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運命の鐘を鳴らしましょう
ベルナール様の目的がわかりませんでした
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アルベールは、自分が弟を探しに旅していたこと、消息を掴んだときには弟さんは亡くなっていたこと、結婚していてその妻がトゥーロン王国の王族に連れて行かれたこと、弟を害したのもトゥーロン王国の者だったこと・・・そして、
「弟の子供である私を見守るために、トゥーロン王国の王城に紛れ込んでいたことまで、全部クリストフさんに喋ってしまったのね?」
「「ええーっ!」」
なんで、リュシアンとセヴランが驚いて声を上げるのよ?
「ええ。そして貴方を守るためにトゥーロン王国を出国し、アンティーブ国に辿り着いたことまで詳細に話しました。あれでもクリストフは人情家なので、少しでも情に訴えたいと思いまして」
ニヤッと片方の口端を上げる、黒いアルベール。
同情を誘えば、いざアンティーブ国から逃げようとしたときに、協力まではしてくれなくても、目を瞑ってくれるかもしれないと・・・。
アンタねぇ、仮にもアラスの町のヴァネッサ姉さんとクリストフさんで、度々上級ダンジョン攻略していた仲間だったんでしょう?
損得で付き合う癖を止めなさいっ!
「いやいや、爺とクリストフが冒険者仲間つーのも初耳だが、お、お嬢がアルベールの姪っ子?へ?王女じゃないの?」
「そうですよ!ヴィーさんが王女だから命を狙われたり、利用されたりすることから逃げてるんですよ?違うなら・・・そもそも逃げなくてもいいじゃないですか・・・」
あ・・・忘れてたかも・・・。
そういえば、私の出自の話はアルベールと私だけの秘密だったわね。
「そんな簡単な話ではありませんよ。それに、放って置かれたみそっかすな子供だったとしても、トゥーロン王国の王族の系譜に載ってますからね。今更、王の子供じゃないと言い出しても・・・」
「そうそう。私を都合よく使いたい人たちに真実を握りつぶされるのがオチだわ。特にミュールズ国が私を捕まえて傀儡の女王にさせようとしているんだし」
しかも、下手したら本物の私じゃなくて、よく似た年ごろの少女を私に仕立てるぐらいはしそうだわ。
「それに・・・アルベールとクリストフが昔の冒険者仲間で・・・、あのオッサンがSランクの冒険者だったなんて・・・」
リュシアンが訳のわからないことにガックリと落ち込んでいるけど、アルベールはその背中にサックリと止めを刺した。
「だったではなく、現役のSランクの冒険者ですよ。今でも、ひとりでコカトリスやワイバーンは勿論、相性が良ければ小さなドラゴンぐらい討伐できますよ」
魔法はヘッタクソなので、全てあの大剣で倒していますけど、と続けた。
「・・・それで、私がトゥーロン王国の第4王女ってバレたから、登城命令が下ったの?」
「いいえ。ベルナール殿の関係ですね。彼は獅子族で、この獅子族っていうのは白虎族と同じで、アンティーブ国王の一族なのです」
白虎族は国を出た者の子孫にも受け継がれていくらしいが、獅子族は特殊で王族直系に近い者にしか獅子族は生まれない。
臣籍降下した王族や降嫁した王族の子供は獅子族でも、孫子にまでは受け継がれないらしい。
つまり、ベルナール様のお母様は、今の国王陛下ととても近しい人・・・となる。
「・・・クリストフが言うには、彼の姉、国王陛下にとってもお姉さんですが、行方不明らしいです、ベルナール殿は彼女の子供の可能性が高い」
「王姉・・・。なんでそんな身分の高い人が、トゥーロン王国で奴隷になんて・・・」
「そして、そのベルナール殿と王族が対面する場所に、私たち・・・まあ、私とヴィーが正式に招待されています」
「いらねぇーっ!」
咄嗟に出た言葉に「お行儀が悪いですよ」とアルベールにデコピンされる。
イタタッ。
「やっぱり、俺たちとベルナールが知り合いだってバレたからか?」
「それもありますが・・・。たぶんベルナール殿はヴィクトル殿下も連れて王城に来られると思います」
「ヴィクトル兄様も?」
それって・・・私、詰んだ?
