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運命の鐘を鳴らしましょう
妹のままでもいいかと思いました
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「まさか・・・レルカン商会が・・・。裏稼業?いやいや、まさか・・・父さん・・・」
段々と顔色が悪くなるセヴランは、ブツブツと何かを呟き、クリストフさんへと距離を縮めていく。
今まで、そんなに接触の無かったセヴランからの圧を感じて、クリストフさんの背中が徐々に反っていった。
なんとなく、私はそのレルカン商会とセヴランの関係がわかったけど、こっちはこっちでそれどころではないのだ!
さっきまでしょんもりとしていた耳と尻尾を今度はピンと立てて、ヴィクトル兄様の従者ユーグ君が猛烈に私に迫ってきている。
「本当に、本当に、ヴィクトル様とは血が繋がっていないのですか?ちょっとはあるのでは?ちょっとちょっと、ほんのちょっぴりでもいいんです!」
ほんのちょっぴりの血縁関係って、もう兄妹じゃないじゃん。
私はチベスナの表情で聞き流しているのだが、ユーグ君の鬼気迫る表情に焦ったリュシアンが物理的に間に入ってくれた。
ユーグ君を抑えられるはずのヴィクトル兄様は、まだ真実が受け止め切れていないのか、額に手を当てて目を瞑り肩を落としたままだ。
「お前、少し落ち着け。そんなこと言っても事実は変わらねぇだろうが」
両手でユーグ君を抑えるようにして、リュシアンが宥めてくれるが全く効果がない。
上位種であるリュシアンにも遠慮することなく、彼は噛みつくように言い放った。
「事実はどうでもいいんです!ヴィクトル様がシルヴィー様を妹にと望んでいるんです!だから、妹でいいんです!」
「んな訳ねぇだろうがっ!お前、ほんと、少し落ち着けよ。願えば妹って、だったら俺が望めばお嬢は妹か?」
「はあああっ?そんなバカなことあるわけないでしょ。シルヴィー様はヴィクトル様の妹です!」
もう、支離滅裂だ。
リュシアンも呆れた顔を隠しもしない。
そして、私たちの横ではセヴランの質問にクリストフさんがタジタジになっていて、アルベールは高見の見物をしている。
「だ・か・ら、レルカン商会が裏稼業をしている証拠を見せてくださいっ!父が働いていた商会なんですよ!しかも、私の大恩ある会頭の弟が営んでいる商会なんですよ、レルカン商会は!」
「そんな事情は知らん!だが、レルカン商会の情報屋としての顔は凄まじいぞ?お前の父もそっちの仕事をしていた・・・」
「なんてことを言うんですか!邪推にしても酷い!父は優秀な行商人でした!この国にはレルカン商会という商会がふたつあるんですか?」
「いやいや、同じ名前で商業ギルドに登録できないだろう・・・。おい、アルベール。いい加減、なんとかしてくれ・・・」
フフフ、と笑いながら首を横に振る、意地悪なアルベール。
そして、もうひとつ苛立つのが・・・私の視界の端に映る奴らだ。
話し合いに参加もせずにこの状況に飽きてきたカミーユさんは、愛しいリオネル不足を感じて、リオネルを構いだした。
最初はお菓子を食べてスルーをしていたリオネルだが、激しくなるスキンシップに嫌気が差したのだろう。
でも私たちが難しい顔で難しい話をしているので、邪魔をしてはいけないと察したらしい・・・珍しい、成長してるわ、リオネル。
彼の取った行動はルネの背中に匿ってもらうこと。
これで、カミーユさんとリオネルが困惑するルネを挟んで追いかけっこしている状態になった。
リオネルは顔を不愉快に歪めてカミーユさんの手を払い除けているが、カミーユさんはニヤニヤ脂下がった顔でリオネルに手を伸ばす。
ふうーっ、なんだこの空間?
