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旅の準備を始めました

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ガストンさんから、その他に鉱山の町ディナールまでの地図と旅程のレクチャーを受けて、みんなであれこれ予定を立てた後、作ってきた料理とデザートを置いて、ガストンさんの工房をお暇した。

そして、馬車まで戻りみんなで夕ご飯です。

カヌレとブリュレにもお留守番ありがとうと飼葉をえいやっとあげたけど・・・この子たちお菓子を食べさせてから普通の食事を好むようになって、いまいち飼葉の食いつきが悪い。

凶悪な魔獣馬のくせに、黒い瞳をうるうるさせて訴えてくるから・・・つい作り置きの唐揚げを飼葉の中にドサドサと入れてしまった。

「お嬢・・・」

「くっ!わかっているけど・・・あの瞳には逆らえないっ」

いや、してやったりって顔でむしゃむしゃ食ってんぞ?と言われたけど、そんなのはどうでもいい。

カヌレとブリュレに唐揚げをあげたことがリオネルに秒でバレたので、今日のご飯は唐揚げです。
うまうま。

さて食べながら、今後の予定でもまとめますか?

「とりあえず、このリュイエの町から出て2日後に着くのがボーヌの町だな。この町を海側方向に曲がって進むと鉱山の町ディナールに着く・・・。真っ直ぐ行けばガストンの親父が言った通りに5日の旅路だが、どうする?」

唐揚げを口いっぱいに頬張っているルネとリオネルは、とりあえずそれを咀嚼してゴックンしなさい。
セヴランが上を見て暫し考える。

「そうですねぇ。ボーヌの町は王都へと続く道の通過点ならば交易の町でしょう?少し見て回りたいです」

「そうね。アラスの町みたいに栄えているのかな?」

アルベールに視線で問えば、ワインを飲んでいた口元をナプキンで拭って答えてくれる。

「ボーヌの町は賑やかな町ですね。アラスの町ほど他国の珍しい物が取引きされているわけではありませんが、人の往来が多く店も多いですね」

「ぜひ、ゆっくり町を回ってみたいです!」

「どうする、お嬢?」

うーん、旅の道中の食事はここで作り置きしていくことにしたけど、ルネとリオネルは例のビーストとの闘いで服がダメになってしまったし、そうでなくとも成長期だし・・・。

「ボーヌの町で1泊か2泊していこうか?日用品の買い出しもしたいし」

ここ、リュイエの町でも買い物はできるが、ナタンたちのせいでまだまだ品揃えは悪いままなのだ。
そんな状況で私たちが買い占めるわけにもいかないしね。
アルベールとセヴランに買いたいものや揃えておきたい品物を伝えておく。
これで私が買い忘れてもふたりがフォローしてくれる・・・はず。

「あとは・・・ダンジョンか・・・」

カタンとテーブルにフォークを置いてしまう、私。
だって、鉱山でツルハシで鉱石採取って思ってたのに、ダンジョンで鉱石採取って・・・採取してる途中で魔獣に襲われたらどうすんのよ!?
もしかして魔獣を倒すと鉱石がドロップする仕様なの?
だったら、私の魔力増幅アクセサリーは諦めるから、リュシアンたちで行ってきてちょーだい!

「私だって嫌ですよ。別に新しい鞭なんて欲しくない・・・」

セヴランもサラダをツンツンとしながら文句を言う。

「あー?セヴラン、お前だって自分にあった武器をガストンの親父に作って貰えるかもしれないんだぞ?こんなチャンス、滅多に無いぞ?」

リュシアンの言葉に、うんうんとルネが頷いているけど、その隣のリオネルは唐揚げをどんどん口に運んでいく。
リオネル?あんた、なんの話しているか、わかってんの?

「ダンジョンと聞いて尻込みする気持ちはわかりますが、ヴィーもセヴランも参加です。全員で行きましょう」

にこっとアルベール。

「え・・・なんで?」

「ダンジョンでの鉱石採取ですよ?ヴィーの言う通り魔獣がドロップする魔石は魔鉱石ではありません。ガストンさんが欲しているのは魔石でもなく鉱石でもなく魔鉱石です」

「魔鉱石?」

「ええ。その魔鉱石の採取はツルハシ持って地道に採取するんですよ?稀に洞窟に棲む妖精がプレゼントしてくれるなんてお伽話がありますが。そんな地道にツルハシを振るってる間に魔獣の攻撃があったら大変でしょう?」

そうだね?それがなんで私とセヴランも強制参加になるの?

「チーム分け、役割分担です。採取組みと討伐組みと防御組み。ね?おふたりも参加しますよね?」

あー、そうだね。
チラッとメンバーを確認。

リュシアンとリオネルとルネは討伐組みだよ。
採取なんて作業に向かないし、防御なんて・・・攻撃は最大の防御なり!とか言いそうだし。

採取組みは・・・アルベールとセヴランかな?
細かい作業も苦にならないタイプだし、手先器用だし。

んで・・・防御は私ひとりか・・・。

「バランス悪くない?」

「しょうがないでしょ。攻撃過多のパーティーなんですから。ま、防御する前に片付けてくれますよ?ね、リュシアン」

「ああ、任せておけ!」

ちなみに本人が採取しなくても運命の魔鉱石は採取可能だそうです。
ここ掘れワンワン、と示した所をアルベールたちが掘ればいいんだって。








では、おやすみなさい。

明日から私たちは、別々に行動する。
旅の準備のためだ。

まずリュシアンは珍しくルネを連れてお隣の侯爵領へと続く道沿いの森へ、お肉じゃなかった魔獣狩りに行きます。
お肉も大量に確保してくるけど、冒険者ギルドのヤンさんからも正式に依頼がきている。
いつもはリオネルを連れて行くんだけど、今回はルネがどうしてもと駄々をこねた・・・珍しい。

んで、アルベールは単身でアラスの町へ行って調べもの。
トゥーロン王国の状況やミュールズ国の動きを探ってくるんだって。
あと、ヴァネッサさんへのお礼ですね。

リュイエの町に残される私とセヴランとリオネルは、芋料理やスイーツの監修と芋畑と果樹園のお世話。
リオネルは町民の男衆で結成した自警団の稽古にも付き合う・・・らしいけど、相手に怪我させちゃダメよ?

ここまではすんなり決まったのに、ルネと離れるリオネルでさえ素直に聞き分けたのに、カヌレとブリュレが嫌がった。
リュシアンはカヌレに騎乗して、ブリュレはアルベールが騎乗していくことにしたのに、2頭がリュイエの町から出たくないって。

「違うぞ。こいつら、お嬢のくれる餌が目当てだ。俺らに付いていくといつもの飼葉のみだから嫌がってんだ」

へー、そうなの?
その後、アルベールとリュシアンの教育的指導とリオネルの「ぼく、ねむい」という据わった目にビビッて大人しくなりました。


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