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 結局、あれから数時間ほどしか眠ることはできなかった。ここ数年、平均睡眠時間はもう四時間くらいだ。ショートスリーパー、とも言えないような時間は中途半端で逆に身体に疲労がたまっていく。それが平日だけではなく休日もある。休日なら何もないからよく眠れると思っていたのに、まったく眠れないのだ。むしろ仕事しなくていいのかな、出勤しない日だっけ?みたいに本当に休日かどうか疑って過ごすことになる。
「今日はバイト、お昼の用意もできてる。あ、あとは図書館に返す本の用意もしないと」
明け方の五時、のそのそと起き上がり朝食の支度をしつつ、今日の予定の確認をする。スケジュール管理はしているし、前日の夜にメモをわかりやすいところに貼ってその日のスケジュールを確認できるようにしているけれど、口に出さないとどうも一度では覚えられない。物覚えが悪いと、よく職場でも言われた。その対策として今の習慣が出来上がったんだけどね。
「一限からだし、ちょっと予習しておこう」
まだ登校時間には早いので、教科書を鞄から取り出して軽く復習をしてから予習をする。ノートに大事そうな単語や文章を書き出して、自分なりの解釈を書き足してみたり、意味を捉えきれなかったものにはどこが分からなかったかを書き、今日調べる項目としてチェックを入れる。そんなことをしていたら、すぐに登校時間になった。



「では講義を始めます」
 マイク越しに聞こえる声に集中して耳を傾ける。先生によって席が決まっている場合があるのだが、この先生は自由席。階段教室というわけでもないので、背が小さく目も悪い私はホワイトボードが見えるように前の方へ座る。大学では当てられることも少ないから安心して前に座ることができる。ほら、前って当てられやすいでしょ?
「で、この人物によってこの学派が生まれました」
ちょうど、朝に予習したところが出てきてスッと頭に講義内容が入り込んでくる。ここのあたり、ちょっとわかりづらかったから予習しておいて正解だ。
「次回、ここまでの内容の小テストをします。期末試験がない代わりのテストなので気を抜かないように」
小テスト、の言葉に一斉に教室内がざわつき、各々が不満を口にしたり緊張を口にしたりしていた。それもそうか、私は大学生をするのは二回目だからそれなりに小テストがあったりすることはわかっているし、入る学部によっては大学生は暇だとか言われていることが多いけど、まったく暇ではないことも知っている。
「それでは、早いですが講義を終了します」
規定時間より三十分も早く講義が終わり、みんな小テストについて話したり、早く終わったことを喜んでいたりとまちまちだった。私は友達いないボッチ勢なのでひっそりと席を立って空いた時間を図書館で埋めることにした。今年大学生になったばかりの、つい先月まで高校生だった子たちは大学の自由さを満喫しているようで、フレッシュさがすごい、という感想が改めて出た。こういうところが年を取った、って思われるところなんだよね、気をつけよう。一応アラサーに足かけてるけど、まだ、まだ!!二十代だもんね。
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