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幸せになりましょう
私たちも二手に分かれました
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コソコソと隠れるように城壁沿いに移動して・・・行ってても、もはや意味ないわね。
ルンルンと跳ねるように歩くカミーユさん・・・いやでっかい白虎の姿と、一般的な魔獣馬より一回りはデカイ体躯の愛馬カヌレが目立つというより・・・。
「面白いぐらいに逃げて行くな」
「うん」
さっきからバッタリ会うメイドさんとか下働きの人たちが逃げていくのよ、私たちを見て。
それはまだいいわ。
だって彼らは非戦闘員だもの。
でもさぁ、衛兵のおじさんとか、騎士のお兄さんとかが「わーっ!」て叫びながら逃げるのはどうなのよ?職場放棄ですか?
「急ぎ徴兵した農民か、人手不足で雇い入れた者がほとんどなのでしょう」
アルベールもじっとり半目で逃げていく兵を見送っている。
「でも、あっちもそうみたいよ?」
私が指差すところには、笑いながら衛兵たちを追いかけ回している楽しそうなリシュリュー辺境伯の騎士たちの姿が。
「剣も握らないで逃げてますね」
セヴランも自分のことは棚上げして、バカにした言い方だ。
「いいじゃねぇか。何事もなく王宮まで行けるだろうよ」
リュシアンはカヌレの手綱を引いて先へと誘導して歩いていく。
私とアルベールはブリュレに乗ったままで、セヴランもカヌレに恐る恐る跨っている。
リュシアンだけ馬から降りたのは、こちらに向かってくる兵を薙ぎ払うためだったんだけど、必要なかったみたいね。
なんとなく白けた気持ちで王宮までの道のりをひたすら進む。
・・・今さらだけど、私たちが住んでいたお屋敷って、本当に王城の敷地の端の端だったのね・・・遠いわ。
王宮が見え始めると、その前の大広場も視界に入ってきた。
「おおーっ!・・・こっちも追いかけっこみたいになってるわね・・・」
みんな無言でリシュリュー辺境伯軍と王城の兵との戦い?をしばらく見学します。
罪人が逃げないように城門はすべてリシュリュー辺境伯軍で固めてあるはずだから、逃げている人たちも結局は王城の敷地から出れないんだけど。
「無抵抗で投降すればいいのに・・・」
なぜに無駄に逃げて体力を消耗するかね?
「いや、あんな強面に追い駆けられたら・・・逃げるだろ?」
リュシアン、あとでモルガン様に殴られるわよ?レイモン氏の娘、かわいい孫娘のカロリーヌ様に怖がられているのをちょっぴり気にしているんだから。
「ヴィー!ヴィー!」
なにやら、珍しくリオネルが興奮しているようだけど、どしたん?
「ヴィー様。あのぅ、ルネたちはここでモルガン様たちのお手伝いをしたいです」
ルネまでもじもじと両手の指を動かしておねだりしてくるけど、お手伝いって王城の兵を捕まえて非武装にすること?
「いいんじゃないか。王宮に入っても暴れられるところはねぇし。つまんねぇし」
おい、リュシアン!
王宮でユベールとエロイーズを捕まえるのは、この作戦の肝なのだよ?肝!
面白いとかつまらないとかじゃないのだよ!
