《R18》皇帝陛下は白銀髪の王女を寵愛する

ERICA

文字の大きさ
上 下
42 / 53
三章

41, 傀儡人形

しおりを挟む


捕らわれてから今日で何日目だろう。


「…ふっ、はぁ…ぐっ…うう」


傀儡人形のように性処理の道具として彼女の身体は使われていた。
何度も汚い汚物を吐き出され過ぎて紅雪の下半身はもう感覚がない。
ビクビク腰を動かす男が、二回戦をしようとした所で別の見張りの男に呼ばれて渋々出て行く。


「……ごめんね……ごめんね」


一人になった部屋で紅雪は必死にしがみ付いて耐えているだろうお腹の子に何度も謝った。
太股や腕の怪我は医者に診てもらったお陰で痛みは和らいだ。
しかし歩く事はまだ出来ないし、傷も塞ぎきっていない。
動けない紅雪は、ぼうっとしたり、男の相手をしたりを繰り返して一日が終わるのだ。


「…紅雪さま…ご飯が届きました…」
舎伊しゃい…そっちはきちんとご飯食べてる?殴られたりしていない?大丈夫?」
「紅雪さまのお陰で私たちは怪我一つしていません。ご飯もきちんと頂けています」


13歳の八歌の弟が握り飯と沢庵を持って来てくれた。 
近付いて来た舎伊に触れながら心配していた事を聞くと泣きながら舎伊が何度も頷く。
心の声も同じ答えを伝えていたので紅雪はホッと安堵した。


「…八歌は無事かしら」
「姉さんは紅雪さまを裏切ったのです…なのに!!」
「いいえ、八歌はあなた達を守る為に闘ったのよ」


そして、きっと負けたのだと思う。そう心の中で答えると、舎伊は握り飯を差し出してくる。
身体中がだるくて動けない紅雪は毎回舎伊に食べさせて貰った。
舎伊が来るのは見張りが必要無いから、家族を人質に捕られている舎伊に逃げるという選択肢は無い。
だからこそ、紅雪に守られて何も出来ない舎伊は悔しかった。


「…舎伊、あなたは八歌が来るまで必ず家族を守りなさい。あなたはたった一人の男よ。私たちを守れるのは舎伊だけ…だから力を付けなさい」


舎伊の心の声が聞こえた紅雪は励ますように言葉を投げ掛ける。
そして、食べていた握り飯を持つ舎伊の腕を掴んで彼が食べるように口元に寄せた。
投げ掛けた言葉に同意したのか舎伊は泣きながら紅雪の分の握り飯を頬張る。
舎伊の頭を撫でながら、ふとお腹に感じた違和感に気付いた。


「紅雪さま…血が流れています…っ」
「…っあ…あ…私のやや子が…流れちゃうっ…ううっ…」


違和感は、直ぐに目に見えるようになる。
舎伊が動揺した声を漏らすと、紅雪は必死にお腹を守ろうとした。
必死に行かないでと叫びながらも、紅雪は我が子を失ったのだと感覚で分かる。


<紫攸さま…我が子を失わせて…ごめん、なさいっ…>


今迄耐えていられた一筋の光を失った紅雪は止めることの出来ない程の涙が溢れる。
心の中で我が子と紅雪を捜し続けている紫攸に彼女は謝りながら眠るように意識を手放したのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

処理中です...