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運命の鐘を鳴らしましょう
三国会談が始まりました
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アンティーブ国最大の港町、アラス。
その町を見下ろす高台に建てられている貴族の別荘のひとつ、宰相様のご自慢の別荘で大陸の歴史を動かす会談が行われる。
ゴクリ・・・緊張するわー。
クリストフさんの依頼でレルカン商会マルセルさんに協力してもらい、こっそりミュールズ国王太子、ミシェル殿下に密書を届けた。
この日、この時間、この場所での会談への参加を促すものだ。
勿論、ヴィクトル兄様とアンティーブ国王陛下の連名で。
いい返事がもらえたみたいで、晴れてこの日を迎えることができたのだけれど・・・。
アンティーブ国側からは、王弟クリストフさんと騎士団長さん・・・あの人族のマッチョイケオジが騎士団長様でした・・・といつもの司会進行の小人さん。
トゥーロン王国側からは、ヴィクトル兄様とベルナール様。
ベルナール様は、アンティーブ国王陛下たちからの勧めで、トゥーロン王国リシュリュー辺境伯からのお付き獣人たちを一度解雇した。
元々は、アンティーブ国第一王女だった「ジャンヌ様命」の取り巻きたちらしい。
「ジャンヌ様命」で、亜人は全て奴隷にする国に一緒に入国するレベルにちょっと引くけど・・・。
結局、彼らはベルナール様を主として第一にしていた訳でもなく、未だに「ジャンヌ様命」のままなんだよね。
だから、ジャンヌ様に王座を譲らなかったアンティーブ国やジャンヌ様を奪ったリシュリュー辺境伯に対して醜悪な想いを抱えていて、幼いベルナール様を自分たちの都合のいいように洗脳していったんだよ。
そりゃ、歪むよね?性格が。
彼らは、騎士団長がズルズルと騎士団の練兵場に連れて行き、しばらくは帰ってこないそうだ。
うん、心身ともに生まれ直すつもりで、揉まれておいで。
そして・・・なぜか、私たちシルヴィー一家のゆかいな仲間たち・・・も参加です。
「なんでよっ!」
ガタッと音を立てて椅子から立ち上がった私を、目を丸くして驚いて見つめるヴァネッサ姉さん。
ヴァネッサさんは一応・・・アラスの冒険者ギルドのギルマスだし、ギルド代表で参加とのこと。
「ど、どうしたんだい?」
「なんで、ただの冒険者である私たちが、こんな大事な会談に参加することになってんのよ!おかしいでしょうが!」
ダンッとテーブルを両手で叩くが、実際はペチッと可愛い音がしただけで、とっても手が痛いです。
ヴァネッサ姉さんはクリストフさんと、ヴィクトル兄様はベルナール様と顔を見合わせた後、シンクロした動きで首を傾げてみせた。
うがーっ!
「私たちは一般人です!しかもトゥーロン王国の民でもなければミュールズ国の民でもないし、アンティーブ国に住むかどうかはまだ検討中!」
なのに、なんで三国会談なんて厄介なものに巻き込まれているのさ。
「・・・今更だろう?お嬢。しかもこのメンツだぜ?アルベールがいなかったら纏まらないと思う」
段々とリュシアンの言葉が尻すぼみになるのは、アルベールが満面な笑顔で圧をかけているからだ。
馬鹿め!アルベールだって参加したくないに決まっているだろうが!
「・・・まあ、俺らに交渉事は無理だなぁ」
ガシガシと乱暴に頭を掻くクリストフさん。
確かに・・・騎士団長様はマトモな人っぽいけど、交渉事が得意な腹黒さは不足しているような・・・。
ヴァネッサ姉さんは論外だし、ヴィクトル兄様は・・・ミュールズ国の王子とは知らない仲じゃないけど、いいように利用されていそう。
ヴィクトル兄様ってば、あんな国で育ったのに純粋培養気味なんだよねぇ。
ベルナール様は、この中ではソコソコの腹黒さと思っていたけど、最近その認識を改めている。
まさかのチョロイン要員だとは思っていなかった。
マルセルさんが居てくれても、商人とは価値観が違うもんなー。
私は、隣に座るアルベールの頭の天辺から足爪先までを無遠慮に見る。
うん・・・アルベールしかいないね。
三国を相手にしても、全く引かずに腹黒と陰険を前面に出して有利に事を進めるあくどさは、アルベールしかいないよね。
私は、大人しくストンと椅子に座り直した。
・・・でもさ、じゃあアルベールだけが参加すれば・・・いいんじゃないの?
