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馬車の中に、倒れたルネとセヴランを運んでクリーン魔法で綺麗にして着替えさせて、ベッドへ放り込む。
虎の姿のリオネルは、リュシアンとアルベールのふたりがかりで運んで、クリーン魔法をかけて・・・とりあえずルネと同じベッドへ横たわらせた。
念のためベッドの強度を、魔法で強めておきましたよ。
ルネが無意識にリオネルの腹毛に埋もれていたので、よしとしよう。
リュシアンとアルベールは、クリーン魔法よりお風呂を所望したので順番に入ってもらって、私はその間に無限収納に保存していた料理をテーブルいっぱいに並べておく。
そして、馬車を出てから男爵邸の離れの屋敷の方へ向かい、パチンと両手を合わせて『解除』と唱える。
これでブリジット様たちがいる離れに施した封印の魔法は解除されました!
さてさて、今度はかわいいあの子たちにご褒美あげなきゃ。
「おーい、カヌレ!ブリュレ!おやつだよー」
この馬たちは魔獣馬なので、なんでも食べる。
男爵邸に移動してからは、隠蔽魔法で隠れていただけだと思ってたけど、あちこちでナタンの仲間たちを足蹴にして捕縛の手伝いをしていたらしく、そのご褒美である。
ついさっきも、ルネたちを苦しめていたサイの獣人の簀巻きを、脚で転がしながら男爵本邸前に連れていってくれた。
ついでに、水魔法で出した水も飲ませてやろう。
手からジャバジャバ水を出す横から、ガブガブと飲んでいく2頭の馬。
うむ、顔は凶悪だが従順でいい子だぞ。
「さて、君たちは何が欲しい?」
私の前には、ずらーっと並んだゴーレム。
この子たちも、男爵夫人の護衛の2体とギルドに残してきた3体以外は、ナタンの仲間たちを捕縛するのに協力してくれていたらしい。
なんか、男爵屋敷なのに土でできた像って斬新なセンスだなぁーと思っていたのが、生きた人間を土で固めたものだったらしく。
大活躍だったのだよ、私の作ったゴーレムたちは。
「あれ?」
ひーふーみー、と数えると8体しかいない。
ギルドに置いてきたゴーレムも、男爵邸に駆け付けたギルド職員に付いてきたらしく、ここには全部で9体のゴーレムがいるはずなんだけど?
「どこに行った?」
「どうした、お嬢?」
「ん?ゴーレム1体足りないの。迷子かな?」
土遁の術が使える奴らが迷子になることがあるのかは、わからんが・・・。
ふと、他のゴーレムら目をやるとなんだか手をわきわき動かして踊っている?
「いや、これは・・・。ボディランゲージか?」
ふむふむ。
大きな屋敷?
女の人。
赤ちゃんをあやしている仕草。
「もしかして、エミール君に付いていてくれているのかな?」
一斉に頷くゴーレムたち。
「じゃあ、今は男爵夫人のブリジット様たちと一緒にいるんたね」
またまた、頷くゴーレムたち。
意思疎通が無事にできて、ふんすと鼻息荒くリュシアンに顔を向けると、いつのまにか馬車の外に出てきていたアルベールとふたりで、こしょこしょと。
「おい、お嬢。とうとうゴーレムと通じ合ったぞ?」
「まさか土人形と言葉を交わせるようになるとは・・・」
ちょっと!人を変人扱いすんなっ!
ゴーレムたちは、私の魔力が欲しいという希望だったので、土魔法でそこら辺の土をグニグニと掘り返しておいた。
ゴーレムたちは、そのまま土の中へ身を沈めていく。
なんか・・・秘境の温泉に浸かりに来ている猿みたいだわ。
私たちは、馬車の中でお食事タイム。
目の前の料理が気持ちのいいスピードで消えていく。
リュシアンはともかくアルベールまで凄い食欲だな。
「魔法を思ったより使ったので。それに夜中から今までずっと動いていましたからね」
うんうん、と隣でリスの頬袋状態のリュシアンが同意している。
「これからどうする?ひと眠りする?」
もうナタンとナタンの仲間たちは捕まえたし、エミール君を男爵夫人にお返しすることができたし、ギルドもマスターたちが解放されたから正常に機能していくだろうし。
もう、私たちの出番はないよね?
