ニセモノ彼女、始めました

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『お疲れ。今度、また会いたい』
『ありがとうございます。仁人さんもお疲れ様です。私もお会いしたいです、いつごろお休みですか?』
パパっとメッセージを送ると、すぐに返事が来てしばらくそれでやり取りをする。バイトの兼ね合いもあって、次に会えるのは3日後の夜。仁人さんに会うのは一週間ぶりになると思うと、楽しみだった。
「ふふ、楽しみだなぁ……」
二週間も借りっぱなしになっていた本も返したいし、渡したいお土産もある。もちろん鹿島さんにも。バイト先の人にもお土産渡したいし、うん、しばらくは忙しくなりそうだ。そもそも、明日からちょうどバイトだから、忙しくなる。お盆は終わったけど、人が多いのはいつものこと。
「明日から、頑張らなきゃ」
なんだかんだ言って、大学の夏休みは長く、まだ一か月ほどは残っている。授業もない今が稼ぎ時だ。授業が入るとやはりというべきか、その時間は拘束されてしまう。その分だけ働ける時間は少なくなる。金欠学生としては稼げるときに稼ぎたい。
「それに、学費のこともあるし」
奨学金を借りている身としては、学費以外にそのお金は使いたくない。せめて生活費くらいは自分で稼ぎたいものだ。そうすれば、あたりまえだけど返済金額が減る。返済額が小さくなればなるほど、将来に返すお金が減るのだから楽になるのは言うまでもない。
「貯金も、あんまり切り崩せないし……」
使う機会がなくて貯金していたけれど、もともとの貯金額も多いわけではないからあまりそちらに頼りすぎても困る。あとで、どうしても欲しいものがあったときや、必要なものを買いたいときに買えなくなってしまう。いざという時のものだし、その貯金は。
「最近、パソコンの調子悪いんだよなぁ……。ご機嫌斜めだよね、君は」
持って帰ってきたキャリーケースの中身も出さなければ、と思い出してキャリーの中からノートパソコンを取り出す。随分と長い付き合いんためか、経年劣化だろう不具合が多くみられるノートパソコン。買い替え時なのはわかっていた。しかし何分、高い。
「いっそ、お店で見てからネットで買う……?」
ネットのほうが割引はきくけど、お店で見て買うほうがいいこともある。キーボードの感じとか、大きさとか、見てみないとわからないことだってある。それならお店で見て型番とか控えてからネットで注文するのもありだ。
「うーん、どうしよう……。自分で見たってわかんないし……」
パソコンを起動させつつ、片付けも同時に終わらせて、インターネットブラウザを開く。有名な会社のものから検索をかけていけば、やはり、ネット限定モデルなどがあり、わからなくなる。
「やっぱり、見に行こうかな」
とりあえず、予定を開けて見に行こうと決めてブラウザを閉じ、パソコンの電源を切った。