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石を見つけましょう
ディナールの町に到着しました
しおりを挟むボーヌの町2日目。
今日は、朝ゆっくりしてから、買い物です。
ルネとリオネルの服が小さくなってきたので、大きめな服を買うのとその他の日用品を買い足し。
髪の毛もアラスの町で整えたきりでかなり伸びたし、切っておこう。
それにしても、ルネとリオネルの成長が著しくてちょっと羨ましい。
獣人って成長が早いのかな?
「そうでもないですよ。人族より寿命も長いですし。あのふたりはここ1年ほど、よく食べてよく運動しているので、今まで止まってた成長が一気にきたのでしょう」
じゃあ、私は?
「お嬢も栄養不足だったけどな。やっぱりまだガキだからゆっくりなんだろうな・・・。若しくはこのままチビかも・・・ニヒヒ」
なんて、失礼なことを言うのよっ!
えいっ、蹴ってやる、脛を蹴ってやる。
「やめろやめろ!地味に痛いわ!」
「ふんっ!」
そんなやりとりをしながら、大人組みと子供組みでお手々を繋いで、昨日も来たお店通りへ到着。
ぞろぞろと適当な古着屋さんに入って行くと、私の肩をポンと叩いたアルベールがこそっと耳元で囁く。
「ヴィー。あなたはエルフ族ですから成長は誰よりもゆっくりなんですよ。リュシアンたちにはしばらく内緒ですが」
「・・・背、伸びる?」
アルベールを仰ぎ見て問えば、優しい顔で微笑んで頭を撫でてくれた。
あー、よかった。
ルネとリオネルにやや大きめな服を選び、大人組みも何着か購入。
楽勝な魔獣狩りでも、着ていれば痛むのが服だからね。
その後、別の洋服屋で坑道で鉱石を採掘するための作業着と専用の靴を購入。
「ディナールでしか使わないのに買うのは、もったいないような・・・」
「貸出屋もありますが、身に付けるのは買った方がいいですよ。ディナールでも売ってますが、ほとんどがドワーフ用なのでサイズが合わないんです」
ツナギ型の作業着を私の体に合わせながら、ディナールの町に行ったことのあるアルベールが教えてくれた。
確かに、この店の作業着はいろんな色やデザインが置いてあり、選ぶ楽しさがあるわ。
「掘る道具は、ディナールの貸出屋で借りた物を使いましょう」
ツルハシとかノミとか金槌とか、カンテラとかかな?
お昼ご飯を食べて、髪切屋でみんなも身だしなみを整えて、日用品を買い足しながらいろんな店を覗いて、1日を終えた。
「どうしてボーヌの町の門番さん、またね、て挨拶したのかしら?」
どこの町でも門番は「よい旅を」と送り出す。
なのに、ボーヌの町の門番は「またね」と再会を約束するような挨拶だった。
「ああ。ディナールへ行く者は帰りも必ずボーヌの町へと戻るので、そういう挨拶になったのでしょうね。王都へ抜ける道の門番は普通に挨拶しますよ」
「ディナールの町って通り抜けできないの?」
ディナールの町の出入りって、ボーヌの町経由じゃないとできないのか?
首を捻る私に、意地悪な顔でアルベールは「着いたらわかりますよ」と教えてくれなかった、ちくしょう。
そして、再び馬車泊の旅を重ねること数日。
馬車の窓から変な物が見える・・・んだけど?
「何、あれ?線路?」
この異世界で列車が走っているなんぞ、私は聞いたことがないのですが?
「ありゃ、昔、ここら辺で使ってたトロッコ列車の線路だな」
ひょこりと、リュシアンが同じく馬車の窓の外を覗き込んで、教えてくれた。
「トロッコ・・・そんなのあったんだ・・・」
ディナールの町で採れた鉱石を運んでいたらしいのだが、何代前かの領主が鉱石運びに魔法鞄を支給してから廃れたそうだ。
「トロッコに乗った鉱石を強奪する盗賊団も多かったらしいですから、今の魔法鞄で運ぶ方が被害は少ないでしょう」
運ぶ人は毎回変えているそうだし、採掘にきた冒険者パーティーに紛れているそうなので盗賊の被害は激減したとのこと。
「盗賊が多ければ、付近の町や村にも被害が出ますから」
そう考えると魔法鞄への出費は決して高くないのかもしれない・・・。
「いやいや。どうせあれだろう?鉱山ダンジョンからドロップした魔法鞄だろう?依頼を受けた冒険者が取ってきたからそんなに痛手でもないだろうよ」
ああ・・・ダンジョンがある領地って、ある意味宝の山なのね。
「ディナールは文字通り宝の山ですよ。ほら、ヴィーさん、町の入り口が見えてきましたよ」
馭者席からセヴランが声を掛けてくる。
窓から身を乗り出して見てみとる・・・。
「なんじゃ、ありゃ」
目の前は聳え立つような山、山、山々・・・。
山脈ですよ、山脈。
その谷間、山間の町が鉱山の町、ディナール。
鉱山に囲まれた長細い町だった・・・。
「山に囲まれた町なら、出入り口はひとつよね・・・。こりゃボーヌの町経由じゃないと安全には、行き来できないわ」
口をあんぐり開けて、高い標高の山々を見上げる私だった。
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