みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!

沢野 りお

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王都に行きましょう

自堕落してました

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カミーユさんの屋敷に戻ると、早速厨房に足を運び料理人のおじさんに頼んでスペースを貸してもらう。
自分たちの馬車の中でも調理はできるけど・・・カレーの匂いがついたら嫌だし。

お手伝いは、ルネとアルベールとセヴラン。
匂いに敏感なリュシアンと危なっかしいリオネルは、カヌレとブリュレの散歩に行きました。
散歩?爆走して行ったけど・・・ま、いいか。

そしてバターや小麦粉を炒めてブイヨンで煮て・・・と大騒ぎしてできたカレーは、前世でよく食べた我が家のカレーと同じもったりとした食感のカレー。
サラサラのスープみたいなカレーのお宅もありますが、我が家は少し重めのテイストでしたので。
なんで自分の名前も思い出せないのに、こんなことを覚えてるんだろう?

パクリと味見。
うんうん、美味しい。
ちょっと辛いけど、たぶん私が子供だから辛く感じるんでしょう。

大人たちも、カミーユさんの屋敷の料理人さんたちも味は大丈夫。
ルネが辛そうに舌を出して、ヒーヒーしていたので、ゴダール男爵の所で採れた果物をすり潰したものと蜂蜜を加えて、もう一度味見。
うんうん、ピリッとはするけれど、さっきよりはまろやかです。
こちらを味見したルネもニコニコして、尻尾がご機嫌にユラユラしています。

ついでに、料理人さんたちにお米の炊き方を教えてやり、今日の晩御飯はカレーライスに決定!
惜しげもなく晩御飯用にフォレストブラックブルの肉の塊を提供しておきました。
料理人さんたちは、他にも色々とカレー味の料理を作ってみるとのことなので、買ったカレースパイスの瓶もひとつあげました。
ふうっ、いい仕事したぜ!

そして夕食は帰ってきたカミーユさんと一緒に。
カミーユさんも目を大きく見開いてカレーをガツガツ食べ始めて、リュシアンとリオネルと取り合いになっています。
ちゃと野菜も食べろよー。
サラダも作ってやったんだからなー。

アルベールとセヴランも笑顔で食べながら、今後私が作るカレー料理のあれこれを楽しそうに話してます。
いや、作るけどね?
いやぁ、カレー味って最強だよねぇ。









そうして、サン・ブルージュの町でゆっくりと過ごす私たち。
リュシアンとリオネルを中心に時々、冒険者ギルドの依頼を受けて魔獣討伐に行ったり、アルベールがカミーユさんと一緒に学術の塔めぐりをしたり、セヴランがいろんなお店を回って市場調査をしたり。
ルネは基本私のお世話係として一緒にいるけど、2~3日おきぐらいには黒の忍び装束みたいな恰好で魔獣討伐に付いて行っていた。

私は料理作ってー、食べてー、ポーション作ってー、昼寝して。
自堕落に過ごしていましたが?なにか?

だって、アルベールが目立つことするな!て怒るんだもーん。
カレースパイスの有効利用を教えただけなのに、ここサン・ブルージュの町では、カレー味ブームが起きていて、私はちょっとした有名人になった。
あんなにカレー美味しいって言ってたのにアルベールが態度を豹変させて、「もう大人しくしてなさい!」と怒るんだよ。
だから魔獣討伐にもほぼ参加せず、料理も馬車の中でチマチマとひとりで作ってましたよ。


ある日の夕食時、やや難しい顔をしたカミーユさんが私たちにお願いごとをしてきました。

「森への調査の同行ですか?」

「ええ。ここ最近魔獣の縄張りが変化しているみたいで注視していたのですか、それもようやく落ち着いたらしいのです。ただ皆さんと会った森の奥だけが、相変わらずはぐれた魔獣の出没が見られるので・・・」

その調査のためにカミーユさんは、同行してくれる冒険者を探していたらしい。

「俺たちでいいのか?・・・アンタひとりでも強いし問題ないんじゃ・・・」

「いつもはひとりで行くのですが・・・。もうすぐ貴方たちはこの町を出られるでしょう?・・・せめて最後にリオネルと・・・一緒に、ピクニック気分を味わいたいんです!」

高ランク魔獣が出没する所でピクニックなんて、普通はしないけどもね?

カミーユさんの我儘で、森の奥まで一緒に行くことになりました。
どうやらフォレストブラックブルの群れも本来目撃される所とは違う所に出没したらしく、森の奥の奥で強い魔獣の縄張り争いがあって、ブルたちはその争いから逃げてきたのでは?と推測されたらしい。

カミーユさんの今回の目的は、はぐれた魔獣の確認と、できれば奥で縄張り争いしている魔獣の確定。
その話を聞いたら、リュシアンとリオネルはワクワクしているし、ルネも気持ちソワソワしているように見える。
アルベールと私は平静だけど、セヴランは自分の体を抱きしめてブルブル震えだした。

「あのぅ・・・。私は・・・留守番で・・・」

「却下!」

アルベールの鋭い一声がセヴランを撃ち抜く。

「貴方もいい加減に馴れなさい。武器もまだ扱えてないのですから、死線を潜るぐらいの状況になれば、成長も著しいでしょう」

「ひいいいぃぃぃっ」

アルベール、鬼ですな。
そういうことで、私たちはサン・ブルージュの町を出る前に森の奥へと魔獣調査と名前のピクニックに行くことになりました。

お弁当を用意しなきゃね!

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