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人助けをしましょう
町の人に会いました
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ゴダール男爵領地は、そんなに広くない。
高台にある男爵邸からは領都の町が一望できるけど、商店街があって栄えてそうな場所以外はのんびりした田舎町で、全体的にこじんまりとしている。
私は危険人物リオネルの小さなお手々をしっかりと繋ぎぽてぽてと、その商店街がある町の中心へ向かって歩いている。
右を見て左を見て・・・ここまで誰ともすれ違わないし、民家も疎らに建っているだけだし、なんか・・・。
「パッとしない町ね?」
アルベールがアラスの冒険者ギルドのサブマスから聞いた話では、アラスで稼いだ冒険者や船で運んだ荷を売りに行く商隊が通る町で、そこそこ賑わっていたはずなんだけど?
しかも、なんか・・・。
「土地が痩せているのかな?・・・なんか荒地っぽいのがいっぱい」
たぶん、畑なんだろうけど・・・何も育っていないし、雑草もあんまり生えていない。
乾いた土がひび割れて、小石が目に付くほど多い。
「農地じゃないの?何を育てているのよ?」
この世界の主食はパンとか豆料理だから、小麦とか大豆とかを育てているはずなんだけど・・・。
そうやってあちこち、町の様子を見ながら歩くこと半刻。
店は閉まっている所が多いが、とうとう町の中心地、商店街まで辿り着きました。
「うっ!」
「え?!」
今まで大人しく歩いて付いて来ていたリオネルが、急にしゃがみこんでしまった!
私のひとり言にツッコミを入れることもなく、黙々と歩いてきたのに?
「ど、どどどど、とうしたの?リオネル?お腹痛いの?足が痛いの?」
リオネルの隣に私もしゃがんで、背中を摩りながら声をかける。
やだ、どうしょう・・・。
焦って周りを見回してはリオネルの体のあちこちを摩っていると、ぬっと影が私たちを覆った。
「嬢ちゃんたち、どうした?」
と、同時にリオネルが・・・。
「お腹減って動けないぃぃぃ」
はあ?
アンタ、ついさっきパンケーキを大量にお腹に入れてたわよね?
生クリーム増しましで、リュシアンの分まで盗って食べまくってたわよね?
あんぐりと口を開けて驚く私を横目に、私たちに話しかけてきた影がひょいとリオネルの体を担ぎ上げる。
「そりゃ、たいへんだ!ワシの知り合いの店がそこにあるから、なんか食わしてもらおう」
「え?ええ?」
何?何がどうしてどうなったの?
突然のことに、呆然としてしまう。
リオネルも知らない人に担がれたら、少しは抵抗しなさいよね!
「ちょ、ちょっと待ってー!」
私は慌てて、ふたりの後を追いかけた。
リオネルを拐った人は・・・ドワーフのおじさんだった。
「はい。遠慮しないでいっぱい食べてちょーだい」
「ありがとございます」
私はペコリと頭を下げたが、リオネルはスプーンを持って食べ始めている。
お前ーっ、ちゃんとお礼を言いなさいよ!
イラッときたから、思いっきり太ももを抓ってやった。
「・・・なに?」
「・・・なんでもないわ。零さないで食べなさい」
「うん」
・・・おかしいな?力いっぱい抓ったのに・・・痛覚無いのかリオネルは?
「こんなに小さな子供がお腹を空かしているなんて」
ウルウルと潤んだ瞳で私たちにご飯を作ってくれたのは、この宿屋の女主人ローズさん。
恰幅の良いおばちゃんって感じの人族、ここまで私たちを連れてきてくれたのは、ドワーフのガストンさん。
ドワーフらしく鍛冶屋さんなんだけど、今は開店休業中。
そして、ルネと同じくらいの男の子、エリク君。
「お前さんたち、ふたりきりなのか?」
ガストンさんの質問に、私は首を横に振るだけで答える。
そして、誤解されることを承知で、赤ちゃん用のミルクやオムツが欲しいことを伝える。
案の定、3人は悲痛な顔で私たちを見比べる。
どうやら、この親切な方々は、冒険者の保護者が町から締め出しをくらって、子供だけが取り残されてしまい、お腹を空かしながらも保護者が戻ってくるのを健気に待っている可愛い子供たちだと思っている。
「エリク。必要な物を買ってきてあげな」
「ああ。ちょっと待ってろ」
あ、お金はちゃんと払いますよ。
あとで、必要経費として男爵家からぶん取りますから。
「こんな小さな子まで犠牲になって。かわいそうに」
「ああ。ラウルがいればこんなことにならなかったのに。あいつは・・・絶対に生きてると思うんだけどな・・・」
「ラウル坊は生きてるさ。せっかくブリジット様との間に子供も生まれたんだから、生きて帰ってくるよ」
あれ?このふたりは男爵で海難事故にあって生死不明のラウル氏と親しいのかな?
このまま黙ってふたりの話を盗み聞こう。
リオネルは会話の邪魔しないように、定期的にお口の中へ食べ物を放り込んでおけばいいだろう。
「本当に、あの先代の従兄弟とか言って乗り込んできたナタンとかいう奴は、ゴダールの血を引いているのか?例えそうだとしても、ラウルの子供が次期男爵だろうが!」
「はっ!アタシは爺さんが聞いたことがあるよ。あのナタンの父親はゴダール様とは兄弟でもなんでもないのさ。同じ孤児院で育った弟分ってやつだよ」
ん?
何?ナタン・ゴダールはゴダールではない?
