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運命の鐘を鳴らしましょう
風と共に去りました?
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私が目を大きく見開いてクリストフさんの頭の上を指差し、その指でベルナール様の頭の上を指差し・・・え?どういうこと?
しかし、種族は同じらしいが、ふたりが似ている所は他には何もなさそうです。
クリストフさんが、荒くれ者どもを纏める兄貴風なワイルド系ライオン族なら、ベルナール様は、気品を感じる令息風のノーブル系ライオン族。
クリストフさんは髪の毛も耳も真っ黒だし・・・って黒いライオン?
こっちの世界って黒いライオンとか存在するの?
あわあわしている私の隙を付いて単純明快大好きリュシアンは、クリストフさんにどストレートに質問してみる。
「あ?なんだ?同じ種族か?なんだなんだ、クリストフの親戚か・・・ってベルナール様じゃねぇか!」
うん、気付くの遅いし、そこでベルナール様の名前を出したら私たちが知り合いって、クリストフさんにバレるよね?
アルベールなんて笑顔が引き攣っているし、眉がピクピクして・・・かなり怒ってるよ?あれ。
「なんだ、リュシアンはこいつと知り合いか?」
「いや・・・なんつーか・・・えっと・・・」
クリストフさんの質問返しに困ったように、私とアルベールに視線を送ってくるけどそんなの無視するよ?
自分のミスなんだから、自分でなんとかしてよねー。
しかし、神様はいたみたいで、彼に助けの手が差し伸べられた。
リュシアンの質問に、ベルナール様を拘束している冒険者のおじさんが律儀に答えてくれたのだ。
「バカ言うなよ、こいつと王弟であるクリストフ様が親戚の訳あるか」
ガハハハって笑ってるけど・・・おじさん今、なんて?
「え・・・。クリストフさんって王族?王弟って・・・王様の弟?」
その風体で?王族?
あ、アルベールの奴は知っていて黙っていたのね!
ギロッとアルベールを睨んで、文句のひとつでも投げてやろうと思った私より先に、アルベールの鋭い声がリュシアンへ飛ぶ。
「リュシアン!ヴィーを連れて先に宿に戻れ!」
「うえっ?」
「いいから、早くしろっ!」
「わ・・・わかった」
リュシアンは戸惑いながらも私の体をひょいと小脇に抱えると、その場をダッシュで離れた。
「ちょっ・・・。ちょっと、待って!アルベール!・・・リュシアンも止まって!」
「いや、あんな顔した爺さんに歯向かうことはできん!お嬢、しっかり口を閉じてろよ、舌噛むぞ!」
そして、さらにスピードを上げるバカ狼!
舌を噛みたくないから、口はしっかりと閉じておくけど、アンタねー、いつも私を運ぶときに小脇に抱えるか肩に担ぐかの二択だけど、鳩尾にくい込んで苦しいのよっ!
ひいいっー!誰か、助けてーっ!
リュシアンが乱暴にヴィーを抱えて走り去った方向を見送りながら、これからどうするかを考える。
とっても面倒なことになってしまった。
いろいろなことに不機嫌になっているクリストフも、こんな所であっさりと獣人の姿を晒し捕まっているベルナールも、そして楽しそうにビーストを検分し始めているカミーユも、みんなまとめて葬り去りたいぐらいに面倒だ。
暫し、現実から目を背けているとクリストフの肉厚な手で肩を強く掴まれる。
「おい、説明しろアルベール」
「何を?」
「全部だ!全部!水魔法の威力がおかしかったのはこの際目を瞑るが、あのビーストをどうやって閉じ込めたのか。あと・・・あいつとは知り合いなのか?」
クイッと立てた親指で示したのは、顔を顰めたベルナール。
まあ、彼の獣人姿を見たクリストフが気にしないわけないですよね?
だって、獅子族はアンティーブ国の王族のみ・・・なのですから。
はぁーっ、と心の奥底から息を吐き出してから、クリストフと向き合う。
さて、どこまで真実を話すとしましょうか?
その前に、やることがありましたね。
「クリストフ。話は後で然るべき所でするべきです。こんな大勢の前でアンティーブ国の王族に関することを声高に話せと?まずはビーストの問題を解決しましょう」
ポンポンと彼の肩を軽く叩いて、カミーユの元へと足を進める。
苦虫を100匹噛み潰したような顔をしながら、渋々と私の後を付いてくるクリストフ。
途中、ベルナールを拘束している冒険者に何か指示を出していた。
流石にこのまま放っておくこともできないから、王城・・・いや、王都ギルドにでも案内したかな?