そのとき、私とアンティーブ国王陛下と目がバチッと合った。
無言で頷き合うと、私は右手の指を銃に見立てて、呪文を詠唱する。
『秘儀・水鉄砲』
ピュッ、ピュッ、ピュッと三連発。
ユーグ君、セヴラン、カミーユさんの顔のど真ん中に、私の人差し指から発射された水が命中する。
「「「うわっ!」」」
問題の3人の気が逸れたのを見計らって、陛下がドンッとテーブルを叩き。
「静まれっ!」
一喝してくれました。
改めて、私はヴィクトル兄様と向き合っています。
ユーグ君は顔を俯けて大人しくリュシアンに拘束されてます。
「・・・シルヴィー・・・いや・・・今はヴィーだっけ?」
痛々しく笑わなくてもいいですよ?私は貴方を傷つけたいわけじゃないの。
「ううん。兄様には今までどおりシルヴィーって呼んでほしい。ダメ?」
あざとらしく小首を傾げてお願いしてみる。
「いや・・・。ありがとう。シルヴィー」
だから、そんな泣き笑いの表情で私を見つめなくてもいいんです。
「ヴィクトル兄様・・・。私もずっと兄様って呼んでいいですか?」
少しヴィクトル兄様へ歩み寄って、そっとその大きな手を私のまだ小さな両手で包む。
「シルヴィー」
「本当の妹じゃないけど・・・兄様って思っていてもいい?トゥーロン王国で私は家族とも思える仲間を得ることができました」
ぎゅっと手に力を込める。
真っ直ぐにヴィクトル兄様を見上げて。
「でも、家族として優しくしてくれたヴィクトル兄様とリリアーヌ姉様も・・・私の大事な家族なんだと思ってます。本当のことを知った今でも」
伝われ!私の気持ち。
この気持ちは嘘じゃない。
本当に嬉しかったの。
リリアーヌ姉様がドレスを贈ってくれたことも、パーティーでふたりが抱きしめてくれたことも、生まれたばかりの私に会いに来てくれていたことも・・・すっごくすっごく嬉しかったの。
それに・・・中身アラサー女子としては、萎れたヴィクトル兄様を見捨てて置けないんだよねー。
しょうがない、こんなことになるって思ってたし・・・・。
ちょっと背中に感じるアルベールの視線が痛いけど、しょうがない、しょうがない。
ヴィクトル兄様は優しく微笑んだ後、壊れ物を扱うような仕草で私をあのときと同じく抱きしめてくれた。
「・・・ありがとう。ありがとう・・・僕の妹、シルヴィー」
ポンポンと涙を零すヴィクトル兄様の背中を優しく叩いてあげた。
もう、本当にしょうがないなー。
段々と顔色が悪くなるセヴランは、ブツブツと何かを呟き、クリストフさんへと距離を縮めていく。
今まで、そんなに接触の無かったセヴランからの圧を感じて、クリストフさんの背中が徐々に反っていった。
なんとなく、私はそのレルカン商会とセヴランの関係がわかったけど、こっちはこっちでそれどころではないのだ!
さっきまでしょんもりとしていた耳と尻尾を今度はピンと立てて、ヴィクトル兄様の従者ユーグ君が猛烈に私に迫ってきている。
「本当に、本当に、ヴィクトル様とは血が繋がっていないのですか?ちょっとはあるのでは?ちょっとちょっと、ほんのちょっぴりでもいいんです!」
ほんのちょっぴりの血縁関係って、もう兄妹じゃないじゃん。
私はチベスナの表情で聞き流しているのだが、ユーグ君の鬼気迫る表情に焦ったリュシアンが物理的に間に入ってくれた。
ユーグ君を抑えられるはずのヴィクトル兄様は、まだ真実が受け止め切れていないのか、額に手を当てて目を瞑り肩を落としたままだ。
「お前、少し落ち着け。そんなこと言っても事実は変わらねぇだろうが」
両手でユーグ君を抑えるようにして、リュシアンが宥めてくれるが全く効果がない。
上位種であるリュシアンにも遠慮することなく、彼は噛みつくように言い放った。
「事実はどうでもいいんです!ヴィクトル様がシルヴィー様を妹にと望んでいるんです!だから、妹でいいんです!」
「んな訳ねぇだろうがっ!お前、ほんと、少し落ち着けよ。願えば妹って、だったら俺が望めばお嬢は妹か?」
「はあああっ?そんなバカなことあるわけないでしょ。シルヴィー様はヴィクトル様の妹です!」
もう、支離滅裂だ。
リュシアンも呆れた顔を隠しもしない。
