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王都に行きましょう
最強は唐揚げでした
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大活躍したブリュレの背にアルベールと一緒に乗って、みんなとはやや遅れてパッカラパッカラと町へと帰る。
ぼそぼそと小声でお話し中というか・・・お小言中ですよ、とほほほ。
「で、そもそも何故、リオネルに治癒魔法をかけたのですか?」
「え、だって、大怪我してたし、万が一があったら怖いじゃない」
あんな小さい体で、しかも不安定な獣化中に大怪我を負ったのよ?
早く治してあげないと、かわいそうでしょうが。
「そういうことでなく。怪我ならポーションがあったでしょう」
あ・・・、そうでした。
病気じゃなくて怪我なら、私が暇つぶしに作っていたポーションで治りました。
私ってば上級ポーションもお手軽に作れるようになってたし、在庫はたんまりと無限収納の中に入っているし。
「あ・・・あれ?あはははは、あれ?・・・・・・。すみません、パニくってました」
ずーんと落ち込む私。
「まったく。カミーユがリオネルの状態に自失状態で、貴方の治癒魔法を見られてないからいいですが・・・、氷漬けにしたのも貴方の魔法と思ってないようでしたし」
うん、完全にAランク冒険者のエルフ様、アルベールの魔法の仕業だと思ってるよね。
「どうやら、リオネルが怪我をした後、自分が虎に獣化してビーストに攻撃をしていたこと自体覚えてないようですし。このままシラを切りますよ」
「はーい」
カミーユさんは自分が大きな白虎になって、ビーストに攻撃して反撃されて爪で切り裂かれたことを、まるっと覚えていない。
怪我をした認識はあるが、細かいことは覚えてないのだ。
でもさ、獣化したことは教えてあげないと、今後何かの拍子に獣化したら、大騒ぎになるよ?
「そうですね。獣化のことは話しましょう。何故、裸で倒れていたのか不思議そうでしたからね」
虎の姿になるときに着ていた服は破けちゃうんだよね。
怪我の治療で服を脱がしたって嘘言っても、下着まで脱がすことはないからバレるし、怪我の治療自体はポーションだから服なんて関係ないし。
ふいっと上を見上げると、アルベールが警戒を怠らず厳しい目を左右に向けながら、リュシアンたちとは適度に距離を開けてブリュレを走らせている。
「なんですか?」
私に視線を向けることなく、私からの視線には気づいていた。
「・・・わざとじゃないよ?」
「なんですか?カミーユに命の水を飲ましたことですか?」
そう、わざとではない。
「命の水(劣化版)」をカミーユさんに飲まして、彼のスキルを底上げしてしまったのは。
「リオネルに飲ませようとポーションを出して・・・そのままにしてたら」
「セヴランが普通のポーションだと思って使ってしまった・・・でしたっけ?」
コクリと頷く私。
ため息を漏らすアルベール。
「セヴランも焦っていたとはいえ、確認もせずに使ったのには言いたいこともありますが、貴方ももう少し冷静になりなさい」
そこそこ修羅場をくぐったでしょうに・・・と呟かれる。
そうなんだけど・・・、やっぱり目の前に生死を彷徨っている人がいたら、パニック状態になるわよ。
「でも元々種の状態だったから、いずれはカリスマスキルに目覚めるんだし、それがちょっと早くなっただけで・・・」
「いいえ。種状態のスキルが必ずスキルとして覚醒するかどうかは別です。発芽しないままかもしれないし、枯れてしまうかもしれないし。そもそも種の状態なのが珍しいんですよ。スキルなんてものは元々持っているか、勝手に生えるものですから」
「?」
じゃあ、種の状態のスキルって、どうやったら覚醒するの?
「それは口にするのも憚られる程の凄まじい修行をした上で発芽し、開花するのでしょう。なのに貴方はポーションひとつで・・・」
「・・・すみません」
なんでだろう。
いつも毎回、強い敵を倒して良かったね!で終われないんだろう。
ちっ!今回も私、結構頑張ったのにぃぃぃぃぃぃっ。
すっかり日が暮れて、月が明るく輝く夜にようやく屋敷に戻ることができた。
私とアルベールはカミーユさんの指示した裏庭の隅にビーストを出しておき、ごちゃごちゃ相談する大人組みを横目に、私とルネとリオネルの子供組みはお風呂に入ってお布団にダーイブした。
あ、リオネルが「唐揚げ、唐揚げ」とうるさいから、ひと皿出しておいたけど。
もう、おやすみなさーい。
私は疲れました。
ぐうっ。
そして目覚めると、完全に寝過ごしたようで、お日様はやや中天を過ぎた場所でこんにちは。
「・・・お腹すいた・・・」
私は寝ぼけ眼のまま、顔を洗いストンとした楽チンなワンピースに着替え、客間を出て食堂へと向かう。
なにか・・・ご飯を出してもらうか、自分の収納から出して食べよう。
え?私の支度はメイドのルネがしてくれるんじゃないのかって?
