの居場所を連絡してっ!」
「わ・・っ、分かった」
「行くよ、五郎っ!」
「大塩君、頼んだよっ!」
圭と五郎がハンの走り去った方向へと走り出す。

「わいもこうしちゃおられへんでぇっ!」
八郎も学園へと向かい走り出した。


兎に角、学園に戻ってハンの位置を圭に連絡しなければならない。
その使命感だけで八郎は走った。

テルマエ学園へと何とか辿り着いた八郎、中庭を通り抜けて自分の部屋へと向かおうとした時に、穂波と七瀬が抱き合っている姿を目にする。

「うわっ、ちょっとおぉぉぉぉっ!」
「えっ! 何だ、八郎か」
「八郎?」
穂波に肩を抱かれて泣いていた七瀬も顔を上げる。

「いゃ、その・・・。ごめんやでぇ、二人の邪魔をするつもりや無いんや・・・」
どうやら八郎は下世話な想像をしているようである。
「馬鹿っ、そんなんじゃねえよっ!」


「えっ、穂波さん? 七瀬も八郎も・・・?」
騒ぎに気付いたアキと渡が寄って来る。

「そんな事より、大変なんやっ!なんか知らんけど大変なんやっ!」
「おいおい、落ち着けよ。どうしたって?」
「おっ、渡っ! 実は・・・」
八郎はこれまでの出来事を話し出した。
誰もの顔が不安に染まる。

「警察に・・・」
七瀬がそう言おうするが、渡が遮る。

「いや、もし何かに巻き込まれているならいきなり警察が動くとマズい・・・」
「その男達をハンがのしたなら、傷害罪って事も・・・」
穂波の言葉に皆が考える。

「でも、圭ちゃんも危なくなるんじゃ・・・」
アキの心配は当然の事と言える。

「いや、もしもの場合でも西郷さんが一緒なら・・・。俺も行ってくるっ!」
「わたしもっ!」
渡の後を追おうとするアキ。

(アキ・・・、恋のライバルでもあたしの一番大切な友達・・・)
「あたしも行くっ!」
「あちも一緒に行く、どっちだ八郎?」
「新宿駅の方やけど・・・」
「それと、【ぱんさー】に行って竜馬さんに伝えてっ!」
「わ・・・、分かった」

(こんな時も竜馬さんか・・・。いゃ、俺も負けないっ!)

「八郎はすぐに戻ってハンのペンダントを追跡して教えろっ!」
アキと渡の指示を受けて、八郎は【ぱんさー】へ向かって走り出す。



アキ・渡・七瀬・穂波の4人も駆け出していく。
皆がハンの無事を願って・・・

「ん・・・っ? 何だ、アイツら・・・?」
学園から駆け出していくアキ達に葵が気付いたが、まだこれから起きる事件の幕開けであることなど知る由も無かった。


「なんで、わいばっかり走り回ってなアカンねん。だいたい、わいは肉体労働派やないんやで・・・、れっきとしたデザイナー、つまり頭脳労働派やねんで・・・」
ぶつくさ言いながらもアキに言われた通りに、急ぎ【ぱんさー】へと走る八郎。
日頃の運動不足に加えて、今日は一日中走りっぱなしで息が上がっている。



「やっと、着いたぁ~」
リンリンリン
【ぱんさー】のドアベルが鳴る。

「いらっしゃ・・・い・・・?」
へとへとになって入って来た八郎を見る早乙女。

「す・・・、すんまへんけど・・・。みっ・・・水を・・・」
「どうしたんだい? 確かテルマエ学園の大塩君だったよね?」
八郎は早乙女が渡した水を一気に飲み干す。

「ぶはーっ!、生き返ったでぇ」
「ダイエットでジョギングでも始めたのかい?」
「そんなんやあれへんわいっ! それより・・・、竜馬はんは?」
「今日は休みだが・・・」
「大変や、竜馬はんがおらんっちゅう事は・・・。どないしたらええんやっ!?」
慌てふためく八郎をなだめながら、早乙女がこれまでの経緯を聞き顔色を変える。

