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「本日はどちらに行かれるのですか?」
「今日は朝は図書館に、午後からは授業です」
「かしこまりました、お供いたします」
結局、騎士を引き連れて図書館にやってきた。そっと中へ入れば、司書たちが働いており、文官たちも中には見える。テーブルと椅子のある一角に双子とその侍女、騎士たちが一緒にいるのを見つけた。
「どうかなさったの?」
「……」
「おね、えさ、ま」
挨拶をしようと近寄れば、一様にみんなの顔が暗く双子に至っては泣きそうだ。理由を問おうと言葉を発する。双子は静かに涙を流し始めたので、二人の顔をそっと覆うように抱きしめる。
「どうしてこんなことに?」
「ルドルフ様、アンジェリーナ様はよく努力をされている、幼いながらに優秀だと教師たちからも太鼓判です。それなのに……」
「……っ」
騎士は悔しそうに唇を噛みしめ、侍女は泣きながら訴えかけてくる。今日もというべきか、何も改善策を打ち出していないがゆえに同じようなことになっているらしい。
「わ、私たちでは……、力もないから……。何を言っても握りつぶされてしまうのですっ」
まあ、そうよね。侍女百人と王族一人でも、王族の言葉が信じられてしまう場合があるのがこの世の現状だ。そこに目で見てわかる証拠さえあれば、少しは変わるのだけれど。
「宮廷医に見せるのはどうかしら。明らかに不自然なケガよ、中立的立ち位置の彼ならきっと力になってくれるわ」
宮廷医は父に忠言もできる中立的立ち位置なのは前から知っていた。彼の客観的事実に基づく証言が得られれば、もしかしたら事態は好転するかもしれない。
「で、ではっ、すぐに!!」
「それがいいわね、宮廷医のもとへ行きましょう。いきなり行ったほうがいいかもしれないから、このままで」
「は、はい!!」
急く侍女を落ち着かせて、双子の弟妹と目を合わせてこれから行く先を教える。不安そうにこちらを見上げる双子にきちんと説明してやれば、理解したようで頷いてくれた。私は後ろに控えている自分の専属の騎士に話をする。
「この書類を、陛下に預けていただけますか。私はこの子たちに付き添いますので」
「必ずや、陛下のもとへ届けてまいります」
「お願いします」
父に提出予定だった書類を渡して、騎士を急がせる。そのまま私は双子たちを連れて医務室に向かった。仮にあの騎士が父に渡さなくても、こちらでもう一つ書類を作ってあるので問題はない。
必ず、と言ったからその言葉は信じようとは思っているけれど。
「一緒に中に入りましょう」
「はい」
宮廷医のところまでやってきて、一緒に中に入る。ぞろぞろとやってきた、それも第一王女、第一王子、第二王女がいるのを見て驚く宮廷医に事情をさっと説明する。だいたいのことは察したようで、すぐに診察に取り掛かってくれた。
「さて、私たちはこっちに」
空いているスペースに座らせてもらい、事情をもう一度詳しく聞く。
「今日は逃げてきたというわけね」
「はい」
聞けば、今日はちょっとした反抗心だったらしい。授業も何もないのに昨夜からずっと起こされて勉強をさせられていたようで、双子が珍しくもうやりたくないとごねたみたいだ。そこでそれを直接伝えると何があるかわからないと機転を利かせた侍女の彼女が図書館で自主学習をすると言っていると伝えて逃げてきた、というのが仔細。
「わ、私は、王妃様のご実家であるメイブル侯爵家の方に見いだされて侍女に抜擢されました。でも、こんな幼い王子様と王女様を苦しめるために侍女になったなんて、思いたくないのです」
「私も、メイブル侯爵の口添えで護衛として選出されました……。しかし、これは本当に守れていると、言えるのでしょうか」
「自分は護衛として、平民ながらも選んでいただきました。ですが……、これほど無力な己を呪ったことはありません」
口々にこぼす本音、そこでメイブル侯爵家の息のかかった人間だったことを確定させたが、彼らはその派閥に属することに疑問を感じていることを知った。