そして、私たちの横ではセヴランの質問にクリストフさんがタジタジになっていて、アルベールは高見の見物をしている。
「だ・か・ら、レルカン商会が裏稼業をしている証拠を見せてくださいっ!父が働いていた商会なんですよ!しかも、私の大恩ある会頭の弟が営んでいる商会なんですよ、レルカン商会は!」
「そんな事情は知らん!だが、レルカン商会の情報屋としての顔は凄まじいぞ?お前の父もそっちの仕事をしていた・・・」
「なんてことを言うんですか!邪推にしても酷い!父は優秀な行商人でした!この国にはレルカン商会という商会がふたつあるんですか?」
「いやいや、同じ名前で商業ギルドに登録できないだろう・・・。おい、アルベール。いい加減、なんとかしてくれ・・・」
フフフ、と笑いながら首を横に振る、意地悪なアルベール。
そして、もうひとつ苛立つのが・・・私の視界の端に映る奴らだ。
話し合いに参加もせずにこの状況に飽きてきたカミーユさんは、愛しいリオネル不足を感じて、リオネルを構いだした。
最初はお菓子を食べてスルーをしていたリオネルだが、激しくなるスキンシップに嫌気が差したのだろう。
でも私たちが難しい顔で難しい話をしているので、邪魔をしてはいけないと察したらしい・・・珍しい、成長してるわ、リオネル。
彼の取った行動はルネの背中に匿ってもらうこと。
これで、カミーユさんとリオネルが困惑するルネを挟んで追いかけっこしている状態になった。
リオネルは顔を不愉快に歪めてカミーユさんの手を払い除けているが、カミーユさんはニヤニヤ脂下がった顔でリオネルに手を伸ばす。
ふうーっ、なんだこの空間?
そのとき、私とアンティーブ国王陛下と目がバチッと合った。
無言で頷き合うと、私は右手の指を銃に見立てて、呪文を詠唱する。
『秘儀・水鉄砲』
ピュッ、ピュッ、ピュッと三連発。
ユーグ君、セヴラン、カミーユさんの顔のど真ん中に、私の人差し指から発射された水が命中する。
「「「うわっ!」」」
問題の3人の気が逸れたのを見計らって、陛下がドンッとテーブルを叩き。
「静まれっ!」
一喝してくれました。
改めて、私はヴィクトル兄様と向き合っています。
ユーグ君は顔を俯けて大人しくリュシアンに拘束されてます。
「・・・シルヴィー・・・いや・・・今はヴィーだっけ?」
痛々しく笑わなくてもいいですよ?私は貴方を傷つけたいわけじゃないの。
「ううん。兄様には今までどおりシルヴィーって呼んでほしい。ダメ?」
あざとらしく小首を傾げてお願いしてみる。
「いや・・・。ありがとう。シルヴィー」
だから、そんな泣き笑いの表情で私を見つめなくてもいいんです。
「ヴィクトル兄様・・・。私もずっと兄様って呼んでいいですか?」
少しヴィクトル兄様へ歩み寄って、そっとその大きな手を私のまだ小さな両手で包む。
「シルヴィー」
「本当の妹じゃないけど・・・兄様って思っていてもいい?トゥーロン王国で私は家族とも思える仲間を得ることができました」
ぎゅっと手に力を込める。
真っ直ぐにヴィクトル兄様を見上げて。
「でも、家族として優しくしてくれたヴィクトル兄様とリリアーヌ姉様も・・・私の大事な家族なんだと思ってます。本当のことを知った今でも」
伝われ!私の気持ち。
この気持ちは嘘じゃない。
本当に嬉しかったの。
リリアーヌ姉様がドレスを贈ってくれたことも、パーティーでふたりが抱きしめてくれたことも、生まれたばかりの私に会いに来てくれていたことも・・・すっごくすっごく嬉しかったの。
それに・・・中身アラサー女子としては、萎れたヴィクトル兄様を見捨てて置けないんだよねー。
しょうがない、こんなことになるって思ってたし・・・・。
ちょっと背中に感じるアルベールの視線が痛いけど、しょうがない、しょうがない。
ヴィクトル兄様は優しく微笑んだ後、壊れ物を扱うような仕草で私をあのときと同じく抱きしめてくれた。
「・・・ありがとう。ありがとう・・・僕の妹、シルヴィー」
ポンポンと涙を零すヴィクトル兄様の背中を優しく叩いてあげた。
もう、本当にしょうがないなー。
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