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幸せになりましょう
シャルル様のお仕事を確認しました
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モルガン様たち亜人奴隷解放軍のトップにはシャルル様の生い立ちなどはお話し済です。
冒険者ギルドのロドリスさんとミゲルさんたちにも情報は共有してもらいます。
なので、ノアイユ公爵であるシャルル様に対してモルガン様たちは優しい目をしていらっしゃいますよ。
そして、魔法騎士団の代表者がテーブルの上に三枚の紙をサッと出す。
なんか・・・いっぱい人の名前が書かれていますけど?
「これは、ざっと貴族を三つに分けたリストじゃ。一枚は儂らと同じ亜人奴隷解放に参加、賛成している貴族や有力者たち」
綺麗な几帳面な字で書かれているリストの一番上はヴィクトル兄様の名前。
「次は亜人差別意識の強い奴らと悪どいことに手を伸ばしていた馬鹿者どもだ」
ピラッと紙を捲ると、こちらの一番上にはザンマルタン侯爵の名前があった。
こっちの紙・・・最後までギッチリと人の名前が書いてありまけど・・・。
「最後は、これが厄介なのだが・・・これらのことに無関心な者たちのリストじゃ」
どれどれ、ともう一枚手にした紙には、ノアイユ公爵の名前を筆頭に紙の中程まで人の名前が書かれている。
「ノアイユ公爵には、この者たちへの説得を頼みたい」
「説得ですか?」
モルガン様が思うには、民が政に無関心なのは良くないことではあるが仕方のないことでもあると。
「民が関心を持つ政を行えないのが悪いのだ。反対に関心を持たれ過ぎるのも、政が上手くいってないことであるしな」
腕を組んでうむむむと唸るモルガン様に、私も納得でうんうんと腕を組んでみる。
「しかし、モルガン様。無関心な貴族にザンマルタン侯爵側になられたら、こちらの不利になりませんか?」
ユーグ君がヴィクトル兄様の顔色を伺いながら質問する。
「黙っていてこちらが有利になったところで、こういう奴らはヴィクトル様の戴冠後にグチグチ文句を言ってくるものだ。ザンマルタンとの決着を付ける前にこいつらの手綱は握っておかんといかん」
「無関心派の大多数はいわゆる中立派なんだ」
「そうじゃ、お嬢ちゃん・・・いやいやシルヴィー殿下。中立派は領地も豊かでこれといった問題もない。だからわざわざ問題事に首を突っ込む必要はないと思っている。今までは庇護してくれるノアイユ公爵がいたしな」
モルガン様、私のことはお嬢ちゃんのままでいいですよ?王様の血なんか一滴も入ってないんだから。
シャルル様は、無関心派じゃなかった、中立派のリストを見て眉を八の字に。
「どう、説得すれば?こちらの味方につくようにですか?」
ノアイユ公爵のお屋敷であった尊大な兄ちゃんはどこに行ったのか、こっちが素だったのか、とっても弱々しい態度ですね。
「味方にならなくてもかまわん。どっちにつくかをハッキリさせればいい」
「え・・・」
「全部終わってやれやれと思ったときに反乱を起こされるほうが迷惑じゃ。やるなら一気にやる。どうせ貴族の数が減るのは致し方ないのでな」
「それって・・・殺るなら一度にってこと?」
モルガン様は私の問いにいい笑顔で応えてくれました。
「そうだね。ユベールとエロイーズを捕らえた後は裁判や後始末でバタバタするし。民も動揺している。そんな中で新たに何かを起こされると困るな」
ヴィクトル兄様も眉間にシワを寄せて、うーんと唸っています。
「つまり、シャルル様がこの中立派にあえて声をかけて篩にかけるの?味方か敵か?」
モルガン様とアルベールがうんと頷いたけど、そんな酷な役目をこのシャルル様に押し付けるのはどうなのかなぁ?
「もちろん、手取り足取り教えてくれる奴を用意するぞい」
「だ・・・誰を?」
「レイモンじゃ」
ぎゃーっ!あの腹黒陰険レイモン氏が!腹黒策士レイモン氏が!
「来るんですか?レイモン氏・・・ここに」
「そうじゃ。どっちにしろ儂やレジスではコトが終わった後は役に立たん。そういうのはオルタンスかレイモンの仕事じゃ」
私は、きょとんとしているシャルル様の肩をポンポンと叩いて激励した。
「頑張って」
だって、それぐらいしか言えないじゃない!