倒れたビーストを囲む人の輪を押しのけて進むと、ビーストの頭の所でしゃがんでジロジロと検体を見まわしているカミーユがいた。
「カミーユ先生。どうですか?」
「うん。残念だけどビーストは亡くなってしまったよ。まあ、魔力暴走が起きなくても長生きできる状態じゃなかったようだけど。本体は魔力枯渇が酷い状態だし、他の魔獣の体の部分も幾つか損傷しているね」
カミーユの見立てどおり、本体のエルフ族の体は干からびたような状態で、金髪だった髪は真っ白に代わり、美しかった顔は皺だらけになっていた。
熊の腕はあちこちで毛皮が剥がれていたし、オーガの足も内部から破裂したような損傷がみられた。
一気に大量の魔力が流れた結果、耐えられなかった部位が内部から裂けたんだろう。
「以前倒したビーストとの共通点が見受けられるから、同じ所若しくは同じ人が手掛けたビーストだろうね。詳しいことは検分できる研究室に運んでからかな?」
いやー、忙しくなるなー!と満面の笑みで言われても・・・。
私の後ろに黙って控えていたクリストフは、カミーユのその言葉に「おい、王都ギルドに運べ」と冒険者たちに命じていた。
そういえば、ちっとも役に立たなかったし、邪魔でしかなかった王都ギルドから来た冒険者たちはどうしたんでしょう?
「あん?邪魔だから、俺の名前で王都ギルドへ戻した。攻撃魔法をバンバン撃っていた奴らは、俺の権限で降格させてやりたいぜ」
「是非、そうしてください。ビーストが倒れたのは魔力暴走が原因ですが、それを早めたのは無駄に攻撃魔法をビーストに撃って、魔力の供給をオーバーさせた彼らの責任ですので」
私の言葉にクリストフは、頭が痛いように眉間に皺を寄せてしまった。
「じゃあ、話もあるし、アルベールも王都ギルドへ一緒に行くよな?これは、アンティーブ国のギルマス命令だからな!」
「はいはい」
逃げませんから、肩を強く掴むのは止めてください。
野蛮な獣人の貴方と違うのですから、エルフの細い肩が砕けてしまいますよ。
しかもこんなときに、アンティーブ国の冒険者ギルドトップの権力を振りかざすなんて、相変わらず嫌な男ですねぇ。
しかし、種族は同じらしいが、ふたりが似ている所は他には何もなさそうです。
クリストフさんが、荒くれ者どもを纏める兄貴風なワイルド系ライオン族なら、ベルナール様は、気品を感じる令息風のノーブル系ライオン族。
クリストフさんは髪の毛も耳も真っ黒だし・・・って黒いライオン?
こっちの世界って黒いライオンとか存在するの?
あわあわしている私の隙を付いて単純明快大好きリュシアンは、クリストフさんにどストレートに質問してみる。
「あ?なんだ?同じ種族か?なんだなんだ、クリストフの親戚か・・・ってベルナール様じゃねぇか!」
うん、気付くの遅いし、そこでベルナール様の名前を出したら私たちが知り合いって、クリストフさんにバレるよね?
アルベールなんて笑顔が引き攣っているし、眉がピクピクして・・・かなり怒ってるよ?あれ。
「なんだ、リュシアンはこいつと知り合いか?」
「いや・・・なんつーか・・・えっと・・・」
クリストフさんの質問返しに困ったように、私とアルベールに視線を送ってくるけどそんなの無視するよ?
自分のミスなんだから、自分でなんとかしてよねー。
しかし、神様はいたみたいで、彼に助けの手が差し伸べられた。
リュシアンの質問に、ベルナール様を拘束している冒険者のおじさんが律儀に答えてくれたのだ。
「バカ言うなよ、こいつと王弟であるクリストフ様が親戚の訳あるか」
ガハハハって笑ってるけど・・・おじさん今、なんて?
「え・・・。クリストフさんって王族?王弟って・・・王様の弟?」
その風体で?王族?
あ、アルベールの奴は知っていて黙っていたのね!