ところが、アルベールが難しい顔をして、ちょんと私の額を人差し指で突く。
「うえぇ?」
「甘いですよ。当然、後始末にも駆り出されますよ」
「そうだな。ナタンの仲間たちをどこかのギルドに護送するだろうし・・・。男爵位簒奪の調べもあるから、中央から調査員が来るし」
「聞くだけでも面倒事なんですけど。それって私たちに関係あるの?」
アルベールとリュシアンが互いの顔を見合わせ・・・。
「そうですね。とりあえず中央から調査員が来る前にここを出た方がいいですね。でもそのためにはギルドに協力しておかないと、痛い腹を探られることになります」
「ここのギルドだけで対応しないだろうから・・・。アラスの冒険者ギルドに協力を頼むだろうな。ヴァネッサに爺から連絡しておけよ」
リュシアンの提案にやや眉を顰めたあと、アルベールはパチンと指を鳴らした。
たちまちに光が集まり鳥の形をなすと、パタパタと飛んでいく。
「なに、あれ?」
「通信魔法です。ヴァネッサのところには今日中に辿り着くでしょう」
「・・・じゃあ。もう寝る?」
私の無邪気な容貌は、秒で却下された。
なんでさー!
そして、私たちの前には縄で縛られたナタンが項垂れて座り込んでいる。
ナタンを取り囲むのは、ゴダール男爵領リュイエの町の冒険者ギルド、ギルドマスターとその職員たち。
ゴダール男爵嫡男エミール君を胸に抱いた、男爵夫人ブリジット様と使用人たち。
その後ろには町の顔役でもあるローズさんとドワーフのガストンさんたち。
場所はゴダール男爵本邸の大広間。
「ねえ、なんでこの部屋、こんなにボロボロなの?なんか、あちこち焦げてるっぽいんだけど?」
はて?戦闘中に火事なんか起きていたっけ?
途端にリュシアンが挙動不審になったけど、なんで?
虎の姿のリオネルは、リュシアンとアルベールのふたりがかりで運んで、クリーン魔法をかけて・・・とりあえずルネと同じベッドへ横たわらせた。
念のためベッドの強度を、魔法で強めておきましたよ。
ルネが無意識にリオネルの腹毛に埋もれていたので、よしとしよう。
リュシアンとアルベールは、クリーン魔法よりお風呂を所望したので順番に入ってもらって、私はその間に無限収納に保存していた料理をテーブルいっぱいに並べておく。
そして、馬車を出てから男爵邸の離れの屋敷の方へ向かい、パチンと両手を合わせて『解除』と唱える。
これでブリジット様たちがいる離れに施した封印の魔法は解除されました!
さてさて、今度はかわいいあの子たちにご褒美あげなきゃ。
「おーい、カヌレ!ブリュレ!おやつだよー」
この馬たちは魔獣馬なので、なんでも食べる。
男爵邸に移動してからは、隠蔽魔法で隠れていただけだと思ってたけど、あちこちでナタンの仲間たちを足蹴にして捕縛の手伝いをしていたらしく、そのご褒美である。
ついさっきも、ルネたちを苦しめていたサイの獣人の簀巻きを、脚で転がしながら男爵本邸前に連れていってくれた。
ついでに、水魔法で出した水も飲ませてやろう。
手からジャバジャバ水を出す横から、ガブガブと飲んでいく2頭の馬。
うむ、顔は凶悪だが従順でいい子だぞ。
「さて、君たちは何が欲しい?」
私の前には、ずらーっと並んだゴーレム。
この子たちも、男爵夫人の護衛の2体とギルドに残してきた3体以外は、ナタンの仲間たちを捕縛するのに協力してくれていたらしい。
なんか、男爵屋敷なのに土でできた像って斬新なセンスだなぁーと思っていたのが、生きた人間を土で固めたものだったらしく。
大活躍だったのだよ、私の作ったゴーレムたちは。
「あれ?」
ひーふーみー、と数えると8体しかいない。
ギルドに置いてきたゴーレムも、男爵邸に駆け付けたギルド職員に付いてきたらしく、ここには全部で9体のゴーレムがいるはずなんだけど?