あの子はねぇ・・・朝が弱いんだよねぇ。
だから、朝の身支度は自分でやってます。
・・・いや、ルネとリオネルの身支度も私がやっているな。
トテトテと歩いて食堂に姿を現すと、セヴランがゆったりと紅茶を飲んでいた。
「・・・おそよう」
「目が覚めましたか?ルネとリオネルは・・・まだ寝てますね」
うん、そうみたい。
私が食堂の椅子に座ると、カミーユさんの屋敷のメイドたちがわらわらと沸いて出て、朝食兼昼食を並べてススーッと消えていく。
「ん?アルベールとリュシアンは?」
「ああ・・・実は」
なんと、私たち子供組みがぐうぐうと寝ている間、大人組みとカミーユさんは冒険者ギルドに報告に行き、ギルド職員がビーストを引き取りに来て、そしてギルマスを交えて討伐の様子を話し、そうこうしている間にあちこちに報告がいって大騒ぎになり・・・。
「徹夜でその対応をして、朝にようやく解放されましたからね。まだ寝てますし、もう少し寝かせてあげましょう」
セヴランは子供組みの護衛としてカミーユさんの屋敷に残っていたので、徹夜ほど酷い目には遭ってないそうだ。
それでも寝不足らしいけど。
「うーん、じゃあご飯食べたらカヌレとブリュレにおやつをあげてくる。セヴランはルネたちが起きてきたらよろしくね」
「はい。わかりました」
食べ終わって、ナフキンで口元を拭うとぴょこんと椅子から飛び降りて、私はカヌレとブリュレがいる厩へと向かった。
昨日はあれだけ頑張ったんだから、おやつもあげてブラッシングでもしてあげないと拗ねちゃうからね。
結局、ルネとリオネルがおやつの時間に、大人組みは夕食のちょっと前に起きてきた。
ギルマスたちと話したことは夕食の後で話すことにして、とりあえずは夕食を食べることにする。
「ヴィー。唐揚げ」
うるさいなっ!あんた、昨日寝る前にひと皿食べたでしょう?
あーん?なんでリュシアンもアルベールも期待した眼で私を見るのよ?
わかったわよ!出すわよ、唐揚げ。
ほら、お食べ!
ぼそぼそと小声でお話し中というか・・・お小言中ですよ、とほほほ。
「で、そもそも何故、リオネルに治癒魔法をかけたのですか?」
「え、だって、大怪我してたし、万が一があったら怖いじゃない」
あんな小さい体で、しかも不安定な獣化中に大怪我を負ったのよ?
早く治してあげないと、かわいそうでしょうが。
「そういうことでなく。怪我ならポーションがあったでしょう」
あ・・・、そうでした。
病気じゃなくて怪我なら、私が暇つぶしに作っていたポーションで治りました。
私ってば上級ポーションもお手軽に作れるようになってたし、在庫はたんまりと無限収納の中に入っているし。
「あ・・・あれ?あはははは、あれ?・・・・・・。すみません、パニくってました」
ずーんと落ち込む私。
「まったく。カミーユがリオネルの状態に自失状態で、貴方の治癒魔法を見られてないからいいですが・・・、氷漬けにしたのも貴方の魔法と思ってないようでしたし」
うん、完全にAランク冒険者のエルフ様、アルベールの魔法の仕業だと思ってるよね。
「どうやら、リオネルが怪我をした後、自分が虎に獣化してビーストに攻撃をしていたこと自体覚えてないようですし。このままシラを切りますよ」
「はーい」
カミーユさんは自分が大きな白虎になって、ビーストに攻撃して反撃されて爪で切り裂かれたことを、まるっと覚えていない。
怪我をした認識はあるが、細かいことは覚えてないのだ。
でもさ、獣化したことは教えてあげないと、今後何かの拍子に獣化したら、大騒ぎになるよ?
