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弱虫くんは生徒会長

弱虫くんと幼馴染

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***

「会長。おはようございます」
「……おはよう」

「今日も変わらずかっこいい…!」
「わっ! こっち見たよ!」


生徒会長なんて……

なんで…どうして!?

僕に務まるわけないじゃん!
誰!? 推薦した人!
人前に出るのなんて無理!
陰で大人しく生きていたいのに。

隼人はやと。やっぱり僕に会長なんて無理だよ…」
「まーた言ってる。みんなは優那ゆうなが適任だって思ったから選んでくれたんだよ? 自信持てって。俺がついてるから」

幼馴染の菊地 隼人きくち はやとは、昔から僕を助けてくれる。
副会長に立候補したのも、会長に推薦されてしまった僕のため。
面倒なことは大嫌いなはずなのに……

僕と隼人は寮で生活している。
ちなみに同じ部屋だ。

朝起きてから夜寝るまで、ほとんどの時間を彼と一緒に過ごしている。
僕にとって隼人は家族みたいな存在。

「やっと着いた…」
「今日も1日よく頑張りました」

そう言って隼人は僕の頭を優しく撫でた。

「子ども扱いしないでよ~」
「高校生なんてまだ子どもだろ?」
「隼人だって同じじゃん」
「……じゃあ、はい」
「え?」

隼人は僕の方に軽く頭を突き出して何かを待っていた。

「隼人…?」
「どうぞ。子ども扱いしてくださいな」

その言葉に、何をして欲しいのかわかった。

恐る恐る隼人の髪に触れる。
ふわりとしたやわらかな髪は甘い香りがする。
綿菓子みたい。

「…いつもありがとう、隼人」
「こちらこそ」

嬉しそうに目を細める隼人はまるで猫だ。


「……優那」

ハッと我にかえる。

「そろそろいいか?」
「ご、ごめん」

慌てて手を引っ込めた。

「そんなに良かった?」
「うん。ふわふわで気持ち良かった」
「それはどーも」

横を向いた隼人の耳は少し赤くなっていた。


大きなあくびを一つして、制服のネクタイを緩める。

「優那、眠いの?」
「うん…少し」
「夕飯まで寝てな」

目を閉じるとすぐに、夢の世界へと旅に出た。


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