「ヴィー。いいですよ。こんなにソワソワしていますし」
アルベールが苦笑して指差したのはルネとリオネルではなく、大きなニャンコと化した白虎カミーユさん。
「・・・そうね。いい?モルガン様たちの邪魔はしないのよ!」
私の言葉にかわいく頷くルネとリオネルはいいけど、なんで大人のカミーユさんまでうんうん頷いてんのよ・・・。
「はあーっ」
ため息だって出ちゃうわ。
「ブヒヒーン!」
「ブヒヒンブルーッ!」
「うわっ」
急にカヌレとブリュレが後ろ足で立ち上がって前足で空をかく。
私はアルベールに抱えられて馬上でバランスをとってセーフだったが、ゴロンゴロンと馬の背中を転がってセヴランがボテッと落馬した。
「イテテテテ」
落ちたときに打った腰を押さえるセヴラン。
「あー、・・・アンタたちも行きたいのね・・・」
アルベールが落ち着くようにブリュレの首を叩くけど、二頭は興奮したように嘶きが止まらない。
「お嬢・・・」
「いいわ。アルベール、降りましょう」
リュシアンに抱っこして降ろしてもらったあと、ヒラリとアルベールも降りてくる。
「カヌレとブリュレもここに置いて行きましょう。・・・暴れたいみたいだから」
やってるぜ!オレはやるぜ!とやる気MAXの二頭には、大人しくしていることはできないだろう。
私たちは王宮の右翼側の扉の前で、ルネとリオネル、カミーユさん、カヌレとブリュレと分かれることにした。
「・・・すごいスピードで飛び出して行きましたけど、大丈夫ですか?死人・・・出ませんかねぇ」
セヴランの言う通り、一抹の不安が私の心を抉るけど、大丈夫でしょう・・・たぶん。
王宮は横に広い前世の博物館や美術館のような造りだ。
私たちは真ん中の社交用のスペースである大広間にしか足を踏み入れたことはないが、今いるこの右翼側はいわば行政スペース。
一番上の階には国王の執務室、王妃の執務室、王子王女の執務室があり・・・あの王族じゃ今まであんまり使われてなさそうね。
それ以外は、各所の役人や文官が宰相をトップに頂き働いている・・・お役所よね、つまるところ。
反対側の左翼側は、王族のプライベートスペースが主で、真ん中の社交スペースに近いところに外交として国外のお客様と会合する部屋とかがある。
国外のお客様って、ミュールズ国の人しか来ないじゃん。
客間は王宮内にはなくて、別の宮殿になるそう。
だ・か・ら、周りから嫌われているんだからお客様なんて、来ないじゃーん!
「・・・ヴィーさん?」
誰に向けての怒りかわからないけど、心の中でシャウトしていたら名前を呼ばれてビックリ!
王宮に私を知っている人がいるなんて・・・誰よ?
「ジャコブさん?」
振り向いた私の目には、茶色の丸い耳を持つ大柄な熊獣人ジャコブさんが、バトルアックスを肩に担いで立っていました。
ルンルンと跳ねるように歩くカミーユさん・・・いやでっかい白虎の姿と、一般的な魔獣馬より一回りはデカイ体躯の愛馬カヌレが目立つというより・・・。
「面白いぐらいに逃げて行くな」
「うん」
さっきからバッタリ会うメイドさんとか下働きの人たちが逃げていくのよ、私たちを見て。
それはまだいいわ。
だって彼らは非戦闘員だもの。
でもさぁ、衛兵のおじさんとか、騎士のお兄さんとかが「わーっ!」て叫びながら逃げるのはどうなのよ?職場放棄ですか?
「急ぎ徴兵した農民か、人手不足で雇い入れた者がほとんどなのでしょう」
アルベールもじっとり半目で逃げていく兵を見送っている。
「でも、あっちもそうみたいよ?」
私が指差すところには、笑いながら衛兵たちを追いかけ回している楽しそうなリシュリュー辺境伯の騎士たちの姿が。
「剣も握らないで逃げてますね」
セヴランも自分のことは棚上げして、バカにした言い方だ。
「いいじゃねぇか。何事もなく王宮まで行けるだろうよ」
リュシアンはカヌレの手綱を引いて先へと誘導して歩いていく。
私とアルベールはブリュレに乗ったままで、セヴランもカヌレに恐る恐る跨っている。
リュシアンだけ馬から降りたのは、こちらに向かってくる兵を薙ぎ払うためだったんだけど、必要なかったみたいね。
なんとなく白けた気持ちで王宮までの道のりをひたすら進む。
・・・今さらだけど、私たちが住んでいたお屋敷って、本当に王城の敷地の端の端だったのね・・・遠いわ。
王宮が見え始めると、その前の大広場も視界に入ってきた。
「おおーっ!・・・こっちも追いかけっこみたいになってるわね・・・」
みんな無言でリシュリュー辺境伯軍と王城の兵との戦い?をしばらく見学します。
罪人が逃げないように城門はすべてリシュリュー辺境伯軍で固めてあるはずだから、逃げている人たちも結局は王城の敷地から出れないんだけど。
「無抵抗で投降すればいいのに・・・」
なぜに無駄に逃げて体力を消耗するかね?