(ハン・・・っ! なぜ勝手な行動をっ!?)
「大塩君、それじゃハンの居場所は分かるんだね?」
「学園に戻って追跡機能を使こうたら・・・」
「今すぐ学園に戻って、その機能で場所を特定するんだ。そして、私にも連絡をっ!」
早乙女は自分のスマホの番号をメモして八郎に握らせる。

「えっ・・・? その・・・、今すぐ・・・?  また、走って・・・?」
「今すぐだっ! ハンを死なせたいのかっ!」
「はっ、はいぃぃぃっ!」
これまでに見た事の無い早乙女の形相を見た八郎が慌てて飛び出して行った。

(間に合うか・・・)
早乙女は店の奥にある直通電話の受話器を上げる。

「こちら組対4課」
ワンコールもしないうちに相手が出る。
「早乙女だ、陣内を!」
(早く・・・っ!)
「陣内です」
「陣内、ハンが萬度に襲われた」
「なっ・・・っ! ハンは?」
「萬度の奴らを返り討ちにして・・・。恐らく、矢板の所へ向かっている」
「場所は?」
「まだ分からんがハンがGPSを持っているらしい。テルマエ学園からは追跡可能だ」
「分かりました、場所が判明したら連絡を! 緊急配備っ!都内全域に一斉検問っ! 隣接県警にも応援要請っ!」
電話口から警視庁内が慌ただしく動き出した様子が伝わってくる。

「竜馬と武蔵は?」
「二人とも海上だ。直ぐに呼び戻す。それと飛鳥井には私から連絡を」
「頼みますっ、保管庫へ急げっ! 相手は萬度だっ!発砲を許可するっ!」
捜査員達が次々と部屋を飛び出していく

(頼むぞ、陣内・・・)
電話を切った早乙女が足早に【ベティのケチャップ】へと向かう。



キィッと軽く軋む音を立てて、早乙女は【ベティのケチャップ】の扉を開ける。

「うっ・・・っ! これは・・・」
凄惨な現場が、ここで激闘があった事を物語っていた。

「1・2・3・・・、6人か・・・。さすが・・・だが・・・」
早乙女が倒れている男達の脈を取って回る。

「生きてはいるが・・・。意識無し・・・か」
早乙女はスマホを取り出し電話を架ける。

「飛鳥井か、ハンが暴走した・・・。それと救急車の手配を・・・。6人だ」
電話を切った早乙女が大きくため息をつく。

そして・・・

「矢板・・・、すまない・・・。お前に託されていたのに・・・」
その独白を聞くものは誰もいなかった。



八郎はゼイゼイと息を切らして学園へと急ぐ。
息も絶え絶えになりながらも彼を動かしているのは友への思いか、それとも・・・

(アカン・・・。もう死ぬ・・・)
砂漠で遭難したかのようになりながらも進む八郎の目にようやく学園の正門が見えて来た。

「せやけど・・・。よう考えて見みたら、わい こないに走り回ってるよりも先にハンちゃんの居場所を探した方がよかったんちゃうやろか?」
ブツブツと一人ぼやく八郎。

重たそうな腹を左右に揺らしながら汗だくになっている八郎を見つけた葵が呼び止める。
「大塩っ! そんなに慌ててどうしたんだ?」
「あ・・・、葵先生・・・!」
八郎は今までの事情をゼスチャーを交えながら話した。

「ふむ、なるほど・・・」
葵はアキ達が走り出して行った姿を思い浮かべる。

「だいたいの事情は分かった! 大塩はまず、ハンの居場所を特定しろっ!」
「は・・・、はいっ!」
八郎は直ぐに自室へと向かいドアを開けるや否や受信機のスイッチを入れる。
画面が立ち上がり、信号を受信した旨のメッセージが表示された。

「ハンちゃん、ココなな・・・。えらいスピードで移動しとる、わいが追い付かへんかったのも無理ないわぁ」
八郎でなければ追いついたかも知れないがここはそういう事にしておこう。


バタンッ!!

