異世界少女は獣人王子に溺愛される

ERICA

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五章

助けられました⑦

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「家に帰れたら、アイスを食べて、バイトして、旅行行ったりしようかなっ…っ…」

 帰れるかもわからない、それでも寂しい時、相談したい時に思い出すのは家族の顔だった。二度と会えないかもしれないとわかっているけど、ぐちゃぐちゃになった思考を忘れたくて、自分の家族の元に戻った計画をたててみる。
 だけど、何でかどんどん涙が溢れてきた。笑顔の父や母、弟や友達たちが現れては泡のように消えていく。最後に大きな泡に笑顔のシリウスの姿が現れると、飛鳥の双眸から洪水のように涙が流れていった。
 そして、大きな泡が音を立てて消え去ってしまうと、飛鳥は特大の喪失感を味わい、崩れ落ちるように床に座り込んで、両手を伸ばしてシリウスを求めいた。

「シリウス、さん…逢いたいっ…逢いたいよっ!!」

 シリウスを守る為に離れる事を決めた筈なのに、行く場所、行く場所にシリウスがいる。忘れる事を許さないように見つめてくる視線に、飛鳥はどれだけ耐えれば良いのだろう。次元を超える力が飛鳥にあるなら、今すぐにシリウスに逢いに行く。そう思ってしまう程、飛鳥の精神状態は窮地にたっていた。
 十九歳のシリウスでも、二十五歳のシリウスでも無く、自分が初めて好きになったシリウスを求めている。心が逢いたいと叫んでいるのに、逢う事が叶なわないと知っている飛鳥はただ泣き崩れていた。
 
 そのまま地面に額を擦り付ける程、近付いた所で飛鳥は抱え上げられてしまう。それが誰かは分かるけど、自分が求めている相手では無い。それでも、優しく抱き締めるシリウスの腕は優しくて飛鳥は、彼の胸元でそのまま泣き続けた。




******



「……いつからいたんですか」
「少し前です。……未来の俺は貴女に好かれていたんですね…羨ましいです」

 バルコニーからベットに連れ戻されたけど、何故か彼の膝の上に座らされている。泣きまくったからか、落ち着きを取り戻した飛鳥はさっきの泣いた姿を見られて気恥ずかしくなり、シリウスから離れようともがいてみる。
 だけど、全くもって離そうとしないので降りるのを諦めた途端、彼が飛鳥の頭部に頬を乗せながら寂しそうな声で言葉を紡いだ。
 何も言えない飛鳥と、それ以上言葉に出来ないシリウス。宝物を抱くように抱え上げ、彼女の向きを自分の真正面にさせると、二人の視線が絡み合う。シリウスの目蓋にはうっすらと涙の痕がついていた 

「俺では代わりになれませんか?俺は、貴女を愛しているのです…本当は、明日…もう今日ですね。言おうと思ってたんです」
「…その気持ちは、きっと気のせいです。貴女の相手は、私じゃありません。私が愛したシリウスさんも、他に相手がいる……ンンッ」

 二十歳のシリウスの口から聞きたかった愛の言葉。同じシリウスでも、彼から伝えられた告白で思うのは罪悪感。自分が媚薬に溺れ無ければ、シリウスは感情を持つことはなかったかもしれない。そして、本物の相手を知っているからこそ、自分が偽物だと理解していた。
 それを本人に伝える事がどれ程、飛鳥の胸を痛め付ける内容なのか、シリウスは気付かないだろう。
 しかし、話している途中で急に唇を塞がれてしまい、これ以上聞きたくないと、拒絶するようなシリウスの行動が徐々に激しさを増していく。無理矢理差し込まれた舌に絡め取られ、刺激を植え付けられていき、身体の力が抜けていく。
 唾液が絡み合い、互いの唇の端から艶めいた糸が垂れる。飛鳥が息苦しくさにシリウスの胸元を叩くが、後ろ首を押さえられ固定されてしまっていて離れない。シリウス指が飛鳥のドレスのボタンを1つずつ外していく。酸欠で、ぼーーっとする頭で気付いた時には、上半身は露になりシリウスに素肌を露出していた。

「俺の気持ちを必ず認めさせます…」

 この後、何をされるのか予想した飛鳥がシリウスの胸元を叩いて拒絶を示すけれど、直ぐに舌の愛撫に翻弄されてしまい、叩いていた手は力無く下に落ちる。キスだけで翻弄されてしまった飛鳥の状態に気付いたシリウスがやっと唇を離すと、力が抜けている彼女はそのまま彼に凭れかかった。

「っふ、ンァァッ、あっ…んんんっっ!!」

 求められるまま、シリウスに淫靡な快楽を与えられ続ける。陰部に太い陰茎が挿入されると、飛鳥は仰け反りながら淫らな喘ぎ声を洩らした。ドレスの裾を捲り、彼女の膝を抱え上げたシリウスが、艶めいた秘所を見つめる。動く度に、肉棒に絡みつく内壁の快感に眉間に皺を寄せて耐えた。快感を求めるように、挿入の速度を早めながら、赤く塾れている淫豆を親指の背で刺激をする。突起に触れた瞬間、飛鳥は跳ねるように腰を揺らして絶頂を迎えた。

「…っ…ンンッ…ッア…アア…ッ」
「アスカ……もっと、乱れて…」

 吐息を洩らして、快楽を静めようとしている彼女の淫豆を撫で続けながら内壁への刺激を再開させると、飛鳥の口から艶めいた甘い声が洩れる。それを聞くだけで、下半身の肉棒が更に膨張し快感を求めていく。淫豆から手を離して顔を近づけると、ふっくらした耳朶を甘噛みしながら囁く。飛鳥の膝を持ち上げ、奥に男根を押し付けながら、耳朶にチュッと何度も吸い付いた。その度に、ピクピクと身体を揺らし快感に涙を流す飛鳥の表情を見つめながら、肉棒を蜜壷から抜きシーツに欲望を吐き出した。
 ぐったりしている飛鳥の視線が、自分に向くことがないシリウスの目尻からは涙が浮かんでいた。そのまま、気絶してしまった彼女の乱れたドレスを整えて、自分の落ち着いた自身をズボンに入れ直すと、飛鳥の頬に触れた。

「……俺を見てはくれないんですね」

 飛鳥は乱れている間もずっとシーツ掴んでいて、失神する直前もシリウスに触れる事は無かった。その様子を苦しげに眺めながらも、卑猥な表情を浮かべている飛鳥に自分の欲望を優先してしまったシリウス。ぐったりしている彼女の頬を撫で、チュッとキスを頬に落とした。
 いつ消えてしまっても可笑しくない彼女の元から離れられないシリウスは、不安を隠すように飛鳥を抱き締めながら双眸を閉じるも、先程まで号泣していた彼女の様子が脳裏をぎり続けて中々寝付く事は出来なかった。
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