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運命の鐘を鳴らしましょう
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「ゲェッホ、ゲッホォォォォォ・・・エッ」
ストンと宿屋の裏側にある厩の辺りでリュシアンの腕からようやく降ろされて、咳き込んだわよ。
もう・・・もう鳩尾が苦しい、痛い・・・きぼちわるい・・・。
「あ、わりぃ。大丈夫か?お嬢」
さすさすと背中を摩ってくれるリュシアンも宿までの全速力はきつかったのか、ゼーハーゼーハーしてる。
ふたりしてへたり込んでいると、厩からセヴランたちが現れた。
「大丈夫ですか?ふたりとも」
セヴランに助けてもらおうと青白い顔を上げて・・・彼の様子を見て固まった。
「え・・・、セヴランこそ大丈夫?」
なんか・・・死相が出てますが?
私の心配そうな声にぶわっと涙を溢れさせると、ズザザッと走り寄ってきてさめざめと泣き出した。
「聞いてくださいよー、酷いんですよ、リオネルがー。今日は薬草の採取だってあれほど言ったのにぃぃぃぃ」
ああ・・・うん、セヴランも大変だったんだね。
「あー、あいつらはスッキリした顔してんな」
胡坐をかいたリュシアンが見ているのは、ニコニコ顔のルネとリオネルと、ブラッシングされてご満悦なカヌレとブリュレだ。
うん、あの顔は心ゆくまで暴れたみたいだね・・・。
「あー、とりあえず馬車の方で少し休もう。私も入りたいけど、みんなもお風呂に入りなさいよ」
ビーストとの直接対決はしていないけど、気分を変えたい私たちと、薬草採取では絶対に付かない汚れを服のあちこちに付けているセヴランたち。
お風呂に入って気分転換してから、お茶とお菓子でエネルギー補給して、面倒な話をしたいのです、私は。
よっこいしょ、と8歳の美少女が発するのにはいまいちな掛け声をかけて立ち上がり、ルネとリオネルと一緒に馬車まで移動。
セヴラン?リュシアンがやれやれと腕を引っ張って連れて来たわよ。
いつまで、泣いてんのかしら?
お菓子や軽食を作る係である私とルネが最初にお風呂に入って、次にセヴラン、烏の行水派のリュシアンがリオネルを捕まえて最後一緒に入って。
その間に、ホットケーキとサンドイッチ、ホットドッグ、ポテトチップスを作り、セヴランにお茶を淹れてもらう。
みんなで車座に座り、ひと口お茶を口に含みます。
ふわあぁぁぁぁっ、五臓六腑に染み渡るぜぇぇぇぇぃ。
「・・・ところで、アルベールと買い物に行ってたんじゃないんですか?リュシアンもカミーユさんはどうしました」
「ううーん。そこがね・・・問題だったというか。現在進行形で・・・面倒事が起きているっていうか・・・」
「まあ、俺たちの話は後でいいから、セヴランたちは今日はどうしたんだよ?薬草採取の依頼だったんだろう?」
今頃、はぐはぐとルネからもらったホットケーキを貪り食っているはずのカヌレとブリュレと一緒に、王都の門を出てすぐの草原に行くはずだったわよね?
あんな所にリオネルが満足する魔獣が出没したかしら?
「最初はカヌレとブリュレを好き勝手に走らせておいて、地味に薬草を採取していたんです。ルネとリオネルも大人しく採取してたのにぃぃぃぃ」
あ、やば・・・こいつ、また泣く気か?
セヴランは単純な作業についうっかり、別のことを考えてしまったらしい。
私が提案したようにお父さんが昔お世話になっていた商会に挨拶に行くことや、自分が将来開くお店は「薬屋」でもいいなとか。
「そう考えたら行商中に珍しい薬草の採取も自分でできますし。リュシアンたちに頼めば秘境にある幻の薬草とかも手に入りそうですし・・・」
あんた・・・そこは他力本願なのね・・・。
「調剤はヴィーさんに任したら門外不出のアレができそうなので、店番と合わせて薬師を雇ってもいいかなぁとか、こういろいろ考えていたら・・・」
なんで私のチート能力には頼らないのよっ!
あれよ?幻の薬草とかを使って死者蘇生の禁忌の薬とか作れるわよ?
