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王都に行きましょう
白虎族の内情を知りました
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白虎族が王として治める国は、ここから遥か西方にある小国。
国の規模としてはとても小さく、トゥーロン王国の南に位置していた連合国のひとつと変わらないほど。
国というのには、心もとない大きさだ。
それでもその歴史は古く、希少種の白虎族が人口の9割を占める有名な国だそうだ。
王族も国民も白虎族で、僅かに猫型獣人が住むというその国は、ほぼ他の国には鎖国状態の独裁政権。
トップに立つ国王は白虎族の中でも最強を誇る・・・というより、強い奴が王になる弱肉強食体制で血統は重んじられない。
だから、現国王の息子であるカミーユさんとリオネルが、「私が王になる!」と宣言しても、他に強い白虎族がいたら王冠はそちらに渡る。
王の条件は強さと「カリスマ」スキルの有無のみ!
・・・はーっ、国全体で脳筋かよっ、と思った私は悪くない。
「じゃあ、カミーユさんもリオネルも王子ってわけじゃないの?」
「そもそも兄弟間でも強さを競うからね。王太子の座を射止めるまでに死人が出てるし。僕は兄弟の中でも最弱だったから、国から放逐されたんだしね」
あははは、と笑ってますけど?放逐って何?
まず、リオネルのお父さんである現国王は「カリスマ」スキルを持っていない白虎族で、元は一兵士だった。
それを文字通り力技で玉座を奪い、王になった人。
その人のコンプレックスは「カリスマ」スキルを持たないことらしく、自分の息子にはその「カリスマ」スキルを芽生えさせようと躍起になっている。
「アルベール。スキルってそんな簡単に獲得できるの?」
私の素朴の疑問に、鼻で笑い両手を広げて軽く頭を振る。
・・・そのバカにした態度で答えがなんとなく分かったわ。
リオネルのお父さんって・・・お頭が残念な人なのね・・・。
しかし、諦められない王は、「カリスマ」スキルを持っていた王の一族から妃を娶る。
だ・か・ら、スキルは血統に関係無いっちゅーの!
「その人、僕の母上だよ。優しく綺麗な人だったけど、白虎族としては弱い人だったから・・・」
お母様は、カミーユさんがまだ幼い頃に亡くなられたそうだ。
・・・ん?カミーユさんってば長男なの?
「最初に生まれた子供だけど、父の期待には添えられなかったよ。カリスマスキルも無いし兄弟の中でも体は細いし、力も弱いし。爪の威力もねぇ・・・ハハハ」
・・・いろいろとツッコミたいけど、今はスルーしよう。
その後も王はもと「カリスマ」スキル持ちの血を求めて多くの妃を娶り、沢山の子を成した。
その子供が王の座を巡って、血みどろの争いを繰り広げても、「カリスマ」スキル持ちの子供を生ませるため新しい妃を娶り続ける王。
「リオネルはね、僕の母上の末の妹の子供なんだ」
ニコッと嬉しそうに笑う、カミーユさん。
だから、いっとう愛おしくてね、と照れたように付け加える。
「リオネルとカミーユさんの間にも、いっぱい兄弟がいるんですか?」
「うう~ん。いるけど、僕も全員は把握してないんだ。妹たちはさっさと城の外に出されてしまったし。今もまだ子作りしてるかもしれないしな・・・」
遠い目をするカミーユさんにシンクロするように、私たちも遠い目をしてしまう。
何?そのはた迷惑な王様は?
「ちなみに・・・放逐されたっていうのは?」
「ああ。白虎族って強さが全てだから、男子で弱い奴は死んでしまえとばかりに外に出されるんだ。僕も兄弟の中で一番弱かったから、10歳になる前に国を出されたよ?」
・・・なんて、ひどい!
しかも、白虎族が国外に出るのはこの放逐のパターンと、出奔のパターンがあるという。
出奔は自ら望んで出ることなんだけど、だいたいは命を狙われて身の危険を感じて脱出することが多いとか。
血の気が多すぎませんかね?白虎族よ。
「だから、リオネルが国を出たのは命の危険を感じて、君たちが協力して出奔したんだと思ってしまって・・・」
「あー、そうですかー」
カミーユさんは10歳を待たずに国を出されるそのずっと前から、こっそり国出をして近くの村に遊びに行ってたらしく、放逐されてからはすぐに冒険者ギルドに登録して冒険者稼業に精を出し、20歳になる頃には魔獣に興味を持ちあちこち放浪しながらあらゆ、る魔獣を調べ尽くした。
その調べ尽くした魔獣の知識がアンティーブ国に評価されて学者として招かれて、サン・ブルージュの町に居を構えることになったらしい。
約6年前に自分と近しい弟が生まれると風の噂で知って、内緒で里帰りをしリオネルと対面していたという。
「かわいかったよ。ふくふくして。指とかものすっごく小さくて・・・はあああっ、かわいい」
・・・なんか大丈夫なの?この人?
愛情表現が怖いんだけども。
しかもこんなにも熱い好意を寄せられながら、華麗にスルーしてお菓子を貪り食べているリオネルも別の意味で凄いけど・・・。
「で、なんでリオネルは国を出たのかな?」
「な・・・なんで、でしょう?」
そんなの私たちも知らないわ!
みんなでリオネルに注目すると、口の中いっぱいに頬張ったお菓子をもきゅもきゅと咀嚼して、ゴックンと飲み込んだリオネルは涼しい顔で言い放った。
「ころされそうになった。だから、にげた」
・・・はい?