ベルナール様には、私の正体はバレてると思う。
リシュリュー辺境伯の皆さんにバレバレだったもんね。
前髪をスッキリさせて、瞳の色も変えているけど・・・このメンバーと一緒に居たら、私が「シルヴィー・トゥーロン第4王女」って・・・わかるよねぇぇぇぇ。
「獣人が治める国の国王陛下の前に召しだされる亜人差別の国の王女って・・・処刑一択?」
そんなバカ!ここまで、逃げてきたのにぃ!
まだ、ゴダール男爵領地でおソバ食べてないよーっ!
「さて、どういうつもりなんでしょうね。私たちの招待は国王陛下の命令なのか、誰かの差し金なのか」
「・・・ベルナール様は今どこに?」
「王都ギルドで少し留め置かれていましたが、すぐに身元引受人が来て帰られました」
王族かもしれない見知らぬ獅子族のベルナール様を、そんなあっさりと帰しちゃっていいの?
せめて、そのまま王城に連れて行き王宮で寝泊まりさせるとかしませんかね?
「ベルナール様を迎えに来たのが・・・現国王陛下の母上、王太后様ですね。その実家の侯爵家です」
「・・・それって、ベルナールの奴、自分の出自がわかっていて、その侯爵家に居るってことだよな?」
「そうですね。どうやらアラスの町から順繰りに貴族と会い、王都で目的の侯爵家と目通りが叶い、自分の正体を明かしたというところですかね」
そりゃ、王族の獅子族だってわかったら侯爵家で面倒をみるでしょうよ。
ただでさえ、自分の家から嫁入りしたその子供の子供?かもしれないんだから。
「・・・ベルナールの目的ってなんだろうな?」
本当、それ!
あの人、何が目的なんだろう?
そして、そのことにヴィクトル兄様をどう利用しているのかな?
場合によっては、許さないんですけど?
私たちは、夕食を食べて明日の正念場に向けて早々に休むことにした。
それぞれの部屋に分かれる間際、リュシアンがいささか強い口調で宣言する。
「俺たちも、明日は絶対一緒に行くからな!」
・・・いいけど、王城見物に行くんじゃないのよ?
「弟の子供である私を見守るために、トゥーロン王国の王城に紛れ込んでいたことまで、全部クリストフさんに喋ってしまったのね?」
「「ええーっ!」」
なんで、リュシアンとセヴランが驚いて声を上げるのよ?
「ええ。そして貴方を守るためにトゥーロン王国を出国し、アンティーブ国に辿り着いたことまで詳細に話しました。あれでもクリストフは人情家なので、少しでも情に訴えたいと思いまして」
ニヤッと片方の口端を上げる、黒いアルベール。
同情を誘えば、いざアンティーブ国から逃げようとしたときに、協力まではしてくれなくても、目を瞑ってくれるかもしれないと・・・。
アンタねぇ、仮にもアラスの町のヴァネッサ姉さんとクリストフさんで、度々上級ダンジョン攻略していた仲間だったんでしょう?
損得で付き合う癖を止めなさいっ!