「いつのまにか、ルネとリオネルが消えていたのです」
辺りを探して見つかったのはブリュレだけで、カヌレの姿も見えなかったそうな。
そして、ブリュレに向かって「みんなはどこに行ってしまったのか」と愚痴ったら、服の襟をかぷっと噛まれてひょいと背中に乗せられそのまま爆走された。
「ついた場所は草原から離れた木立の中の沼?みたいな所で・・・そこで・・・ルネたちが楽しそうに・・・」
そのときを思い出して、自分の体を抱きしめてブルブルと震えだすセヴラン。
「何を討伐してたの?」
私の横で、はぐはぐとサンドイッチを両手に持って食べているリオネルに聞いてみた。
「・・・肉」
「あ、あの・・・リザードが大量に発生していたので・・・えっと・・・間引きしていました!」
食べていたホットドッグをちゃんとお皿に置いて、口元をナプキンで丁寧に拭った後、そう教えてくれたルネだけど・・・。
セヴランが遠い目をしているので、間引きをしたのではなく全滅させたんだろうな・・・。
「そう。それは・・・偉かったわね」
私はルネをナデナデ。
「何、褒めてんですか!私が着いたときには何匹ものリザードの上に乗って高笑いしてたんですよ、その子たち。しかも肉はギルドに売らないって言って、全部持って行くって駄々捏ねて・・・ふうぅぅっ」
大変だったね。
結局、リザードは何匹いたのさ?
「ヴィー。から揚げ」
「?リザードの肉でから揚げ作れってこと?」
リオネルは口の周りをマヨネーズとケチャップで汚しまくった顔で、嬉しそうに頷いた。
リザードとから揚げの関係性が分からなくて首を捻っている私に、リュシアンがバツが悪そうな顔で謝ってきた。
「あー、すまん、お嬢。それ、俺のせいかも・・・。ヘビ肉もいいけどワニ肉もから揚げにしたら旨そうだって・・・クリストフと・・・」
「そのせいか・・・。いや作るけど、から揚げ。それよりリザードって何リザードを狩ってきたのよ?」
鉱物系のリザードだったら皮が固くて肉は不味いイメージがあるけど。
「とにかく量が多かったので、ギルドで解体を頼んできました。費用はかかりますが皮や爪を売ったお金で充分お釣りが出ます」
ルネとリオネルの破天荒な行動で心は折れていても、お金勘定がちゃんとできるセヴランは流石です。
では、私たちの問題を話ましょうか・・・、気が重いけど。
ストンと宿屋の裏側にある厩の辺りでリュシアンの腕からようやく降ろされて、咳き込んだわよ。
もう・・・もう鳩尾が苦しい、痛い・・・きぼちわるい・・・。
「あ、わりぃ。大丈夫か?お嬢」
さすさすと背中を摩ってくれるリュシアンも宿までの全速力はきつかったのか、ゼーハーゼーハーしてる。
ふたりしてへたり込んでいると、厩からセヴランたちが現れた。
「大丈夫ですか?ふたりとも」
セヴランに助けてもらおうと青白い顔を上げて・・・彼の様子を見て固まった。
「え・・・、セヴランこそ大丈夫?」
なんか・・・死相が出てますが?
私の心配そうな声にぶわっと涙を溢れさせると、ズザザッと走り寄ってきてさめざめと泣き出した。
「聞いてくださいよー、酷いんですよ、リオネルがー。今日は薬草の採取だってあれほど言ったのにぃぃぃぃ」
ああ・・・うん、セヴランも大変だったんだね。
「あー、あいつらはスッキリした顔してんな」
胡坐をかいたリュシアンが見ているのは、ニコニコ顔のルネとリオネルと、ブラッシングされてご満悦なカヌレとブリュレだ。
うん、あの顔は心ゆくまで暴れたみたいだね・・・。
「あー、とりあえず馬車の方で少し休もう。私も入りたいけど、みんなもお風呂に入りなさいよ」
ビーストとの直接対決はしていないけど、気分を変えたい私たちと、薬草採取では絶対に付かない汚れを服のあちこちに付けているセヴランたち。
お風呂に入って気分転換してから、お茶とお菓子でエネルギー補給して、面倒な話をしたいのです、私は。
よっこいしょ、と8歳の美少女が発するのにはいまいちな掛け声をかけて立ち上がり、ルネとリオネルと一緒に馬車まで移動。
セヴラン?リュシアンがやれやれと腕を引っ張って連れて来たわよ。
いつまで、泣いてんのかしら?
