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運命の鐘を鳴らしましょう
面倒事は重なってやってきました
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リュシアンがビーストの胸に魔道具の針をブツと刺すと、素早く跳躍してその場を離れて、ダッシュでこちらへ戻ってきた。
「ハアハア・・・やったぞ、お嬢」
「ご苦労様。で・・・あれ、大丈夫かな?」
魔道具が作動して、ビーストの体はすっぽりと防御壁に囲まれたはず。
地中まで伸びる防御壁のせいで、ビーストの体はその場に固定され、移動することはできない・・・と思う。
・・・んん?
「おんや?予想とは違うなぁ。なんか防御壁の中が白く濁っているみたいなんだけど?」
ドーム状に展開された防御壁の中は、苦しみ藻掻くビーストの姿が霞むほど白く濁っていくんだけど・・・。
「湯気?かな・・・」
そういえば、ビーストの体から漏れ出た魔力が湯気みたいに見えたっけ。
しばらくすると、ビーストの口から悍ましい獣のような咆哮が発せられた。
「ん?え?なに?なんで?アルベールなの?ちょっと、目隠ししないでよっ」
ビーストの異常に身を乗り出すようにした私の体を後ろから抱き留めて、片手で私の目を覆ったのはアルベールだ。
「あー、お嬢。俺が確認してくるから、そのままにしてろ。あんま見るなよ」
「あ、僕も行きます!興味があるので」
リュシアンとカミーユさんがバタバタと走り出して行ってしまった。
ふたりが動いたことによって、固まっていたその場の空気が弛みクリストフさんの大声が聞こえてくる。
荒くれ冒険者たちも緊張が解けたのか、右に左に動きだしたようだ。
耳には、恐ろしい絶叫がずっと聞こえている。
「ねえねえ、ビーストはどうなったの?防御壁は?」
「・・・魔道具はまだ持ちこたえています。ビーストの姿はほぼ見えなくなりましたが・・・あっ!」
ギュッと目を覆う手に力が入る。
何が起きたんだろう。
耳を澄ますと、野太いおじさんたちの悲鳴が聞こえた。
「どうしたの?リュシアンは?カミーユさんは大丈夫なの?」
「ええ。大丈夫です。どうやら魔力暴走が起きたようです。防御壁の中のビーストは・・・おそらく助からないでしょう」
そっと目から手を離してくれてたけど、私が無防備にビーストに近づかないよう抱えた腕は離さない。
私の自由になった視界には、ビーストが居た場所に二重、三重に人が輪になって集まっているのが映った。
中心には、大剣を肩に担いだリュシアンと、白い髪の毛がふわふわと揺れているカミーユさんがいる。
その輪の中からクリストフさんが抜け出て、こちらへ向かってきた。
「・・・面倒なことが起きそうですね。逃げましょうか?」
「ええーっ、クリストフさんだってお仕事なんでしょう?協力してあげなよ」
私は顔を上にあげて、アルベールのしかめっ面を楽しんだ。
「私たちはただの通行人ですよ。リュシアン!」
アルベールに呼ばれたリュシアンはこちらを振り返り、ゆったりとして足取りで戻ってくる。
その様子からビーストの脅威は取り除かれたんだろう。
「おう!アルベール。随分とご活躍してくれたなぁ」
「なんのことです?」
「ああん?でっかい水魔法で俺たちをびしょ濡れにしたのも、変な繭を作ってビーストを閉じ込めたのも、そんでもって倒したのもお前の仕業だろうが!」
ちょっとオコなクリストフさんは、アルベールの胸倉を掴んで揺すりながら文句を言っている。
そのときには、アルベールの腕から解放されていた私は、こちらに戻ってきたリュシアンへ、スススと移動して知らんぷり。
知りません、水魔法も防御壁も・・・私は知りませーん!
「あ、お嬢にこれ渡しておくな」
チャリと軽い音で手の平に落とされたのは、防御の魔道具だったリュシアンのブローチの残骸。
こてんと首を傾げた私の頭をくしゃと撫でて。
「大丈夫だ。ギリギリ防御壁の効果が持った。おかげで周りへの損傷は、ほぼない」
「そう。よかった」
リュシアンは私にニカッと笑って、クリストフさんに声を掛ける。
優しいリュシアンは、アルベールへ助け船を出してあげたんだろう。
「まあまあ、あのビーストはどうすんだよ、クリストフ。東ギルドで検分すんのか?」
「んな訳あるか!王都ギルドが近いしな、そっちに運ぶ。丁度カミーユ先生もいるし」
あ、アルベールがそっとクリストフさんと距離をとって、乱れた襟元を直している。
「ところで、いつまでびしょ濡れのままなんだよ。ターバンまで水を吸って重いだろう?外しちまえよ」
「あ?や、やめろっ!」
リュシアンは、勢いよくターバンの端を掴むとグイッと引っ張った。
パラリと解かれるちょっと汚いターバン、隠れていたボサボサの黒い髪。
そしてぴょこりと現れた・・・。
「ライオンの耳?」
え?それって・・・。
「おい、クリストフの兄貴。捕まえて来たコイツをどうすんだよ。なんか偉そうなんだけど、こいつ、貴族なのか?」
クリストフさんを呼ぶ声に釣られてそちらを見ると、ゴツイおじさんの太い腕に拘束されたベルナール様が・・・。
そのベルナール様の頭にもぴょこりと・・・。
「ライオンの耳?」
それって、どういうことなのーっ!?