「いやいや、爺とクリストフが冒険者仲間つーのも初耳だが、お、お嬢がアルベールの姪っ子?へ?王女じゃないの?」
「そうですよ!ヴィーさんが王女だから命を狙われたり、利用されたりすることから逃げてるんですよ?違うなら・・・そもそも逃げなくてもいいじゃないですか・・・」
あ・・・忘れてたかも・・・。
そういえば、私の出自の話はアルベールと私だけの秘密だったわね。
「そんな簡単な話ではありませんよ。それに、放って置かれたみそっかすな子供だったとしても、トゥーロン王国の王族の系譜に載ってますからね。今更、王の子供じゃないと言い出しても・・・」
「そうそう。私を都合よく使いたい人たちに真実を握りつぶされるのがオチだわ。特にミュールズ国が私を捕まえて傀儡の女王にさせようとしているんだし」
しかも、下手したら本物の私じゃなくて、よく似た年ごろの少女を私に仕立てるぐらいはしそうだわ。
「それに・・・アルベールとクリストフが昔の冒険者仲間で・・・、あのオッサンがSランクの冒険者だったなんて・・・」
リュシアンが訳のわからないことにガックリと落ち込んでいるけど、アルベールはその背中にサックリと止めを刺した。
「だったではなく、現役のSランクの冒険者ですよ。今でも、ひとりでコカトリスやワイバーンは勿論、相性が良ければ小さなドラゴンぐらい討伐できますよ」
魔法はヘッタクソなので、全てあの大剣で倒していますけど、と続けた。
「・・・それで、私がトゥーロン王国の第4王女ってバレたから、登城命令が下ったの?」
「いいえ。ベルナール殿の関係ですね。彼は獅子族で、この獅子族っていうのは白虎族と同じで、アンティーブ国王の一族なのです」
白虎族は国を出た者の子孫にも受け継がれていくらしいが、獅子族は特殊で王族直系に近い者にしか獅子族は生まれない。
臣籍降下した王族や降嫁した王族の子供は獅子族でも、孫子にまでは受け継がれないらしい。
つまり、ベルナール様のお母様は、今の国王陛下ととても近しい人・・・となる。
「・・・クリストフが言うには、彼の姉、国王陛下にとってもお姉さんですが、行方不明らしいです、ベルナール殿は彼女の子供の可能性が高い」
「王姉・・・。なんでそんな身分の高い人が、トゥーロン王国で奴隷になんて・・・」
「そして、そのベルナール殿と王族が対面する場所に、私たち・・・まあ、私とヴィーが正式に招待されています」
「いらねぇーっ!」
咄嗟に出た言葉に「お行儀が悪いですよ」とアルベールにデコピンされる。
イタタッ。
「やっぱり、俺たちとベルナールが知り合いだってバレたからか?」
「それもありますが・・・。たぶんベルナール殿はヴィクトル殿下も連れて王城に来られると思います」
「ヴィクトル兄様も?」
それって・・・私、詰んだ?
ベルナール様には、私の正体はバレてると思う。
リシュリュー辺境伯の皆さんにバレバレだったもんね。
前髪をスッキリさせて、瞳の色も変えているけど・・・このメンバーと一緒に居たら、私が「シルヴィー・トゥーロン第4王女」って・・・わかるよねぇぇぇぇ。
「獣人が治める国の国王陛下の前に召しだされる亜人差別の国の王女って・・・処刑一択?」
そんなバカ!ここまで、逃げてきたのにぃ!
まだ、ゴダール男爵領地でおソバ食べてないよーっ!
「さて、どういうつもりなんでしょうね。私たちの招待は国王陛下の命令なのか、誰かの差し金なのか」
「・・・ベルナール様は今どこに?」
「王都ギルドで少し留め置かれていましたが、すぐに身元引受人が来て帰られました」
王族かもしれない見知らぬ獅子族のベルナール様を、そんなあっさりと帰しちゃっていいの?
せめて、そのまま王城に連れて行き王宮で寝泊まりさせるとかしませんかね?
「ベルナール様を迎えに来たのが・・・現国王陛下の母上、王太后様ですね。その実家の侯爵家です」
「・・・それって、ベルナールの奴、自分の出自がわかっていて、その侯爵家に居るってことだよな?」
「そうですね。どうやらアラスの町から順繰りに貴族と会い、王都で目的の侯爵家と目通りが叶い、自分の正体を明かしたというところですかね」
そりゃ、王族の獅子族だってわかったら侯爵家で面倒をみるでしょうよ。
ただでさえ、自分の家から嫁入りしたその子供の子供?かもしれないんだから。
「・・・ベルナールの目的ってなんだろうな?」
本当、それ!
あの人、何が目的なんだろう?
そして、そのことにヴィクトル兄様をどう利用しているのかな?
場合によっては、許さないんですけど?
私たちは、夕食を食べて明日の正念場に向けて早々に休むことにした。
それぞれの部屋に分かれる間際、リュシアンがいささか強い口調で宣言する。
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