「いや、あんな強面に追い駆けられたら・・・逃げるだろ?」
リュシアン、あとでモルガン様に殴られるわよ?レイモン氏の娘、かわいい孫娘のカロリーヌ様に怖がられているのをちょっぴり気にしているんだから。
「ヴィー!ヴィー!」
なにやら、珍しくリオネルが興奮しているようだけど、どしたん?
「ヴィー様。あのぅ、ルネたちはここでモルガン様たちのお手伝いをしたいです」
ルネまでもじもじと両手の指を動かしておねだりしてくるけど、お手伝いって王城の兵を捕まえて非武装にすること?
「いいんじゃないか。王宮に入っても暴れられるところはねぇし。つまんねぇし」
おい、リュシアン!
王宮でユベールとエロイーズを捕まえるのは、この作戦の肝なのだよ?肝!
面白いとかつまらないとかじゃないのだよ!
「ヴィー。いいですよ。こんなにソワソワしていますし」
アルベールが苦笑して指差したのはルネとリオネルではなく、大きなニャンコと化した白虎カミーユさん。
「・・・そうね。いい?モルガン様たちの邪魔はしないのよ!」
私の言葉にかわいく頷くルネとリオネルはいいけど、なんで大人のカミーユさんまでうんうん頷いてんのよ・・・。
「はあーっ」
ため息だって出ちゃうわ。
「ブヒヒーン!」
「ブヒヒンブルーッ!」
「うわっ」
急にカヌレとブリュレが後ろ足で立ち上がって前足で空をかく。
私はアルベールに抱えられて馬上でバランスをとってセーフだったが、ゴロンゴロンと馬の背中を転がってセヴランがボテッと落馬した。
「イテテテテ」
落ちたときに打った腰を押さえるセヴラン。
「あー、・・・アンタたちも行きたいのね・・・」
アルベールが落ち着くようにブリュレの首を叩くけど、二頭は興奮したように嘶きが止まらない。
「お嬢・・・」
「いいわ。アルベール、降りましょう」
リュシアンに抱っこして降ろしてもらったあと、ヒラリとアルベールも降りてくる。
「カヌレとブリュレもここに置いて行きましょう。・・・暴れたいみたいだから」
やってるぜ!オレはやるぜ!とやる気MAXの二頭には、大人しくしていることはできないだろう。
私たちは王宮の右翼側の扉の前で、ルネとリオネル、カミーユさん、カヌレとブリュレと分かれることにした。
「・・・すごいスピードで飛び出して行きましたけど、大丈夫ですか?死人・・・出ませんかねぇ」
セヴランの言う通り、一抹の不安が私の心を抉るけど、大丈夫でしょう・・・たぶん。
王宮は横に広い前世の博物館や美術館のような造りだ。
私たちは真ん中の社交用のスペースである大広間にしか足を踏み入れたことはないが、今いるこの右翼側はいわば行政スペース。
一番上の階には国王の執務室、王妃の執務室、王子王女の執務室があり・・・あの王族じゃ今まであんまり使われてなさそうね。
それ以外は、各所の役人や文官が宰相をトップに頂き働いている・・・お役所よね、つまるところ。
反対側の左翼側は、王族のプライベートスペースが主で、真ん中の社交スペースに近いところに外交として国外のお客様と会合する部屋とかがある。
国外のお客様って、ミュールズ国の人しか来ないじゃん。
客間は王宮内にはなくて、別の宮殿になるそう。
だ・か・ら、周りから嫌われているんだからお客様なんて、来ないじゃーん!
「・・・ヴィーさん?」
誰に向けての怒りかわからないけど、心の中でシャウトしていたら名前を呼ばれてビックリ!
王宮に私を知っている人がいるなんて・・・誰よ?
「ジャコブさん?」
振り向いた私の目には、茶色の丸い耳を持つ大柄な熊獣人ジャコブさんが、バトルアックスを肩に担いで立っていました。
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