八郎の部屋のドアがいきなり開けられた。
「うわっ! なんやなんやっ!?」
八郎が振り向くと、そこにはカトリーナを連れた葵の姿があった。
更にカトリーナはノートパソコンを持っている。

「葵先生っ!?  カトリーナっ!? ・・・、せめてノックくらいしてぇな。わいにはプライバシーっちゅんもんが無いんかぁ・・・」
ぼやき続ける八郎には目もくれず、カトリーナは持ってきたノートパソコンを八郎の受信機に接続する。

「どうだ、カトリーナ? ハンの行先は予測出来るか?」
葵の問いにカトリーナは黙って頷き、凄い勢いでキーボードを叩き出す。

「東京都土地建物管理システム・・・、都税事務所、警視庁の各台帳と照合・・・」

(なんや凄い事になってきたんやないかぁ)
八郎は目の前で起きている事をただ見つめるしか無かった。

「コレニ・・・。ハンの移動履歴を、リンクっ!」
カトリーナの指が、ENTERキーを叩いた。

「ワカッタ! 新宿の〇〇・・・、××ビル。所有者と入居者がハッキリしていないのはココダケ。99.99%の確率でココシカ無イッ!」
「よくやったっ! カトリーナっ!」
葵がカトリーナの肩を叩く。

「ハンちゃんが何処に向かってるのかまで分かるやなんて・・・。こんなんやったら最初からカトリーナに頼んどいたら、わい・・・、こないに走らんで済んだのに・・・」
誰も聞くものがいない八郎のぼやきがいつまでも続いていた。

「・・・、ダイエットできて良かったネ」
カトリーナの冷笑とともに出たこの言葉は八郎への慰めも含まれていたのだろうか。



バタンッ! バタバタッ!

騒ぎを聞きつけた皆が八郎の部屋に集まって来る。
「ちょっとぉっ! 騒がしいけど、また八郎が何かしたの?」
開口一番、汐音は八郎を疑う。

「師匠、ここは素直に謝っておいた方が・・・」
「違うっちゅうねん! まさかお前までわいをそんな目でみてるなんて・・・」
二郎にまで疑われた八郎、この世の不条理さをつくづく感じているだろうか。

「まぁ、今回は結果オーライだが・・・。初めて大塩の発明が役に立った訳だし・・・」
「わいの発明はいつでも、世の為人の為のもんやでえ。あっ!?」
八郎が急に何かを思い出した。

「すっかり忘れとったわ。圭ちゃんとアキちゃんと・・・、あのおっさんに電話せんと・・・」
慌てて八郎は部屋を出て、スマホで電話を架ける。



「分かったっ! 行くよ、五郎っ!」
圭と五郎が走り出す。


「えっ!? カトリーナがっ!? うん、分かったっ!」
アキが渡・七瀬・穂波に目的地を伝える。


「何だとっ! まさか・・・。いや、今はそれどころではないか・・・」
早乙女が隼人へと連絡する。



ハンの無事を願いながら、皆が一斉に動き出した。



「葵先生、何かあったんですか?」
緊迫したムードを感じた優奈が葵に問う。

「皆、よく聞いてくれ・・・」
葵は静かに事情を説明する。

「アキちゃんがっ!?」
話を聞いていた涼香の顔が青ざめる。
皆も動揺を隠しきれない。

「ボクらも行こうっ!」
萌が部屋を出ようとするが優奈が止め、首を大きく横に振った。

「残念だけど、うちらが行っても何もできない・・・。足手まといになるだけ、だからここでアキ達が帰って来るのを待とうよ」
「源口の言う通りだ。うちらはここで待つしかない・・・。わかるな?」
葵の言葉に皆が黙って頷いた。

(待ってるからねっ! 絶対、無事に帰って来てねっ!)
皆の願いが届き、アキ達はいつもの笑顔で無事に帰って来る。
そう願う優奈達であった。


(騒がしいな。何かあったのか・・・?)
普段とは違う学園の雰囲気を察した弾が、葵を別室へと呼んだ。

「葵、何かあったんか?」
「弾には言うておくわ・・・」
葵は弾にこれまでの事を細かく説明する。

「そうか・・・。無事に戻ってくれたらええけど・・・」
「弾、この事は・・・」
「分かっとる。学園長にも橘先生にも言わん」
「すまん・・・」
「葵のせいや無い。それより・・・」

弾はカトリーナの能力を改めて認識していた。



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