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ギルド
レオも仲間です!
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朝、ぼくが作ったご飯を食べてお昼のお弁当を持ったオスカーさんとディーターさんは、ギルド支部へと講習を受けに行きました。
留守番組は今日からぼくとレオ、ビアンカさんです。
ビアンカさんは、ベースは人族だけれどもいろんな種族の血が混じっているそうです。
どうやらぼくも含めて一見人族に見えていても、だいたいはいろんな種族の血が混じった混血だそうです。
むしろ、純血の人族など存在しないかもしれない希少種で、どこぞの小国の王族が純血という噂らしいとか。
ビアンカさんも一見人族の女性で、年齢は十八歳。
お話していてもとってもハッキリキッパリとした気持ちのいい女性で、ボーイッシュな人です。
キレイな赤い髪を頭の高い位置でポニーテールにしています。
ちょっと身長は低めで痩せすぎじゃないかな?
よしっ! ぼくがいっぱいご飯を作って食べさせてあげますね!
ビアンカさんは袖の短い白いシャツに革の胸当てをつけて、カーキ色のカーゴパンツの裾を捲って元気いっぱいなイメージです。
大きな猫目は緑色に輝いて、キラキラしています。
ディーターさんとは、同じ孤児院で育った兄妹みたいな関係だそうです。
そのディーターさんは大柄な男の人ですが、熊の獣人です。
うん、見てすぐにわかりました。
だって頭の上には丸くて小さな耳があって、お尻にピョコンとした尻尾があるんですもん。
身長もオスカーさんより高くて、マッチョです。
カッコイイお顔だけど、ちょっと老け顔だから年齢が十九歳って聞いてビックリ。
オスカーさんより年下ですぅ。
緑色の髪を短くツンツンと立てた髪型に切れ長の鋭い目は優しい茶色。
長袖の黒いシャツに革のズボンでしたが、お仕事のときには大きな盾を持って完全武装だそうです。
うーん、早く見てみたい!
ディーターさんはきっといっぱいご飯を食べるだろうから、ぼく頑張ります。
さて、ビアンカさんにも手伝ってもらいながら、朝ご飯で使ったお皿を洗い、キッチンやそれぞれの部屋、トイレとお風呂を簡単にお掃除します。
ここで、意外な反応が……。
「すっごーい! 昨日話は聞いたけどクルトのスキルは桁違いね」
ぼくが【生活魔法・清潔】で掃除した部屋を覗き込んだビアンカさんの感想だ。
結局、ビアンカさんたちにもぼくのスキルの話をして、秘密を共有することにしました。
オスカーさんは『器用貧乏』だけでいいんじゃないかって心配してくれたけど、同じギルドメンバーなんだもの隠し事はよくないです。
ただ、『異世界レシピ』というスキルが初耳だった二人はいまいちピンとこなかったみたいで、「ふーん」という薄いリアクションで終わってしまった。
だから、ビアンカさんはぼくの規格外の【生活魔法】に驚いているんだろうなぁ。
「そりゃ、そうよ。どんな『器用貧乏』だって【生活魔法】で一部屋全部キレイにできないわよ。しかもさっきから使いまくっているのに魔力も枯渇してないし」
胡乱気に見られたぼくは焦りながらも、オスカーさんが教えてくれた魔法理論を説明する。
「だから、【生活魔法】をどんなに使っても、魔力消費は少なくて済むんです!」
「へー、そんなの初めて聞いた。まあそうよね。【生活魔法】なんて乱用しないもの」
そうなの? と首を傾げたぼくにビアンカさんはケタケタ楽しそうに笑った。
「だって、ちょっと便利な魔法扱いなのよ? 使えなかったら不便だけどそんなにしょっちゅう使わないわよ」
右手をヒラヒラと振ってビアンカさんは階段を降りていく。
ぼくたちはお掃除のついでに、このギルドハウスをリフォームする用に間取り図を描いているんだよ。