「どこに行った?」
「どうした、お嬢?」
「ん?ゴーレム1体足りないの。迷子かな?」
土遁の術が使える奴らが迷子になることがあるのかは、わからんが・・・。
ふと、他のゴーレムら目をやるとなんだか手をわきわき動かして踊っている?
「いや、これは・・・。ボディランゲージか?」
ふむふむ。
大きな屋敷?
女の人。
赤ちゃんをあやしている仕草。
「もしかして、エミール君に付いていてくれているのかな?」
一斉に頷くゴーレムたち。
「じゃあ、今は男爵夫人のブリジット様たちと一緒にいるんたね」
またまた、頷くゴーレムたち。
意思疎通が無事にできて、ふんすと鼻息荒くリュシアンに顔を向けると、いつのまにか馬車の外に出てきていたアルベールとふたりで、こしょこしょと。
「おい、お嬢。とうとうゴーレムと通じ合ったぞ?」
「まさか土人形と言葉を交わせるようになるとは・・・」
ちょっと!人を変人扱いすんなっ!
ゴーレムたちは、私の魔力が欲しいという希望だったので、土魔法でそこら辺の土をグニグニと掘り返しておいた。
ゴーレムたちは、そのまま土の中へ身を沈めていく。
なんか・・・秘境の温泉に浸かりに来ている猿みたいだわ。
私たちは、馬車の中でお食事タイム。
目の前の料理が気持ちのいいスピードで消えていく。
リュシアンはともかくアルベールまで凄い食欲だな。
「魔法を思ったより使ったので。それに夜中から今までずっと動いていましたからね」
うんうん、と隣でリスの頬袋状態のリュシアンが同意している。
「これからどうする?ひと眠りする?」
もうナタンとナタンの仲間たちは捕まえたし、エミール君を男爵夫人にお返しすることができたし、ギルドもマスターたちが解放されたから正常に機能していくだろうし。
もう、私たちの出番はないよね?
ところが、アルベールが難しい顔をして、ちょんと私の額を人差し指で突く。
「うえぇ?」
「甘いですよ。当然、後始末にも駆り出されますよ」
「そうだな。ナタンの仲間たちをどこかのギルドに護送するだろうし・・・。男爵位簒奪の調べもあるから、中央から調査員が来るし」
「聞くだけでも面倒事なんですけど。それって私たちに関係あるの?」
アルベールとリュシアンが互いの顔を見合わせ・・・。
「そうですね。とりあえず中央から調査員が来る前にここを出た方がいいですね。でもそのためにはギルドに協力しておかないと、痛い腹を探られることになります」
「ここのギルドだけで対応しないだろうから・・・。アラスの冒険者ギルドに協力を頼むだろうな。ヴァネッサに爺から連絡しておけよ」
リュシアンの提案にやや眉を顰めたあと、アルベールはパチンと指を鳴らした。
たちまちに光が集まり鳥の形をなすと、パタパタと飛んでいく。
「なに、あれ?」
「通信魔法です。ヴァネッサのところには今日中に辿り着くでしょう」
「・・・じゃあ。もう寝る?」
私の無邪気な容貌は、秒で却下された。
なんでさー!
そして、私たちの前には縄で縛られたナタンが項垂れて座り込んでいる。
ナタンを取り囲むのは、ゴダール男爵領リュイエの町の冒険者ギルド、ギルドマスターとその職員たち。
ゴダール男爵嫡男エミール君を胸に抱いた、男爵夫人ブリジット様と使用人たち。
その後ろには町の顔役でもあるローズさんとドワーフのガストンさんたち。
場所はゴダール男爵本邸の大広間。
「ねえ、なんでこの部屋、こんなにボロボロなの?なんか、あちこち焦げてるっぽいんだけど?」
はて?戦闘中に火事なんか起きていたっけ?
途端にリュシアンが挙動不審になったけど、なんで?
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