それって・・・とっても重要なことなんじゃないの?
高台にある男爵邸からは領都の町が一望できるけど、商店街があって栄えてそうな場所以外はのんびりした田舎町で、全体的にこじんまりとしている。
私は危険人物リオネルの小さなお手々をしっかりと繋ぎぽてぽてと、その商店街がある町の中心へ向かって歩いている。
右を見て左を見て・・・ここまで誰ともすれ違わないし、民家も疎らに建っているだけだし、なんか・・・。
「パッとしない町ね?」
アルベールがアラスの冒険者ギルドのサブマスから聞いた話では、アラスで稼いだ冒険者や船で運んだ荷を売りに行く商隊が通る町で、そこそこ賑わっていたはずなんだけど?
しかも、なんか・・・。
「土地が痩せているのかな?・・・なんか荒地っぽいのがいっぱい」
たぶん、畑なんだろうけど・・・何も育っていないし、雑草もあんまり生えていない。
乾いた土がひび割れて、小石が目に付くほど多い。
「農地じゃないの?何を育てているのよ?」
この世界の主食はパンとか豆料理だから、小麦とか大豆とかを育てているはずなんだけど・・・。
そうやってあちこち、町の様子を見ながら歩くこと半刻。
店は閉まっている所が多いが、とうとう町の中心地、商店街まで辿り着きました。
「うっ!」
「え?!」
今まで大人しく歩いて付いて来ていたリオネルが、急にしゃがみこんでしまった!
私のひとり言にツッコミを入れることもなく、黙々と歩いてきたのに?
「ど、どどどど、とうしたの?リオネル?お腹痛いの?足が痛いの?」
リオネルの隣に私もしゃがんで、背中を摩りながら声をかける。
やだ、どうしょう・・・。
焦って周りを見回してはリオネルの体のあちこちを摩っていると、ぬっと影が私たちを覆った。
「嬢ちゃんたち、どうした?」
と、同時にリオネルが・・・。
「お腹減って動けないぃぃぃ」
はあ?
アンタ、ついさっきパンケーキを大量にお腹に入れてたわよね?
生クリーム増しましで、リュシアンの分まで盗って食べまくってたわよね?
あんぐりと口を開けて驚く私を横目に、私たちに話しかけてきた影がひょいとリオネルの体を担ぎ上げる。
「そりゃ、たいへんだ!ワシの知り合いの店がそこにあるから、なんか食わしてもらおう」
「え?ええ?」
何?何がどうしてどうなったの?
突然のことに、呆然としてしまう。
リオネルも知らない人に担がれたら、少しは抵抗しなさいよね!
「ちょ、ちょっと待ってー!」
私は慌てて、ふたりの後を追いかけた。
リオネルを拐った人は・・・ドワーフのおじさんだった。
「はい。遠慮しないでいっぱい食べてちょーだい」
「ありがとございます」
私はペコリと頭を下げたが、リオネルはスプーンを持って食べ始めている。
お前ーっ、ちゃんとお礼を言いなさいよ!
イラッときたから、思いっきり太ももを抓ってやった。
「・・・なに?」
「・・・なんでもないわ。零さないで食べなさい」
「うん」
・・・おかしいな?力いっぱい抓ったのに・・・痛覚無いのかリオネルは?
「こんなに小さな子供がお腹を空かしているなんて」
ウルウルと潤んだ瞳で私たちにご飯を作ってくれたのは、この宿屋の女主人ローズさん。
恰幅の良いおばちゃんって感じの人族、ここまで私たちを連れてきてくれたのは、ドワーフのガストンさん。
ドワーフらしく鍛冶屋さんなんだけど、今は開店休業中。
そして、ルネと同じくらいの男の子、エリク君。
「お前さんたち、ふたりきりなのか?」
ガストンさんの質問に、私は首を横に振るだけで答える。
そして、誤解されることを承知で、赤ちゃん用のミルクやオムツが欲しいことを伝える。
案の定、3人は悲痛な顔で私たちを見比べる。
どうやら、この親切な方々は、冒険者の保護者が町から締め出しをくらって、子供だけが取り残されてしまい、お腹を空かしながらも保護者が戻ってくるのを健気に待っている可愛い子供たちだと思っている。
「エリク。必要な物を買ってきてあげな」
「ああ。ちょっと待ってろ」
あ、お金はちゃんと払いますよ。
あとで、必要経費として男爵家からぶん取りますから。
「こんな小さな子まで犠牲になって。かわいそうに」
「ああ。ラウルがいればこんなことにならなかったのに。あいつは・・・絶対に生きてると思うんだけどな・・・」
「ラウル坊は生きてるさ。せっかくブリジット様との間に子供も生まれたんだから、生きて帰ってくるよ」
あれ?このふたりは男爵で海難事故にあって生死不明のラウル氏と親しいのかな?
このまま黙ってふたりの話を盗み聞こう。
リオネルは会話の邪魔しないように、定期的にお口の中へ食べ物を放り込んでおけばいいだろう。
「本当に、あの先代の従兄弟とか言って乗り込んできたナタンとかいう奴は、ゴダールの血を引いているのか?例えそうだとしても、ラウルの子供が次期男爵だろうが!」
「はっ!アタシは爺さんが聞いたことがあるよ。あのナタンの父親はゴダール様とは兄弟でもなんでもないのさ。同じ孤児院で育った弟分ってやつだよ」
ん?
何?ナタン・ゴダールはゴダールではない?
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