ビアンカさんが器用に図を描くので、感心しました。
「じゃあ、お昼ご飯を食べながらこのギルドハウスの全貌を確認しましょ」
「はい。あ、レオも一緒にいいですか?」
「レオって……そのレアスライムのこと? クルトってテイマーのスキルはないのよね?」
「ない……はずです。『器用貧乏』スキルはそれ以外のスキルが持てないはずなので……」
でも、ぼくはもう一つ『異世界レシピ』スキルを持っているから、絶対とは言えないんだけど。
「いいわよ、レオも一緒で。もうさぁ、レオもギルドメンバーでいいんじゃない?」
ビアンカさんはレオの丸いフォルムをツンツンと突きながら、ニカッと笑う。
「……は、はい! ぼくも、レオにメンバーになってほしいです!」
レオもビアンカさんの意見に賛成なのか、右手もどきの触手をハイハイッと高く上げたのだった。
キッチンで作っておいたサンドイッチとスープ、サラダと果実水を並べる。
もちろん、同じメニューを少量ずつレオ専用のお皿に盛り付けてあげる。
「はあああっ。クルトのご飯っておいしいよねー」
「そうですか? ありがとうございます。でもまだ調味料とか足りないんですよねぇ」
昨日、メンバーを迎えに行くとき通った市場でぼくの『異世界レシピ』がピコピコ教えてくれた調味料や食材を帰りに買い込んでいこうと思っていたのに、オスカーさんの性悪幼馴染がやらかしたせいで、買い忘れてしまったのだ。
「あら、じゃあ明日は買い物でもする? まだオスカーが呼んだ侯爵家お抱えの大工さんたちは来ないでしょうし」
「買い物……行きたいです」
うん、明日は市場で買い物だっ!
「付き合うから、甘い物も食べようね! いやクルトに作ってもらえばいいのか?」
ビアンカさん、甘い物がお好きなんですね。
ビアンカさんと和やかにお喋りしながら食事を済ませたあとは、テーブルの上に描いた間取り図を広げてみます。
「結構、広い屋敷だったわね」
「はい。地上三階建てに地下室まで。庭も広いですし。むむむ、どうリフォームするか悩みます」
やっぱり、動きやすい動線確保と、ギルドスペースとプライベートスペースは分けたいよね!
留守番組は今日からぼくとレオ、ビアンカさんです。
ビアンカさんは、ベースは人族だけれどもいろんな種族の血が混じっているそうです。
どうやらぼくも含めて一見人族に見えていても、だいたいはいろんな種族の血が混じった混血だそうです。
むしろ、純血の人族など存在しないかもしれない希少種で、どこぞの小国の王族が純血という噂らしいとか。
ビアンカさんも一見人族の女性で、年齢は十八歳。
お話していてもとってもハッキリキッパリとした気持ちのいい女性で、ボーイッシュな人です。
キレイな赤い髪を頭の高い位置でポニーテールにしています。
ちょっと身長は低めで痩せすぎじゃないかな?
よしっ! ぼくがいっぱいご飯を作って食べさせてあげますね!
ビアンカさんは袖の短い白いシャツに革の胸当てをつけて、カーキ色のカーゴパンツの裾を捲って元気いっぱいなイメージです。
大きな猫目は緑色に輝いて、キラキラしています。
ディーターさんとは、同じ孤児院で育った兄妹みたいな関係だそうです。
そのディーターさんは大柄な男の人ですが、熊の獣人です。
うん、見てすぐにわかりました。
だって頭の上には丸くて小さな耳があって、お尻にピョコンとした尻尾があるんですもん。
身長もオスカーさんより高くて、マッチョです。
カッコイイお顔だけど、ちょっと老け顔だから年齢が十九歳って聞いてビックリ。
オスカーさんより年下ですぅ。
緑色の髪を短くツンツンと立てた髪型に切れ長の鋭い目は優しい茶色。
長袖の黒いシャツに革のズボンでしたが、お仕事のときには大きな盾を持って完全武装だそうです。
うーん、早く見てみたい!