国の規模としてはとても小さく、トゥーロン王国の南に位置していた連合国のひとつと変わらないほど。
国というのには、心もとない大きさだ。
それでもその歴史は古く、希少種の白虎族が人口の9割を占める有名な国だそうだ。
王族も国民も白虎族で、僅かに猫型獣人が住むというその国は、ほぼ他の国には鎖国状態の独裁政権。
トップに立つ国王は白虎族の中でも最強を誇る・・・というより、強い奴が王になる弱肉強食体制で血統は重んじられない。
だから、現国王の息子であるカミーユさんとリオネルが、「私が王になる!」と宣言しても、他に強い白虎族がいたら王冠はそちらに渡る。
王の条件は強さと「カリスマ」スキルの有無のみ!
・・・はーっ、国全体で脳筋かよっ、と思った私は悪くない。
「じゃあ、カミーユさんもリオネルも王子ってわけじゃないの?」
「そもそも兄弟間でも強さを競うからね。王太子の座を射止めるまでに死人が出てるし。僕は兄弟の中でも最弱だったから、国から放逐されたんだしね」
あははは、と笑ってますけど?放逐って何?
まず、リオネルのお父さんである現国王は「カリスマ」スキルを持っていない白虎族で、元は一兵士だった。
それを文字通り力技で玉座を奪い、王になった人。
その人のコンプレックスは「カリスマ」スキルを持たないことらしく、自分の息子にはその「カリスマ」スキルを芽生えさせようと躍起になっている。
「アルベール。スキルってそんな簡単に獲得できるの?」
私の素朴の疑問に、鼻で笑い両手を広げて軽く頭を振る。
・・・そのバカにした態度で答えがなんとなく分かったわ。
リオネルのお父さんって・・・お頭が残念な人なのね・・・。
しかし、諦められない王は、「カリスマ」スキルを持っていた王の一族から妃を娶る。
だ・か・ら、スキルは血統に関係無いっちゅーの!
「その人、僕の母上だよ。優しく綺麗な人だったけど、白虎族としては弱い人だったから・・・」
お母様は、カミーユさんがまだ幼い頃に亡くなられたそうだ。
・・・ん?カミーユさんってば長男なの?
「最初に生まれた子供だけど、父の期待には添えられなかったよ。カリスマスキルも無いし兄弟の中でも体は細いし、力も弱いし。爪の威力もねぇ・・・ハハハ」
・・・いろいろとツッコミたいけど、今はスルーしよう。
その後も王はもと「カリスマ」スキル持ちの血を求めて多くの妃を娶り、沢山の子を成した。
その子供が王の座を巡って、血みどろの争いを繰り広げても、「カリスマ」スキル持ちの子供を生ませるため新しい妃を娶り続ける王。
「リオネルはね、僕の母上の末の妹の子供なんだ」
ニコッと嬉しそうに笑う、カミーユさん。
だから、いっとう愛おしくてね、と照れたように付け加える。
「リオネルとカミーユさんの間にも、いっぱい兄弟がいるんですか?」
「うう~ん。いるけど、僕も全員は把握してないんだ。妹たちはさっさと城の外に出されてしまったし。今もまだ子作りしてるかもしれないしな・・・」
遠い目をするカミーユさんにシンクロするように、私たちも遠い目をしてしまう。
何?そのはた迷惑な王様は?
「ちなみに・・・放逐されたっていうのは?」
「ああ。白虎族って強さが全てだから、男子で弱い奴は死んでしまえとばかりに外に出されるんだ。僕も兄弟の中で一番弱かったから、10歳になる前に国を出されたよ?」
・・・なんて、ひどい!
しかも、白虎族が国外に出るのはこの放逐のパターンと、出奔のパターンがあるという。
出奔は自ら望んで出ることなんだけど、だいたいは命を狙われて身の危険を感じて脱出することが多いとか。
血の気が多すぎませんかね?白虎族よ。
「だから、リオネルが国を出たのは命の危険を感じて、君たちが協力して出奔したんだと思ってしまって・・・」
「あー、そうですかー」
カミーユさんは10歳を待たずに国を出されるそのずっと前から、こっそり国出をして近くの村に遊びに行ってたらしく、放逐されてからはすぐに冒険者ギルドに登録して冒険者稼業に精を出し、20歳になる頃には魔獣に興味を持ちあちこち放浪しながらあらゆ、る魔獣を調べ尽くした。
その調べ尽くした魔獣の知識がアンティーブ国に評価されて学者として招かれて、サン・ブルージュの町に居を構えることになったらしい。
約6年前に自分と近しい弟が生まれると風の噂で知って、内緒で里帰りをしリオネルと対面していたという。
「かわいかったよ。ふくふくして。指とかものすっごく小さくて・・・はあああっ、かわいい」
・・・なんか大丈夫なの?この人?
愛情表現が怖いんだけども。
しかもこんなにも熱い好意を寄せられながら、華麗にスルーしてお菓子を貪り食べているリオネルも別の意味で凄いけど・・・。
「で、なんでリオネルは国を出たのかな?」
「な・・・なんで、でしょう?」
そんなの私たちも知らないわ!
みんなでリオネルに注目すると、口の中いっぱいに頬張ったお菓子をもきゅもきゅと咀嚼して、ゴックンと飲み込んだリオネルは涼しい顔で言い放った。
「ころされそうになった。だから、にげた」
・・・はい?
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