「そうですね。獣化のことは話しましょう。何故、裸で倒れていたのか不思議そうでしたからね」
虎の姿になるときに着ていた服は破けちゃうんだよね。
怪我の治療で服を脱がしたって嘘言っても、下着まで脱がすことはないからバレるし、怪我の治療自体はポーションだから服なんて関係ないし。
ふいっと上を見上げると、アルベールが警戒を怠らず厳しい目を左右に向けながら、リュシアンたちとは適度に距離を開けてブリュレを走らせている。
「なんですか?」
私に視線を向けることなく、私からの視線には気づいていた。
「・・・わざとじゃないよ?」
「なんですか?カミーユに命の水を飲ましたことですか?」
そう、わざとではない。
「命の水(劣化版)」をカミーユさんに飲まして、彼のスキルを底上げしてしまったのは。
「リオネルに飲ませようとポーションを出して・・・そのままにしてたら」
「セヴランが普通のポーションだと思って使ってしまった・・・でしたっけ?」
コクリと頷く私。
ため息を漏らすアルベール。
「セヴランも焦っていたとはいえ、確認もせずに使ったのには言いたいこともありますが、貴方ももう少し冷静になりなさい」
そこそこ修羅場をくぐったでしょうに・・・と呟かれる。
そうなんだけど・・・、やっぱり目の前に生死を彷徨っている人がいたら、パニック状態になるわよ。
「でも元々種の状態だったから、いずれはカリスマスキルに目覚めるんだし、それがちょっと早くなっただけで・・・」
「いいえ。種状態のスキルが必ずスキルとして覚醒するかどうかは別です。発芽しないままかもしれないし、枯れてしまうかもしれないし。そもそも種の状態なのが珍しいんですよ。スキルなんてものは元々持っているか、勝手に生えるものですから」
「?」
じゃあ、種の状態のスキルって、どうやったら覚醒するの?
「それは口にするのも憚られる程の凄まじい修行をした上で発芽し、開花するのでしょう。なのに貴方はポーションひとつで・・・」
「・・・すみません」
なんでだろう。
いつも毎回、強い敵を倒して良かったね!で終われないんだろう。
ちっ!今回も私、結構頑張ったのにぃぃぃぃぃぃっ。
すっかり日が暮れて、月が明るく輝く夜にようやく屋敷に戻ることができた。
私とアルベールはカミーユさんの指示した裏庭の隅にビーストを出しておき、ごちゃごちゃ相談する大人組みを横目に、私とルネとリオネルの子供組みはお風呂に入ってお布団にダーイブした。
あ、リオネルが「唐揚げ、唐揚げ」とうるさいから、ひと皿出しておいたけど。
もう、おやすみなさーい。
私は疲れました。
ぐうっ。
そして目覚めると、完全に寝過ごしたようで、お日様はやや中天を過ぎた場所でこんにちは。
「・・・お腹すいた・・・」
私は寝ぼけ眼のまま、顔を洗いストンとした楽チンなワンピースに着替え、客間を出て食堂へと向かう。
なにか・・・ご飯を出してもらうか、自分の収納から出して食べよう。
え?私の支度はメイドのルネがしてくれるんじゃないのかって?
あの子はねぇ・・・朝が弱いんだよねぇ。
だから、朝の身支度は自分でやってます。
・・・いや、ルネとリオネルの身支度も私がやっているな。
トテトテと歩いて食堂に姿を現すと、セヴランがゆったりと紅茶を飲んでいた。
「・・・おそよう」
「目が覚めましたか?ルネとリオネルは・・・まだ寝てますね」
うん、そうみたい。
私が食堂の椅子に座ると、カミーユさんの屋敷のメイドたちがわらわらと沸いて出て、朝食兼昼食を並べてススーッと消えていく。
「ん?アルベールとリュシアンは?」
「ああ・・・実は」
なんと、私たち子供組みがぐうぐうと寝ている間、大人組みとカミーユさんは冒険者ギルドに報告に行き、ギルド職員がビーストを引き取りに来て、そしてギルマスを交えて討伐の様子を話し、そうこうしている間にあちこちに報告がいって大騒ぎになり・・・。
「徹夜でその対応をして、朝にようやく解放されましたからね。まだ寝てますし、もう少し寝かせてあげましょう」
セヴランは子供組みの護衛としてカミーユさんの屋敷に残っていたので、徹夜ほど酷い目には遭ってないそうだ。
それでも寝不足らしいけど。
「うーん、じゃあご飯食べたらカヌレとブリュレにおやつをあげてくる。セヴランはルネたちが起きてきたらよろしくね」
「はい。わかりました」
食べ終わって、ナフキンで口元を拭うとぴょこんと椅子から飛び降りて、私はカヌレとブリュレがいる厩へと向かった。
昨日はあれだけ頑張ったんだから、おやつもあげてブラッシングでもしてあげないと拗ねちゃうからね。
結局、ルネとリオネルがおやつの時間に、大人組みは夕食のちょっと前に起きてきた。
ギルマスたちと話したことは夕食の後で話すことにして、とりあえずは夕食を食べることにする。
「ヴィー。唐揚げ」
うるさいなっ!あんた、昨日寝る前にひと皿食べたでしょう?
あーん?なんでリュシアンもアルベールも期待した眼で私を見るのよ?
わかったわよ!出すわよ、唐揚げ。
ほら、お食べ!
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