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石を見つけましょう

ダンジョンに入る資格を得ました

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初心者のためにディナールの町の冒険者ギルドが行っている講習を受け終わって、今日から一般坑道に入り鉱石を掘るぞーっ!

坑道は数多くあるけれど、冒険者ギルドが決めたランクがあるので、そのランクに合った坑道にしか入れないように制限されている。
私たちはとにかく初心者だから、まずは初心者の坑道4本を制覇すること!

そのあとは、いくつかのランクのあった坑道に入り、規定時間を超過したらとうとう鉱山ダンジョンに入ることが許されるの。
運命の鉱石は一般の坑道で巡り会う可能性がゼロではないけれど、リュシアンみたいな元高ランク冒険者や希少種の種族は、ほぼ鉱山ダンジョンで運命の鉱石を見つけている。
そう考えると、リオネルとセヴランも希少種だから、鉱山ダンジョンじゃないと運命の鉱石はゲット!できないわね。
ルネは必要ないって本人が思ってるし、アルベールは興味無し。
同じく、私も武器には興味が無い。

どうやら運命の鉱石で魔法使いの杖を作ることもできるけど、私、杖なんて使わないしな・・・。
正直、運命の鉱石が欲しい人だけで鉱山ダンジョンに潜って欲しいけど、そういうわけにはいかないわよねぇ。

「お嬢。顔に出てるぞ、面倒だって」

「だって、面倒じゃないの。今日採掘した鉱石の金額より、倒した魔獣の方がお金になったのよ?」

そう、そんなに長い時間潜るのは、初心者には厳しいからと2刻ぐらい採掘していたけど、明らかに倒した魔獣の方が高値なんだもん。
ギルドの買取に回して、受付で報酬をもらうときにギルドのお姉さんも苦笑していたわよ。

「でも、初心者用の坑道は制覇する必要がありますし、皆さんのランクも上げないと他の坑道に入るのが難しいですからね」

そうだよね。
忘れていたけど、私たちの冒険者ランクって、一番下なんだよね。
ここで魔獣を沢山倒して、ランクをひとつ、ふたつは上げておきたい。

ちなみに、ディナールの町でも薬草採取のような常設依頼は存在するが、坑道で倒した魔獣も常設依頼扱いなので、倒せば倒しただけランクアップの助けとなる。
いまいち、運命の鉱石に心が惹かれないから、私はランクアップを目指すわ。

「「うん」」

ランクアップはルネとリオネルも目指したいのか・・・。
あれか?魔獣を倒して強くなりたいだけだな・・・これは・・・。
いつのまにか、うちの可愛い子たちが、立派な戦闘狂バトルジャンキーになっていた件。
近々、保護者で集まって対応を議論しなければなるまい。









朝起きて、ご飯食べて、採掘して、昼はお弁当食べて、採掘して、夕方ギルドで買取りしてもらってお金を稼いで、宿帰ってご飯食べて、寝る。
こんな単調の生活を繰り返すこと幾日。

途中、あまりにも鉱石に恵まれないから、細くて狭い坑道に入ったら魔獣の大群に襲われるという悪夢も経験し、ようやく鉱山ダンジョンに入れる資格を得ました!

「とうとう、明日ね」

むふーんと興奮して鼻息も出ちゃうわ。

「明日からダンジョンに潜りますけど、道が分かってる2階層までしか潜りませんよ?」

「「「えーっ!」」」

アルベールにリュシアン、ルネとリオネルが不満の声を上げる。

「とりあえず、ダンジョン自体が初めてが4人もいるんですよ?危ないでしょ?予定どおりに進んでいるんですから、焦らずに経験を積んでから未知のダンジョンにチャレンジしましょう」

リュシアンは納得した顔で頷いているが、お子様ふたりは不満で口を尖らしている。

「ダンジョンって、今までの坑道と違うの?」

「いや、2階層までは坑道と同じ造りらしいぞ。出る魔獣も同じって聞いたな。ただ、その下からはいかにもダンジョンってなるから・・・確かに準備は必要だな」

「目まぐるしく変異するダンジョンってだけでも厄介ですが、転移部屋もセーフティエリアもランダムというのが問題ですよ」

「ああ・・・。初心者には難しいな」

転移部屋というのは、その部屋に転移の魔道具が置いてあって、出口若しくは踏破した階層に瞬時に移動できる。
この部屋は隠し部屋となっていたり、分かり易くボスの魔獣がいたりする。
通常は5階、10階、15階と切りのいい階数に存在していると言われている。

セーフティエリアとか休憩場所と呼ばれている場所は、そこには魔獣が立ち入らない場所。
特に防御の魔道具が設置されているわけではないけど、冒険者たちが休めるようになっている。
ここも通常は切りのいい階数やボス部屋の前に存在している。

ダンジョンに潜るなら、絶対にその場所を把握しておくべき箇所が、この鉱山ダンジョンはランダムで存在しているという鬼畜の所業。

「本当に、そんな所に行くんですか?たかが武器のために?」

「バッカ!セヴラン。お前なー、冒険者にとって武器は命の次に、下手したら命よりも大事な物なんだぞ!その武器・・・自分だけの唯一の武器を作るための運命の鉱石・・・。取りにいくだろ?危険を冒しても?」

リュシアンにブンブンと頭を左右に振って「命が大事です」と言い切るセヴラン。
ま、諦めなよ。
私だって行きたくないけど、ルネとリオネルは強い魔獣と戦えると気合充分だし、リュシアンはもう期待にウキウキしている。
アルベールはどっちでも良さげだけど、どうもリュシアンとリオネルの能力の底上げをしたいらしく、先生モード。
私とセヴランが反対しても多数決で決定でしょ?

それに私も・・・。
なんか、あの奥に聳えるダンジョンの山を見る度に、頭に囁く声が聞こえるの。

「おいで、おいで」

って。

ホラーかよっ、と思うけど、その声がとっても優し気で・・・すごく気になっているのよね。

私はセヴランの嘆きをサクッと無視して、カヌレとブリュレにおやつをあげに行くのだった。



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