ディーターさんはきっといっぱいご飯を食べるだろうから、ぼく頑張ります。
さて、ビアンカさんにも手伝ってもらいながら、朝ご飯で使ったお皿を洗い、キッチンやそれぞれの部屋、トイレとお風呂を簡単にお掃除します。
ここで、意外な反応が……。
「すっごーい! 昨日話は聞いたけどクルトのスキルは桁違いね」
ぼくが【生活魔法・清潔】で掃除した部屋を覗き込んだビアンカさんの感想だ。
結局、ビアンカさんたちにもぼくのスキルの話をして、秘密を共有することにしました。
オスカーさんは『器用貧乏』だけでいいんじゃないかって心配してくれたけど、同じギルドメンバーなんだもの隠し事はよくないです。
ただ、『異世界レシピ』というスキルが初耳だった二人はいまいちピンとこなかったみたいで、「ふーん」という薄いリアクションで終わってしまった。
だから、ビアンカさんはぼくの規格外の【生活魔法】に驚いているんだろうなぁ。
「そりゃ、そうよ。どんな『器用貧乏』だって【生活魔法】で一部屋全部キレイにできないわよ。しかもさっきから使いまくっているのに魔力も枯渇してないし」
胡乱気に見られたぼくは焦りながらも、オスカーさんが教えてくれた魔法理論を説明する。
「だから、【生活魔法】をどんなに使っても、魔力消費は少なくて済むんです!」
「へー、そんなの初めて聞いた。まあそうよね。【生活魔法】なんて乱用しないもの」
そうなの? と首を傾げたぼくにビアンカさんはケタケタ楽しそうに笑った。
「だって、ちょっと便利な魔法扱いなのよ? 使えなかったら不便だけどそんなにしょっちゅう使わないわよ」
右手をヒラヒラと振ってビアンカさんは階段を降りていく。
ぼくたちはお掃除のついでに、このギルドハウスをリフォームする用に間取り図を描いているんだよ。
ビアンカさんが器用に図を描くので、感心しました。
「じゃあ、お昼ご飯を食べながらこのギルドハウスの全貌を確認しましょ」
「はい。あ、レオも一緒にいいですか?」
「レオって……そのレアスライムのこと? クルトってテイマーのスキルはないのよね?」
「ない……はずです。『器用貧乏』スキルはそれ以外のスキルが持てないはずなので……」
でも、ぼくはもう一つ『異世界レシピ』スキルを持っているから、絶対とは言えないんだけど。
「いいわよ、レオも一緒で。もうさぁ、レオもギルドメンバーでいいんじゃない?」
ビアンカさんはレオの丸いフォルムをツンツンと突きながら、ニカッと笑う。
「……は、はい! ぼくも、レオにメンバーになってほしいです!」
レオもビアンカさんの意見に賛成なのか、右手もどきの触手をハイハイッと高く上げたのだった。
キッチンで作っておいたサンドイッチとスープ、サラダと果実水を並べる。
もちろん、同じメニューを少量ずつレオ専用のお皿に盛り付けてあげる。
「はあああっ。クルトのご飯っておいしいよねー」
「そうですか? ありがとうございます。でもまだ調味料とか足りないんですよねぇ」
昨日、メンバーを迎えに行くとき通った市場でぼくの『異世界レシピ』がピコピコ教えてくれた調味料や食材を帰りに買い込んでいこうと思っていたのに、オスカーさんの性悪幼馴染がやらかしたせいで、買い忘れてしまったのだ。
「あら、じゃあ明日は買い物でもする? まだオスカーが呼んだ侯爵家お抱えの大工さんたちは来ないでしょうし」
「買い物……行きたいです」
うん、明日は市場で買い物だっ!
「付き合うから、甘い物も食べようね! いやクルトに作ってもらえばいいのか?」
ビアンカさん、甘い物がお好きなんですね。
ビアンカさんと和やかにお喋りしながら食事を済ませたあとは、テーブルの上に描いた間取り図を広げてみます。
「結構、広い屋敷だったわね」
「はい。地上三階建てに地下室まで。庭も広いですし。むむむ、どうリフォームするか悩みます」
やっぱり、動きやすい動線確保と、ギルドスペースとプライベートスペースは分けたいよね!
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