お腹の痛い悪役令嬢に転生してしまいました

19 二度目の邂逅

　「離してっ!!」

　今日も今日とて迫られている薫乃です、中学二年になりました。今日は珍しく中等部の生徒ではなく高等部の生徒に迫られています。ただ高等部に用があって来ただけなんですけどね、どうしてこうなった。

「いいだろう?減るもんじゃねーし」

「やめてくださいっ、きゃあ!!」

減るんだよ、触るな!!そう言ってやりたいのに、口をふさがれて手はネクタイで縛られる。そのまま空き教室に転がされて上にのしかかられる。

「んーっ!!」

スカートの中に手を入れられて、太腿を撫で上げられる。その手つきに一瞬にして鳥肌が立つ。今瑠香は高等部の生徒会に用があって手が離せない。私は高等部の先生に用があって瑠香とは別行動。そのほんの少しの隙を突かれた。瑠香も私も高等部にはあまり詳しくないからここが人通りが少ないことだけはわかるけれど、他のことはよく知らない。

「だれか、助けて!!」

口をふさぐ手に噛み付き、必死で大声を出す。だけどそう簡単に事が進むとは思えないし人が来るとも思えない。

「うるせぇ!!」

「んぐっ」

思いっきり今度はしっかりと口を塞ぐようにして顔を覆われて息すらも苦しくなる。もうこのまま犯されてしまうのかな、なんて諦めすらも出てきた。所詮、女の力は男の力に敵わないのだと思い知った瞬間だった。













「(いやだ、いやだいやだ!!こんなところで!!)」

男の手がシャツの裾から侵入してくる、そんな時だった。

「薫乃―!!どこぉー!!」

大声で私を呼ぶ瑠香の声が聞こえた。よく耳を澄ませば複数の足音も聞こえる。それに怯えたのか、男は私をそのままにして逃げ出した。

「薫乃!!」

「るかぁ」

えぐえぐと泣き出す私にそっとブレザーを掛けて、起こしてくれる。

「和泉、入るぞ」

「はい」

だれ?と聞けば瑠香は藤堂会長だと言った。藤堂、と言えば思い当たるのは一人しかいない、藤堂雅人その人だ。

「大丈夫か」

ガラッと開けられた扉の音にびくっと身体が反応する。

「だい、じょうぶです」

もうずいぶんと見ていなかった藤堂雅人を見た。藤堂家とは変わらず交流が続いていたけれど本人と会うのは本当に久しぶりだった。







「ごめんなさい、もう覚えてなくて」

　その後、事情を聴かれたがよくは覚えていなくて残念なことに全く力にはなれなかった。