私は、こっそり頬を摩っている。
不穏なことを考えていたのがアルベールにバレて、頬を抓られたのだ。
「ほおう、私一人で参加させて、ヴィーは逃げるつもりなんですか?」と真顔で囁かれて、ムニッと両頬を抓られた。
そのまま、逃走できずに会談の場所に移動して、しっかりとトゥーロン王国側のヴィクトル兄様の隣に座らされている。
隣にはアルベールがいて、後ろにはリュシアンとセヴランが立っている。
ルネとリオネルは、部屋の隅に椅子を用意してもらって寛いでいます。
難しい話は分かりませんと、うるうる黒い瞳で見上げるルネは可愛い・・・茶菓子を大量に要求するリオネルには呆れる。
全員が座って暫くすると、私たちが入ってきた扉とは別の扉がゆっくりと開き、使用人の先導で一人の青年が入ってくる。
ミュールズ国王太子、ミシェル殿下、その人だ。
その町を見下ろす高台に建てられている貴族の別荘のひとつ、宰相様のご自慢の別荘で大陸の歴史を動かす会談が行われる。
ゴクリ・・・緊張するわー。
クリストフさんの依頼でレルカン商会マルセルさんに協力してもらい、こっそりミュールズ国王太子、ミシェル殿下に密書を届けた。
この日、この時間、この場所での会談への参加を促すものだ。
勿論、ヴィクトル兄様とアンティーブ国王陛下の連名で。
いい返事がもらえたみたいで、晴れてこの日を迎えることができたのだけれど・・・。
アンティーブ国側からは、王弟クリストフさんと騎士団長さん・・・あの人族のマッチョイケオジが騎士団長様でした・・・といつもの司会進行の小人さん。
トゥーロン王国側からは、ヴィクトル兄様とベルナール様。
ベルナール様は、アンティーブ国王陛下たちからの勧めで、トゥーロン王国リシュリュー辺境伯からのお付き獣人たちを一度解雇した。
元々は、アンティーブ国第一王女だった「ジャンヌ様命」の取り巻きたちらしい。
「ジャンヌ様命」で、亜人は全て奴隷にする国に一緒に入国するレベルにちょっと引くけど・・・。
結局、彼らはベルナール様を主として第一にしていた訳でもなく、未だに「ジャンヌ様命」のままなんだよね。
だから、ジャンヌ様に王座を譲らなかったアンティーブ国やジャンヌ様を奪ったリシュリュー辺境伯に対して醜悪な想いを抱えていて、幼いベルナール様を自分たちの都合のいいように洗脳していったんだよ。
そりゃ、歪むよね?性格が。
彼らは、騎士団長がズルズルと騎士団の練兵場に連れて行き、しばらくは帰ってこないそうだ。
うん、心身ともに生まれ直すつもりで、揉まれておいで。
そして・・・なぜか、私たちシルヴィー一家のゆかいな仲間たち・・・も参加です。
「なんでよっ!」
ガタッと音を立てて椅子から立ち上がった私を、目を丸くして驚いて見つめるヴァネッサ姉さん。
ヴァネッサさんは一応・・・アラスの冒険者ギルドのギルマスだし、ギルド代表で参加とのこと。
「ど、どうしたんだい?」
「なんで、ただの冒険者である私たちが、こんな大事な会談に参加することになってんのよ!おかしいでしょうが!」
ダンッとテーブルを両手で叩くが、実際はペチッと可愛い音がしただけで、とっても手が痛いです。
ヴァネッサ姉さんはクリストフさんと、ヴィクトル兄様はベルナール様と顔を見合わせた後、シンクロした動きで首を傾げてみせた。
うがーっ!
「私たちは一般人です!しかもトゥーロン王国の民でもなければミュールズ国の民でもないし、アンティーブ国に住むかどうかはまだ検討中!」
なのに、なんで三国会談なんて厄介なものに巻き込まれているのさ。
「・・・今更だろう?お嬢。しかもこのメンツだぜ?アルベールがいなかったら纏まらないと思う」
段々とリュシアンの言葉が尻すぼみになるのは、アルベールが満面な笑顔で圧をかけているからだ。
馬鹿め!アルベールだって参加したくないに決まっているだろうが!
「・・・まあ、俺らに交渉事は無理だなぁ」
ガシガシと乱暴に頭を掻くクリストフさん。
確かに・・・騎士団長様はマトモな人っぽいけど、交渉事が得意な腹黒さは不足しているような・・・。
ヴァネッサ姉さんは論外だし、ヴィクトル兄様は・・・ミュールズ国の王子とは知らない仲じゃないけど、いいように利用されていそう。
ヴィクトル兄様ってば、あんな国で育ったのに純粋培養気味なんだよねぇ。
ベルナール様は、この中ではソコソコの腹黒さと思っていたけど、最近その認識を改めている。
まさかのチョロイン要員だとは思っていなかった。
マルセルさんが居てくれても、商人とは価値観が違うもんなー。
私は、隣に座るアルベールの頭の天辺から足爪先までを無遠慮に見る。
うん・・・アルベールしかいないね。
三国を相手にしても、全く引かずに腹黒と陰険を前面に出して有利に事を進めるあくどさは、アルベールしかいないよね。
私は、大人しくストンと椅子に座り直した。
・・・でもさ、じゃあアルベールだけが参加すれば・・・いいんじゃないの?
私は、こっそり頬を摩っている。
不穏なことを考えていたのがアルベールにバレて、頬を抓られたのだ。
「ほおう、私一人で参加させて、ヴィーは逃げるつもりなんですか?」と真顔で囁かれて、ムニッと両頬を抓られた。
そのまま、逃走できずに会談の場所に移動して、しっかりとトゥーロン王国側のヴィクトル兄様の隣に座らされている。
隣にはアルベールがいて、後ろにはリュシアンとセヴランが立っている。
ルネとリオネルは、部屋の隅に椅子を用意してもらって寛いでいます。
難しい話は分かりませんと、うるうる黒い瞳で見上げるルネは可愛い・・・茶菓子を大量に要求するリオネルには呆れる。
全員が座って暫くすると、私たちが入ってきた扉とは別の扉がゆっくりと開き、使用人の先導で一人の青年が入ってくる。
ミュールズ国王太子、ミシェル殿下、その人だ。
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