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3話 すずの鬱屈
ストレス
しおりを挟むまりあの日常は劇的に変化した。
家でも
学校でも
公園でトレーニングしている時も、
背中に視線を感じて振り返ることが多くなった。
そこには必ず鏡があって、鏡面の向こうにかがみんが居て、嫌らしくほくそ笑んでいるのだから堪らない。
大人しく背を向けてその場を走り去るしかできないことも多大なストレスだ。
纏わりつくような不信感。
常に見張られているという疑心暗鬼を振り払えない。
まるで、看守の下で管理される囚人の気分だった。
端的に言ってしまえば、まりあは恐れていた。
鈴の持つ圧倒的な魔力にではなく、それに屈してしまうことに対して。
無謀に任せて再戦した結果、またしても敗北してしまうかも知れない可能性に対して。
完膚なきまでに叩き潰されたその先で、それでもまりあは己の信念を貫き通せるのか。
不安で堪らなかった。
「うああああああああああああっ!」
委縮する心を無理やり奮い立たせ、まりあはがむしゃらに拳を振るい続けた。
わざわざ遠くまで足を運んで魔女を探し出し、相手が仕掛ける攻撃も罠も力任せに突破して、真っ正面から打ち倒す。
体中に生傷が絶えなくなろうとも、ただひたすらに突撃からの正面突破を敢行し、必死で意地を張り続けた。
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