「今日は朝は図書館に、午後からは授業です」
「かしこまりました、お供いたします」
結局、騎士を引き連れて図書館にやってきた。そっと中へ入れば、司書たちが働いており、文官たちも中には見える。テーブルと椅子のある一角に双子とその侍女、騎士たちが一緒にいるのを見つけた。
「どうかなさったの?」
「……」
「おね、えさ、ま」
挨拶をしようと近寄れば、一様にみんなの顔が暗く双子に至っては泣きそうだ。理由を問おうと言葉を発する。双子は静かに涙を流し始めたので、二人の顔をそっと覆うように抱きしめる。
「どうしてこんなことに?」
「ルドルフ様、アンジェリーナ様はよく努力をされている、幼いながらに優秀だと教師たちからも太鼓判です。それなのに……」
「……っ」
騎士は悔しそうに唇を噛みしめ、侍女は泣きながら訴えかけてくる。今日もというべきか、何も改善策を打ち出していないがゆえに同じようなことになっているらしい。
「わ、私たちでは……、力もないから……。何を言っても握りつぶされてしまうのですっ」
まあ、そうよね。侍女百人と王族一人でも、王族の言葉が信じられてしまう場合があるのがこの世の現状だ。そこに目で見てわかる証拠さえあれば、少しは変わるのだけれど。
「宮廷医に見せるのはどうかしら。明らかに不自然なケガよ、中立的立ち位置の彼ならきっと力になってくれるわ」
宮廷医は父に忠言もできる中立的立ち位置なのは前から知っていた。彼の客観的事実に基づく証言が得られれば、もしかしたら事態は好転するかもしれない。
「で、ではっ、すぐに!!」
「それがいいわね、宮廷医のもとへ行きましょう。いきなり行ったほうがいいかもしれないから、このままで」
「は、はい!!」
急く侍女を落ち着かせて、双子の弟妹と目を合わせてこれから行く先を教える。不安そうにこちらを見上げる双子にきちんと説明してやれば、理解したようで頷いてくれた。私は後ろに控えている自分の専属の騎士に話をする。
「この書類を、陛下に預けていただけますか。私はこの子たちに付き添いますので」
「必ずや、陛下のもとへ届けてまいります」
「お願いします」
父に提出予定だった書類を渡して、騎士を急がせる。そのまま私は双子たちを連れて医務室に向かった。仮にあの騎士が父に渡さなくても、こちらでもう一つ書類を作ってあるので問題はない。
必ず、と言ったからその言葉は信じようとは思っているけれど。
「一緒に中に入りましょう」
「はい」
宮廷医のところまでやってきて、一緒に中に入る。ぞろぞろとやってきた、それも第一王女、第一王子、第二王女がいるのを見て驚く宮廷医に事情をさっと説明する。だいたいのことは察したようで、すぐに診察に取り掛かってくれた。
「さて、私たちはこっちに」
空いているスペースに座らせてもらい、事情をもう一度詳しく聞く。
「今日は逃げてきたというわけね」
「はい」
聞けば、今日はちょっとした反抗心だったらしい。授業も何もないのに昨夜からずっと起こされて勉強をさせられていたようで、双子が珍しくもうやりたくないとごねたみたいだ。そこでそれを直接伝えると何があるかわからないと機転を利かせた侍女の彼女が図書館で自主学習をすると言っていると伝えて逃げてきた、というのが仔細。
「わ、私は、王妃様のご実家であるメイブル侯爵家の方に見いだされて侍女に抜擢されました。でも、こんな幼い王子様と王女様を苦しめるために侍女になったなんて、思いたくないのです」
「私も、メイブル侯爵の口添えで護衛として選出されました……。しかし、これは本当に守れていると、言えるのでしょうか」
「自分は護衛として、平民ながらも選んでいただきました。ですが……、これほど無力な己を呪ったことはありません」
口々にこぼす本音、そこでメイブル侯爵家の息のかかった人間だったことを確定させたが、彼らはその派閥に属することに疑問を感じていることを知った。
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