シャルル様のお仕事はレイモン氏がこちらと合流してからとなったので、それまではノアイユ公爵を継いだことの挨拶状みたいなのを中立派の皆さんに出すことにした。
天幕の中、魔道具の灯りでせっせっと手紙を書くシャルル様と、封筒に封蝋をしていくイヴォンさん。
「シャルル様」
「ああ・・・シルヴィー殿下」
いや、だから殿下ってやめてほしいんだけど。
「どうしますか?エルフとして生きたいですか?」
シャルル様がここに来て、私たちに協力しているのはノアイユ公爵として生きる覚悟ができたからだ。
それならもう一つは?エルフとして生きる覚悟はどうなんだろう?
カタンとペンを置いて、シャルル様は真っ直ぐに私を見た。
「ええ。シャルル・ノアイユはエルフとしてノアイユ公爵として、トゥーロン王国で生きていきます。領民ため・・・とはまだ言えませんが、僕を育て守ってくれていた彼らのために」
晴れ晴れしい笑顔ですね!
そして、ちょっぴり悲しそうに自分の耳に手を当てるシャルル様。
そこへ、ジャジャーン!「命の水」劣化版です!
かのレイモン氏の愛妻を死の床から救った奇跡の薬です。
突然、鞄から薬瓶を取り出した私にシャルル様とイヴォンさんは不思議顔だが、護衛しているシモンさんは怪訝な顔だ。
「ポーションか?耳の一部とはいえ欠損になるからポーションは効かないぞ?」
「ふふふ。まあ、黙って見てなさい!」
アルベールとリュシアンがモルガン様たちと話している今がチャンスなんだから。
私はキュッポンと瓶の蓋を外すと、シャルル様の痛々しい耳に一滴、二滴垂らして、反対側の耳にも一滴、二滴。
「うっ・・・あああ」
シャルル様が自分の両耳を押さえて呻く。
「シャルル様!」
イヴォンさんがシャルル様の肩を抱いて揺さぶるのを、すぐにシャルル様が止める。
「だ・・・大丈夫だ。少し、くすぐったくて」
パッと手を放した耳は、ぴょこんと長いエルフの耳だった。
「はい、一丁上がり!」
「「ええーっ!!」」
イヴォンさんとシモンさんが大きな声で叫ぶから、アルベールとリュシアンに私のしたことがバレてしまった。
ええ・・・叱られましたよ、コッテリと。
しくしく。
いいことしたのにぃぃぃぃぃっ。
冒険者ギルドのロドリスさんとミゲルさんたちにも情報は共有してもらいます。
なので、ノアイユ公爵であるシャルル様に対してモルガン様たちは優しい目をしていらっしゃいますよ。
そして、魔法騎士団の代表者がテーブルの上に三枚の紙をサッと出す。
なんか・・・いっぱい人の名前が書かれていますけど?
「これは、ざっと貴族を三つに分けたリストじゃ。一枚は儂らと同じ亜人奴隷解放に参加、賛成している貴族や有力者たち」
綺麗な几帳面な字で書かれているリストの一番上はヴィクトル兄様の名前。
「次は亜人差別意識の強い奴らと悪どいことに手を伸ばしていた馬鹿者どもだ」
ピラッと紙を捲ると、こちらの一番上にはザンマルタン侯爵の名前があった。
こっちの紙・・・最後までギッチリと人の名前が書いてありまけど・・・。
「最後は、これが厄介なのだが・・・これらのことに無関心な者たちのリストじゃ」
どれどれ、ともう一枚手にした紙には、ノアイユ公爵の名前を筆頭に紙の中程まで人の名前が書かれている。
「ノアイユ公爵には、この者たちへの説得を頼みたい」
「説得ですか?」
モルガン様が思うには、民が政に無関心なのは良くないことではあるが仕方のないことでもあると。
「民が関心を持つ政を行えないのが悪いのだ。反対に関心を持たれ過ぎるのも、政が上手くいってないことであるしな」
腕を組んでうむむむと唸るモルガン様に、私も納得でうんうんと腕を組んでみる。
「しかし、モルガン様。無関心な貴族にザンマルタン侯爵側になられたら、こちらの不利になりませんか?」
ユーグ君がヴィクトル兄様の顔色を伺いながら質問する。
「黙っていてこちらが有利になったところで、こういう奴らはヴィクトル様の戴冠後にグチグチ文句を言ってくるものだ。ザンマルタンとの決着を付ける前にこいつらの手綱は握っておかんといかん」
「無関心派の大多数はいわゆる中立派なんだ」
