愛づ人の忘れ形見

anly

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弍ー身分違いー

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ー柳の夢の中ー

幼き頃の葵「わたしね、和歌を書くのは苦手だけど絵を描くのは得意なんだ~」

幼き頃の柳「すごい!どんな絵を描くの?」

幼き頃の葵「庭に生えてる枝垂れ桜の木とか、あとお月様とか!」

幼き頃の柳「見たいなあ....」

幼き頃の葵「いいよ!こっちへ来て!」

幼き頃の柳「うわぁ....すごいや」


そこには敷き詰めるように大量の絵が飾られていたー。


幼き頃の葵「ありがと。気に入った絵があるならあげるよ」

幼き頃の柳「いいの?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


柳「はっ....!」


昔の夢を見ていたようだ...

確か葵の屋敷に初めて行った時、

葵が描いた絵の中から1つ気に入った絵をもらった日ー


柳「蝶....か.....」


彼の目の前には鮮やかな色合いの1羽の蝶の絵があったー


宮中にてー


宮女A「柳の左大臣様よ、今日もなんてお美しいの...」

宮女B「今宵の宴では舞を踊られるとか、この世のお人とは思えないほど綺麗なんでしょうね」

女御「柳の左大臣殿、お待ちを」


お上の元へ向かう道中、簾の中から呼び止められるー


柳「これは女御様、ご機嫌麗しゅう」

女御「葵という名の女子をご存知?」

柳「わたくしが幼き頃に親しかった者です」

女御「やはり。実はわたくしに仕えることになったのです」

柳「っ...!」

女御「さぁ、葵。ご挨拶なさい」

葵「柳の左大臣様...お久しゅうございます」


先日の再会はまるで無かったかのように話し始めたー


柳「あぁ...久方であるな...」

葵「...」

柳「...」

女御「今宵の宴の舞、楽しみにしております」

柳「...はい...」


10年も会えなかった葵とこの数週間で2度も話すとは...



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