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王都に行きましょう

獣人のお兄さんと出会いました

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カヌレに乗ったリュシアンの先導で、どんどんと森の奥へと入って行く私たち。
身体強化をかけて全力で走っているけど、体力バカコンビのルネとリオネルに置いていかれそうです!
ヒーヒーと魔獣と対峙する前から息が絶え絶えになっている私を、ひょいと小脇に抱えアルベールが颯爽と走る。
チラッとアルベールの顔を仰ぎ見ると、私の視線に気づいてニコッと笑ってくれる。
この飴と鞭が憎いのよねぇぇぇぇ。

大人しく運ばれ行くと、ちょっと木々が開けた場所に、十頭を超える魔獣の群れ・・・あれ?牛かな?

「興奮しているフォレストブラックブルですか・・・」

アルベールの渋い表情で、そんなに容易く討伐できる魔獣ではないと知る。
その牛さんたちに、前方を囲まれているひとりの男性の後ろ姿が見えるけど・・・?
冒険者?そのわりには軽装すぎませんかね?
ゆったりとした白いシャツに黒のパンツに黒いブーツで・・・剣とか持って無さそう。
腰にはウエストバックがひとつ、水筒を肩にかけた・・・ピクニックですか?みたいな細身の男性が森で牛に囲まれていますよ。
リュシアンが言っていた、ひとりで魔獣とやり合っていた人はこの人なんだろうか?

「おい!よく聞けっ!」

カヌレから飛び降りて大剣を鞘から抜いて構えたリュシアンが、いつになく真剣な顔を私たちに向けた。

「あの魔獣はな・・・」

ゴクリ。

「肉が旨いんだ!野郎ども、1頭も逃がすなよ!」

アホかー!もっと言うことあるだろうよー!
ガクッと膝から力が抜けた私とアルベールとは対照的に、ルネとリオネルはお目々をキラキラと輝かして飛ぶように牛に襲い掛かって行った。

その後は、人を狩るつもりだった牛たちが反対に狩られる立場になって右往左往して、阿鼻叫喚ですよ。

ルネは短剣を手に牛の眉間に攻撃したけど、力が弱くて刺さりが甘かった。
すぐに武器を変えて再度挑んで行ったけど、あれ・・・ディナールの町で使っていたノミとハンマーじゃないの?
トスッと牛の額にノミを当てて、カコーンとハンマーで打ち付けるルネ・・・惨い。
ドオッと牛は横倒しに倒れてピクピクンと痙攣した後、静かに天に召されていった。

リオネルは首を狙い右手の自爪で引っ搔いた後、アダマンタイトの鉤爪を装着した左手で首を切り落としていく。
ぴょんぴょんと牛たちの間を跳ねるように移動していくリオネルの通ったあとは、牛の首が点々と残されいる。
・・・血の海ですが・・・?血抜きも兼ねているつもりか?

リュシアンは手前の牛を大剣で薙ぎ払うように倒すと、奥に居たボス級の牛に襲いかかっている。
フォレストブラックブルという名前の牛たちは、立派な角がニョキと左右に生えているのだが、そのボス級の角はどの牛よりも太く、しかも鹿のように枝分かれしていた。
そんなボス牛に向かいリュシアンは大剣を振りかぶって・・・バシーン!と頭を叩いた。

「・・・大剣って打撃系の武器だったけ?」

「リュシアンはまだ斬るより叩くレベルなんですよ」

・・・なんじゃそりゃ。
私を守るように側にいてくれたアルベールだけど、弓を手に取りルネとリオネルの攻撃から逃れた牛たちを正確に射って倒していた。
いつのまに・・・。
結局、私だけ何もせずに十頭以上いた牛たちは、たちまち地に伏せることになった。

はいはい、無限収納で仕舞っていきますよ。
この肉で何か美味しいものを作ります・・・、まずはステーキかな?
アルベールが角もいい素材で高く売れるというから、嫌々、牛の首も収納しましたよ。
うえーっ、気持ち悪いよぅ。

美味しい肉も手に入れたし、馬車に戻ろうかと踵を返して思い出した!
魔獣に襲われていた人が居たんだった!

みんなでグルンとその人へと顔を向けて、さらに驚いた。
その人は白い髪をした20代後半ぐらいの若い男の人で・・・優し気な顔立ちのイケメンで・・・その頭の上には丸い・・・白いケモミミがあった。
恐る恐る視線を下にズラすと。ユラユラと揺れている尻尾が・・・尻尾が白くて・・・斑模様の尻尾がありました。

「うそ・・・白虎族?」

咄嗟に、リオネルを見ちゃったのはしょうがないですよね?
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