「ハアハア・・・やったぞ、お嬢」
「ご苦労様。で・・・あれ、大丈夫かな?」
魔道具が作動して、ビーストの体はすっぽりと防御壁に囲まれたはず。
地中まで伸びる防御壁のせいで、ビーストの体はその場に固定され、移動することはできない・・・と思う。
・・・んん?
「おんや?予想とは違うなぁ。なんか防御壁の中が白く濁っているみたいなんだけど?」
ドーム状に展開された防御壁の中は、苦しみ藻掻くビーストの姿が霞むほど白く濁っていくんだけど・・・。
「湯気?かな・・・」
そういえば、ビーストの体から漏れ出た魔力が湯気みたいに見えたっけ。
しばらくすると、ビーストの口から悍ましい獣のような咆哮が発せられた。
「ん?え?なに?なんで?アルベールなの?ちょっと、目隠ししないでよっ」
ビーストの異常に身を乗り出すようにした私の体を後ろから抱き留めて、片手で私の目を覆ったのはアルベールだ。
「あー、お嬢。俺が確認してくるから、そのままにしてろ。あんま見るなよ」
「あ、僕も行きます!興味があるので」
リュシアンとカミーユさんがバタバタと走り出して行ってしまった。
ふたりが動いたことによって、固まっていたその場の空気が弛みクリストフさんの大声が聞こえてくる。
荒くれ冒険者たちも緊張が解けたのか、右に左に動きだしたようだ。
耳には、恐ろしい絶叫がずっと聞こえている。
「ねえねえ、ビーストはどうなったの?防御壁は?」
「・・・魔道具はまだ持ちこたえています。ビーストの姿はほぼ見えなくなりましたが・・・あっ!」
ギュッと目を覆う手に力が入る。
何が起きたんだろう。
耳を澄ますと、野太いおじさんたちの悲鳴が聞こえた。
「どうしたの?リュシアンは?カミーユさんは大丈夫なの?」
「ええ。大丈夫です。どうやら魔力暴走が起きたようです。防御壁の中のビーストは・・・おそらく助からないでしょう」
そっと目から手を離してくれてたけど、私が無防備にビーストに近づかないよう抱えた腕は離さない。
私の自由になった視界には、ビーストが居た場所に二重、三重に人が輪になって集まっているのが映った。
中心には、大剣を肩に担いだリュシアンと、白い髪の毛がふわふわと揺れているカミーユさんがいる。
その輪の中からクリストフさんが抜け出て、こちらへ向かってきた。
「・・・面倒なことが起きそうですね。逃げましょうか?」
「ええーっ、クリストフさんだってお仕事なんでしょう?協力してあげなよ」
私は顔を上にあげて、アルベールのしかめっ面を楽しんだ。
「私たちはただの通行人ですよ。リュシアン!」
アルベールに呼ばれたリュシアンはこちらを振り返り、ゆったりとして足取りで戻ってくる。
その様子からビーストの脅威は取り除かれたんだろう。
「おう!アルベール。随分とご活躍してくれたなぁ」
「なんのことです?」
「ああん?でっかい水魔法で俺たちをびしょ濡れにしたのも、変な繭を作ってビーストを閉じ込めたのも、そんでもって倒したのもお前の仕業だろうが!」
ちょっとオコなクリストフさんは、アルベールの胸倉を掴んで揺すりながら文句を言っている。
そのときには、アルベールの腕から解放されていた私は、こちらに戻ってきたリュシアンへ、スススと移動して知らんぷり。
知りません、水魔法も防御壁も・・・私は知りませーん!
「あ、お嬢にこれ渡しておくな」
チャリと軽い音で手の平に落とされたのは、防御の魔道具だったリュシアンのブローチの残骸。
こてんと首を傾げた私の頭をくしゃと撫でて。
「大丈夫だ。ギリギリ防御壁の効果が持った。おかげで周りへの損傷は、ほぼない」
「そう。よかった」
リュシアンは私にニカッと笑って、クリストフさんに声を掛ける。
優しいリュシアンは、アルベールへ助け船を出してあげたんだろう。
「まあまあ、あのビーストはどうすんだよ、クリストフ。東ギルドで検分すんのか?」
「んな訳あるか!王都ギルドが近いしな、そっちに運ぶ。丁度カミーユ先生もいるし」
あ、アルベールがそっとクリストフさんと距離をとって、乱れた襟元を直している。
「ところで、いつまでびしょ濡れのままなんだよ。ターバンまで水を吸って重いだろう?外しちまえよ」
「あ?や、やめろっ!」
リュシアンは、勢いよくターバンの端を掴むとグイッと引っ張った。
パラリと解かれるちょっと汚いターバン、隠れていたボサボサの黒い髪。
そしてぴょこりと現れた・・・。
「ライオンの耳?」
え?それって・・・。
「おい、クリストフの兄貴。捕まえて来たコイツをどうすんだよ。なんか偉そうなんだけど、こいつ、貴族なのか?」
クリストフさんを呼ぶ声に釣られてそちらを見ると、ゴツイおじさんの太い腕に拘束されたベルナール様が・・・。
そのベルナール様の頭にもぴょこりと・・・。
「ライオンの耳?」
それって、どういうことなのーっ!?
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