筋肉少女まりあ★マッスル 全力全開!

謎の人

文字の大きさ
上 下
10 / 70
1話 まりあの恋慕

魔法、少女……?

しおりを挟む
 
 
「何それ、変な名前……。今つけたでしょう?」
「僕ら魔法生物はみんながみんな、生まれつき固有の名を持って生きるわけじゃないんだ。必要に応じて適当に名乗っているだけ」
「ふうん?」
「だから好きに呼べばいい。綿あめでも白饅頭でも、何でも構わないよ」


 冗談か、それとも自虐か。

 何となく理解したつもりで、まりあは小首を傾げつつ、よく分からないことについてはひとまず後に回した。

 かがみんがひと心地ついた頃合いを見計らって、床に降ろしていた腰を上げ、ぐっと身を乗り出す。


「で? で? あなた、さっきなんて言ったけ。私のお願いを叶えてくれるー、とかなんとか」
「そうだよ」


 至極明快な肯定。

 まりあは、見開いた瞳にお星さまを輝かせた。


「うわあー、本当に? 本当に、私お兄ちゃんを悩殺できるくらいナイスバディになれる?」
「なれるよ」
「やったー!」


 両手を天に、嬉々としたはしゃぎ声を上げ、一通り喜びを爆発させる。

 素早くかがみんを掴み上げ、間近に迫って、目を爛々と輝かせる。


「どうやって? どうやればいい? 何をすればいいのか教えて!」
「まずは落ち着こうか。君は大らかな上に喰いつきがいいね。まあ、嫌いじゃないよ」


 柔らかい肉球で額を小突かれ、まりあはようやく振り回していたかがみんを床に降ろしてやった。

 かがみんは「やれやれだ」と肩をすくめて、乱れた体毛を簡単に毛づくろい。

 ブルブルと頭を振って意識を切り替え、声色を改めて本題を切り出す。


「さて。待ちきれない様子だし、さっさと君の疑問に答えるとしようか、まりあ」


 そう前置きするかがみんの前で、まりあは居住まいを正して拝聴の姿勢。
 ただし、顔は盛大ににやけている。


「どうやって君の願望を叶えるのか。答えは魔法の力を使うのさ」
「魔法?」


 まりあは、途端に眉根を潜めた。


「魔法って、あれでしょう? アニメとかで女の子が空飛んだり、ビーム打って町ひとつ壊滅させるやつ」
「その二つはだいぶジャンルが異なるけれど、まあそういう認識で良いんじゃないかな」


 かがみんは、こほんと咳払い。
 話を戻す。


「僕の持っている魔法の力を君に授けよう。君も、そのアニメの中の女の子と同じように魔法少女になるんだよ」
「魔法、少女……? どうやって? あれって全部作り物でしょう?」
「逆さ。太古の昔から当たり前のように存在している力を、君たち人間は作り物として認識しているだけ」
「……よく分かんないけど。そうなんだ」
「君は大らかというより大雑把なんだね。まあ、悪いことじゃないよ」


 まりあの無関心は軽く受け流して、かがみんは改めてまりあの心に問いかける。


「まりあ、僕と契約して魔法少女になってみないかい?」


 蒼色の瞳が、まりあの思考を絡め取るように一瞬だけ煌めく。


「もちろん強制しているわけじゃあない。けれど、まりあ。話くらい聞いてみても―――」
「なります! ください魔法の力。ぜひ! 今すぐに、さあっ!」
「……ひとまず落ち着いてもらってもいいかな」


 再び振り回され始めたかがみんは、早くも慣れた様子でまりあを窘めた。
 
 無事に床に降ろしてもらい、少々不思議そうな面持ちでこちらを見上げる。


「随分と前のめりだけど、少しは困惑したりしないのかい?」
「んー? だって細かいこと聞いたってよく分かんないだろうし。お願い叶えてくれるのならそれでいいかなって」
「素敵な考え方だね。だけど、最後まで聞いてもらってもいいかな」
「まだ何かあるの?」
「何もかもが説明不足だよ」
 
 
 言って、かがみんは説明を始めた。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...