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「試験、開始!!」
レポートの作業をある程度進めていたら、ほぼ明け方だった。あまり眠れないままに試験日を迎え、朝から入っている試験科目を受ける。
「……」
一般科目と必修専門が多いためか、必然と試験も増える。この科目は先日勉強したところだ、大丈夫、焦らなければ絶対に解ける。
(理論が多いな……、選択肢が微妙なラインをついてる……。これ一個でも間違えたら、全部間違うやつだ)
時間は一時間、いつもより短い中での緊張する試験。必死で頭を回転させて、記憶を掘り起こした。
「試験、止め!!」
まず、一つ目の試験が終わり、みんな思い思いに身体をほぐしている。試験用紙が回収され、私もようやく緊張から解き放たれた。次の教室に移動するべく、片づけをし、外に出る。そこから同じようにお昼を挟んで合計四時間分、試験を頑張った。
「今日、レポート提出日です。午後の五時までに提出するように」
最後の試験の教室で、学科で科目を持っている先生が顔をのぞかせて注意を促していく。私は朝、試験前に提出したので、問題ない。
「うわっ、忘れてた!!」
「やばっ」
一部、忘れていたらしい生徒が焦って帰りだし、私はゆっくり支度をして帰った。家についてから切っていたスマホに電源を入れると、たくさん通知を受信した。

「あ、仁人さん……。朝、連絡してくれたがや……」
仁人さんは今日は試験がないらしく、朝に一言、頑張れというメッセージが入っていた。当たり前だけど、学校に来ない日はオフの日よりも仕事の日が多いようで、案の定、今日も仕事。メッセージを返そうとアプリを開き、文字を打ち始めたところでピコンとまたメッセージを受信した。
「ふふ、今日の夜ご飯が同じお弁当って……、飽きるよ」
仁人さんから送られたそれは、何気ない日常のメッセージ。お昼に撮ったであろうお弁当の写真と、今撮ったであろうお弁当の写真が時計と一緒に写りこんでいて。メッセージを読んで、その時計に気付いたとき、仁人さんは私に何気ないことでも連絡をしてくれるんだ、と一人舞い上がってしまった。
「わ、た、し、は……っと」
今帰ってきて、これからご飯を作ります、と送った。今は休憩時間なのか、ポコポコとメッセージを受信してはそれに返す。ご飯は朝、炊いたお米があるし、ちょっと何かを炒めるつもりだったから、そこまで時間はかからない。
『奏のご飯、食べたい』
ポコンと一つ、受信したメッセージ。思わず驚いてしまった。
「えっ!?」
『自炊する時間もなかなか取れないから、弁当ばっかりなんだ。毎日、味が濃くて、身体もすっきりしない。奏のおかずをもらったとき、すごく冴えたんだ』
忙しい、ということだろう。お弁当ばかり食べているという仁人さんに悲しい気持ちになる。
「既製品のお弁当は……、たしかに、食べ続けるのはよくないけんど……」
私も経験がある。自炊がめんどくさくなった時期があって、お腹を満たすのにお弁当を買っていたけれど、味が濃く身体も休めているはずなのにすっきりしない。結果的に添加物を摂りすぎたんだ、と結論付けて自炊を心掛けた。
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