お菓子や軽食を作る係である私とルネが最初にお風呂に入って、次にセヴラン、烏の行水派のリュシアンがリオネルを捕まえて最後一緒に入って。
その間に、ホットケーキとサンドイッチ、ホットドッグ、ポテトチップスを作り、セヴランにお茶を淹れてもらう。
みんなで車座に座り、ひと口お茶を口に含みます。
ふわあぁぁぁぁっ、五臓六腑に染み渡るぜぇぇぇぇぃ。
「・・・ところで、アルベールと買い物に行ってたんじゃないんですか?リュシアンもカミーユさんはどうしました」
「ううーん。そこがね・・・問題だったというか。現在進行形で・・・面倒事が起きているっていうか・・・」
「まあ、俺たちの話は後でいいから、セヴランたちは今日はどうしたんだよ?薬草採取の依頼だったんだろう?」
今頃、はぐはぐとルネからもらったホットケーキを貪り食っているはずのカヌレとブリュレと一緒に、王都の門を出てすぐの草原に行くはずだったわよね?
あんな所にリオネルが満足する魔獣が出没したかしら?
「最初はカヌレとブリュレを好き勝手に走らせておいて、地味に薬草を採取していたんです。ルネとリオネルも大人しく採取してたのにぃぃぃぃ」
あ、やば・・・こいつ、また泣く気か?
セヴランは単純な作業についうっかり、別のことを考えてしまったらしい。
私が提案したようにお父さんが昔お世話になっていた商会に挨拶に行くことや、自分が将来開くお店は「薬屋」でもいいなとか。
「そう考えたら行商中に珍しい薬草の採取も自分でできますし。リュシアンたちに頼めば秘境にある幻の薬草とかも手に入りそうですし・・・」
あんた・・・そこは他力本願なのね・・・。
「調剤はヴィーさんに任したら門外不出のアレができそうなので、店番と合わせて薬師を雇ってもいいかなぁとか、こういろいろ考えていたら・・・」
なんで私のチート能力には頼らないのよっ!
あれよ?幻の薬草とかを使って死者蘇生の禁忌の薬とか作れるわよ?
「いつのまにか、ルネとリオネルが消えていたのです」
辺りを探して見つかったのはブリュレだけで、カヌレの姿も見えなかったそうな。
そして、ブリュレに向かって「みんなはどこに行ってしまったのか」と愚痴ったら、服の襟をかぷっと噛まれてひょいと背中に乗せられそのまま爆走された。
「ついた場所は草原から離れた木立の中の沼?みたいな所で・・・そこで・・・ルネたちが楽しそうに・・・」
そのときを思い出して、自分の体を抱きしめてブルブルと震えだすセヴラン。
「何を討伐してたの?」
私の横で、はぐはぐとサンドイッチを両手に持って食べているリオネルに聞いてみた。
「・・・肉」
「あ、あの・・・リザードが大量に発生していたので・・・えっと・・・間引きしていました!」
食べていたホットドッグをちゃんとお皿に置いて、口元をナプキンで丁寧に拭った後、そう教えてくれたルネだけど・・・。
セヴランが遠い目をしているので、間引きをしたのではなく全滅させたんだろうな・・・。
「そう。それは・・・偉かったわね」
私はルネをナデナデ。
「何、褒めてんですか!私が着いたときには何匹ものリザードの上に乗って高笑いしてたんですよ、その子たち。しかも肉はギルドに売らないって言って、全部持って行くって駄々捏ねて・・・ふうぅぅっ」
大変だったね。
結局、リザードは何匹いたのさ?
「ヴィー。から揚げ」
「?リザードの肉でから揚げ作れってこと?」
リオネルは口の周りをマヨネーズとケチャップで汚しまくった顔で、嬉しそうに頷いた。
リザードとから揚げの関係性が分からなくて首を捻っている私に、リュシアンがバツが悪そうな顔で謝ってきた。
「あー、すまん、お嬢。それ、俺のせいかも・・・。ヘビ肉もいいけどワニ肉もから揚げにしたら旨そうだって・・・クリストフと・・・」
「そのせいか・・・。いや作るけど、から揚げ。それよりリザードって何リザードを狩ってきたのよ?」
鉱物系のリザードだったら皮が固くて肉は不味いイメージがあるけど。
「とにかく量が多かったので、ギルドで解体を頼んできました。費用はかかりますが皮や爪を売ったお金で充分お釣りが出ます」
ルネとリオネルの破天荒な行動で心は折れていても、お金勘定がちゃんとできるセヴランは流石です。
では、私たちの問題を話ましょうか・・・、気が重いけど。
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