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「やめてっ!」

「お願い、家族は関係ないでしょう!!」

ああ、まただ。また、また……殺されてしまう。

「おかあさまっ! おとうさまっ、クライヴ!」

やめて、もう殺さないで。悪いのは、私一人。

どんなにやり直しても、助けられない、私が悪いのだから。

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「っは!」

ひゅ、と呼吸が詰まる感覚で目が覚めた。冷や汗でネグリジェがぐっしょりと濡れている。

「また……そう、また……」

また、戻ってきてしまった。

家族を殺され、自分も緩やかに殺されていく。そして死ぬと八歳の私に戻り、十歳の誕生日でループ人生を思い出す。それを私はもうずっと繰り返している。

「今日、か……」

今日は私の十歳の誕生日であり、地獄の始まりでもある日。それは王太子の婚約者として選ばれる日だからだ。婚約者として選ばれても、選ばれなくても、どんなことをしても家族も私も最後は反逆者として処刑される未来を変えられない。

その未来を変えるためだけに、私はループ人生を歩んでいるのだけれど、過去十一回の人生で変えられたことはない。

一番目の人生、私は狂ったように王太子を愛していて、彼に嫌われていても縋りつくほどに、王太子しか見えていなかった。そして、王太子に私以外の恋人ができ、嫉妬でその恋人を殺そうとした。

もちろん、殺人未遂として罪に問われた私は、その責任として家族、父と母に弟までも処刑されることとなってしまった。私の目の前で、殺された家族。

私は、もしも時を巻き戻せるのなら次は絶対にそんなことはしないと誓って、毒物を盛られて緩やかに死んだ。すると、過去の私に戻っていたわけだ。

「婚約者として選ばれても、選ばれなくても、死ぬ。いかに、どうやって……どうすればいいの……」

くじけそうになる私を奮い立たせているのは、ただ一つ。家族を生かすことだけ。私は死んでもいい、でも家族だけは生きてほしい。私の責任を被せられて殺されるなんて、酷すぎる。

何度人生をやり直しても、最終的には冤罪なのに罪に問われて死んでいく。家族も、私も。たくさん愛してくれた家族だけは、幸せな人生を歩んでほしい、私にできるのはやり直し続けることだけ。でも、それでも……守りたいから。

「フェリシア様、おはようございます」

「おはよう」

「お顔の色が、あまりよくありませんね……どこかお加減が……?」

「少し、夢見が悪かったの……でも、大丈夫よ」

今度こそ、失敗しない。家族だけは生かしてみせる、助けてみせる。その思いを胸に、私は起き上がって顔を洗った。

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