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3話 すずの鬱屈
これが十歳児の柔肌か……
しおりを挟む「ほら、しぐれ。隠してちゃ意味がないでしょう? 全部見せて?」
言って、まりあはしぐれの細い手首を掴んだ。少しでも隠そうとする腕をゆっくりと開かせる。
「で、でも……。やっぱり恥ずかしいよ、こんなの……」
顔を赤らめ、頻りに視線を往来させたしぐれは、すぐ間近に迫るまりあの微笑みに、堪らずごくりと息を飲みこんだ。
二人が身に着けている着衣は下着のみ。
互いに薄桃色の柔肌を露出させ、未発達の幼い身体を見せつけ合う。
今まりあの部屋にいるのは二人きりだ。
邪魔する者がいない中、心臓の鼓動とともに高まる期待と、一抹の不安感。
矛盾した気持ちを胸に孕み、乙女の恥らう吐息が零れる。
「そんなことないよ、女の子同士なんだから。さ、しぐれ?」
まりあは、慈愛に満ちた表情で優しく迫る。
「あう……っ、ま、まりあ、ちゃん……」
熟れた果実のように赤い頬を撫でながら、まりあはしぐれの肌にそっと指を這わせた。
「ひゃう……っ」
まりあは、大層真剣な様子で眉間に皺をよせ、満足げにこくりと頷いた。
「うむ、柔らかい。しっとりなのにさらさら。これが十歳児の柔肌か……」
「まりあちゃんも同い年だと思うけど?」
「頬ずりしてもいい?」
「それはやめてえぇっ」
しぐれの大声に、ピクリと耳を動かしたアルルは、
「にゃあ」
ひとつ欠伸をすると、自前の毛布の上で心地よさそうに眠りに落ちた。
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