「そうじゃ、お嬢ちゃん・・・いやいやシルヴィー殿下。中立派は領地も豊かでこれといった問題もない。だからわざわざ問題事に首を突っ込む必要はないと思っている。今までは庇護してくれるノアイユ公爵がいたしな」
モルガン様、私のことはお嬢ちゃんのままでいいですよ?王様の血なんか一滴も入ってないんだから。
シャルル様は、無関心派じゃなかった、中立派のリストを見て眉を八の字に。
「どう、説得すれば?こちらの味方につくようにですか?」
ノアイユ公爵のお屋敷であった尊大な兄ちゃんはどこに行ったのか、こっちが素だったのか、とっても弱々しい態度ですね。
「味方にならなくてもかまわん。どっちにつくかをハッキリさせればいい」
「え・・・」
「全部終わってやれやれと思ったときに反乱を起こされるほうが迷惑じゃ。やるなら一気にやる。どうせ貴族の数が減るのは致し方ないのでな」
「それって・・・殺るなら一度にってこと?」
モルガン様は私の問いにいい笑顔で応えてくれました。
「そうだね。ユベールとエロイーズを捕らえた後は裁判や後始末でバタバタするし。民も動揺している。そんな中で新たに何かを起こされると困るな」
ヴィクトル兄様も眉間にシワを寄せて、うーんと唸っています。
「つまり、シャルル様がこの中立派にあえて声をかけて篩にかけるの?味方か敵か?」
モルガン様とアルベールがうんと頷いたけど、そんな酷な役目をこのシャルル様に押し付けるのはどうなのかなぁ?
「もちろん、手取り足取り教えてくれる奴を用意するぞい」
「だ・・・誰を?」
「レイモンじゃ」
ぎゃーっ!あの腹黒陰険レイモン氏が!腹黒策士レイモン氏が!
「来るんですか?レイモン氏・・・ここに」
「そうじゃ。どっちにしろ儂やレジスではコトが終わった後は役に立たん。そういうのはオルタンスかレイモンの仕事じゃ」
私は、きょとんとしているシャルル様の肩をポンポンと叩いて激励した。
「頑張って」
だって、それぐらいしか言えないじゃない!
シャルル様のお仕事はレイモン氏がこちらと合流してからとなったので、それまではノアイユ公爵を継いだことの挨拶状みたいなのを中立派の皆さんに出すことにした。
天幕の中、魔道具の灯りでせっせっと手紙を書くシャルル様と、封筒に封蝋をしていくイヴォンさん。
「シャルル様」
「ああ・・・シルヴィー殿下」
いや、だから殿下ってやめてほしいんだけど。
「どうしますか?エルフとして生きたいですか?」
シャルル様がここに来て、私たちに協力しているのはノアイユ公爵として生きる覚悟ができたからだ。
それならもう一つは?エルフとして生きる覚悟はどうなんだろう?
カタンとペンを置いて、シャルル様は真っ直ぐに私を見た。
「ええ。シャルル・ノアイユはエルフとしてノアイユ公爵として、トゥーロン王国で生きていきます。領民ため・・・とはまだ言えませんが、僕を育て守ってくれていた彼らのために」
晴れ晴れしい笑顔ですね!
そして、ちょっぴり悲しそうに自分の耳に手を当てるシャルル様。
そこへ、ジャジャーン!「命の水」劣化版です!
かのレイモン氏の愛妻を死の床から救った奇跡の薬です。
突然、鞄から薬瓶を取り出した私にシャルル様とイヴォンさんは不思議顔だが、護衛しているシモンさんは怪訝な顔だ。
「ポーションか?耳の一部とはいえ欠損になるからポーションは効かないぞ?」
「ふふふ。まあ、黙って見てなさい!」
アルベールとリュシアンがモルガン様たちと話している今がチャンスなんだから。
私はキュッポンと瓶の蓋を外すと、シャルル様の痛々しい耳に一滴、二滴垂らして、反対側の耳にも一滴、二滴。
「うっ・・・あああ」
シャルル様が自分の両耳を押さえて呻く。
「シャルル様!」
イヴォンさんがシャルル様の肩を抱いて揺さぶるのを、すぐにシャルル様が止める。
「だ・・・大丈夫だ。少し、くすぐったくて」
パッと手を放した耳は、ぴょこんと長いエルフの耳だった。
「はい、一丁上がり!」
「「ええーっ!!」」
イヴォンさんとシモンさんが大きな声で叫ぶから、アルベールとリュシアンに私のしたことがバレてしまった。
ええ・・・叱られましたよ、コッテリと。
しくしく。
いいことしたのにぃぃぃぃぃっ。
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