ギロッとアルベールを睨んで、文句のひとつでも投げてやろうと思った私より先に、アルベールの鋭い声がリュシアンへ飛ぶ。
「リュシアン!ヴィーを連れて先に宿に戻れ!」
「うえっ?」
「いいから、早くしろっ!」
「わ・・・わかった」
リュシアンは戸惑いながらも私の体をひょいと小脇に抱えると、その場をダッシュで離れた。
「ちょっ・・・。ちょっと、待って!アルベール!・・・リュシアンも止まって!」
「いや、あんな顔した爺さんに歯向かうことはできん!お嬢、しっかり口を閉じてろよ、舌噛むぞ!」
そして、さらにスピードを上げるバカ狼!
舌を噛みたくないから、口はしっかりと閉じておくけど、アンタねー、いつも私を運ぶときに小脇に抱えるか肩に担ぐかの二択だけど、鳩尾にくい込んで苦しいのよっ!
ひいいっー!誰か、助けてーっ!
リュシアンが乱暴にヴィーを抱えて走り去った方向を見送りながら、これからどうするかを考える。
とっても面倒なことになってしまった。
いろいろなことに不機嫌になっているクリストフも、こんな所であっさりと獣人の姿を晒し捕まっているベルナールも、そして楽しそうにビーストを検分し始めているカミーユも、みんなまとめて葬り去りたいぐらいに面倒だ。
暫し、現実から目を背けているとクリストフの肉厚な手で肩を強く掴まれる。
「おい、説明しろアルベール」
「何を?」
「全部だ!全部!水魔法の威力がおかしかったのはこの際目を瞑るが、あのビーストをどうやって閉じ込めたのか。あと・・・あいつとは知り合いなのか?」
クイッと立てた親指で示したのは、顔を顰めたベルナール。
まあ、彼の獣人姿を見たクリストフが気にしないわけないですよね?
だって、獅子族はアンティーブ国の王族のみ・・・なのですから。
はぁーっ、と心の奥底から息を吐き出してから、クリストフと向き合う。
さて、どこまで真実を話すとしましょうか?
その前に、やることがありましたね。
「クリストフ。話は後で然るべき所でするべきです。こんな大勢の前でアンティーブ国の王族に関することを声高に話せと?まずはビーストの問題を解決しましょう」
ポンポンと彼の肩を軽く叩いて、カミーユの元へと足を進める。
苦虫を100匹噛み潰したような顔をしながら、渋々と私の後を付いてくるクリストフ。
途中、ベルナールを拘束している冒険者に何か指示を出していた。
流石にこのまま放っておくこともできないから、王城・・・いや、王都ギルドにでも案内したかな?
倒れたビーストを囲む人の輪を押しのけて進むと、ビーストの頭の所でしゃがんでジロジロと検体を見まわしているカミーユがいた。
「カミーユ先生。どうですか?」
「うん。残念だけどビーストは亡くなってしまったよ。まあ、魔力暴走が起きなくても長生きできる状態じゃなかったようだけど。本体は魔力枯渇が酷い状態だし、他の魔獣の体の部分も幾つか損傷しているね」
カミーユの見立てどおり、本体のエルフ族の体は干からびたような状態で、金髪だった髪は真っ白に代わり、美しかった顔は皺だらけになっていた。
熊の腕はあちこちで毛皮が剥がれていたし、オーガの足も内部から破裂したような損傷がみられた。
一気に大量の魔力が流れた結果、耐えられなかった部位が内部から裂けたんだろう。
「以前倒したビーストとの共通点が見受けられるから、同じ所若しくは同じ人が手掛けたビーストだろうね。詳しいことは検分できる研究室に運んでからかな?」
いやー、忙しくなるなー!と満面の笑みで言われても・・・。
私の後ろに黙って控えていたクリストフは、カミーユのその言葉に「おい、王都ギルドに運べ」と冒険者たちに命じていた。
そういえば、ちっとも役に立たなかったし、邪魔でしかなかった王都ギルドから来た冒険者たちはどうしたんでしょう?
「あん?邪魔だから、俺の名前で王都ギルドへ戻した。攻撃魔法をバンバン撃っていた奴らは、俺の権限で降格させてやりたいぜ」
「是非、そうしてください。ビーストが倒れたのは魔力暴走が原因ですが、それを早めたのは無駄に攻撃魔法をビーストに撃って、魔力の供給をオーバーさせた彼らの責任ですので」
私の言葉にクリストフは、頭が痛いように眉間に皺を寄せてしまった。
「じゃあ、話もあるし、アルベールも王都ギルドへ一緒に行くよな?これは、アンティーブ国のギルマス命令だからな!」
「はいはい」
逃げませんから、肩を強く掴むのは止めてください。
野蛮な獣人の貴方と違うのですから、エルフの細い肩が砕けてしまいますよ。
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